2015年1月18日 (日)

☆『記憶探偵と鍵のかかった少女(2013)』☆

ぼちぼちと過去の鑑賞記事をアップしてゆきます。

昨年の10月13日(月)。
ご近所のシネコン“MOViXあまがさき”で観たのは、ほどほどに期待値を高めつつ鑑賞に臨んだSF(すこしふしぎ)サスペンス作『記憶探偵と鍵のかかった少女』だった。
この日は3連休の最終日でもあり、また「台風19号」迫る中の「別な意味でリアルに緊張感高めつつ」のシネコン行だったと記憶している。

スペインを代表する映像作家ら(ペドロ・アルモドバル、ギレルモ・デル・トロ)に師事し映像を学んだと言う、ホルヘ・ドラドの監督デビュー作にして、マーク・ストロング主演最新作。

・・

FBIが1970年代から研究に着手したとされる超絶の捜査技術=“記憶探索”を軸(ネタ)にしたミステリー。
被害者や目撃者の記憶の中に潜入し、犯行現場に於ける彼らの視聴覚体験を観察出来る能力を持つ“記憶探偵”・・ その証言は「ポリグラフ(嘘発見器)以上、DNA鑑定以下」と言う、(微妙に)絶妙な証拠能力を有していた。

数多くの事件を解決に導いて来たベテラン記憶探偵=ジョン・ワシントン(マーク)は、2年前に妻を亡くして以来「記憶探索中に“別な記憶”が混入し発作を起こす」と言う(職業上)致命的なトラブルに幾度も見舞われ、現在は休職中だった。

そんな彼を「マインドスケープ社」の上司=セバスチャンが訪ね、簡単な仕事を要請する。
それは・・ニューヨーク郊外の「森の中の屋敷」に閉じこもる16歳の少女アナ・グリーン(タイッサ・ファーミガ)の記憶に潜入し、1週間前から続く彼女の摂食障害を治す、と言うものだった。

アナの記憶に潜り込み、その原因を探ろうとするジョン。しかし“そこ”で彼が垣間見たものは、現実に起きた事件ともリンクする、奇妙な謎を孕んだものだった・・

“MINDSCAPE(心象風景)”なる原題を持つ本作。
パッと思い付く限り『パプリカ(←筒井康隆氏による小説、アニメーション作(2006)は未見)』『ザ・セル(2000)』などをネタ的に連想する次第だが、観てて強く思い浮かんだのは『マイノリティ・リポート(2002)』だったワタシ。え? ちがう? でも似てるなぁ・・

マーク氏は「ありのままの」ナチュラル・ヘアスタイルで心に陰をたたえた主人公を好演してくれる。
私的には『シン・シティ(2005)』に於けるブルース・ウィリスのように(もうみんな、ご存じの事なんだろうけど)「それなりの髪型」で本作出演に臨んで欲しかった気がする。
どうにも、あのルックスに『キック・アス(2010)』のフランク・ダミーコのイメージが重なってしまい、観てて心がザワついたワケである(苦笑)

「ワクワクさせる、ミステリアスな映像&展開」を期待してたら、何の事はなく(?) ハードボイルドタッチな作品だったり。
まぁ、ここで言うハードボイルドのテイストとしては「ファム・ファタールなヒロインに翻弄される、孤独で心優しい中年探偵の転落劇」って要素だけなんだが。
どうせなら、時代設定をも少し古く描くか、もしくは「レトロな空気を漂わせる、年代不詳な世界観」に仕上げた方が、物語がより鮮烈に仕上がった気がしなくもない。

ヒロインを演じたタイッサ・ファーミガは、あのヴェラ・ファーミガの妹さん! 名前からして「娘さん」かと勘違いしてた(すんません)。因みに、お姉さんとは歳の差=21歳との事である。

確かに、あらすじなんかで多く語られるように「美少女」だとは思う彼女だけど、私的には余り好みのタイプではない。も少し「護ってあげたくなるタイプ」の女優さんだったら、更に感情移入も出来た事だろうけどなぁ・・

終盤まで姿を現さないのが、同僚の記憶探偵であるピーター・ランドグレン。ピーター・ラングレン(Lundgren)、ピーター・ラングドン(Langdon)などとうっかり読み間違えそうなキャラ名だが、そこは気を付けて貰いたい。

結局のトコ、悪い意味では「観客の想定内」だった本作。キャラ(≒キャスティング)の魅力で、その辺りを何とか(?)カヴァーして欲しかったトコだ。

〜 こんなトコも 〜

・NYの郊外ってば、あないに田舎なんか、、 雪も積もってるし、、
・『スリーピィ・ホロゥ(1999)』『エンゼル・ハート(1987)』『メメント(2000)』『リアル/完全なる首長竜の日(2013)』『インセプション(2010)』・・などの路線っぽくも。
・物語のほぼ総ては「挿れ子構造」だった?!
・過去に解決した事件(のエピソード)や、記憶探偵業界の詳細な成り立ち、描写などは・・バッサリとカットされてた。
・独自の雰囲気があり、(上映時間の)短いのは良いけど・・ねぇ。
・「もしヒッチコック監督が撮ったら」と言う仮定のもとに本作がリメイクされたら、ぜひ観てみたいトコである! そうなれば、主人公には「更なるおじさん俳優」がキャスティングされる事やろかね(例えばジョージ・クルーニーとか)。

~ こんなセリフも ~

ジョン「悪いね(Take care.)」
   「摂食障害? (娘から)ファッション誌を隠せ」
   「座ってもいいかな?」
   「今の質問に正解はない」
   「私の仕事は“人を記憶へ導く”事だ」
   「潜在意識は、(見せられたものが)記憶だと知ってる」
   「古い記憶ほど効果がある」
   「準備出来たら眼を閉じて」
   「さぁ・・戻るぞ」
   「記憶こそが“幸せな時間”だ」
   「無理な監禁は逆効果だ」
   「嘘だ(I don’t believe you.)」
   「記憶に導く」
   「人は時々、都合良く記憶を変える
   「寮の廊下にある時計の針が止まっていた」
   「誰だ?(Who’s there?)」
   「行く先は決めた?」
   「話す事で記憶を汚すな」
   “記憶は完全には信用出来ない。
    しかし記憶こそが、最後に寄って立つ
    「唯一の真実」なのだ”
   “真実だけがあなたを自由に出来る”

アナ「断酒会に遅れるわよ、ママ」
  「これで満足?(Better?)」
  「妻は夫の裏切りを疑いつつ、その不在を喜ぶものだわ」
  「奥さんの写真を見せて。
   “財布に入れて持ち歩くタイプ”でしょ?」
  「非難の半分以上は濡れ衣よ
  「人はみな死ぬの。死は自由よ」
  「(私の描いた絵は)家に帰ってから見るのよ」
  「飲酒は“悪魔の名刺”よ」
  「大人は子供の話を聞かず、
   意見を押し付けるだけ」
  「寝顔が可愛いわね」
  「芸術だって、最初は芸術だった
  「この鍵を預かって。“味方がいる”と思えるから」
  「ごめんね」

セバスチャン「いいんだ(Don’t forget about it.)」
      「良く考えろ(Open your eyes.)」
      「“簡単な仕事”の筈だった」
      「勘で動くのは止せ」
      「調査より記憶に集中しろ」

