2014年4月27日 (日)

☆『神様のカルテ2』☆

先月、3月30日(日曜)のハナシ。
改めて、拙ブログの崩壊ぶりをしみじみ感じるなぁ・・(涙)

ご近所のシネコン“MOViXあまがさき”で鑑賞して来たのは・・“地域医療ドラマ”の続編となる『神様のカルテ2』だった。

前作では、とにかく物語そのものより「主人公の髪型(=おばはんパーマ)」にばかり世評が集中したようだが(なの?)、今回はその手の「“見た眼”系ツッコミポイント」が余り配されておらず、より生真面目な(ある意味退屈な?)ドラマに仕上がってたようにも感じた。ま、決してそれが悪いワケではないンだけど・・(⌒~⌒ι)

長野県松本市にある本庄病院。ここは、その屋上に設置された巨大看板に『24時間365日』なる文句も踊る、信州エリアの医療の一翼を担う“不夜城”とも言うべき地方医療機関である。

そこに勤務する栗原一止(いちと:櫻井翔)は、少なくない当直も含む激務を淡々とこなしつつ、家庭では妻=榛名(はるな:宮崎あおい)と静かに仲睦まじく暮らす青年内科医。

そんなある日、東京から新しい常勤医師の赴任が知らされる。

やって来た青年医師の姿を見たイチ(=一止)は驚きを隠せなかった。

と言うのも、彼=進藤辰也(藤原竜也)は、イチにとって“医学部の同期生”でもあったからだ。

かつては“医学部の良心”とも言われたタツ(辰也)だが・・本庄病院で彼の見せる“仕事に対する、割切った姿勢”は、看護師ら医療スタッフや、イチ自身が(彼に)寄せる期待を大きく損なうモノだった・・

唯一、そんなタツに対し“理解めいた態度”を示すのが、イチの先輩医師でもある“大狸先生”こと貫田誠太郎(柄本明)。

やがて、夫婦同士の交流の始まった栗原夫妻(イチ&ハル(=榛名))と貫田夫妻(誠太郎&千代(市毛良枝))だが・・そんな「穏やかな日々」も永くは続かなかった。

貫田夫妻を襲う突然の悲報。
そして、タツの“知られざる私生活”には、イチもかつて(=医学生時代の彼女)を知る、東京に暮らすタツの妻=千夏(吹石一恵)を巡る“とある理由”が深く関わっていたのだ・・

意外にも「医療系の邦画にはハズレがない!」と、これまでの鑑賞経験から実感しとるワタシ。まぁ「日常的に“生と死”の描かれる、ドラマティックな舞台設定」となれば、医療機関以外にはなかなか有り得ないワケで・・必然、ハナシ自体も「エエもんが造り易い」って事は自明なんだけど(=^_^=)

前作のキャラ設定が、巧い具合にワタシの記憶(おもひで)からぽろぽろと抜け落ちてて(泣)、登場人物によっては「踏み込みが甘い(=立ち位置が悪く、主要人物&イベントへの絡みが浅い)」「ってか、出演する意味自体あったの?」と感じるトコも少なからず。

また「(一見)主要人物を思わせるけど、実際には大した印象も言動も残せてない」キャラもいたりした。今回(2作目)では、その存在だけを(まず)チラつかせ、次作(3作目)で大きく(物語の本軸に)絡ませるつもりやろか?

今後「ぽっかりと空いてしまった“(主要キャラの)穴”をどう埋めるのか?」「本庄病院の経営はどんな方向に進み、主人公らは(それに対し)どんな姿勢を示すのか」と言った“気になる点”は出て来たんだけど、その辺りをきちんと描いてくれるとすれば、次作にも大いに期待したいトコである(=^_^=)

〜 こんなトコも 〜

・冒頭、5分間もの“仮眠”を経て、再び現場(診療)に向かう主人公。「いったん出て行くも、眼鏡を取りに戻って来る」と言う長回し演出が印象的。
・セリフ内で語られる「ラクテック」は「点滴液」の1ツなんやね。
・主人公の平均的な診療時間「患者1人につき平均11分半」が「長い」と事務長に突っ込まれてた(・ω・)
・栗原夫妻の住む「御嶽(おんたけ)旅館」の固定電話の壁面に「長電話しないで下さい」の貼り紙が。最近余り眼にしない注意書きやね。
・医大生時代、将棋部に所属してたタツとイチ。戦績は「520戦519敗」でタツの圧勝だったそうだが・・その(イチの)1勝こそが気になる(=^_^=) その回だけ「将棋崩し」だったんか?
・今作では夏目漱石でなく、芥川龍之介『河童』や志賀直哉『和解』を院内で読んでた主人公。
・主人公の休みは「年に3日」とセリフで語られてた(×_×) 学会に出掛ける時間もないじゃん。。
・某夫婦の過去に大きく関わる「常念(じょうねん)岳」は、日本100名山の1ツに数えられる長野県の山(標高2857m)。
・不意にコーヒーを頭からかけられる某人物。『プロジェクトA(1983)』の劇中、酒場で挑発されるジャッキーを思い出した(=^_^=)
・劇中に登場する「開運堂」の和菓子に興味津々。「おやき」と言うのも詳しくないので、いつか食べてみたい。
・某糖尿病患者が「1~5階の階段往復を日に5回、飲み物は水とお茶だけで」と指導されてた(×_×)
・「連ねたダルマ」がお炊き上げされてるシーンがあったが、アレって「善光寺の祭事」やろか?
・サラ・ブライトマンが、書下ろし主題曲を歌っとるが・・何とも「タイアップ臭」が強過ぎて好かなかった(⌒〜⌒ι)
・原田泰造、濱田岳は、余りに「尻切れ」なキャラ、、
・大狸先生の“こっそり車椅子移動ネタ”は『ニューイヤーズ・イヴ(2011)』に於けるデ・ニ〜ロ様を巡るシーンと異常に似てた。。
・藤原竜也&吹石一恵の共演は、三谷幸喜作・演出の舞台『ろくでなし啄木(2011)』での組合せ(カップル)と一緒で、そちらばかり思い出してしまった(=^_^=) ついでに、医学部時代の同級生役とし、中村勘太郎さんにもカメオ出演しといて欲しかったり。
・主任看護師=東西直美役を演じる“ち〜ちゃん(池脇千鶴)“は、もう一歩ほど物語に絡んで欲しかったトコか?
・ますます渋い西岡徳馬さん。北野武監督作品に出演されても“貫禄充分”だと思う。
・看護師長役の吉瀬美智子さん、先輩医師役の要潤さんは“(1作目からの)続投”だそうだが・・前作の印象がすっかり(ワタシの中で)欠け落ちてた(⌒〜⌒ι)
・「一般の患者に向き合う」と言う視点で描かれた物語ではなかった。まぁ「いざ自身が病魔と戦う」となれば、医師である以前に(誰もが)“ひとりの人間であり、患者”となってしまうワケなんだけど。
・タツは“(3作目への)続投”がほぼ決定か? これでキャスティングが変わったら、本シリーズも「揺らぐ」やろね。。
・終盤で、唐突に「前面に」飛び出して来る本庄病院の院長先生。かなり「美味しい」なぁ〜(=^_^=)
・ラストで、主人公に“吉報”のもたらされるノリは、まるで『釣りバカ日誌(1988)』を観てるようだった(=^_^=)
・「同業者のお忍び入院ネタ」はクスッと笑えた。あら・・良く観たら『大洗にも星はふるなり(2009)』のチョイ悪マスター(佐藤二朗)じゃないっスか(爆笑)
・「主人公の髪型変更」こそ、やはり本作最大のニュースかも知んない(なの?)
・信州の祭事など、ロケ撮影を発揮した映像もそこそこに堪能できた。河瀬直美監督辺りの影響もあるんかな?
・反対に「東京を映した映像」は殆ど盛込まれてなかった気がする?
・ハルには「屋久島撮影旅行」の経験があるんやろか?

~ こんなセリフも ~

イチ「有難い事に、5分も寝てしまいました」
  「何の根拠もないが、統計的には“私の当直の夜”に
   救急搬送が多い」
  「(遅れたのは)当直明けで、朝に急患が入ったからです」
  「ようこそ。医療の底辺へ」
  「顔が酷いのではない。疲れが酷いのだ」
  「医師である前に人間です」
  「1局、やらないか?」
  「お前が落ち込む事ではない」
  「医師としての英智を繋いでいく」
  「治らない患者は見棄てろと?」
  「医師の話ではない。人間の話をしている」
  「算盤(そろばん)も肩書も投げ棄て、
   その身1ツで言葉を発するべきです」
  「・・14:20・・御臨終です」
  「先生の志と希望は、僕らが受け継いでゆきます」
  「これは、1人の人間がくれた“神様のカルテ”です」
  「では、失礼して」

タツ「主治医の役割は充分に果したつもりです」
  「ここは随分、看護師が元気な病院だな」
  「主治医って何だ?」
  「ただ医者ってだけで、食事も睡眠も保証されない」
  「お前の家族は(それで)納得してるのか?」
  「悪いが、君とは優先順位が違う
  「医者の個人的な事情を
   気にしてくれる患者がいるか?」
  「狂ってると思わないか? 立派な医者って何だ?
   夫婦って何なんだ?」
  「強力な化学療法をもってしても・・」
  「強力な化学療法は、何かを奪う事にもなります」
  「疲れた時は、僕らスタッフが全力で支えます」
  「羨ましいな・・こんな風に支えてくれる
   人が傍にいて」
  「君を一番追い詰めていたのは、
   僕だったのかも知れない」
  「これからは、2人じゃなく、
   3人で歩いて行くんだな」
  「ここを選んで正解だった

ハル「これからは“屋久杉さん”と呼べなくなるんですね」
  「何か“大変な事”が起きているんですね」
  『苦しい時に限って、私のいる事を忘れてしまう。
   イチさんの“悪い癖”です』
  「私も支えて貰ってますから」
  「他の灯りで隠れていただけで、
   ちゃんと光り続けていたんですね

貫田「そんなに簡単に、夢だの希望だのが
   ころころ転がってて堪るかよ」
  「医者が頭で考えるのは、一番駄目なんだよ。
   医者は頭で考えちゃ駄目」
  「どの世界にも“憎まれ役”は必要です」
  「こう言う悲しい事は、もう「なし」にしてぇよなぁ
  「もうOKだ。
   抗がん剤でも、ステロイドでも始めてくれ」
  「“医療に捧げて来た時間”に後悔はないよ」
  「いざ(妻と)顔を突き合わせる時が“看病”とはね」
  「さぁ・・どうだかねぇ」
  「仕事を取るか、家族を取るか・・
   それはいつも“最大の難問”だ」
  「“人間らしい生活”なんて、
   なかなか手に入らない」
  「おやき、要らない」
  『星なんて、どうでもいいんです。
   大事なのは、あなたなんです
  「青臭くていいんだ」
  「希望ならあるよ。ここがそれだ
  「希望は・・君たちだ。後は頼んだよ」
  「長い間、有難う」
  「あいつら、何処に行ったんですかね。
   さっきまで、その辺にいたんですが。
   山小屋に戻ったかな?
   良かったら、座りませんか?」
  「夏の常念岳が一番好きです」
  「星なんか、どうでもいいんです。
   大事なのは、あなたなんです

千代「医者なんてね、病院に呼ばれた途端に、
   他の事を忘れちゃうんだから」
  「傍(そば)に居なくても、気持ちは寄り添える」
  「皮肉なものね。やっと手にした時間が、
   やっぱり“病院の中”だなんてね」
  「何にもしてないのに、どうして
   “病院にいるだけで疲れる”んでしょうね」
  「有難う・・覚悟が出来たわ」
  「この町でも、星をあんなに見れるのね」

東西「青い・・青いわぁ」
  「昨夜、そんなアクシデントはありませんでした」

屋久杉「成る程・・コレは“有り”っスね」

男爵「“やりたい道を進む”と言うのは、
   大事な事なんだ」

高山「今日は“医者の顔”をして、来てしまいました」

金山「医療はボランティアではありません。ビジネスなのです」

患者「食べました。すんません」
  「強制退院、ですかね」
  「実は“同業”なんです」
  「でも、そんな“損した医者”でいて下さい

院長「常識を突き崩して、理想にばかり走ろうとする
   青臭い若者が、私は嫌いだ。
   だが、その理想すら持たない若者はもっと嫌いだ」

スタッフ“10分後に救急車、入ります”

なつな「うん、パパ。栗原よりカッコいい!」

※「この町の最期の灯を消してはいけません」
 「医者は“医者としての理屈”で動くしかない」
 「相変わらず“不器用な男”だな」

イチ「何を祈ったのだ?」
ハル「色々です」

イチ「“一緒にいる”だろう?」
ハル「いいえ。私はいつも“置いてきぼり”です。
   イチさんの“悪い癖”です」

タツ「久しぶりだな」
イチ「何故・・お前が」

イチ「何故、こんな所にお前が?」
タツ「まぁ、色々・・」

外村「進藤先生・・“落ちてた”わよ」
イチ「願ったりです」

千代「あの人に、言うんですか?」
タツ「もう、ご存じだと思います」

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2013年12月31日 (火)

☆『清須会議』☆

遡る事、はや約1ヵ月・・(⌒~⌒ι)

12月7日(土曜)にご近所のシネコン“MOViXあまがさき”で観て来たのは、三谷幸喜が原作と脚本と監督をつとめ上げた時代劇『清須会議』だった。

三谷監督作としては『ラヂオの時間(1997)』『みんなのいえ(2001)』『THE 有頂天ホテル(2006)』『ザ・マジックアワー(2008)』『ステキな金縛り(2011)』・・に続く6本目。

監督作を放つペースとしては、松本人志(『大日本人(2007)』を皮切りに、これ迄に4本の劇場用長編を監督)に比べ、はるかに劣るが(笑) 作品の質は前作(『ステキな金縛り』)以降「確実に上がって来てる」ように思う。

・・って言うか、前作が素晴らし過ぎたので、本作を観るまでは「今度は時代劇?! んでもって、また“群像劇”やるのォ?!」とかなり不安に感じるトコはあった(⌒~⌒ι) 私的には「三谷作品ってば(舞台劇も含め)登場人物が少ないほど、研ぎ澄まされてて面白い!!」と信じて止まない1人でもあるワタシなので・・(・ω・) ←『なにわバタフライ(2004、2012)』なんか「一人芝居」だってのに面白いんですわ〜!

1582年6月。“天下統一”を目前に控えた右大臣・織田“信長の野望”は、京都・本能寺にて重臣・明智光秀の謀反を前に、敢えなくも潰えた。

逆賊=明智は直ぐさま討たるるも、織田家は当主=信長と共に、その“後継者”と目されていた長男=信忠をも失う。

信長臣下の頂点に控える“五宿老(≒家老)”の面々・・即ち、柴田“権六”勝家・羽柴“藤吉郎”秀吉・丹羽(にわ)長秀・滝川一益(残るもう1人は明智)・・は、翌7月に尾張国・清須城に於いて、織田家の跡取り(=後継者)を決める評定(=会議)の開催を決定する。

筆頭格の宿老=柴田(役所広司)は、丹羽(小日向文世)と手を組み、織田家の三男=信孝(坂東巳之助)を跡取りにすべく画策する。

“明智を討ち果たした武勲”を誇る羽柴(大泉洋)は、信長の弟=信包(伊勢谷友介)から助言を得つつ、織田家の次男=信雄(妻夫木聡)を跡取りに推そうと考える。

滝川は単身、尾張国へと向かう道中にあり、評定の場=清須城には間に合わぬように思われた。

そして、不在となる彼の座を補うべく、新たに“宿老”に引き上げられ、評定への参加を認められたのは池田恒興(佐藤浩市)だった。

男達がそれぞれに思惑を巡らせる一方、清須の地には信長の妹=お市(鈴木京香)、羽柴の妻=寧(中谷美紀)、信忠の妻=松姫(剛力彩芽)ら「戦国の女たち」も集まっていた。

5日間に渡る評定の結果、果たして、織田家の跡取りに決まったのは・・

かつて『たそがれ清兵衛(2002)』を観た際に「(時代劇を謳いながら)全然、チャンバラ演出が少ねぇじゃん!」と多少のガッカリさを覚えたものであるが・・ “戦(いくさ)シーン”“刀バトル”を期待して観に行くと、本作ほどガッカリさせられる作品も(近年)少ないように思う(=^_^=) 『武士の家計簿(2010)』同様「“欠かさざるべき時代設定”としてのみ、時代劇と言うテイストを選ばせて頂きましたよ」ってな、制作陣のしたり顔(?)が垣間見えて来るようだ(=^_^=)

そしてまた、本作を群像劇として捉えた場合、人物毎に「その造型や言動」が大きな温度差を持っており「結局、本当に必要だった人物ってば、少数で事足りたんじゃね?」とまで思えて来たり。本作に名を連ねる人物の中にも“客パン(←客寄せ・・)”な俳優さんが少なからずおられたような・・

考えると、永きに渡った戦国時代がぼちぼち終息を迎え「天下統一には、武力以上に知力が必要」と、兜を脱いで(風を当て)アタマを切り替えないといけないような「過渡期」に差し掛かり始めた頃でもあり、失われた巨大なカリスマ=織田信長の次に来る“織田家の後継者”・・と言うより“その重臣”が誰なのかを「戦(いくさ)以外の手段で」決める事となった5日間・・となれば、この「心理戦」が面白くならないワケがない! ・・ってワケで、流石に三谷さん「日本史の最も美味しいトコ」に着目した辺りは流石ですなぁ~

分かり易く噛み砕くと、まぁ「権六(柴田勝家)か勝つか、藤吉郎(羽柴秀吉)が勝つか」ってトコに極まるんだけど(だし、我々観客は「その答え」を既に知ってるワケで)、そんな彼ら2人に「過去からの付き合い(因縁)のある人物」「初対面となる(期待を寄せる)人物」がそれぞれどう向き合って行くのかを“即時、試される”ってハナシで、そこには当然ながら「建前」「本音」の強く絡む「愛憎」「信頼」「打算」なんかの心情も混じって来て、そこが本作最大の“戦場(いくさば)”であるように思われる。

って事で「アタマの良いしと向けに作られた、アタマを柔らかくして楽しむ事の出来る、知識としてもタメになる佳作」と評させて頂こうか(・ω・)

~ こんなトコも ~

・「三谷流、コメディ型歴史講義」ってテイスト。

・三谷さんに『終戦のエンペラー(2012)』のリメイクをお願いしてもみたい(=^_^=)

・タイトルは『清須会議!』と表記しなくて良かったんやろか。

・「夫婦」「主従」などの関係性が、敢えてなのか(?)分かりにくかった。

・ウィキで「清須会議」以降の主要キャラの人生(運命)を調べてみると・・面白い。

・「三谷作品らしい」か「いつもの調子で面白い」か・・と言うと決してそうでもないが・・作品の質は上がったように思える。

・決して“小手先だけのコメディ”ではない辺り、故・黒沢明監督だったらこのような感じの「生真面目なコメディ」をいずれは撮ってた気もする(柴田勝家役=三船敏郎、羽柴秀吉役=榎本健一 ・・かな)

・「千鳥ヶ浜の栄螺(さざえ)」「加賀のらっきょう」「越前の蟹(かに)」「越後の米」「京の鮨」など、三谷流の「食通アピール」な演出やセリフも満載気味。

・清須市内から千鳥ヶ浜(知多郡南知多町大字内海西郷)へは・・60kmほどもある(×_×) ぶらぶら歩ける距離じゃねぇだろう(×_×)

・男性キャラの総じての「情けなさ」「女々しさ」とは対象に、女性キャラの総じての「強さ」「したたかさ」を意識的に漂わせてた。

・登場数の少なさにも関わらず、女性陣の存在感がすごい!

・「三法師」を敢えて映さぬ後半のとあるシーン、極端に表情&動きの少ない松姫(←それが奏功してる(=^_^=))、家来らの寝所を別ロケーションで描く(←いわゆる“マナーハウスもの”っぽさ)・・などの演出テクニックが冴え渡る!

・清須城内とその周辺のみの「密室劇」かと思いきや、オープンな空間(浜辺)にぞろぞろ出て行く意外さもあった。

・三谷芝居で言えば『国民の映画(2011)』辺りに似たテイストだろうか? 史実系で、観客は「ちょっと賢くなって」劇場を後にする・・みたいな(⌒~⌒ι)

・西田局長の出演は「1シーンのみ」なので、ゆめ見逃さぬよう!(その場面だけ『ステキな金縛り』のテーマ曲が用いられる!)

・主要キャラ(の筈)の1人が会議の場に間に合わず「お伴も無く、ただ走ってただけ」の展開は、ちと(引っ張るには)苦し気だったか・・

・鈴木京香も剛力彩芽も、それぞれに「不気味さ」が漂ってた。「麻呂眉+お歯黒」ってば、何でこんなに恐ろしいのか、、

・お市のキャラ造型は『蜘蛛巣城(1957)』に於ける城主の妻=鷲津浅茅(演:山田五十鈴)を彷彿とさせる。

・最も「冷静で賢かった」のは、藤吉郎以上に信包だったろうか。え? 剛力ちゃんも?

・策士であり、本作の「牽引役」でもあった丹羽長秀、黒田勘兵衛(寺島進)が、後半では共に「後退」して行ってた(×_×)

・忍者たちが全然「忍べて」なかった(=^_^=)

・「中谷美紀みたいな奥さん」がおったら、もう他の女性に恋愛感情なんか抱かなくてエエやんか!!

・あの程度の出番なら「信長を敢えて登場させない描き方」も(或いは)あったのかも。

・浜辺を何処までも突っ走って行く妻夫木くんが「フォレスト・ガンプ」に見えた(=^_^=) フットボールとか得意そう。

・戦そのものは描かれないが、総じて「知的な戦づくし」だった。そのような場面でもまた「武将の力量」が試されるのだろうて。

・劇場ロビーに設置されてた巨大立体ポスター(?)には「総てのキャラ」が「同じ面積でパネル表示」されてたが・・実際には、かなり扱いに差があった。。

・「名古屋弁による表現」に、かなりこだわってた感じ。

・あんなに大量にらっきょうを貰ってもねぇ・・

・徳川家康は当時、何処で何をしていたんやろネ(・ω・)

・会議に出席した4武将のうち、3人までもが「その後、数年以内に亡くなってる」ってのはすごい事実だ!

・『さや侍(2011)』よりもためになる作品である(=^_^=)

・前田玄以(でんでん)が床に転がし広げた「絵巻」のアニメーション表現で“鳥瞰図的”に時代背景を「簡単に分かり易く」解説する演出も気に入った!

・本能寺(の焼け跡)のはるか向こうに見えてた五重塔(?)は、果たして何処のお寺だったんやろ? 気になる!(=^_^=)

・序盤だかで、勝家が「織田家を盛り立ててて・・」と言ってはったように聞こえたが・・アレはお市様を前にして“緊張の余り言いまつがえた”演出ってワケだろうか。

・「手前:人物」「奥:廊下や庭」とか「室内:薄暗い」「戸外:明るい(青空)」とかの対照的な映像が良い感じだった。

・「※※※をだき抱え、勝家を筆頭に、並みいる家臣をひれ伏させる」藤吉郎のテクニックはしたたか過ぎる!

・本作に於いての「ひれ伏す勝家」が、某ドラマに於ける「土下座するO(オー)和田常務」みたいな(観客にとっての)カタルシスになってるんかな。

・藤吉郎がお市様、、じゃない信包に贈った「獅子香炉」の価値が気になる。京土産で「3千貫の品」と言ってたが・・

・会議の進むうち、作品世界から「蚊」のいなくなる不思議(=^_^=)

・更科六兵衛さんは「北条家家臣」との事だった。以前に聞いたかも知れないが、、すっかり忘れてた(=^_^=)

・土下座しつつ、鼻っ柱に泥を塗り付け「ドヤ顔」で馬上の勝家を見上げる、藤吉郎のその狡猾さにムカつきつつも痺れた(=^_^=) ←どやねん!

・未だ読んでないが、原作本(文庫版)を古本屋で購入してしまった次第(・ω・) その表紙イラストに「耳にスマホ当てて喋ってる武将」の姿があって、結構笑ってしまった(=^_^=)

~ こんなセリフもありました ~

勝家「“猿”に(織田家を)乗っ取られて堪るか!」

  「何時も、此の(清須の)空が見送って呉れた」

  「・・酒精(さけ)の所為(せい)だ。

   ・・自分が厭に成る」

  「未だ“匂い”が残っておる」

  「御前、何云ってんの? 馬鹿じゃ無(ね)ぇか?」

  「らっきょ喰って、早く寝ろ」

  「腕を振れ!」

  「此の歳で、戦以外で“真剣に成れるもの”

   を漸く見附けたのだ。

   そっとして置いて呉れんか?」

  「“皆が大好き”だと勝手に思い込んで居ました」

  「是からも、儂を支えて呉れ」

  「おいこら!」

  「何か言って遣って呉れ」

  「・・御前とは口を利かん」

  「決して討ち漏らすな」

  「御屋形様と共に討死したかった」

  「・・大義である!」

藤吉郎「明智など蹴散らして見せまする」

   「うざこいんだがや」

   「とろ臭(くさ)!」

   「何で、赦して貰えんのぎゃあ!」

   「親父殿」

   「彼(あれ)は“戯(たわ)け”ですから」

   「御屋形様が死んだ時、どれだけ

    儂(わし)が哭いたかを知らぬだろう

   「全く、喰えん男だがや!」

   「“滝川様の名”が在るのは解せませんな」

   「異存にゃあです」

   「其の事で」

   「御無禮のにゃあ様にな」

   「頼むでよ」

   「いい加減、信じてちょうでぁ(頂戴)」

   「此処から這い上がって、天辺、目指すがや!」

   「明日の評定で、織田家の行く末が決まります」

   「今夜は寝ずに、御考え頂きたい

   「と成れば・・途(みち)は壱ツしか在りません」

   「是は“天下人”を決めるものでは無い。

    “織田家の後継ぎ”を決めるものじゃ」

   「其れが“筋目”と云うもの」

   「勝負、在りましたな」

   「後は任したで」

   「頭が高い! ・・其れで良い

   「八十日目(やっとかめ)だがね」

   「儂を斬れば、戦の世は百年続く。

    其れでも斬ると云うなら斬れ」

   「儂等もきゃ~る(帰る)でや!」

   「そして、其の先は“天下”だて!」

長秀「場所は・・清須が良いだろう」

  「どんなに頑丈な鎧にも、捜せば何処かに必ず

   “綻び”が在るものだ」

  「大事なのは“筋目”だ」

  「刻が動いた」

  「是で分かった。藤吉郎は、

   “我等が束に成っても、叶う相手では無い”