ランドグレン「我々の仕事に、目撃証言と同等の“重み”はない」

ジュディス「好きなのが仕事でないなら、仕事を好きに」
     「(私の)部屋に寄らないの? 断わるけど」
     「私の記憶を覗けば?」

オルテガ「記憶探偵? “金持ちにたかる連中”だろ」
    「あの家族に報いの来る事を望むよ」

アナ「(あなたの質問に)答える事の“見返り”は?」
ジョン「“自分への理解”さ」

ミシェル「あの娘は・・恵まれている」
ロバート「“別な言い方”をすれば・・呪われている」

ジョン「(君に)断わらせてあげようと思ってね」
ジュディス「入って」

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2014年10月26日 (日)

☆『恐怖の報酬(1953)』☆

案の定「録り溜め」してるムーヴィー関係が増えて来たもんで、

1.ブルーレイディスクにどんどんダビングし、本体HDDから消去する事で空き容量を確保する
2.空き時間にどんどん観て行き、(鑑賞後に)消去してゆく事で(本体HDDの)空き容量を確保する

のどちらかを選択しなければならない事態となって来ている。
で、私的には「5倍モードで録画」「BSP(プレミアム)で放送された作品(=CMなし)」「保存を前提に録画した作品」であれば、上記「1」の対象とし、
「15倍モードで録画」「BSP以外の放送(=CM入り)」「保存を前提としてない作品」であれば、上記「2」の対象としている。

今回は「2」に該当する録画群の中で、前々から興味のあった1作『恐怖の報酬』を観たのだった(3月14日に民放でオンエアされた)。

随分と昔「ラストのオチがスゴい!」と某メルマガでレビューを読んだ記憶があり“核心の部分”もボンヤリとながら知ってしまってた本作だが、やっぱり自身でちゃんと観た上で解釈したいな、と前々から考えていた。

「モノクロ作品」「日本語吹替え版」「CMカットあり」・・とかなりスペック的に“残念っぽさげ”な作品なんだが、コレがなかなかに面白かった! シチュエーションを現代風にリビルドすれば、充分に面白い作品に仕上がりそうな気がする! って言うか、そんな作品を思い出したりもしたワケだが(=^_^=)

舞台は南米の場末の町(ベネズエラのラス・ピエドラス)。
仕事が見つからず、新天地でやり直そうにもその資金もなく、日々自堕落に暮らす移民らの中にマリオ(イヴ・モンタン)の姿があった。
兄弟分のルイージと酒を呑みながら愚痴ったりしてた所に、同じフランス出身のジョーが町にやって来る。

ちょいと凄みのあるジョーはマリオを気に入り、ジョーの出現により、マリオとルイージの友情は少し微妙な雰囲気となる。

そんなある日、500キロ離れた油田で大火災が発生したとの知らせが町に入る。その火勢から、石油会社はまとまった量のニトログリセリンを(現場で)炸裂させ、その爆風で一気に消火しようと画策する。

そのため、町ではトラックでニトロを火災現場まで運ばせる“命知らずな漢(をとこ)ら”を募集する。要員は4人、報酬は1人2000ドル。2人で1組のペアとなり、2台のトラックで500リットル(=0.5トン)ずつのニトロを運搬するのだ(トラックは30分間隔で出発)(トラックはタダで貸して貰える←そらそや!)。

破格の報酬だったが、旧式のトラックには安全装置など搭載されておらず、殆ど舗装路のない500キロの行程を走破する事は“アルティメイタムかつマキシマムにリスキーな仕事”である。

名乗りを上げ、結果的に選ばれたのはマリオ、ルイージ、ジョー、ビンバの4人(←4人共が余所者)。

狭路、悪路、転回困難なカーブ・・様々な障がいが2台のトラックを待ち受ける。
果たして、彼らは500キロ先の油田に無事、辿り着けるのだろうか??

物語が動きだすまでの序盤20分ほどの展開が(正直)ダラけてて「イマイチやな〜」と思ってたが、いざ2台のトラックが走り始めるや、それまでのテンポの悪さは吹っ飛び(←本作では“禁句”です)、そこからはノンストップ的にムチャクチャ面白くなっていった! 何だか『ユージュアル・サスペクツ(1995)』や『プレデター(1987)』を想起させる、観客(視聴者)の忍耐力を試すような脚本ではある(⌒〜⌒ι)

主演のイヴ・モンタンと言えば「シャンソン唄ってるしと?」って印象が強く、シャンソンと言えば『枯葉』ぐらいしかパッと思い付かないワケであるが・・ ワイルドな雰囲気で良かった。ご尊顔的には“メル・ギブソン、トム・ベレンジャー、トーマス・ヘイデン・チャーチ系”ってトコやろか。

ラストは「聞いてた(=知ってしまってた)通り」なんだけど、それ以上に「500リットル相当のニトロが炸裂するシーン」の唐突さに激しく驚かされた(←爆発しちゃった原因は結局、良く分からず)。

“死とは、かように唐突に訪れるものである” ・・と何処の誰が言ったのかは分かんないが、とにかくはそんな感じ(←どんな感じだよ)

後年の作品にも、多大な影響を与えたっぽい本作。モノクロなんだけど、機会があれば是非、大画面+サラウンド仕様で観てみたいトコである(・ω・) ←名作であればあるほど“5.1チャンネル・リマスタリング化”は実現し得るものと思われる。

〜 こんなトコも 〜

・メインキャストの名が「マリオ&ルイージ」なトコにかなりな好感を覚える!(=^_^=) もう1組も「ジョー&カーロス」「ジョー&ホセ」とかに出来なかったんやろか(←出来るかい)
・2組に分かれ目的地に向かうトコは『アルマゲドン(1998)』、ニトロを運んだが故に受難しちゃうトコは『ヴァーティカル・リミット(2000)』、親分肌のおっさん(ジョー)が出て来るも、結局は同行するトコは『フル・モンティ(1997)』、ラスト(崖オチ)は『ユニバーサル・ソルジャー(1992)』『激突!(1971)』にそれぞれ似てる。
・帰りってば「Uターンポイントである木製の橋」が崩れてしまったので、結局そこから先に進めなかったんでは?
・唐突な「FiN」の表示がすごい!
・最期の「某遺体の御尊顔」は、敢えて映さずとも良かったか?
・“後味の悪さ”は半端ない。おフランス作品で言えば『アレックス(2002)』に負けてないレベルである。
・携帯電話は当然の事、無線機すら「設定にない」作品世界だったんやね。。
・「ボトル1本分」のニトロで5トンサイズの岩が木っ端微塵に! それが500キロだとどうなるのか、、(⌒〜⌒ι) 確かに「轍のみ残し、地上から消え失せる」ワケですな。。
・当初、4人のメンバーにジョーは選ばれてなかった。集合時間になっても現れなかった「もう1人の運転手」の運命がやたらと気になる(⌒〜⌒ι) ←ジョーに「何かされちゃった」可能性大。
・「(町に戻れば)待ってくれてる女性がいる」と考えたら、もっと慎重な運転にもなるだろうに・・
・得意満面の表情でトラックのハンドルを荒っぽく操作する「帰路のあのしと」を眺めてて『ミッション:インポッシブル(1996)』で“ラングレー攻略”を果たした直後のジャン・レノ(クルーガー役)の“得意顔”を思い出したっけ(=^_^=)

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2014年9月28日 (日)

☆『グランド・ブダペスト・ホテル』☆

ハナシは先月に逆行し(⌒〜⌒ι)8月27日(水曜)の夜。

隣駅のすぐそばにある、古き佳きスタイル(?)のシアター“塚口サンサン劇場”で鑑賞したのは、一般的な公開時期(6月上旬)に観逃してしまった1作『グランド・ブダペスト・ホテル』だった。