   と云う事だ」

  「為す前に、其れが本当に正しいか如何か、

   “心の中の儂”に問え」

  「年下の女房は年上の様に、

   年上の女房は年下の様に扱え。

   其れが(夫婦)円満の秘訣だ」

恒興「天は俺達に“天下を治める力”を呉れ無かったな」

利家「彼(あれ)も藤吉郎の戦なのだ」

お市「普通“御香”と聞いて“漬物”と思うかしら?」

  「彼(あれ)は、私が“死ね”と言えば死ぬ男」

  「わざわざ私の為に?」

  「もうひと働き、御願い致します」

  「栄螺(さざえ)、頂きます」

  「織田家の行く末は、御前に懸かって居ます」

  「藤吉郎に、壱ツも弐ツも、泡吹かせて御遣り」

  「殺すのです。私の為に。彼(あ)の人を殺して」

  「だから私は“敢えて嫁ぐ”のです」

寧「御労(いたわ)しぅ御座居ます」

 「も1丁(いっちょ)、行こまい!」

松姫「松は御約束を果たしました」

玄以「壱(ひ)の、弐(ふ)の、参(み)!」

信長「・・臭い」

  「熱(あち)ゃ!」

  『常に平常なれ』

信忠「清須へ向かうのだ」

  「だから『来るな』と云うたのだ」

  「是で“戦の世”に逆戻りだ」

信雄「俺、次男。彼奴(あいつ)、三男」

  「此の俺を“誠の呆気(うつけ)”と思うなよ。

   是は、世を欺く“仮の姿”なのだ」

  「走るのは得意なんだ。頭、使わ無いから」

  「今更だけどさ・・

   “旗を取れ”って云われてたっけ?」

  「・・旗って何だろ?」

  「え? 俺は居ちゃ駄目なのか?」

  「俺は別に良いけど。俺は居ても平気だよ」

信包「遠慮する事は無い。滅ぼしてしまえ」

  「彼(あ)の日、兄と共に儂も死んだのだ」

一益「何処なのだ、此処は?」

六兵衛「嗚呼、良かった・・

    “人間、死んだらお終い”よ」

※「其れはまるで“嘗ての御屋形様”を観る様でした」

 「其れ故、策が要る」

 「戻って来ぉい!」

 「是は可也な荒業」

 「流石に耳が疾いな」

  「天下も頼むでよ!」

 「“船頭多くして船山に登る”と云う例えも在る」

側女「お市様は“海の物”は余り御好みに成りませぬ」

勝家「未だに信じられぬ・・本当に御屋形(おやかた)様は

   此の世を去られたのか?」

長秀「・・考えようだ」

長秀「問題は藤吉郎だ」

勝家「“其の名”を出すな!」

母「此の“でか耳”!」

藤吉郎「あんたの所為(せい)じゃ!」

信雄「いいよ」

藤吉郎「・・いいよ?」

信包「加勢して欲しいのか?」

藤吉郎「出来ますれば」

信包「断わる!」

寧「御好きで居りゃあす? 金平糖」

松姫「・・“南蛮の味”がする」

利家「儂は、走るのだけは苦手なんじゃ」

藤吉郎「何?!」

寧「今の暮しでも、うちは充分幸せだでね」

藤吉郎「儂は御免だがや」

玄以「では、意見も出尽くした様ですので・・」

勝家「否(いや)待て!」

藤吉郎「其処迄して儂を苦しめるのですか」

お市「私は生涯、貴男を赦さない」

藤吉郎「其処迄嫌われたならば、

    此の秀吉も本望です」

藤吉郎「如何(どう)か壱晩、匿って貰えぬか」

勝家「・・何と云う“面の皮の厚さ”よ」

勝家「評定では敗れたが、

   戦場(いくさば)では、御主(おぬし)に負けん」

藤吉郎「其れが遠い先となる事を

    祈るばかりです

 

参考:文庫本表紙の「スマホ宿老

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2013年1月17日 (木)

☆『源氏九郎颯爽記/白狐弐刀流(1958)』☆

久々にBSP(プレミアム)で邦画なんぞを1本観てみたので、少しだけ書いておきたい。

いや・・折角だし書かせて(=^_^=)

最近は、全くと断言(だんげ)って良いほどフォローしてなかったBSPだったが、久しぶりにワタシの食指を動かすに足りそうな作品が放送されるってんで、結構な期待感をもって観てみる事にした。

毎週火曜日の放送プログラム『山田洋次監督が選んだ日本の名作100本』で7日(月曜)に取り上げられた、中村錦之助主演の時代活劇『源氏九郎颯爽記/白狐弐刀流』である。

・・

2部作の後篇に位置づけられる本作。モノクロ作品(だそうだ)『源氏九郎颯爽記/濡れ髪弐刀流(1957)』の続きであり、今回は「カラー作品」とし制作された。柴田錬三郎の原作小説を、のちの萬屋錦之介=中村錦之助(つまりは中村獅童の叔父さん)を主演に描いた剣豪ものである。

幕末(弘化~嘉永年間)。2振りの寳刀「火焔劔(かえんけん)」「水煙劔(すいえんけん)」を手に入れた、白装束姿の青年剣士=源氏九郎(錦之助)は、活気溢れる兵庫のとある港町に辿り着く。

そこは、貧乏公家や異(国)人の船員、尊王攘夷思想に傾倒した素浪人たち、はたまた元海賊の廻船問屋(密貿易商)らの思惑が渦巻く地でもあった。

実は「源義経の子孫」である九郎は、兵庫沖に浮かぶ無人島の洞窟=揚羽院址に隠された“義経の財寳”を探しにやって来たワケでもあったが、それを付け狙う悪党共が、虎視眈々と彼の動きに眼を光らせるのだった・・(白装束だから目立つしネ)

和洋の入り乱れる世界観に『カムイの剣(1985)』『スキヤキ・ウェスタン/ジャンゴ(2007)』にも繋がるそれを連想し、勝手にワクワクしてしまったモノだが・・さほど荒唐無稽な展開でもなかった。むしろアクション(殺陣)にせよ、キャラ陣の言動にせよ、保守的な殻を破れていない印象さえあったかも。

特に、チャンバラ系シーンの全体に於いて「ホンマに斬れそうな真剣っぽさ」の殆ど伝わって来なかったのは残念だった。

ただ、廻船問屋の策略にはまった九郎が、宴席で「眠り薬」を盛られる後半の展開にはちょっと緊迫感を味わった。

だのに・・盛られてからの九郎の強さがハンパじゃなかった(=^_^=) そのまま悪党どもを斬りまくって、自ら窮地を脱してましたし。そこで「納得ゆく説明」なんぞ、劇中ではまったく為されてないのが、逆に潔くて気に入った(=^_^=)

終盤では2本の宝剣を手に「秘剣・揚羽(あげは)蝶!」なる“弐刀流殺法”を披露してくれる九郎だが・・彼を好演する錦之助の、ふと見せる横顔が何処となく「中村獅童の風貌」を彷彿とさせてもくれて面白かった。

~ こんなトコも ~

・「フラメンコ風の踊り」「飾られた赤いヒヤシンス」「リボルヴァー銃を手にした素浪人衆」などなど、それなりに面白い演出が見受けられた。

・しかしながら当時、鉄砲の所持は「御禁制」との事だった。

・後半に登場する深〜い井戸に、次々と助演キャラが転落して行った(×_×) こんな“処理装置”もアリなんやね。。

・神道無念流の遣い手である最強のライバルとの対決は・・すれ違った一瞬で決まった!

・ムードメーカー的な“面白い町人”が2人ほど出て来たが、途中で何処かに消えてしまった。少し残念。

~ こんなセリフも ~

九郎「覚えていて呉れとは頼まん」

  「此処は貴女の来る処ではない、お帰りなさい」

  「分かっています、だが私は後へは退(ひ)かぬ」

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2012年9月28日 (金)

☆『鍵泥棒のメソッド』☆

鑑賞こそすれど、、なかなかに記事をまとめ、アップするまでの“まとまった時間”が取れずご迷惑をおかけしているやも知れません(×_×)
まぁ、気長にお待ち下さい。

・・

22日(土曜)の夜、クルマで隣町にある“ワーナー・マイカル・シネマズ綾川”まで出かけ、香川県内ではこのシネコンでしか鑑賞出来ない新作邦画『鍵泥棒のメソッド』を観て来た。

『アフタースクール(2008)』の内田けんじが監督&脚本を手がけた意欲作。
まぁ、私的には『アフター〜』のノリ、展開、世界観が“全く”好きになれず「この監督(しと)のテイストはどうも合わないな〜」とまで思ってしまったワタシだが・・本作は異常に“ネットでの評価が高かった”モノで、観に行く事に決めた次第(・ω・)

「カネなし、定職なし」の古びたアパート暮らし。
35歳の貧乏役者=桜井武史(堺雅人)は“些細ながらも重大な理由”から、とうとう首を吊って死のうと考えるも・・ロープが切れた(外れた?)事により、それすらも未遂に終わってしまう。

家賃さえしばらく払えぬままの桜井は、財布から出て来た“クシャクシャの入浴券”に気付き、薄汚い『清風荘』の部屋を出て“気分転換”に銭湯へと出掛ける。

彼は隣り合ったロッカーの男が石鹸に乗って滑り転倒、後頭部を激しく床に打ち付け昏倒する現場に遭遇、出来心から彼の持っていたロッカーの鍵を自身のモノとすり替えてしまうのだった。

男の財布、ダークスーツ、車(クライスラー300C)、マンションを労せずして手に入れ狂喜する桜井だが・・すり替わったその相手が「誰もその素性を知らぬ、凄腕の殺し屋=コンドウ」である事を知るに至り、すっかりビビってしまう。
そんな彼に、工藤と名乗る男(荒川良々)から新たな「殺し」の依頼が・・!

一方、病室で目覚めた男(香川照之)は、記憶を完全に失ってしまった自身に気付く。
銭湯のロッカーに残された所持品から、自らを「桜井武史」だと思い込んだコンドウは、役者としてのスキルアップを目指し始めてしまうのだった。

そんな桜井(=本当はコンドウ)に好意を寄せるのは、本気で“婚活”を始めたばかりの(34歳の)女性編集長=水嶋香苗(広末涼子)。

2人の男が1人の女を巻き込み、彼らの突き進んだ先に待つ“運命”とは・・

おお! 本作は分かり易くて楽しかった!

まぁ、ワタシの大嫌いな「殺し屋」「記憶喪失」「ヤクザ」「成りすまし」と言う“ベタ過ぎる演出要素群”が揃いも揃ってたトコには流石に「ウゲ〜!」と思ってしまったが、それはそれできっちりと“変化球”を投げ込んでくれてた点を評価したい!

『アフター〜』に比べ、すんなりと物語は展開するんだが、冒頭から「(観客を)騙すモードに突入してた」って点では、より自然でイヤミのない「質の良い脚本」だったように感じた。

香川さんが「巧過ぎる!」のは観る前から分かってた事だったが(=^_^=) どっちかと言えば「らしくねぇ」雰囲気の荒川良々氏も、ボロが出ない(?)程度に“凄み”を漂わせてくれてた。
広末さんも、もう少しは「ご自身らしさ」を表現したかった事だろうと(勝手に)推量するが、アレはアレで新鮮だったように思う。

面と向かってはとても謝罪出来ず、言葉を探しつつビデオメッセージで「スミマセン!」を繰り返す堺氏にも「他人事とは到底思えないヘタレさ」が存分に発揮されてて光ってた(=^_^=) 『ゴールデンスランバー(2010)』もそうだが、切羽詰まったヘタレキャラを演じさせたら、このヒトってば「ピカイチ!」な気がする(=^_^=)
お願いだから“カッコつけた演技”とか、そう言う路線は続けないで下さい(=^_^=)

期待してOK! な本作だが、エンディングについては「引っ張った感じでそれですか?」ってなベタさが若干あった気はしたか。
あと「とあるキャラ」の本性が“暴露”された状態で幕となってしまい、そのしとの事がちょっと好きになってしまってたワタシにとっては、少なからずの「後味の悪さ」のあったのは否めない(⌒〜⌒ι) まぁ、そのしとの“(劇中での)前職”を考えたら、極々自然な性格付けではあったのだけれど・・

〜 こんなトコも 〜

・堺さんの(一応は)主役からの“後退っぷり”が独特な展開。。
・本作最強の演技役者は「お腹を蹴られてた」彼女だったんかも(・ω・)
・いやいや、広末クラスならもっとモテるやろ?
・終わってみれば、何とも平和な物語だった(=^_^=)
・「故人の遺言DVD上映会」ってば、今や当たり前なのか?
・堺さんの物語開始前の“背景”がも少し欲しかったか。
・iPhoneの操作に慣れてない堺さんが微笑ましかった。
・本作のタイトルってどやろ? 「盗んだ」と言うか「交換した」ワケだが、、
・総じては「香川照之さん1人に依存気味」なキャスティングだったと言えようか?
・ノリにノッテる感じの香川さん。まるで「ワンマンショー状態」ですた(=^_^=)
・近年の香川さんってば、ケヴ※ン・スペ※シーや竹※直人をも蹴散らす勢いである(=^_^=)
・ワルノリ過ぎて“持ち味”のかき消されとる『流浪劔(るろけん)』よか、香川さんはこのぐらいの方が良い!
・香苗のカレンダー(手帳)に「12月14日(赤口)」と表示されてた事から、今年の物語だったんやろか?
・桜井の着てた赤トレーナー“WARRIORS EASTWOOD”は何処かで買えるんやろか?
・後から考えたら「左手首に付着した血痕」は、そないに気にせずとも良かった気もする(・ω・)
・ちびっ子に水鉄砲で顔面を攻撃されてるコンドウさんが、かなり笑えた(=^_^=)
・様々な偽造の身分証を揃えてるコンドウ。変装した社員証に「ジェームズ・バトラー(James Butler)」とか書かれてて、コレも笑えた(=^_^=)
・ロケ地とし「横浜・相鉄いずみ野駅」「埼玉・大宮砂団地」「東京・玉城湯(稲城市)」「ベニースーパー」などが用いられてた。
・「珈琲舎ダンケ」「セキネベーカリー」は浅草3丁目に実在する店舗らしい。
・香苗のクルマは「プリウス」なんだけど、も少し個性あるクルマでも良かった気がする(・ω・)
・DVDソフト化の折には、ゼヒ映像特典とし(劇中作の)『修羅の旅路2』を収録して欲しい。
・「ベートーヴェンの弦楽4重奏曲」には、記憶をよみがえらせる作用があるんかも知んない(⌒〜⌒ι)
・桜井の所持金=1142円ってのが、妙にリアルで悲しい。。
・『コラテラル(2004)』ベースで、こんなパターンの物語が見たい!! ←あちらでも「殺し屋になり済ます」って展開はあったけど。
・プロの語る“痛みの4段階”は「衝撃」⇒「事態把握」⇒「緊張」⇒「痛み」の順にやって来るそうで(×_×) ←井上ひさしの小説『吉里吉里人』みたいやね、、
・「最初の8ページ」を越え、書籍を読み進められるか否かが「あきっぽいか否か」の1ツの指標と言えそうで(⌒〜⌒ι)
・香苗がページ(記事?)の「女子が男子をナンパしたって構わないじゃない」の部分をチェック(強調)してたのが印象深い。
・神奈川県平塚市には「追分交通のタクシー」が実際に走ってるようだ。
・「劇団マッシュルーム」ってホントにありそうな気がする。細々と活動してる感じで・・
・「アーバンメゾン朝日」はネットでヒットしなかったが「メゾンアーバン」ってマンションは(埼玉県川口市朝日に)実在するみたいだ。
・“ギブソン・レスポール1959”ってギターの値段がハンパないようだが(1〜2千万円)、保管場所によって大きく価値の下がる気がするな。
・本の中(?)に拳銃が隠されてたが「撃鉄(ハンマー)の起こされた状態」で入っており、観ててかなりハラハラした(×_×)

〜 こんなセリフもありました 〜

コンドウ「あなたは・・私の知り合いの方でしょうか?」
    「頭を強く打ったみたいで、思い出せなくて」
    「桜井武史、35歳です。・・ちょっと“老けて見えます”よねぇ」
    「至って健康、だそうです」
    「何と言うか・・“かすかに懐かしい”と言うか、
     微妙な感覚があるんですが」
    「この銘柄の煙草(マルボロ)を吸っていたハズなんですが」
    「私は死のうと思っていたみたいです。
     ・・失敗したんでしょうね」
    「死のうと思って(銭湯で)“ワザと転んだ”のかも知れない」
    「ここで“こんな生活”をしていたら・・死にたくもなりますよね」
    「“死にたい”って気持ちも忘れちゃいました」
    「お腹? 空いてます」
    「少し気にはなったんですが、
     わざわざ訊くまでの事でもないか、と思いまして」
    「自分の人生を他人から聞くのがちょっと恐いんです。
     これ以上は知らない方が幸せなのかも・・」
    「あなたは、何でも、一生懸命にやるんですね」
    「あなたとなら、どんな男だって
     “結婚したい”と思うから、大丈夫です」

殺し屋K「お前・・この部屋で煙草吸ったな?」
    「尾行された事は? ・・分かるワケねぇか」
    「こんな“杜撰な計画”がホントに成功すると思ったのか?」
    「一生に1度ぐらい、誰かに褒めて貰いたかったのか?」
    「・・お前を助けてやる」
    「お前の人生、このまま俺が貰うぞ」
    「何だそれ?」
    「ダメだ。お前は“演技の基本”が出来てない」
    「客観的に捉えろ」
    「“死ぬ気”で演じろよ」
    「人は簡単に騙される
    「俺は“便利屋”だ・・“※※※”じゃない」
    「だいぶ儲かった・・もうカネは充分だよ」
    「お前・・“缶の中のクッキー”全部食べちまったのか?」
    「これも仕事だよ」
    「惜しかったな、あのお芝居。結構、俺は感動した」
    「“カネがないから”って死ぬ事ないよ
    「やるよ、この時計・・今日のギャラだ」
    「“女で死ぬヤツ”がホントにいるんだな」

殺し屋S「ちょうど良かった。今、電話しようと思ってたトコだ」
    「仕事は美しくなくちゃならない」
    「今回の仕事は・・美しくない」
    「子供は“予定外”だった・・でも、仕方なかった」
    「お前らのせいだぞ!」

桜井「悪(わり)ぃな、遅くなって」
  “とにかく、死んでお詫びをします”
  “とにかく、ごめんなさい”
  「こういうの、棄てちゃいましょう!」
  「どうしてって・・俺がやるしかないだろ?」
  「“人殺し”に説教されたくねぇ!」
  「あんただって、尾行されてんじゃねぇか!」
  「あんた、あの男に惚れてんの?
   ・・向こうは多分、惚れてるよ」
  「もっと情けないんだよ、俺は」
  「俺の事、笑えるのか?
  「可愛い猫だねぇ」

香苗「私事ですが、結婚する事に致しました」
  「そうですね・・“健康で努力家の方”であれば」
  「相手は・・まだ決まっていません」
  「私が“やる”って言って出来なかった事、ある?」
  「歩くと、30分以上かかります」
  「ただ“恋をしてもイイかな”って人は、見つかった気がする」
  「感情が盛上がるのを待つんですか?」
  「こんなの撮影してたんだ・・」
  「はじめはそうでしたけど、今はもう違うんです」
  「“ホントに人を好きになる”って、
   すごく“恐い事”だと思いませんか?」
  「うるさい、泥棒!」

住人「ああ・・ゲームの音、うるさい?」
  「あの・・猫の事でしょうか?」

監督「イイ顔してる、彼!」

工藤「思ったより、ずっと若いですね」
  「トランクの中の屍体はもう処理されたんですか?
   ・・“プロにする質問”じゃなかったですね」
  「あくまで“行方不明”と言う事で」
  「残念ながら、この依頼は
   “断わって頂く”ワケにはいかないんだ」
  「“逃がす”ってどう言う事ですか?」
  「お前、ナメてんのか?」
  「血の匂いは凄いんだよ・・やるなら“本物”を用意しなよ」
  「女は、なるべくラクに殺してやってくれ」

姉「ここ(胸)がキュ〜ン! と鳴るマシーンは、
  30歳で(壊れて)鳴らなくなるの」
 「恋なんかしなくても、結婚は出来るわ」

父“香苗の新郎の方・・どなたかも知らないけれど”
 “(その時は)あの世から直接、呪い殺します”

大谷「捜したって、屍体なんか出て来ませんよ。
   コンドウは“仕事が丁寧”なんです」
  「ただ“消えてしまう”だけです。(殺人)事件にすらなりません」

綾子「“本当に人を好きになった事”がありますか?
  「そんな大金があったら、人を雇って“あの人の仇”を討って貰います」

元カノ「変わってないね」
桜井「そうでもないよ」

大家「家賃、滞納してるのも思い出した?」
桜井「今、払います」
大家「え? 払えるの?」

香苗「何か思い出せそうですか?」
コンドウ「努力してみます」

部下「これも“有り”ですか?!」
香苗「全然“有り”です」

香苗「これはギリギリ“有り”です」
部下「・・これはウチの旦那です

香苗「焼き鳥、好きですか?」
コンドウ「・・覚えていません」

コンドウ「私の知り合いになって頂けませんか?」
香苗「・・もう、なってますよ」

工藤「今のは確かか?」
香苗「私、分かるんです」

殺し屋K「何で逃げなかった?」
桜井「何でって・・」
殺し屋K「ま、イイや」

桜井「“あの人”のためじゃなかったのか?」
殺し屋K「・・そうかもな」

※※「やっぱり納得出来ない」
殺し屋K「“全部納得して生きてるヤツ”なんていないさ
※※「どうでもイイのよ、あんなハゲ」

追記:終盤、クライスラーの車内、フロントからのカメラワークがかなりイイ感じだった。あのアングルで、もっともっと「長回しのやり取り」が観たかったなぁ〜

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2012年2月15日 (水)

☆『逆転裁判』☆

14日(火曜)の夜。
しんどかったモノで残業は殆どせず、早々に帰宅したワケだが・・何とも言えぬ“もの足りなさ”“淋しさ”みたいなのが(「ヴァレンタイン・デー」故にか?)募って仕方がなく(=^_^=)・・自宅で1時間ほどダラダラ過ごした後、再び北方の“ワーナー・マイカル・シネマズ高松”へと向かい、公開中の新作邦画『逆転裁判』ってのを観て来た(←つまり、レイトショー)。

大阪に籍を置く大手ゲーム・メーカー「カプコン」のリリースした、同名人気シリーズの初期(?)エピソード群をベースに、三池崇史監督により“忠実に”放たれた、ライトタッチな“SF法廷コメディ”ってトコだろうか。

本作、実は以前に携帯版(iPhone/iPod Touch用のアプリ版)で遊び、そこそこに面白かった覚えがあったんだが・・如何せん1ツ1ツのエピソードが何とも長過ぎて、気力が維持出来ず・・途中で放り出したままになってたりするのだ(×_×) また遊ばなきゃ。

刑事事件(犯罪)が10年前の5倍にも達した現代社会(←パラレル世界のようである)。
迅速に処理を進めるため、司法に導入された“新しいルール”・・それが『序審裁判』である。
コレは「裁判長を前に、弁護側(弁護士)と検察側(検事)が直接対決し、3日以内に判決(=有罪か無罪か)を先行決定する」そんな制度である。

(『序審』で裁かれた後、有罪となった被告人は『本審』で量刑(=刑の加重減免)を審理される)

・・

綾里法律事務所に属する新米弁護士=成歩堂龍一(なるほどうりゅういち:成宮寛貴)は、事務所の先輩である綾里千尋(あやさとちひろ:檀れい)の撲殺事件に巻き込まれ、容疑者となり裁かれる身となった(千尋の妹)綾里真宵(まよい)の弁護を引き受ける。

幼馴染みであり、宿命のライバル=御剣怜侍(みつるぎれいじ)検事を相手に「師匠殺し」の真相を暴こうと奮闘する龍一だったが・・

物語は亡くなった御剣の父=信を巡る15年前の『DL6号事件』にまで及び、後に起こるもう1つの事件によって「これら3ツの事案」が相互に大きく関連し合っている事を感じ始める龍一なのだった・・

そして、事件の背後に潜む“黒幕”の正体とは・・?