“つかサン”こと“つかサン”で(そのままかよ!)観るのは、今回が2回目。やはり、地下駐車場に出入りする際はその通路幅に戦慄し、界隈のイタリアン食堂『アレグロ』に於ける鑑賞前の食事は、期待通りの佳きものだった。

ヨーロッパ東部に位置するズブロフカ共和国は“偉大なる文豪”の祖国でもあった。彼の静かに眠る「オールド・ルッツ墓地」では、今もその著作を敬愛するファンが墓参に訪れ、生前の文豪を象(かたど)った記念碑の前で、代表作『グランド・ブダペスト・ホテル』を紐解くのである。

『グランド・ブダペスト・ホテル』・・その作品こそ、文豪自身が若き日に訪れた“保養地=ネベルスバートを代表する、時代遅れのホテル”で出逢った、1人の老人の“驚くべき半生の物語”がベースとなっていたのだ・・

監督の名を「ウェス・アンダーソン」と聞いて「誰だったっけ? ・・ホラー畑のしと?」と思ってたら、そちらは「ウェス・クレイヴン」だったり(・ω・) ああそうだ・・『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001)』『ライフ・アクアティック(2004)』を撮った監督さんでした。

久々となる同監督作の鑑賞であり「とにかく豪華キャストの集結した、きらびやかな群像劇(いわゆる“グランド・ホテル形式”)」を期待してたら・・色んな意味で裏切られた(=^_^=) ロバート・アルトマン監督の『ゴスフォード・パーク(2001)』的な、いわば「舞台を“カントリーハウス(マナーハウス)”から“巨大なホテル”に移しましたよ」ってなノリを勝手に予想してたら、舞台はホテルから離れて行くわ、登場キャラそれぞれに関する“重要度”は激しく異なってるわ、で・・ホンマに予想外でした。。

ただ、本作の「狙った上の構成」ではあろうけど、ストーリー的な“括(くく)り”が激しく「入れ子」仕立て(構造)になり過ぎてて、観てて「次第に冷めて来る自身」がいたのも確かである。

冒頭からして「現代の墓地」⇒「文豪の書斎(1985年)」⇒「若き日の文豪の旅先(1968年)」⇒「出逢った老人の物語(1932年)」・・と目まぐるしく「時代&ロケーション」が激変するので、没入しにくかったような(・ω・) も少し、無駄な「入れ子」を外す事で“落ち着いた演出”にしても良かったような気がする。まぁ、ウェス・アンダーソンファンからすれば「10でも20でも、多層に渡るほど興奮する!」ってトコなんかも知れないけど。

物語は“伝説のコンシェルジュ”とされるムッシュ・グスタヴ・H(レイフ・ファインズ)を中心に、彼の巻き込まれる事となる“常連客の大富豪=マダムV.D.u.T(ティルダ・スウィントン)毒殺事件”の顛末をリズミカルに辿る事となる。と言っても、殺人事件そのものに対し「真犯人を推理する」なんてな楽しみが用意されてるワケではなく、どちらかと言えば「グスタヴ・Hと、その助手となる新米ロビーボーイ=ゼロ・ムスタファの交流」「2人を取り巻く、エキセントリックなキャラ群により紡がれる、エキセントリックな展開」を楽しむものなのだろう。

ワタシとしては「物語」や「展開」や「キャラ陣」はさほど好きになれなかったんだが(⌒〜⌒ι) 「映像の色調」「独特なロケーションとカメラワーク」がとにかく気に入った次第! 特に、屹立した岩山の頂に立つ「鹿の彫像」とか、ゲイブル・マイスター山頂に繋がる「ロープウェイ」とか、その殆どが(きっと)CG映像なんだろうけど、それを置いといても素晴らしい情景である!

また、色んな方面に配慮した結果なのか(?)・・誰がどう観ても「ナチスドイツ」な軍事国家の横暴が活写されるんだが、いっその事もう少し分かり易く国旗や名称をアレンジして欲しかったトコか。国旗のデザインも「ZZ」と言うより「XX」の方が、チャップリンの『独裁者(1940)』を(更に)明確に意識してる感じで潔く、見映えがした気がする。
ついでに「我がトメニアのアデノイド・ヒンケル総統閣下」とか“まんま”セリフで言っちゃっても全然オッケーだったろうに(←監督談:お前がオッケーでも、ワシには色々と事情があるんじゃい!)

〜 こんなトコも 〜

・F・マーリー・エイブラハム、ジェフ・ゴールドブラム、ハーヴェイ・カイテル、エドワード・ノートンらの“お元気な姿”を拝見する事が叶い、嬉しかった。
・ハーヴェイ・カイテルってば、近年「ああ言うキャラ(=マッチョな爺さん)」を確立してはるんやろか?
・「群像劇」でも「密室劇」でも「推理劇」でもなかった。三谷幸喜さんのコメントなんかも聞いてみたい(・ω・)
・「脱獄パート」や「スキー滑降アクション」など、観客を飽きさせない“演出の工夫”は面白い。
・「探偵モノ」として期待し過ぎると、肩すかし感を喰らう。
・私立探偵=ジョプリン(ウィレム・デフォー)のキャラは「極めて不気味」なんだが、それ以上ではなかったか。『シャドゥ・オヴ・バンパイア(2000)』の時の方が怖かった(=^_^=)
・ジョプリンの着てる革ジャケット(プラダの特注デザインらしい!)。左胸ポッケにスキットル(ウイスキーボトル)の収納出来るデザインが秀逸! ってか、酔ってバイクを乗り回してただろ!
・コヴァックス弁護士(ジェフ・ゴールドブラム)が追手をまくため飛び乗った路面電車。安堵した彼がブラインドを下げた瞬間、窓にジョプリンのバイクが映り込む! 巧過ぎる映し方!
・画面外にいったん消え、再び入って来る「人物」「車両」などの映し方も巧い!
・画面造りが「真っ正面」「真横」「真上」「左右対称」・・となってるのも印象的だった。 
・「ズブロフカ(Zubrowka)」なる国名の元ネタは「ズブロッカ(Żubrówka)」なのか?
・「常時メリケンサック装着」なジョプリン。ハードボイルド路線な探偵さんなんやね(⌒〜⌒ι)
・「地面に散らばる指4本」「カゴから引っ張り上げられる女中の生首」など、意図的にグロなシーンもあり(×_×)
・指の散らばる描写は『暴走特急(1995)』の終盤みたいだ。
・「余りヨーロッパロケしてない感」があったけど・・
・たとえシリアスな物語であろうと、カメラワークひとつでコメディぽくは仕上げられるものである。
・ローワン・アトキンソンとウィレム・デフォーに、窓辺で猫を抱かせたらアカンと思う(=^_^=)
・時代毎に「画面比率」を意図的に変えているそうだが「モノクロ」や「パートカラー」なんかも駆使して欲しかったかも。
・ホイトルの名画『少年と林檎』とすり替えられる事になる「あの絵」はエゴン・シーレ風だったか?
・本編は、パート1『ムッシュ・グスタヴ』、パート2『マダムV.D.u.T』、パート3『第19犯罪者拘置所』、パート4『鍵の秘密結社』、パート5『2通目の遺言の2通目』の5章に分けられてた。
・「V.D.u.T」が何の略なのかが、まず分かんない(=^_^=)
・“ゲシュパント(興味津々)”と言うのは、響きから察するにドイツ語かな?
・スペインワイン「ジュヴェ・カンプス」の1925年、26年ものと言えば、大層価値のあるヴィンテージ・ワインらしい。。
・ロビーボーイに求められるのは「(客の)嫌がる事を知る」「(客の)要望を先取りする」「(客の)秘密や醜聞を墓まで持って行く」「(客に)姿は見えずとも、いつもそこにいる存在となる」事だそうだ(⌒〜⌒ι)
・お金持ちに共通する要素は「不安」「虚栄心」「軽薄」「金髪」らしい。『オーシャンズ12(2004)』では「富と才能はあるが、常に退屈している」とか言われてたっけか。
・部分的に連想したのは『ビッグ・フィッシュ(2003)』『シンドラーのリスト(1993)』だったろうか。
・追いついた瞬間“退場”しちゃうセルジュ・X(マチュー・アマルリック)って・・
・結局は、袋ごと「美術館前のゴミ箱行き」となっちゃうネコ。何とまぁ・・(×_×)
・脱獄シーンでは「長過ぎるハシゴ」「長過ぎる縄梯子」に笑わされた(=^_^=)
・グランド・ブダペスト・ホテルに新しいコンシェルジュ=チャック(オーウェン・ウィルソン)のやって来た経緯が全く分からない(=^_^=)
・グスタヴ・Hが突然に「俺様を怒らせたな!」と言い放ちながら、ヅラと着け鼻を外し「決してその名を言ってはいけないあのしと」に変貌したら恐ろしかったやろな、、