う〜ん・・「学芸会レベル」とまで評すると“酷評し過ぎ”だとは思うんだが・・数限りない要素&設定を「余りに欲張って、強引に詰め込み過ぎた」ため「緩急の波が殆どない」と言おうか、、総じて「物語世界の表面を、必死でなぞり切ってただけ」みたいな・・“ダイジェスト版”を延々と見せられてるような印象があった。

も少し、速度を「落とすべきトコ」はしっかり落とし、観客を置いてかない・・そんな脚本に仕上げて欲しかったものだ。
(ゲーム版『逆転裁判』を知らないと、ついてけない“ノリ”もあったし)

御剣、千尋、糸鋸(いとのこぎり)刑事など・・どうにも“ミスキャストっぽいなァ”と感じるキャラクタも少なくなく、残念な気がした。

一方で、柄本明(裁判長役)の「“神様然”としたキャラ造型」とか、小日向文世の「1人だけ、妙に演技に力のこもり過ぎてるキャラ」が強烈な余韻を残してもくれたっけ(=^_^=)

成宮くんは『ばかもの(2010)』以来の(?)主演な立ち位置だったが、妙にツヤツヤしたご尊顔に、何故か『エム・バタフライ(1993)』の頃のジョン・ローンの雰囲気を感じてもしまった(=^_^=)

それと、登場人物のヘアスタイル群が、もうムチャクチャで“噴飯モノ”なんだけど・・ソレに引き替え、登場する「アイテム(小物)」や「ロケーション」の印象には全体的に好感が持てた。

モロに「大阪府庁(所在地:大阪市中央区大手前)」内部(エントランス)のロケーションが登場し「おおッ!」と感動してしまった。或いは、名物ヒーロー(?)『トノサマン』の巨大空気人形なんかも(CG処理映像だろうけど)忠実に再現してくれてて、楽しかった。

そして・・本作を観る事で・・改めて『ステキな金縛り(2011)』の完成度の高さを再認識出来たトコが、自身にとっては「最大の収穫」と言えたろうか(=^_^=)

〜 こんなトコも 〜

・劇中に登場する街の看板に「06」で始まる電話番号が書かれてた。一応「関西圏が舞台」って事でエエんやろか?
・一応、作品の舞台は「戸亜留(とある)市」ってな「架空の街」だった(・ω・)
・(最大級の)絶体絶命なピンチを救ったのが「タイホくん」の着ぐるみだったが・・直後に映された「その中身」は空っぽだった?! あの演出だけは、ホンマにワケが分かんない。三池カントク、やっぱり“ご乱心”なんか?
・“サユリさん(人間体)”の登場シーンの映像が、何ともホラーチックでメチャ怖いし!(×_×)
・石橋凌(狩魔検事役)に、北大路欣也にも比肩する“貫禄”の備わって来とる気がした(・ω・)
・“殺人シーンの(犯人による)意図的な再現”や“ヴァーチャル・コンソール(?)を用いた裁判シーン”には『マイノリティ・リポート(2002)』っぽさを激しく感じた。
・「死者が真実を語っている、とも限らない」って点には、芥川(not茶川)龍之介の『薮の中』に通じるテイストを感じる。
・いきなり博多弁に変貌し、まくし立てる怪人物=小中大(こなかまさる)は・・鮎川誠が演じてはった。どうりで博多弁なワケだ(=^_^=)
・『バンダナ王子・ハンカチ盗難事件』って何なんじゃ〜い?!
・小日向さんが証言台で小指をクリッと回したりなんかして・・そんでもって、法廷で超常現象が起きたりなんかしやしないか・・と妙にヒヤヒヤしちまった(=^_^=)
・『給食費3800円盗難事件』の裁判記録を、何とか閲覧したい(=^_^=)
・「ガリレオ地球儀」「考える人2」などのネーミングの“ユルさ”はなかなか。
・メインキャストの台詞1ツに対し、法廷の人々が大袈裟にコケる・・みたいな演出には大昔のコント番組を連想させられた。。
・御剣を演じた斎藤工(さいとうたくみ)。本作ではピンと来なかったが『悪夢のエレベーター(2009)』では、結構「イケメンさんやん!」と思ってしまったモノだった(・ω・)

〜 こんなセリフも 〜

龍一「もう・・ダメだ」
  「僕が味方になる
  「『一撃で即死』・・死んでるじゃないですか!」
  「コレが※※に見えますか?」
  「それは有り得ません! イイですか?」
  「“もっと大きな何か”が潜んでる」
  「調べない訳にはいかない」
  「お前には“大きな借り”がある」
  「まだ力不足だが・・全力で戦う!
  「どんな事があっても、最後までお前を信じる!」
  「僕は、あなたが(実際にその眼で)見たかどうかを
   訊いてるんです」
  「たった今、こう言いましたね」
  「証人がいる以上、僕たちはハナシを聞くべきです」
  「彼は今、こう証言しました」
  「喰らえ!」
  「“何が映っているか”は問題じゃありません。
   “何故この写真が存在するか”が問題なのです」
  「もう“状況”は変わったんです」
  「“まだ話していない事”があるだろ?」
  「最後まで、絶対に諦めない!
  「喋ってくれるかな? 喋ろうよ」
  「言ったハズだ。今度は僕が最後まで、お前を信じると。
   たとえ、お前が自分自身を疑っていてもね」
  「つまり、そこにはもう1人、別な人物がいたんです」
  「事件のカゲには“黒幕”が」
  「此処まで来たのに・・千尋さん、ゴメン」

御剣「『序審裁判』は迅速さが優先される」
  「どうやら、此処までのようだな」
  「“忘れてしまった”のではないか? 証人」
  「認める事だ、証人」
  「“引き際”をわきまえぬ弁護士ほど
   惨めなものはない」
  「貴様にだけは、こんな姿を見られたくなかった」
  「私を助ける? 自惚れるな!」
  「裁判で“ものを言う”のは証拠品だけ」
  「それに私は・・そこまでひらひらしていない!」
  「此処に告白する! 形はどうあれ、
   ※※したのはこの私だ」
  「彼は“完璧を以て良しとする”人間だ」
  「それでは・・コレをどう説明する?」
  「そのやり方は“法に触れるもの”ではない」

狩魔「“無敗”は結果であって・・目的ではない」
  「勝つ事も大事だが“何をやっても良い”と言うワケではない」
  「無駄な尋問には“法廷侮辱罪”の適用を」
  「“違法な質問”に答える必要はない!」
  「裏付けは? 証拠は?」
  「“時間稼ぎ”は止めろ!」
  「此処は法廷だ・・その“証拠”を提示願おうか?」
  「証人として適当ではない・・
   と言うか“テキトー過ぎる”だろ?!」
  「君の証人は・・君同様、アタマが悪いようだな」
  「これらを結び付ける証拠を示して貰いたい」
  「困った事になったな・・弁護士。
   コレでは証明のしようがない」
  「法廷では“証拠が総て”だ」

千尋「“これ”で総てが分かる!」
  “もう※※じゃないんだった”
  “あなたはもう、勝っているの
  “諦めちゃダメ”
  “真実は・・あなたの手に”
  “大丈夫、あなたは間違ってないわ”
  “あともう1歩・・
   そう、発想を「逆転」させるの

矢張「人生は“便乗”だ!」
  「ちょっと待った〜ッ!」
  「俺さ、今になって思い出したんです」
  「俺の証言は、もうムリだってば」
  「別に、お前に罪をかぶせるために
   やったんじゃねぇよ」

糸鋸「・・アンタじゃないッス」
  「何を見つけても無駄ッスよ」
  「あの人は“信頼出来る人”ッス」

管理人「ボートを貸したり、返して貰ったり、
    ・・気が向いたら、自分で乗ってみたり」
   「別に“逃げた”とか、そう言うのじゃなくて」
   「もうイイ・・私は目的を果たした。
    それで良しとしましょう」
   「もう思い残す事はない。
    後は※※※の所へ行くだけだ」

小中「・・めんどくせぇ!」

裁判長「弁護人・・如何ですか?」
   「いささか釈然としませんが・・
    (証人が)忘れたと言うのであれば、
    致し方ありません」
   「他にありませんか? ないようですね」
   「“新たな可能性”を無視する事は出来ません」
   「本日は、これにて閉廷」
   「根拠は? ・・何もないようですね」
   「それでは、証人尋問を終了します」
   「・・私の考えを述べます
   「我々は、如何なる場合も“誤った判決”は
    避けなければならない」
   「先程の“※※判決”を撤回します」
   「最終判決を・・」
   「同感ですね」
   「弁護人・・やはりムリがあるのでは?」
   「証拠として採用するのは難しいでしょう」
   「今、何て?」
   「止むを得ず? どう言う事ですか?」
   「何ですって?」
   「“断わる”と言う事は“認める”ようなものですよ?」

黒幕「“真っ青”な弁護士め!」
  「貴様のその顔・・あいつとそっくりだな」
  「何も分かっちゃいない・・ただひたすら“青い”弁護士め」
  「クズに限って、平然と“私は無実です”
   なんて言いやがるんだ。だからこっちだってな、
   上品に構えてるワケにゃ行かねぇんだよ!」
  「捏造? 隠匿? それが何だ?」
  
龍一「証人は・・※※※さんです」
裁判長「・・何ですか?」

真宵「どうするの? ナルホド君」
龍一「どうしよう? マヨイちゃん」

龍一「・・とか、どうですか?」
裁判長「・・どうですかって」

黒幕「俺は犯罪者を叩き潰すためなら、
   何だってやって来た。ヤツらを見逃す事は
   断じてあってはならん!
   それが俺たちの“使命”だからな!」
龍一「僕たちの“使命”は“真実を追究する”事です」

龍一「お前か?!」
矢張「俺か!?」

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2012年2月 2日 (木)

☆『恋の罪/Guilty of Romance(2011)』☆

31日(火曜)の夜。
残業っぽくなってしまい・・職場を後にしたのは、20時を少し回った頃だったろうか。

空腹だったし「さっさと帰宅する案」もあったんだが・・
ちょいと気になる作品が公開中だったもんで“ワーナー・マイカル・シネマズ高松”へと向かい、その1作を観て来た。

前作『冷たい熱帯魚(2010)』鑑賞以来、何となくトリコになりつつある(=^_^=) 脚本と監督=園子温(そのしおん)による新作『恋の罪/Guilty of Romance』である。

以前「浜村淳さんがお礼を言ったはるようなタイトル」の某ラジオ番組(=^_^=)内で本作が取り上げられ、やはりワタシの心と股間の(おい!)アンテナに“変化”をもたらしそうになったのは・・「水野美紀さんがオールヌードに!!」って点であった。

いや、、本作の刮目すべきポイントは、決してそこ(だけ)じゃないんですけどねぇ(・ω・)

東京都渋谷区円山町・・“立ちんぼ”と呼ばれる街娼(娼婦)が、行きずりの“性”を営み日銭を稼ぐラヴホテル街。
そんな街の片隅で、21世紀の直前に起きたとある猟奇殺人事件・・

・・

【1】

温和な夫と好奇心旺盛な小学校の娘に囲まれながらも、とある不倫関係から抜け出せないでいる渋谷西署(殺人課?)勤務の女性刑事=吉田和子(水野)。
ホテルのシャワー室で、パートナーとの“濃厚な性愛”に耽る彼女を呼び出したのは、署からの「とある事件」の知らせだった。

雨の降る、夜の渋谷区円山町。
その一角(35番地)にある廃アパート「スメラギ荘」の一室(101号室)で見つかったのは、2体のマネキン人形にそれぞれ上半身と下半身を繋ぎ合わされ(巧妙に)飾り付けられた、死後約10日の女性の切断遺体だった。

そして、現場の壁には、大きく「城」と言う文字が赤色で殴り書きされてもおり・・

頭部及び両腕、両膝下が見つからない事から、被害者の身元が容易に特定出来ず、捜査は間もなく行き詰まってしまう。

「10日以内の行方不明(届出)者」をピックアップし、現場周辺の“紹介所”を写真を手に聞き込み開始する吉田と部下=木村刑事だったが・・

【2】

夫が高名な官能小説家=菊池由紀夫(津田寛治)である専業主婦=いずみ(神楽坂恵)は「午前7時に自宅を出て“戸外で執筆活動に励み”午後9時きっかりに帰宅する」決まり切った夫との生活に、次第に息苦しさを覚え始めていた。

そんなある日、彼女はパート勤務を始めたばかりのスーパーのウインナー売場で、土居エリと名乗る「映像スタジオ『EVE』」のスカウト女性に「モデルにならないか?」と誘いを受ける。

【3】

東都大学・日本文学部の助教授=小沢美津子(冨樫真)は、高名な画家を父に持つ才媛だった。
「とある経緯」を経て、いずみと対面する事になる美津子だが、そんな彼女には“ある倒錯(屈折)した秘密”があるのだった・・

冒頭から「A Sono Sion's Film」とドカンと表示されるオープニング。

「ラヴホテルとは、、」「ラヴホテル街とは、、」なんてな「んな事、分かってますけどォ・・」な解説が字幕でせり上がって来たりもし、ややテンポのもたつきを覚えたりもしたが(⌒〜⌒ι) 猟奇事件の始まる(発見される)トコから物語が始まる“導入部のインパクト”はなかなかだった!

物語自体は大きく「5ツのチャプター」に分かれており(その辺りは『呪怨(2003)』を想起させられた(⌒〜⌒ι))
それぞれに「菊池いずみ」「城」「小沢美津子」「魔女っ子クラブ」「おしまい」の各タイトルが冠されている。

主人公(ヒロイン)が2人存在する物語・・とも解釈出来る本作だが、その2人の繋がりがさほど巧妙でなく「いずみ篇」の丁寧さに比べ「和子篇」の仕上がりがどうにも雑に見受けられた。

物語の“軸”部分に「文学(詩)」「家族」「生(性)」ってテーマが流れてるんだが・・もっと静かに&丁寧に綴っても良かったトコを、全編に渡って「グロテスクな性描写」が覆い隠してしまっており、その点で「一過性な作品」っぽい出来に傾いてしまってるのが残念ではある(・ω・)

「フツーの人間」がとある「悪」に出逢い、交わる事で・・どんどん「朱に染まり、イキイキと輝き始める」って展開は『冷たい熱帯魚』に酷似したテイストがあったが、より表面的な描き方に分かり易く終始してる感じだったか?

でも、久々に津田寛治さんの「水を得た魚」のような言動が拝めた事は嬉しかったな(=^_^=)

決して万人には勧められないが・・「退屈さを感じている専業主婦の方」の感想なんぞを、是非きいてみたい作品ではある。

〜 こんなトコも 〜

・猟奇的でインパクトあり過ぎな殺人事件が起こるが・・その「真相」はハッキリと描かれぬままだった(・ω・)
・“刃物を隠し持った人物”を(あの場で)放置しとく警察ってあるんやろか?
・男性キャラ陣の、総じての「影の薄さ」って何やろ?
・美津子&いずみの「ベンチでの語らい」や、美津子&その母の「食卓のシーン」は、本作最大の見所と言える!
・激しいセク〜スシーンがエスカレートして行く展開だが、私的には「鏡の前で全裸になり発声練習(?)してるいずみさん」辺りの(映像)演出が、最も(フツーに)興奮出来た気がする(=^_^=)
・『ピアニスト(2001)』以来、久々に「女性の野外放尿シーン」を拝見した!(観てて嬉しくなるワケでもないが、、)
・突き抜けた“下劣な悪(←“悪”と断言して良いのか分かんないけど)”が登場するんだが・・更にそれを圧倒する勢いの“悪”が現れ、その両者がぶつかるが故、互いが“相殺”されちゃってた気もして惜しかった。
・和子自身を巡る「物語」のまとめ方は・・やはり何と言うか「薄い」。
・絨毯に蛍光色(ピンク)の残ってた「とあるしと」に関し、それ以上の“追求”はなされなかったんやろか?
・園監督による最新作『ヒミズ』にも、俄然興味がわいて来た! 本作の興行成績次第で、高松上陸も(充分)有り得るとみた!
・終盤の“ご対面”は余りに出来過ぎな気もした。
・菊池由紀夫の小説の1ツが『夜の動物園』と言う作品名だが・・高松に実在する「とある店」を思い出し、苦笑させられた。他に『男と女の形而上学』って作品もあったりするようで。
・美津子さんのセリフ「お前はきちっと堕ちて来い!」は、有名な「その火を飛び越して来い!」に負けぬインパクトがある(=^_^=)
・冒頭の事件現場の雰囲気が『セヴン(1995)』ぽくも『イノセンス(2004)』ぽくも見えた。
・いずみの(日記を通じての)「独白」ぽいトコは・・何となく江戸川乱歩の『人間椅子』と言った作品世界を想起させる。
・大久保たちの“逃げ足の速さ”は凄まじい!
・水野さんのヌードも、冨樫さんのヌードも・・ちょいとバストが(ワタシの期待に反し)残念な感じだった(×_×)

〜 こんなセリフも 〜

美津子「“城”に辿り着こうと、人はグルグルと彷徨ってるのさ」
   「まだ“城”の入口を見た者はいない」
   「闇は、影より濃いから」
   「本当の“城”の入口は別にあるの」
   「5000円でイイから、あたしとしない?」
   「仕事の後は、こうやってカーペットを丸めるの」
   「セックスに、乾杯!」
   「愛がなければ、カネをとらなきゃダメじゃない!」
   「今はまだ、何も言わなくてイイわ」
   「あなたは、あなたの事をもっと良く知らないと。
    “大変な所”に行っちゃうから」
   「大学の授業なんて、カラダに入って行かないから」
   「“本物の言葉”は1ツ1ツ、カラダを持っている。
    言葉はみな、肉体を持っている。
    総ての単語は、意味を持っている」
   「“涙”と言う言葉の意味を知らなければ、
    これは只の“眼から流れる水”に過ぎないの」
   「愛と言う言葉が、罪と言う言葉が、
    カラダを持ってるの」
   「秘密を持っている人は、他の人の持つ秘密も
    慎重に扱ってくれるの
   「“何故?”と訊きたくて、ウズウズしてる顔ね?
    理由なんてない。“城”よ・・“城”なのよ」
   「言葉がカラダを持たないの。まだ言葉にカラダが
    ついて来てないの・・だから戸惑うの。
    今は、待ってなさい」
   「今日は・・“あたしの夜”を見ててね」
   「“客”は、すぐにつかまるから」
   「受け止めるのよ!」
   「拾いなさい! 早く!」
   「今こそ“言葉が意味を持つ”瞬間なの」
   「お前はきちっと堕ちて来い!
    あたしのとこまで堕ちて来い!」
   「夜はまだまだ長いのよ」
   「この5000円は、大事にしな」
   「罪だと思ってるだろ?」
   「愛する人とのセックス以外は、
    カネを介在させなきゃダメよ」
   「くそババア・・早く死ねよ・・!」
   「ガタガタぬかす位なら、最初から焼くな!」
   「こいつはコレが好きなのさ」
   「このボケ〜!」
   「私は“城”に辿り着きたい。けど辿り着けない。
    永遠に無視する事も出来ない。
    入口を探して、一生彷徨うの、
    誰かが・・私を※してくれる迄」

和子「そのまさかが、まさかなのよ・・女は」
  「・・分からん」

由紀夫「うん、イイ位置だ。どんどん上達してるね」
   「じゃあ、行ってきます」
   「うちはイプセンの『人形の家』じゃないんだから」
   「言い訳はいいよ」
   「最高の石鹸は? フランスの
    『サボン・ド・マルセイユ』だと言ってるだろ?」
   「そこに立って、僕の肉体を見て行きなさい」
   「とても柔らかいね・・顔が」

いずみ“無性に何かがしたい。そればかりを考えている。
    このどうしようもない気持ちを、
    何とか鎮めたい”
   “ぐっすり眠れる時が来たら、この日記は終わる。
    早くこの日記をやめたい”
   「いらっしゃいませ! 如何ですか?
    美味しいですよ! 試食してみませんか? どうです?」
   “言葉は・・無効
   “カネを介在させると、セックスの立ち位置が明確になる”
   “日記は今日で終了・・私は解放された”

伊丹店長「今日は、声が張ってるね」

エリ「女性の美しさを撮りたいの。
   あなたには“美の素質”があるわ」
  「迷ってると、時間はあなたを追い抜くわよ
  「はい、5万円。スーパーの10倍よ」

真木「何か“演技”だとクスぶっちゃって」
  「今日はガンガン行っちゃうよ?!」

カオル「僕と、どっか行きません?」
   「ごめん・・ホテルで乾かそう」

※※「このビッチ・・ヒイヒイ言ってたくせに」
  「したいか? 今すぐしたいか?」
  「良く出来たな・・それでこそ“俺の女”だ」
  「ガタガタぬかすなよ。
   こんな事で、家庭を危険にしたくねぇだろ?」
  「いつだって、俺が欲しいんだろ?」
  「“下品な部分”を切り取って、
   閉じ込めてあげたんですよ」
  「お前にとって、今は私が“城”なんだ」
  「惨めじゃねぇよ!」
  「ラクになりてぇんだろ?
   ラクにしてやろうか?」
  「大いに手伝って頂いたお陰でね」
  「私の出番だね」
  「早くしろって言ってんだよ、坊主!」
  「首絞めろって言ってんだよ!」
  「何やそれ・・けったいな女や」

港区の女「あたし、女になれるかな?」
    「ちゃんと見てて」

母「※※の方は巧く行ってるの?」
 「まだ上品さが残ってますもんね。
  これからどんどん下品になって行くのですね」
 「間違いありません」
 「ほら、全部ここに揃ってますよ」
 「何て汚らわしい事でしょう」

由紀夫「どうだ? 僕のカラダは
    前よりちょっと、だらしなくなってるか?」
いずみ「どんなカラダになっても・・好きです」
由紀夫「久しぶりに、僕のおち※ち※を触ってみるかい?」

美津子「こいつから、カネとる?」
ようこ「とります!」

田村隆一『帰途』より
   “言葉なんか、覚えるんじゃなかった。

    日本語と、ほんのすこしの外国語を覚えたおかげで、

    僕はあなたの涙の中に立ち止まる”

追記:水野美紀のヌード「のみ」が気になる貴兄は・・冒頭だけは観逃してはなりませぬぞ!(=^_^=)

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2011年11月16日 (水)

☆『グーグーだって猫である(2008)』☆

14日(月曜)の夜。
商店街にあるミニシアター“ソレイユ”で『デビル(2010)』を観て「なんか騙されたような気持ち」となった(=^_^=)ワタシは、帰宅後「クチ直し」の意味も込め、BSP(プレミアム)で放送された『グーグーだって猫である』の鑑賞に、寛ぎつつも精力的に取り組んだのだった。

監督:犬童一心、主演:小泉今日子&上野樹里による“ハートフル・キャットコメディ”ってトコやろか。

武蔵野市の東端=吉祥寺(きちじょうじ)を舞台に、売れっ子だが寡作な少女漫画家=小島麻子(小泉)とその女子アシスタントたち4人(上野&森三中)の「面白おかしくも何処か切羽詰まった」生活ぶりを、麻子が新たな“パートナー”に迎え入れる事となる子猫=グーグーとの触れ合いを絡めつつ描く。

犬童カントクと言えば・・作品毎の完成度が意外に定まっておらず(⌒〜⌒ι)『ジョゼと虎と魚たち(2003)』なんてな凄まじい傑作もあれば『タッチ(2005)』『ゼロの焦点(2009)』みたいなのも少なからずあったりする。。

ただ、起用する女優さんを選ぶ眼はなかなかに「したたかに確か」であり『ジョゼ〜』で初めて上野樹里の存在を知ったワタシなどは「おお!『マスク(1994)』におけるキャメロン・ディアスみたいに、当時とはなんか全然雰囲気が違うけど、ここまでブレイクしはったんやなァ〜!」と後年、思い出す度に感心してしまうのだ(・ω・)

本作は、監督が「ファン」を自認してる(←ウィキによる)少女漫画家=大島弓子の同名作品がベース。

途中で妙に“ダレてる”“スベッてる”印象を観客に(=ワタシに)与えつつ、終始“寛ぎ気味なペース”で物語は進行してゆく。

のんびりした展開が「基本」ながらも、意外に“死の悲しみ&恐怖”や“別離の予感”などが物語全体を覆っており、折角のコメディ要素も「その影の部分」の総てまではカバーし切れてなかったようにも思えた(・ω・) その辺りのミックス加減すらも、制作陣の狙い通りなのかも知れないが・・

散漫で、ムダなシーンも少なからずあったようだし、映像のトーンが「半ばTVドラマ調」なので「気合入ってんの? 監督?」と問い詰めたくなる気持ちにもなったが、総じては好感の持てる佳作に仕上がってたんじゃないかな、と。

〜 こんなトコも 〜

・かつての飼い猫が“人の姿になって現れる”って演出は、ヴィジュアル的に「猫好きの方」にとってはどう映るんやろ?
・絶妙に“健康娘”で印象の止まっちゃう上野ちゃん(⌒〜⌒ι) まぁ、ムリして妖艶になる必要もないか。。
・森三中の3人を配しながら、さほど彼女ら(のエピソード)に踏み込んでいかないトコは「流石やな!」と。立ち位置も言動も“控え目”な小泉さんとのバランスが、非常に巧くとれてた!
・終盤、意外なカタチ(?)で主人公の1人(=語り手役)が不在となる流れには、ちょっと驚かされた!
・「よしながイングリッシュスクール」の外国人講師=ポール・ワインバーグが、自らを「※※です」と名乗るシーンに違和感(⌒〜⌒ι) そこでブラッド・ピットの起用とは・・行きません、よねぇ・・??
・麻子先生の住むマンションが「サーパス吉祥寺」である事などから、穴※工務店が強力に協賛してる事がうかがえた。高松市民としては、ちょびっと嬉しいような。でも現在は経営再建中なので、是非とも頑張って欲しいトコである。
・本作のタイトルを、仮に『吉祥寺グラフィティ』としても、何ら違和感のない気がする(=^_^=)
・スコア(楽曲)担当は細野晴臣氏。何処となく『アメリ(2001)』のスコアを想起させるフレーズなんかもあったり。
・「あんたは俳優に転身したんか!」と突っ込めるほどに、漫画家=楳図かずお氏の存在が目立ってた(=^_^=) グワシ(GWASHI)! ←センセイも吉祥寺在住だそうで(←ウィキによる)

〜 こんなセリフも 〜

ナオミ“小島麻子の作品数は減っていた”
   「なぁ先生、独りで泣きおるんかなぁ?」
   “先生のあんな眼を見るのは初めてだった”
   “「21世紀の会」が動き出した”
   「やりたいだけじゃん!
    やりたかったら、あたしとやればいいじゃん!」

麻子「猫は人間の3倍のスピードで生きる」
  「名前は“グーグー”とします」
  「2度目の猫はトクですね、死んだ猫の分まで大事にされる」
  「まぁ、いいっちゃ」
  「(目指すのは)みんなが幸せになれる漫画、かな?」
  「(私の漫画は)それほど私を助けてはくれません
  「2つあります、話」
  “おにぎりなら片手が空いてる。それで(食べながら)原稿が描ける”
  「人って、とっても鈍感な生き物なの
  「グーグーの意味? それは・・ね・・」
  “(グーグーにとって)このうちの生活が楽しめますように”

楳図「でも、漫画家って忍耐ですね」

ポール「今晩は、ポール・ワインバーグと言います。※※です」

サバ「食事に誘われた電話を切った後(先生が)踊ったダンスは忘れない
  「(私は先生と)同じ時間を生きられない事に怒っていました」
  「死も苦しみも悲しみも、年を取ります」

沢村「あんたみたいな人が猫飼うの、大変だな」
  「言い訳すんな」
  「あんた、変わってんな」
  「あんたの描く漫画、悲しいな・・でも何でだか勇気を貰えた」
  「今日から立派な吉祥寺の猫になれよ。世界が待ってるぞ」
  「あんなに嫌いだったのに・・人って変われるんだな」

沢村「お、地面と空がひっくり返った」
麻子「空を見下ろしてる・・」

沢村「俺、先生といると楽しいよ」
麻子「ありがと」

看護師「漫画家の小島先生ですか? やっぱり! 私ファンなんですよ!」

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2011年9月19日 (月)

☆『孤高のメス(2010)』☆

18日(日曜)の夜。

昨日は、夜遅くの帰宅となり(←まぁ、ダラダラしてたせいで夕方出発となった、自分が悪いんだが)帰阪しても(殆ど)寝るだけに終わった。
本日は昼前から、ちょいと用事があり大阪(梅田界隈)に出かけたが・・特に劇場に行くでもなく、大人しく帰宅した次第(・ω・)

で、やっとくべき事(?)を適度に片付けた後、21時から台所へと移動し(←高松に持って行ったため、枚方の自室には、未だTVがないままなのだ)「日曜洋画劇場」で“地上波初放送”された『孤高のメス』を観た☆

詳しい解説は、こちらにある劇場公開当時の記事を読んで頂くとして・・やはり“あちこちTV用にカット(=切除)されまくり”なヴァージョンながら・・ブラウン管(=^_^=)にかぶり付き状態で観てしまったのだった。やっぱし、本作ってば素晴らしい!