~ こんなセリフも ~

文豪「作家は、良く誤解されがちだ」
  「人々は物語を作家に持ちかけて来る」
  「次の作品も、私の聞いた通りのものだ」
  「コンシェルジュと膝を突き合わせた姿勢で
   立つのが(滞在中の)クセになった」
  「その時、運命が私に味方してくれた」
  「デカダン(退廃的)過ぎる」
  「それは魅力的な“廃墟”だった。
   2度と観る事はなかったが・・」

グスタヴ「旅の前の不安は毎度の事」
    「(マダムは)“クソする犬”のように震えておられた」
    「経験ゼロ・・教育ゼロ・・家族ゼロ」
    「無礼は恐れの表れなのだ」
    「人生は、何をしても無意味なのさ」
    「“安い肉”は味わい深い」
    「観たか? まだ文明のかすかな光はある
    「人間の欲は広がる
    「おそれながら・・私が(グスタヴ)本人です」
    「絵を見せろと? ・・尤もな意見だ」
    「面倒な戦争が近い」
    「私は毒蛇の巣に堕ちたのか」
    「“喉切り”はあるか?」
    「“ストレート(真っ当)疑惑”を持たれるのは初めてだ」
    「何時でもいいさ。時間ならある」
    「誰も気にするまいが、誰も知らない
    「ズラかるぞ」
    「ル・パナシュ(香水)を忘れるとは」
    「上出来(な詩)だ。警報が鳴ったから止めるが、
     後で是非、その続きを」
    「正式にお会いする“暗殺部隊”は
     君らが初めてだ」

ドミトリー「生死を問わず、その喉をかっ切るぞ」

ゼロ「46節の詩を詠ずる間に、スープを飲み始めては?」
  「訓練が足りないぞ!
   ロビーボーイたる者、情報を漏らすな!」

老人「もし礼儀で訊いただけなら、そう言ってくれ」
  「ジャンはコンシェルジュとして1流とは言えん。
   いや、むしろ2流すら失格だろう」
  「わしの物語をありのままに聞かせよう」
  「アガサの名を避けては通れない」
  「かすかな文明の光は、まだあった」
  「ここで幸せだった・・短い間は」

コヴァックス「今、私の猫を窓から棄てた?」

ルートヴィヒ「これは“引き分け”だな」

ジャン「ムスタファ氏をご存じない?」

アガサ「絵の裏に何かが!」

司祭「これを持て。そして唄え」

ゼロ「これを隠して」
アガサ「イヤよ!」
ゼロ「でも持ってて」

グスタヴ「変装しなければ」
ゼロ「もうしてます」

グスタヴ「小心は彼のせいではない」
ゼロ「場合によります」

グスタヴ「絶景だ」
ゼロ「それは認めます」

グスタヴ「(アガサは)純粋だから魅力的なのだ」
ゼロ「でも、彼女を口説かないで

司祭「懺悔を」
グスタヴ「私は潔白だ!」
司祭「違う。懺悔室に行くのだ」

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2014年8月11日 (月)

☆『GODZiLLA』☆

7月27日(日曜)の夕刻。ご近所のシネコン“MOViXあまがさき”で観て来たのは「怪獣映画の金字塔(の1ツ)」とも言うべき『ゴジラ(1954)』のハリウッド再リメイク版である『GODZiLLA』だった。

私的には、かつて『USゴジラ=GODZiLLA(1998)』を観た時の「“高い期待値”とそれに続く“深い失望感”」の落差にかなり打ちのめされたワケで・・正直「今回の仕上りも怖(こえ)ぇなぁ」と不安感も募り、躊躇う気持ちも小さくはなかったんだが・・ 頑張って「観届ける」事にした次第。

1999年、フィリピン諸島。
ウラン鉱脈を擁する「ユニバーサル・ウェスタン鉱山」にやって来た“モナーク(MONARCH):特別研究機関”のヘリから、2人の科学者が降り立つ。彼らは、生物学の権威である芹沢猪四郎博士(渡辺謙)とヴィヴィアン・グレアム博士(サリー・ホーキンス)。

崩落事故で40名の作業員が消息を絶った発掘現場に足を踏み入れた科学者らは、地底に巨大な骨格を発見する。それはこれまでの生物学の常識を覆す、謎の巨大生物の“化石”だった。

同じ頃、日本の雀路羅(ジャンジラ、JANJIRA)市では、富士山を臨む地に建造された原子力発電所が突然の地震に見舞われ、炉心の崩壊(メルトダウン)が引き起こされてしまう。

事故の中で、発電所の中心スタッフでもあったサンドラ・ブロディ(ジュリエット・ビノシュ)は暴走エリアから退避する事が出来ず死亡。その夫である科学者=ジョー・ブロディとまだ少年だった息子=フォードが遺される。

15年後。
成長したフォード・ブロディ(アーロン・テイラー・ジョンソン)は米海軍に所属する将校(大尉)となっていた。
14ヵ月にも及ぶ任務を終え、休暇を取得し家族(妻=エル(エリザベス・オルセン)と5歳の息子=サム)の待つサンフランシスコに帰還した彼だが、戻って間もなく「しばらく連絡をとっていなかった父=ジョーが雀路羅の退避区域(Q Zone)に無断侵入し、逮捕された」との連絡を領事館から受ける。

父を身柄を引受けるため、日本へと向かうフォード。
ジョーは原発事故の真相を解明するため、今もなお孤独な活動を続けていたのだ。
「お前の母親はまだ“あそこ”にいるんだ」とフォードに呟き、執念の炎を静かに燃やし続けるジョー。そして父子は、かつて住んでいた市内の自宅に残る、研究データの収められた記録媒体(フロッピーディスク)を回収するため、再び退避区域への侵入を図るのだった。

○題材が、世界中の誰もが(きっと)知ってる怪獣王=ゴジラ
○『USゴジラ』の過ち(?)を繰り返してはならない
○オリジナル版の世界観を「現代の背景&映像」に置き換えなければならない

・・などなど、かなり“ハードルの高くならざるを得ない”脚本ではあったろう(⌒〜⌒ι) 私的には、鑑賞後の今もなお「で、なんで今『ゴジラ』だったの?」と言う素朴な疑問が消えないままでもあるんだが、、何にせよ「ニッポンに関する描き方が(やっぱりここでも)おかしい」「ニューヨークとかワシントンでは暴れない」「合衆国(政府)との攻防が(直接的に)描かれない」って辺りで、観てて盛り下がって来たのは確か(・ω・)