・・

経歴やら医学界での立ち位置は、無論異なるワケだけれども、
登場する医師たちが「良い医師=不器用」「悪い医師=低スキル+怠慢+高慢」「普通の医師=善人だが及び腰」のほぼ3タイプにきっちりと区別されてて、その辺りは「やや落ち着いた眼」で観るに・・「分かり易っ!」と苦笑してしまった。

最も複雑な「キャラ造型」を確立してたキャラは・・総じては案外、さざなみ市長=大川(柄本明)その人だったのかも知んない(=^_^=)

横にいた(別の事をしてた)家人が、いちいち「暗い」「知ってる役者がいない」「オペ中に“※は※み(←女性演歌歌手)”はおかしい」とか、それなりに真っ当そうな事をたまに吐いてたが・・「そんな事はどうでもイイんだ!」と“五月蝿(うるさ)顔”をしてしまった。

「そんな態度してると、イザと言う時に臓器提供したらんからな!」と言い渡したくなった(⌒〜⌒ι) ←こっちが先に頂戴する事になるかも知んないけど。。

〜 こんなセリフも 〜

弘平「母さんって、いつも“貧乏くじ”ばかり引かされてた気がするなぁ」
  「そろそろ戻らないと・・“ぺーぺー”の新米ドクターは色々忙しくて」

浪子“看護婦と言う仕事が、嫌で堪らない”
  “(復帰して)半年経っても、少しも馴染めない”
  “ガーゼを詰めたまま、患者は慶応医大へ送られた”
  “オペ室での出来事を、患者の家族は知らない”
  “私の手渡したクーパー(剪刀)とペアン(鉗子)が患者を傷付ける。
   ・・私も共犯者だ”
  “それが、当麻先生に渡した最初のメスだ”
  “クーパーが、優しく正確に動いて行く”
  “かつて、こんなにも美しいオペを見たことがない”
  “日記から、愚痴が減って行く”
  “メッツェンバウム(剪刀)、ペアン、クーパー、モスキート(鉗子)。
   それらを渡す度に、先生の体温と情熱が伝わって来る”
  “先生は、嘘がヘタだ”
  “大川さんと誠君の生命が、とうとう1つに繋がった”
  “これを渡せば、オペが終わる・・最後のクーパーだ”

当麻「器械は、もっと優しく扱わなきゃダメです」
  「救急車だと相当、出血がかさみます。
   すぐ“開ける”しかないでしょう。スタッフを集めて下さい」
  「バイタル、どうですか?」
  「“慣例”だから諦めるの?」
  「外科医にとって大切なのは、眼の前で苦しんでいる
   患者を救う事だよ。大学の“慣例”じゃない」
  「朝はパンにしてますから」
  「お見合い・・ああ、で、どなたとどなたが?」
  「クラシックはダメだ、眠くなる」
  「ロックじゃ、メスが暴れてしまうよ」
  「彼女は“日本の宝”だぞ?」
  「地域医療のレベルアップが、これからの課題です」
  「僕には、そんな“野望”はありません」
  「きっといつか・・一緒に出来るよ」
  「医師であり続ける事は、医師になる事の何10倍も難しいんだ」
  「“自重”などしてる余裕はありません。
   (脳死肝移植は)残された“唯一の救済手段”なんです」
  「助かりたいと願う“患者”と、生命を繋ぎたいと望む
   “脳死患者の家族”が眼の前にいるんです」
  「いや、構わないよ。良く勉強してるね」
  「今ここで、刑事さんと“脳死論議”をしている時間はありません」
  「医師としての、自分の仕事をやるだけです」
  「無事に終わりました・・汚(けが)れのない美しい肝臓でした。
   お役に立てるよう、全力で当たらせて頂きます」
  「有難う。見事だったよ」
  「新しい先生を助けてやって下さい」
  「有難う。君は“素晴らしいナース”でした」

院長「息子さんの事は、一生忘れません」

実川「あなたの身辺には、色々な噂がある」
  「“でたらめ”かどうかは、倫理委員会が明らかにするでしょう」
  「彼のメスは純粋で・・孤高なんだよ」

当麻「いつかまた、一緒に働ける日が来たらいいね」
浪子「結構です。先生は人遣いが荒いから」

当麻「まだ怒ってる?」
浪子「・・笑ってます」

追記1:大川市長の弟役は、なんと(=^_^=)でんでん氏だった! ここでも「ボディを透明に・・」とか言い出しそうで、コワかった(×_×)
追記2:「ふるさと創生資金=1億円交付」を発案したのは、当時の※下首相だった(×_×)
追記3:「竹内基準」とは、1985年に発表された、厚労省による脳死判定基準の事だそうだ。で、今も通用してるんかな?
追記4:臓器移植法の成立・施行日は1997年10月16日であり、放送の最後に「本作は臓器移植法施行前のフィクションです」なるテロップが表示された。

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2011年8月31日 (水)

☆『神様のカルテ』☆

30日(火曜)の夜。仕事終わりに(巧く)時間が取れたため“ワーナー・マイカル・シネマズ高松”に向かい、期待値をやたらと(=^_^=)高めてた新作邦画『神様のカルテ』を観て来た。

現役の医師=夏川草介氏(←ペンネームらしい)による、同名小説の映像化。

“地域医療”と“ヒューマニズム”をテーマに(なの?)、若手内科医である主人公が大きな“選択”を迫られ、1人のとある末期がん患者に与えられたヒントを得る事で、それを乗り越え成長してゆく物語。

長野県松本市。“24時間365日対応”をうたう本庄病院は「何処にこんな数の住民が?」と当直医が驚く程の救急患者が、毎夜ロビーを賑わせる地元医療機関。

そこには、夜勤+常勤の「狂った」勤務シフトを“若さ”のみを武器に乗り切っている、青年(消化器)内科医がいた。彼の名は栗原一止(いちと:櫻井翔)。
『草枕』『こゝろ』などの夏目漱石の小説をこよなく愛する彼は、(それ故の?)古風な言葉遣いや、妙な形状のパーマ頭も災いしてか(?)・・院内で“変人扱い”されてもいた。

だが、その丁寧な診療スタイルによるモノか・・彼が“当直”となる夜は、急患がいつもの1.5倍(?)も詰めかける事から「引きの栗原」と呼ばれてもいる。

・・

時に35時間にも及ぶ重労働をこなし、クタクタになって帰宅する彼を優しく迎えるのは・・プロの山岳フォトグラファーでもある、結婚1年目の若妻=榛名(はるな:宮崎あおい)だった。

互いを“イチさん”“ハル”と呼び合う2人は、高台に建つ『御嶽旅館』と言う和風な民宿に“男爵”と呼ばれる中年画家(原田泰造)や“学士殿”と呼ばれる大学院生(?)と共同生活している。

ある日、一止の所に、安曇雪乃(あずみゆきの)と言う老婦人(加賀まりこ)がやって来る。大学病院に見放された彼女は、一止を慕い「最期まで見棄てず、ここで看て欲しい」と静かに訴える。
雪乃を診療するや、すぐに彼は「(胆のうがんで)手の施しようのない事」を知るが・・他の病院に押し付ける事はせず「責任を持って引き取る」と応える。

そんな中、古参の内科部長=貫田(ぬきた:柄本明)の密かな手回し(?)により、信濃医大の医局から「研修参加の誘い」を受ける一止。

同医大の“内視鏡外科の権威”高山教授(西岡徳馬)に気に入られた彼は「10月に、ドイツからオルドリン教授を招いての“内視鏡セミナー”を開催するから、必ず参加してくれ給え」と誘われる。

しかし、その日・・10月20日は、奇しくも雪乃の“恐らくは最期の”誕生日と重なるのだった。

「近くの患者に寄り添うか」「遠くの夢に向かって助走するか」・・バッティングしてしまった2ツの予定の間で揺れる一止。

貫田や、榛名の暖かい気遣いを感じながら、彼が自ら下した“決断”とは・・

“僻地医療”“ヒューマニズム”を軸にした作品と言えば『ディア・ドクター(2009)』と言う作品が先に存在したが・・あちらより「泥臭さ」のはるかに(?)薄い分、すんなりと作品世界に入ってける感はあったか。ま、あちらはあちらで、もの凄い「吸引力」を有してはいたんだけど(・ω・)

物語はある意味「既に始まってたハナシが、そのまま終わってった」って風でもあり、さほど大きな事件もなく、淡々と暮れて行ったようにも見受けられたし、世界全体としては「予定調和な、単調なドラマ」にも見えるワケだが・・そこをベテラン勢(柄本、加賀)+中堅ドコ(宮崎、池脇)がガッチリとサポートしてるので、決して退屈するって事はなかった!

一方で『御嶽旅館』を巡る“一止のオフのドラマ”や“イチ&ハルのエピソード(馴れ初めとか)”が断片的にしか描かれず(セリフの中ですら殆ど語られず)・・即ち「オン」と「オフ」のドラマの切り替えが「唐突過ぎる!」と言おうか、有機的に繋がってなくて失敗しとる気がした(×_×)

それに、折角“夏目漱石”をネタ(=下敷き)の1ツにしてるんだし・・もっと登場人物らのキャラを“際立たせて”も貰いたかったモノだ。

“古狸(=貫田)”“ドクトル(=一止)”“男爵”“学士殿”“姫(=榛名)”と言ったニックネーム群が、総じては放ったらかしにされ、次第に萎んで行ったようにも思えた(×_×)

また、総じて「どの場面でも、画面が何処か締まらない」印象もあった。上質&感動的な作風を貫いてたが故、残念なトコだ。

即ち、1シーン1シーンの吸引力は『悪人(2010)』に劣ってたし、(ロケーションの)映像美の挿入具合のヘタさは『おくりびと(2008)』に劣ってたかな、と。

〜 こんなトコも 〜

・主人公の進む(=選んだ)道に関し「観客にその解釈を委ねる」トコや「敢えて正解を示さぬ」トコは、印象深く、好感が持てた。
・本庄病院の院長やら『御嶽旅館』の経営者は不在なんやろか?
・外村看護師長(吉瀬美智子)や砂山医師(要潤)、水無看護師・・と言ったキャラ陣のインパクトが「瞬間風速的」に過ぎた。彼らの言動をもっと巧く劇中に配せたら、更に物語は面白くなったろうに。
・とある居酒屋での「バッタリ演出」が異常に(?)多くて笑えた。本庄病院の界隈には、あそこ1軒しかないんやろか?
・“ST上昇”“ダイセクション(解離性大動脈瘤)の疑い”“カプノグラフ”“ステッドマン医学大辞典”“識別救命”“内視鏡による粘膜下層の剥離術”“肝門部に浸潤”“シスプラチン&ゲムシタピン(抗がん剤)”“AOSC(急性閉塞性化膿性胆管炎)発症”“ラインとって採血”“ヘモグロビンが6を切っている!”“アミグランド”“30分前のバイタルは?”“ASYSTOLE”と言った医学ネタの名称&セリフが、解説もないまま“容赦なく”飛び交ってた。。一般人も「知って、慣れとくべき」レベルなんやろか?
・骨にがんが転移すると、激痛と化すそうだ(×_×)
・“抗がん剤は身体を蝕む”ってな主人公の独白も印象的だった。
・患者さんの「大量下血の現場」に遭遇してしまい、固まってしまってる研修医のしとの演技がリアル過ぎ!(⌒〜⌒ι) ベテラン看護師に叱られてたし・・
・本庄病院では、日立製のPHS『D6-II』が使われてた。
・医療監修は今井寛と言う方。きっと“臨床の鬼”みたいなドクトルなんだろう(⌒〜⌒ι)
・アルコール依存症な患者の役で、でんでん氏が登場! 今回は「ボディを透明にする」とか言い出さなくてホッとした(=^_^=)
・「あおいちゃんファン」は言うに及ばず・・(=^_^=) 恐らくは、総ての男性観客の欲した“とあるシーン”は・・当然ながら、すっかり「カット」されてたのだった(×_×) “ディレクターズ・カット完全版”に期待☆ ←絶対ないってば!