また、シアター自体も(たまたまなのか)意外にも小規模だったな。

『USゴジラ』の頃は「キャスティングにカネをかけ過ぎ」「ゴジラの存在を軽々しく描き過ぎ」「ギャグ要素を盛り込み過ぎ」ってな、ローランド・エメリッヒ監督らしからぬ(?)「誤算と負の連鎖」により、悲しい結果(?)に終わってしまったワケだが、本作が『USゴジラ』の失敗(?)を研究し尽くし、更なるブラッシュアップに成功してたか? と言うと「まだまだ甘いなぁ」と正直に感じてしまったワタシである。

〜 こんなトコも 〜

・「B級要素」を極力廃し「終始“シリアス路線”を貫徹させよう!」なる制作側の意図・熱意は伝わって来たモノの・・「ジャンジラ市」と言うワケの分からん名称の架空都市がまず登場する時点で、かなり屋台骨(?)がぐらつき始めてた。
・芹沢博士、グレアム博士、ブロディ博士・・と科学者キャラが多数登場しながらも、本作に必要であるハズの「説得力」が備わってなかった。どの人物も造型不足で、ペラッペラだったのが惜しまれる。例えるなら、カメラで撮られてない時には「静止でもしてるか」のようだった。
・雌雄の2怪獣が引き合い、都心部で出逢う展開は『大日本人(2007)』的で笑えた(=^_^=)  ←「匂ウノ獣」
・そもそも出逢う前から、雌は卵を抱えてたけど?
・『ジョーズ(1975)』や『ジュラシック・パーク(1993)』に於いて、スティーヴン・スピルバーグ監督が知恵を絞り切ったと思しき(?)演出でもある「“そいつ”がなかなか姿を現さない」ってな描き方なんだけど、も少し定期的に「小出し」にしてくれても良かった気がする。
そう言う意味では『USゴジラ』に於ける「桟橋で釣りをしとる爺さんが“そいつ”に遭遇する」「襲撃された漁船の(生き残りの)爺さんが“その名”を呟く」辺りの「小出しぶり」はなかなか良かったと思う。
・オリジナル版では「被爆国ニッポン」「核実験」「戦後」などが“テーマ”になっていたが、本作では「原発」「自然の脅威」などがそれに当たるように感じた。
・芹沢博士は眼帯でもなく、アウトローな人物でもなかった。
・「オキシジェン・デストロイヤー」なんぞは(全く)登場しなかった。
・敵キャラ=ムートー(MUTO:Massive Unidentified Terrestrial Organism(未確認巨大陸生生命体))はどちらかと言えば「平成版ギャオス(1995)」系の容姿だったか?
・「いきなりな退場っぷり」など、ジョー・ブロディ博士の「存在意義」が余りに小さかった。
・主人公は『キック・アス(2010)』のデイヴ・リゾウスキ君だった! 気付かなかったなぁ!
・サンドラ役はジュリエット・ビノシュだった! これも気付かなかった!
・グレアム博士役はサリー・ホーキンス! 『ブルージャスミン(2013)』のジンジャーさんだったんやねぇ。
・ステンツ提督役はデヴィッド・ストラザーン! 『ボーン・アルティメイタム(2007)』の“あのしと”やね。これは薄らと気付いた。
・ゴジラの吐く放射能熱線が「青白い閃光」なのが鮮やかだった!
・ホノルルの沿岸部が大変な事になってた。。
・ゴジラを眺めずして死したジョー・ブロディ博士の悲しみたるや・・
・合衆国の「東海岸」には(残念ながら)上陸しなかった(×_×)
・ハワイアン・ソング「Ka Huila Wai」が劇中で使用されてた。
・相手の口を強引に押し開け、そこに放射熱線を吐く(流し込む)トコは『ヒドゥン(1987)』のアルテア星人的でもあった(=^_^=)
・ホノルル空港に於ける「1回目の戦い」がどう言う展開だったのかが、良く分かんなかった(決着がはっきりと描かれず)
・特撮映像群には、さほどの「新鮮さ」も「驚き」もなかった。企画&実現が『クローヴァーフィールド(2008)』や『パシフィック・リム(2013)』よりも早かったら、もっと凄まじく衝撃的だったろうけど・・
・イエローキャブ(タクシー)との追いかけっこシーンはなかった(=^_^=)
・フォード少年の自室に貼られてた(古い)怪獣映画のポスターは?! カタカナで『・・ニラvsハブラ』とか書いてあったけど(⌒〜⌒ι)
・フォード少年の乗るスクールバスの側面には、漠然と「国際学校」と書かれてたが・・??
・「パオ(日産)」「ビュート(光岡)」「エスカルゴ(日産)」「ラシーン(日産)」・・など“個性的”な日本の旧車が次々と登場してた。
・フォードが父親の身柄引受けに行った際、背後で交わされる余所の家族の「コウジ、馬鹿野郎!(父)」「あなた、何やってんの!(母)」「これ以上やったら、もう面倒見切れんぞ!(父)」みたいな会話群が、カタコトに響くわコントっぽ過ぎるわで、聞くに耐えなかった(爆笑)
・退避区域を巡回してた警備員(警備兵?)の放つ日本語「おいお前ら、何やってんだ? 此処が何処だか分かってんのか?」も響きが何やら不自然だった。。
・電磁パルス現象(に伴う停電)のせいで、独房の扉が勝手に解錠されてましたけど、、(⌒〜⌒ι)
・冒頭では記録映像っぽいモノクロ画面を交え『種の起原(1859)』『メイン号爆沈(1898)』『ビキニ環礁(1954)』『アルゴンヌ研究所(1946)』『モナーク計画』などの字幕が次々と表示される。その中で『モナーク計画』のみはフィクション(でっち上げ)なんだけど、違和感なく(尤もらしく)観客のアタマに入って来てくれた(=^_^=)
・ハワイ(ホノルル)のシーンでは「ヒルトンホテル」が実名登場してた。タイアップ?
・核兵器の爆発迄のカウントダウンが描かれる辺りは『ダークナイトライジング(2012)』の終盤を何となく想起させられた。
・「確かに、1999年頃ってば、まだFD(フロッピーディスク)を使ってたんだよなぁ」としみじみさせられたりも。

〜 こんなセリフも 〜

フォード「僕がついてる」
    「ごめんよ、信じなくて」
    「(父の言葉を)たわ言だと聞き流していた」

ジョー「俺の誕生日だったのか! 忘れてた!」
   「諦めるな!(Don’t you say that!)」
   「大丈夫だ・・やはりな(It’s clean..I know it.」
   「妻は此処で死んだんだぞ!
    ・・いや“何かに殺された”んだ」
   「2人を護ってやれ・・何があっても」

サンドラ「フォードを護って・・間に合わなかった」

芹沢「殺せ(Kill it.)」
  「殺そうとしたが、失敗した」
  「人間は自然を支配出来ない」

エル「気を付けてね(Be safe.)」

ステンツ「知りたいのは“核で(奴を)倒せるのかどうか”だ」

兵士「“狩り”の始まりだ」
  「今回の任務に“救出作戦”などない」

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2014年3月 9日 (日)

☆『キック・アス/ジャスティス・フォーエヴァー(2013)』☆

平日は、連日連夜「ブログどころじゃない状況」が年始以来続いております(⌒〜⌒ι) 基本、更新が遅れますがご容赦を。

先月、2月23日(日曜)の夜。
ワタシにとって、ご近所ランク“No.2”の位置付けとなる「伊丹イオンモール」内にあるシネコン“TOHOシネマズ”のレイトショーで観る事の叶ったのは・・前作の大変に楽しかったが故、期待値も(ハードルも)妙に上がりまくり、それと同時に不安も高まってしまってた『キック・アス(2010)』の続編『キック・アス/ジャスティス・フォーエヴァー』だった。

前作に於ける“影の主人公”とも言うべき「お転婆ヒロイン」=“HG(ヒット・ガール)”(を演じるクロエ・グレース・モレッツ)が、前作から既に3歳も齢(よわい)を重ねてしまった(13歳⇒16歳)ため「続編を製作するに、ちと“機を逸した”んじゃないの?」と思ったモノだが・・その不安はある意味「的中」してたようにも感じる(・ω・)

街を牛耳っていた「フランク・ダミーコ率いる犯罪組織」が壊滅して2年。
(実は)その立役者であった覆面ヒーロー“キック・アス”ことデイヴ・リズースキー(アーロン・テイラー・ジョンソン)はスーツを脱ぎ、平穏ながらも退屈な学生生活を送っていた。

常人を超える身体能力・・などは全く持ち合せず「ただ“打たれ強い”だけの軟弱ヒーロー」だった“キック・アス”だが・・その「正義に燃える心」が街の人々の共感を呼んだのか・・ その後、ニューヨークには派手なコスチュームに身を包んだ「コスプレヒーロー」が多数出現し、それぞれの特技/能力に見合った範囲での(=^_^=) 自警活動に勤しむようになっていた。

デイヴは、かつて共に戦った覆面ヒロイン“HG”ことミンディ・マクレディ(クロエ)に声をかけ、凶悪犯罪の増えつつあるこの街で「ちゃんと戦ってゆける本物のヒーロー」として再び名乗りを上げるべく、彼女に猛特訓を依頼する。

フランク一味との激闘の中で、師でもある父“BD(ビッグ・ダディ)”ことデイモン・マクレディを失ったミンディもまた、彼女の保護者となった(父の同僚である)マーカス・ウィリアムズ刑事に諭され「覆面ヒロインとしての活動を封印し、普通の高校生として生きるよう」誓いを立てさせられるのだった。

そんなデイヴの前に現れたのは“スターズ&ストライプス大佐(ジム・キャリー)”率いるヒーロー集団“JF(ジャスティス・フォーエヴァー)”である。「草の根」的に地道な自警活動を続ける彼らに共感したデイヴは“JF”に合流、夜の街をパトロールし強盗や変質者を取り締まる中で、新たな“仲間”との絆を深めてゆく。

・・

一方、父フランクの復讐に燃えるドラ息子=クリストファー・ダミーコ(クリストファー・ミンツ・プラッセ)は、その妨げとなる母親を(意図せぬ出来事を経ながらも)葬り、かつて扮していたヒーロー“RM(レッド・ミスト)”の何倍も凶悪な「完全なるダークサイドに身を投じた」極悪ヒーロー“MF(マザーファ※カー)”として復活、“キックアス抹殺”に向けての行動を開始する。

父の遺した莫大な資金力にモノを言わせ、世界各地から“一流の暗殺者”を呼び寄せ、最凶の殺人集団を結成した“MF”
いよいよ「善」と「悪」の混沌に満ちた戦いの幕が開こうとしていた・・

結論から言えば「爽快感がなく、面白くなかった!」と断言せざるを得ない本作。きっと、観終わった誰もが前作『キック・アス』の素晴らしさを改めて認識したのではなかろうか?

前作ではしっかりと確立していた「記憶に残るシーン」「インパクトあるキャラ」「多彩な銃器&ガジェット(道具)」「メリハリある展開」が、いずれも今回は欠けていた、悲しいまでに(×_×)

ヒーローものの続編に於いて“半ばお約束的”に「主人公がヒーローを引退しようとする」みたいな言動がいきなり(=ファンの思惑を無視して)描かれたりもするんだが・・この“キック・アス”に至っては、そんなシチュエーションすらも中途半端だった。

それに、せっかく(?)本作に招かれた2大俳優=ジム・キャリー、ジョン・レグイザモの扱いが双方ともに酷過ぎる!

制作陣に対し「あの2人に恥をかかせるためだけに出演させたのか?」とすら感じてもしまう。彼らに対する愛もなければ、花を持たせようとする気持ちも感じられない(×_×) 作品全体から観れば「大きな事」ではないのかも知れないが、ワタシはまずそこが赦せなかった。

それに、前作では幾つかの「強烈なキーワード」が点在していたんだが、今回はそれらも少な過ぎた。

「バズーカ砲」「『スカーフェイス(1983)』のセリフ引用」「ガトリング銃」「ジェットパック」「材木乾燥室」「自動車プレス機」「バタフライナイフ」「暗視ゴーグル」「図書室」・・いずれも鮮烈だった前作のこれらに匹敵するキーワードが、果たして(本作に)幾つあった事だろう?

あと、夜のNYの街を、怪しいコスプレヒーローたちがウロウロしている情景は、何だか“ハロウィーンパーティ”を眺めてるようで楽しかったが、どうにも『ウォッチ・メン(2008)』の世界観とガチでダブってしまってる感じ。

一方で「良かった」のは“HG”の乗りこなすパープルカラーのバイク(武装なし?)とか「もう1人のヒロイン」とも言える(?)“NB(ナイト・ビッチ)”ことミランダ・スウェドロゥ(演:リンディ・ブース)の存在。彼女のお陰で、目出たくも「童貞返上」の叶ったデイヴ君だし(⌒〜⌒ι)