〜 こんなセリフも 〜

一止“此処へ来ると、いつも思う。
   『この町の何処に、これだけの人間がいるんだ?』と。
   昼間は、地下にでも隠れているのだろうか?”
  「信濃大にお願いします。ウチじゃ受けられません」
  「痛いね・・でも、私を睨んで貰ったって、困るね」
  「“受け入れ拒否”した患者も、いましたよ」
  「・・そのビールも(アルコールだから)棄てて下さい」
  「モルヒネで痛みが止んでも、呼吸まで止めてしまっては意味がない」
  「1人の患者だけに拘(こだわ)ってると、危険だ」
  「しかし、前にも言った通り、私は“妻のある身”で・・」
  「何たる失態・・」
  “家族が到着するまでの30分間の「心マ(=心臓マッサージ)」によって、
   患者の肋骨は総て折れた”
  “一体、お前は何をしている?”
  “悲しいのは、苦手だ”
  「案ずるな。これが私の仕事だ」
  「面目ない」
  「私は、遊んでいた訳ではないのです」
  「社会と言うのは・・普通に社会です」
  「次の外来、何時(いつ)にしましょう?」
  「要するに、君は“大したもの”だった」
  「“結局”とか“結果的に”とか、そんな事は重要じゃないよ」
  「だから“この窓”なんだ・・」
  “痛みの訴えはないが・・痛みはきっと強い
  「確かに・・夢を叶え、医者になった。けど、何を頑張ればいい?」
  「すくっても、考えないようにしても、生命がこぼれ落ちてく・・
   こんな筈じゃなかったのに・・。
   毎日、迷ってるよ。“これでいいのか?”と。
   “自分のなりたかった医者はこうだったのか?”と」
  「学問に必要なものは、気概であって、学歴ではない。
   熱意であって、建前ではない」
  「どっちに行ったら、いいですか?」
  「私はつくづく・・私が分からなくなりました。
   自分が何をしているのか・・どうしたらいいのか」
  「死亡を確認・・お疲れ様でした」

榛名「イチさんが背負い込んだ荷物を、軽くして頂くようお願いしました」
  「泣いてますよ・・イチさんは今も。
   ただ、涙を流さなくなっただけです」
  「万歳をします!」
  「大丈夫ですよ。イチさんは、大丈夫」
  「もう少し、隣にいて下さい・・座って」
  「いいんです・・“神様は神様”ですから。
   ちゃんと“届いた”でしょう?」

雪乃「“あと半年”って言われちゃった」
  「迷惑ですよね? こちらでも看て頂けないですよね?」
  「約束ね、先生」
  「“一”が“止まる”・・繋げると“正しい”って字になるのね」
  「本当に大切な事は、最初にあるのかも知れない
  “「病む」と言うのは、とても孤独な事です
  “私にとって、それは『神様のカルテ』でした”

外村「ユンケルなら、買ってあるわ」

東西「傍(そば)で背中を擦(さす)ってあげるしか、出来ない時もあるの」
  「“無力である事”を認めないと、続けられないよ、この仕事」
  「今の時間を、少しでも楽しく過ごして下さい」
  「私たちの方こそ、励まされてますから」
  「ドーパミン、準備出来てます」

貫田「智に働けば、角(かど)が立つ。情に棹させば、流される。
   意地を通せば、窮屈だ。・・兎角に、人の世は住みにくい」
  「35時間労働、行って来い!」
  「アタマを使って考えちゃダメだ。ロクな事にならないよ」
  「いいよ。行っといで。後、みとくから」
  「こっちの方が楽しいし、結局・・向いてなかったんだね」
  「なぁんだ・・“あいつ”の言う通りだな」
  「言っとくけど・・後悔するよ」

砂山「医局による(医師の)派遣で、地域医療は成立している」
  「大学では、噂が速いからな」
  「気を付けろ。1人の患者に入り込み過ぎるな」
  「何がしたい? 何をやろうとしてる? いい加減に分かれよ!」
  「お前は“多くを救える、選ばれた人間”なんだよ!」
  「人を余り、ガッカリさせんなよ」

高山「熱意と技術のある方なら、いつでも歓迎ですよ」
  「君を買っている」

男爵「描きたいのに、描けんのです」
  「今だからこそ“特別な1枚”を描かねばならんのです」
  「昔の“追出し会”は、いつも盛り上がったなぁ」
  「でも、こうして良かった。こう出来て、良かった。
   貴方の為に、此処を“台無し”に出来て良かった

ニーチェ“苦しみを共にするのではなく、
     喜びを共にする事こそが、友人をつくる”

患者「まだまだ6合は行けますよ!」
  「酒を止めろと言われて、止められますか?」

一止「当直・・今日は眠れると思ってたのに」
外村「それは、私のセリフです」

砂村「考えたって“治療法”なんかないぞ」
一止「治療法を考えるんじゃありません。
   “本人にどう話すか”を考えるんです」

雪乃「それじゃ、此処に置いて貰えるの?」
一止「勿論です」

一止「ハルは、私が死んだらどうする?」
榛名「私より先に死んだら・・悪口を言いまくりますよ。
   だから・・1分1秒でも、私より長生きして下さい」

貫田「“在野の道”は厳しい。この激務が一生続くと・・
   必ず気が滅入る・・バカだなぁ」
一止「挫(くじ)けそうになったら、助けて下さい」

追記:ワタシの大好きな(=^_^=) 漱石の小説『夢十夜』の、第6夜がネタとして登場したのが、嬉しかった! ところで、現役の医師さんってば、どんな夢を見るんやろ・・?(・ω・)
「崖っぷちで、数千・数万もの患者が迫って来る」とか?!(⌒〜⌒ι) ←それってば第10夜!

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2011年8月 7日 (日)

☆『コクリコ坂から』☆

4日(木曜)の夜。
1泊出張の折、その市内にある“TOHOシネマズ”で鑑賞して来た2本目(←レイトショー)は、スタジオジブリ制作の最新アニメーション作『コクリコ坂から』だった。

ジブリ作品と言えば・・前作『借りぐらしのアリエッティ(2010)』以来の劇場鑑賞となったワケだが・・正直、近年のラインナップの中では『千と千尋の神隠し(2001)』が“映像演出面では”素晴らしかった程度で・・ワタシの中では「残念な作品」がここ20年(!)近くも続いてたりする。

「“映像技術面(=表現力)の進化”ってば著しいハズなのに?」とは“シロウトなりに”思うンだが・・それこそ宮さん(宮崎駿:本作では企画&脚本を担当)の「老いに伴う神通力の低下」って事なんやろか?(・ω・) 何とか盛り返さないと、ぼつぼつヤバい気がするケド。。

1963年5月。
翌年に「東京オリムピック」開催を控え、ますます高度成長を遂げようとするニッポン。
神奈川県横浜市の、海に面した高台に建つ木造洋館“コクリコ荘”では、毎朝の決まった時間に“2枚の信号旗(U旗&W旗)”を掲揚する少女の姿が見られた。

その少女=松崎海(うみ)(声:長澤まさみ)は男女共学校である「港南学園高校」に通っている。

ある日、男子生徒を中心に編集&刊行される学生新聞「週刊カルチェラタン(Quartier Latin:ラテン街区、の意)」に掲載された“毎朝、旗を掲揚する少女/少女よ、君は旗を揚げる/何故?”なる詩により、海は一躍“男子学生のアイドル的な存在”となってしまい戸惑う。

そんな中“とある騒動(イベント?)”をきっかけに、海はイケメン編集長=風間俊(声:岡田准一)と急接近する事に。

風間や、生徒会長=水沼(眼鏡ルックの涼しげな秀才)の手伝いをするカタチで、次第に「週刊カルチェラタン」発刊に関わってゆく海。

一方、3階に編集部を擁するクラブハウス(←木造洋館)“清涼荘”はその老朽化が著しいため・・学生らの抵抗も空しく“解体”が遂に学園側により取り決められてしまう・・

学生代表とし、学園を運営する「徳丸財団」の理事長(声:香川照之)に直談判すべく、風間&海を伴って東京へ向かう水沼。

果たしてクラブハウス存続は実現するのか?

そしてまた、距離を縮めていた風間と海の間には“とある因縁”が隠されてもおり・・

“御曹司”宮崎吾朗の監督作第2弾って事で、前作『ゲド戦記(2006)』には激しく失望させられてしまったワタシだったが・・まぁ「監督としては正常進化。しかしジブリ作品としては残念」ってな、ほぼ予想通りの評となった(ワタシの中で)。

「朝鮮戦争に翻弄される、親友同士(とその家族)のドラマ」だの「クラブハウスの取壊しに反対する、学生らの団結と抗議と青春のドラマ」みたいな要素を“軸”に持って来とるワケだが・・それが時代錯誤と言おうか、ノスタルジィ(懐古)に過ぎると言おうか・・ちょっと自身の中で「違和感・不協和音」が終始してたように。

(宮崎)監督がそれを体験してるワケでもないので「“監督自らの意見&価値観”が作品の何処にも漂っておらず、説得力(=パンチ)に欠ける」ようにも思え「こんな作品なら、敢えてジブリで制作せずとも、よそ(のスタジオ)に委託すりゃイイじゃん!」とまで思ってしまった(・ω・)

ワタシだけなのかも知れないが・・どうにも、近年のジブリ作品が「敢えてファンタジー色を薄めようと苦心している」みたいにも感じられ、それに対しては「これまでみたく、どんどんファンタジーやったらよろしいですやん!」とアドバイスしたげたく思うのだ(ナニをエラそうに!)。

近代劇(現代劇)を絡め“オズオズと進行する弱ファンタジー”を観せられるぐらいなら、まだしも“ある意味、弾け切ってる”『猫の恩返し(2002)』なんかを観てる方が楽しいし、屈託もない(あ、アレも現代劇でしたか)。

誰に、何処に、何故、どのように配慮してるのかは知らないが「やっぱり元気がないよ、スタジオジブリ」と、観終わって改めて痛感してしまった次第である。

〜 こんなトコも 〜

・オープニング。白い文字で表記された『コクリコ坂から』のタイトルの中で「リ」のみが赤い文字だった。そのアクセントに『悪人(2010)』の「あのオープニング」を連想してしまった(・ω・)
・“コクリコ荘”の下宿人たちのキャラ造型が中途半端で、アクセントに欠けていた。いっそ数を減らしても良かったか?
・キャラが泣く際の“落涙の描写”がどうにも好きになれなかった。もっと自然で違和感のない表現があったと思う。
・「実写でも映像可能じゃん!」と思う半面、あの“清涼荘”の内部描写だけは、流石に難しかったかも知んない(CGなら出来るか)。
・大昔のジブリアニメを連想させる「群衆系(=肩を組んでワイワイ言っとる系)」の描写・演出があり、そこは割と楽しめた。
・登場人物がいきなり討論を始めたり、歌い始めたりする演出は、私的には「何だかサムくて」苦手である(×_×)
・ちょっと“ゼニガタ警部”入っとる「老け顔&意外に純情系キャラ」がいた。彼なら「カリオストロ城の地下」とかでも立派に暮らしてけそう(=^_^=)
・海は劇中で「メル」と呼ばれてたが、その由来が良く分かんなかった(・ω・) ←フランス語の「海(LA MER)」から来てるらしい。。
・当時から、舟木一夫さんは現役歌手だったのね!(当時19歳!)
・劇中で、ごくごく自然に口にされてる“LST”なる言葉は「戦車揚陸艦」の事らしい。
・「我思故我在」とか「美善眞(←恐らく右から読む)」とか「志、雲より高く」なんてな印象的な“壁語録”があった。
・「樽に住んだ哲人」ディオゲネスのハナシが出て来た。ウィキで彼の「逸話」に眼を走らせると、なかなかに面白い!
・「梶野丸」「三鷹丸」「氷川丸」「航洋丸」などの船舶が登場。
・ラストで「この物語は全てフィクションです。」と表示されるが・・地名なんかはちゃんと実在するワケだし、も少し暖かい表現にしといて欲しかったなァ(・ω・)
・「ライスカレー 30円」ってな表記が食堂に。
・「パンの田村屋」って実在したっけ?
・徳丸財団の理事長室(?)から出て来るおっちゃん連中が「食べ物のハナシ」しかしてなくて笑えた。

〜 こんなセリフも 〜

海「嫌いになったんなら、ハッキリそう言って」

風間「本当に、ここを大切にしてるんだね」
  「俺達は・・※※って事だ」
  「今まで通り・・“只の友達”さ」

水沼「時間だ。行き給え」
  「君らは、保守党の親父連中の様だ!」
  “残すか棄てるか悩む時は・・燃やせ!”
  「ボランティーアの皆さん!」
  「しっかりやろうぜ」
  「閣下!」

学友「良いのよ。好きなんだから
  「“素敵な魔窟”だわ」

幸子「駄目だ・・夜、描いたから・・色、出てない」

学生「戦術には、知恵が要る」

徳丸「潔くて、良いな」
  「エスケイプか・・青春だなぁ」

水沼「“良い大人”っているんだな」
風間「まだ、分からないさ」

追記:“コクリコ(Coquelicot)”とは、フランス語で「虞美人草」の事らしい。ついでに、杏(あんず)の事を“アプリコ”って言っちゃアカンのかな?

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