〜 こんなトコも 〜

・ジム・キャリ(サル・ベルトリーニ役)は大した出番もなく頭部をアレされ“退場”(×_×) ・・しかしながら、秘密基地に「銃器」「監視カメラ」「自爆装置」などを設置してない時点で“アマチュア”だなとも思う。「銃社会」なんですから。
・改めて『ケーブルガイ(1996)』『バットマン・フォーエヴァー(1995)』『ダーティ・ハリー5(1988)』などでのジムキャリの勇姿(?)を観直したくなって来たァァ!
・ジョン・レグイザモも、車内で唐突に頸部をアレされ“退場”(×_×) 『コラテラル・ダメージ(2002)』同様にあっけなく『ハプニング(2008)』同様に情けなかったなぁ。
・ミンディを巡る「恋愛ネタ」はどうにも中途半端だ。しかし、あの夜はどんだけの距離を歩いたんやろ?
・『マイノリティ・リポート(2002)』に登場の“嘔吐棒”を超える“ゲロゲリ棒”なるすごいアイテムが活躍! 女優さんの「ある意味、体当たりな演技」が炸裂してます!
・「オペラ鑑賞の帰路、両親を暴漢に殺された」と言ってるヒーローもいたり。何とまぁゴッサムな、、
・「獄中にいるダミコのおじ=ラルフ」が、劇中で最も凶悪だった! 演じてたのはイアン“ゾルゲ”グレンなんやね!
・「クリスの母」「デイヴの父」「大佐」「ハビエル」・・と次々に“退場”して行く壮絶な展開、、 しかしながら、総ての危難はマーカス刑事をすりぬけて行ってた(⌒〜⌒ι)
・アメリカじゃ「例え留置署内にいようが全く安全じゃない」って事なんやね(×_×)
・確かに“NB”は「シガニー・ウィーバー姐さん入ってます系」のご尊顔だった。
・「電話口の向こう(=音声のみ)」や「ニュース映像」のみで“重要人物の退場”の描かれる勿体なさよ。。
・資金不足により「実際のサメ」は調達出来なかったとみたが・・(⌒〜⌒ι)
・「リアルマフィア(=大人たち)」が敵だった前作に比べ、何だか「小僧同士の小競り合い」に過ぎなくも思えた。
・「NY市警の役立たなさ」が際立ってる!
・「モレッツちゃん、流石に成長し過ぎたか」とは、男性観客の誰もがふと思う事だろう。
・凶敵“マザーロシア(=カタリナ・ダンブロスキ)”の倒され方(全身グサグサ系)は、余りに「安らか過ぎる」気がした。“激しい止めの一撃”の欲しかったトコ。
・続編が製作されるとすれば、クリスは遂に「全身機械化」する事やろか?
・「主人公と“NB”の恋愛の進展」にこそ期待したいワタシ。
・喪服姿で戦うミンディ。あ、そうか・・コスチューム(の着用)如何に関わらず戦闘力高いんだった(⌒〜⌒ι)
・「ミスト・モービル(=“RM”の愛車である赤い改造マスタング)」も、今回は出て来なくて残念(×_×)
・クリスのおかんの“退場”シーン(=左手だら~り)は『マッド・マックス(1979)』の“グース退場”のイメージ?
・パトカーで現場に到着するものの、何の抵抗をするでもなく、次々に“マザーロシア”に葬られて行くパトカーの警官たち。何だか1列に行儀良く並んでは倒されて行く「吉本新喜劇」に出て来るチンピラたちの行動を連想してしまった(=^_^=)
・デイヴの学園生活とかはほぼカットされてた。
・本作って、ブラッド・ピット(製作)による「ジムキャリ&ジョンレグ救済」って意味合いがあるのか?
・襲撃の5人(=“MF”とその配下)が並んでやって来る姿は『キルビル(2003-2004)』に登場する「毒蛇暗殺団」を想起させる。
・作品を通じて「魅力あるキャラ」は少なかった。私的には“ドクター・グラヴィティ”が好きだったが(=^_^=)
・“大佐”は終盤、激闘の中で「仲間に看取られながらの“退場”」の方が良かった。
・観終わった後の「爽快感のなさ」は『レジェンド・オヴ・メキシコ/デスペラード(2003)』や『シンシティ(2005)』に似た感じ。
・殺し屋集団のうち3人はほぼ役に立っておらず、その印象もすこぶる薄い、、
・“HG”の「ヌンチャクさばき」はなかなか!
・「しっかり細マッチョに鍛えてた」主人公はすごい!
・“あのしとの受難”は確かに悲しかったが・・あの場に“JF”のメンバー全員が揃ってなくてまだしも良かった(⌒〜⌒ι)
・“ゲロゲリ棒”使用直後、背後でしつこく“効果音”の鳴ってるのがたまらん、、
・敵のアジトにも「見張り」とか「カメラ」とかはなかったのか?
・黄色いコスチュームの奴(=アス・キッカー)は「裏切りのタレコミ野郎」じゃなかったの?
・彼女がレ※プされなくて良かった・・
・将来「ムショ暮し」になってしまった時、いっぺん言ってみたいのがこのセリフだろう。「ここの所長はダチでな」
・後続車のタイヤで全身を縦方向に踏み潰されとる手下がいて、実に痛そうだった、、
・「ア※※※※ン」注射の1本で、あんなに形勢逆転出来るもんやろか? 言うても「両者の体格」が全く違いますし・・
・イマドキの女学生が好むのは「トワイライト」「チャニング・テイタム」「ユニオンJ(4人組のボーイズ・グループ)」らしい。
・“大佐”に妹のいた事が劇中セリフで判明! きっと、登場したなら・・演じたのはエレン・ペイジだったハズ!(=^_^=)
・自家製の「肥料爆弾」の破壊力ってどうよ? 『パンプキン爆弾』に勝るなどとは、到底思えないが・・
・拳銃の弾のスピードは時速1100kmとの事。『レモ/第1の挑戦(1985)』に出て来る格闘術(シナンジュ)でも体得しない限り、避けるのはほぼムリでしょう(×_×)
・『タフガイじゃなくていい、勇気さえあれば』の言葉には、何処か励まされる。

〜 こんなセリフも 〜

デイヴ「『分かった』と言っといて撃つなんて酷いぞ!」
   「続編をやるのなら、本気を出さないと」
   「僕を鍛えてくれよ。“本物”になりたい。
    君を支える“仲間”になりたいんだ」
   “それから3週間、僕はひたすらミンディにボコられた”
   「僕を殺しかけといて、今度は“無視”かよ」
   「“謝る”なんて、君らしくないな」
   「だから、謝るのは止せ」
   「ヒーローを止めた君が正しい」

ミンディ「イヤならやらなくていいのよ」
    「あたし、ロビンより強いわ」
    「“ガキのままでいる”って恐くない?」
    「死ぬのを怖がってたら、必ず死ぬわよ」
    「今日は『実地試験』だから“釣り”に行く準備をして」
    “『お前のママとヤりに行く』って答えて”
    「この嘘つき!」
    「誓うわ(Cross my heart.)」
    “襲撃者は4人・・逃げ場なし”
    「どんなコスチュームを着ようと、
     あたしはスーパーヒーローなの」
    「停めな、陰毛ヒゲ!」
    「あたしは子供じゃない・・子供だった事はない」
    「“本当の自分”なら、もう分かってる」
    「今夜は、本当に人が死ぬわ
    「・・毒じゃない」
    「ズボズボされるのは好き?」
    「帰ったら、ぶっ殺すわよ」

グラヴィティ「出来れば、戦わずに済めばいいね
      「“マカロニ野郎”共め!」
      「逃げろ! キックアス」

クリス「パパは火事で死んだんじゃない。
    バズーカで吹っ飛んだんだ」
   「“自分の役割”なら分かってるさ」
   「この“春巻野郎”!」
   「(監視)カメラはないのか、この店?
    折角の(犯罪)映像が流出しねぇじゃんか!」
   「俺のスーパーパワーは『カネがたんまりある事』だ」
   「総てはカネだ」
   「俺の下で働きたければ、俺のやり方に従え」
   「“大切な事”は今、教わった
   「うるせぇ! 俺は“繊細”なんだよ!
   「本当にチョロい奴だな」
   「やった! 俺、生きてる!」

マーカス「“泣き真似”は止せ。もう15歳だろ」
    「今回は警告だけだ」
    「“本当の自分”を見つける努力をしろ」
    「俺の話を聞くべきだろ?」

大佐「心さえ奇麗なら、性癖は関係ない
  「まず背中のジッパーを下ろせ・・ 冗談だよ」
  「初心を忘れず、自惚れないように」
  「作戦? 礼儀正しく、冷静に
   このドアをノックするだけさ」
  「“エ※バの証人”です!」
  「楽しむんだ・・でなきゃ意味がない」
  「アイゼンハワー、喰え!」
  「正義よ・・永遠なれ・・!」

父「これが“現実からのしっぺ返し”だ」
 「それでどうなる?(What’s the Point?)」
 「やがて自分の子供が出来れば、お前にも分かるさ」

ナイト・ビッチ「で、どうする?(So?)」

ハビエル「格闘技はチェスと同じさ。“駆け引き”次第だ」
    「待て! (彼は)殴られ過ぎて、正気を失ってる」

マーティ「『スパイダーマン』を観てたら、
     メイおばさんに勃起しちまった」
    「“芝生”が生えたら“プレイボール可能”だよな?」
    「何だか“親友がウィル・スミスだった気分”だ」

ブルック「あたし達“クサい子”は棄てる事にしてるの」

老人「“銃の握り方”が悪いと怪我するぞ」
  「だから言わんこっちゃない」

仲間「これは『ウエストサイド物語』とは違うわ」

マザーロシア「(被害は)8人じゃない。10人さ」

ラルフ「“本当のワルとは何か”を教えてやろう」
クリス「・・礼を言うよ。“コレ”が必要だったんだ

デイヴ「“より良い世の中”を造りたかったんだ」
父「だが、結果はどうだ? “より悪く”なった」

マザーロシア「(サメは)空腹なだけさ。
       エサをやれば元気になる」
仲間「で・・何で俺を見る?

デイヴ「クリス・ダミーコ!」
クリス「(俺を)本名で呼ぶんじゃねぇ!」

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2014年1月25日 (土)

☆『キャプテン・フィリップス(2013)』☆

11日(土曜)。西宮ガーデンズ内のシネコン“TOHOシネマズ”にて観て来たのは、昨年中の鑑賞が叶わなかった、ポール・グリーングラス監督の『キャプテン・フィリップス』だった。

公開時期も結局は「終盤」となってしまったが、無事に観る事が出来、嬉しい限り(=^_^=)

2009年3月28日。バーモント州アンダーヒル在住のリチャード・フィリップス(トム・ハンクス)は、妻=アンドレア(キャサリン・キーナー)の運転する車で空港へと向かう。

マースク(MAERSK)海運に勤務するリッチ(=リチャード)は今回、オマーン・サラーラ港を出航し、ケニア共和国・モンバサ港まで支援物資を届ける貨物船「マースク・アラバマ号」の船長に着任。

途中“アフリカの角”と呼ばれるアフリカ大陸の東海岸を経由する「マースク・アラバマ号」にとっての最大の懸念は、近年ソマリア海域で頻発する“海賊行為”だった。

ソマリア沖で、全乗組員に対し「海賊を想定した避難訓練」を行うリッチ船長。

・・

一方、ソマリア沿岸の港町・エイルでは、漁師たちが“将軍(ガラード)”の命令を受けた“長老”から海賊行為を強制されていた。

酷く痩せてはいるも冷静で度胸ある若者=ムセは、根性のあるメンバーを選定し、ナジェ、エルミ、ビラルを率い漁船で沖へと向かう。彼らの狙う先には・・水路で混み合う船群から距離を置き“単独航行”する、アメリカ籍の貨物船『マースク・アラバマ号』の姿があった・・

2009年4月8日に発生した実在の『マースク・アラバマ号事件』を題材に、極限の状況に追い込まれたベテラン船長の決断と運命、彼を救出すべく全力を尽くすアメリカ海軍の駆逐艦「ベインブリッジ号」及びSEALs(ネイビーシールズ:海軍特殊部隊)の活躍を描いたサスペンスもの。

“エンターテインメント性”に限って言うと、かなり「欠いてる」印象が強く、134分と言う上映時間も「もう少し(短く)編集出来たんでは?」と感じてしまうトコはあったが、、劇中の総てにリアルさを追及してた事や、トム・ハンクスが持ち前の(?)ユーモアを「完全封印」し、不器用で実直な船長役を全力で演じ切った! って点は大いに評価されて然るべきだろう。

一方で、良くも悪くも「トムハン頼み」な物語に仕上がってしまってたか? 彼の起用なくば、ヘタをすれば「日本未公開」となってしまってたかも? 「やり過ぎ」は勿論アカンのだが、、も少しキャスティング面&演出面で、ワクワクさせてくれる出来になってたら更に嬉しかったなぁ。 と言うか、やりようは幾らでもあったように思った。

〜 こんなトコも 〜

・海賊らと(船長以下)乗組員らとの「船内での壮絶な戦い」を期待してたら、中盤以降(だったかな?)でロケーションが「救命艇」と言う閉鎖的でちっこい空間に移ってしまい、少し拍子抜け(⌒〜⌒ι) まぁ実話がベースですもんねぇ。
・乗組員のまとまりは良かったが・・「良過ぎる」感も。それ故「個性の際立つ乗組員」がさほど見受けられなかったか。「船長の女房役」とし、も少し“濃ゅいキャスト”を配しても良かったかも。ハーベイ・カイテル、ビル・ナイ的なトコで(一例)。
・乗組員に裏切り者はいなかった(=^_^=) ←あの物語ですら「仕込んでたら」恐いってば!
・船内での“心理戦”はさほど展開されなかった。
・ムセも含め、海賊らの“スキル”が低過ぎた、、 褒められるトコは「(結果的に)無差別殺傷しなかった」って点ぐらいか。
・「女性キャラ」が徹底的に排除されてた(序盤に登場の船長の妻&終盤に登場の看護師長を除く)。ある意味「漢(をとこ)の物語」のテイストを保ってる。
・後半に向かうにつれ「アメリカ万歳!」なテイストが顕著になって行った。
・海面を漂う「救命艇」の形状が「ドクターイエロー」或いは「ヤッターワン(の頭部)」に見えてしまった(=^_^=)
・『海賊に乗っ取られ、船長以下の閉じ込められてしまった貨物船を舞台に、船長の息子である少年が、海賊らを相手に、船内の小道具を駆使してトラップを造り、孤軍奮闘する』と言う“冒険コメディ路線”の作品を造ってはどやろ? タイトルは勿論『シップ・アローン』ってトコで(=^_^=)
・「射殺」か「懲役33年」か・・ 前者の方がいっそ気がラクかも、、(⌒〜⌒ι)
・「マースク・アラバマ号」の単独航行は、誰に責任があるんやろ?
・船長の、妻に宛てたメールの件名「Missing you」は、イイ感じだった。
・手すり(恐らく鉄製)に高圧電流を流せば、多少は乗船を妨害出来ないもんやろか。
・駆逐艦「ベインブリッジ号」に命令を下すハワード提督(声のみの登場?)ってば、女性だったんやろか?
・アドリブでトムハンに是非とも言って欲しかったセリフ(=^_^=)
 「この船は戻るべきなんだ! アラバマにね!」
 「小便がした〜い」
・SEALsの決行した「ハイスピード作戦」ってば「救命艇と距離を詰め狙撃⇒イッキに射殺、さっさと解決しちゃおう作戦」と読み替えても良いんかな?
・オブライエン看護師長の処置が、的確なんだろうけれども、何処か「冷たく」感じられたのは、ワタシだけやろか?
・殺される事を覚悟で船長のしたためた手紙は・・余り意味がなかった(×_×)
・常に興奮状態にあり、喚きまくる海賊=ナジェの言動に、いちいちムカついた(・ω・)
・差し入れられたTシャツに「きっと防弾効果があるに違いない」と信じてしまったワタシは・・きっとかなり疲れていたんだろう。
・敢えて「情けない演技」を貫徹させた、後半以降のトムハンの頑張りには拍手を送りたい。上半身・裸状態から、すぐにTシャツを着てしまったが、それぐらいは赦してあげて欲しい(⌒〜⌒ι)
・交渉人の発する「謎めいた言葉」の数々が気になってしまった。あのTシャツを着ても、あんまし「元気は出なかった」みたいだけど、、
・海賊の持ってた無線機(の性能)では、船内の会話ってば傍受されてなかったんやろか?(詳しくないモノで、、)
・海賊が船内放送で「夕食の時間だ! ヒャッハ〜!」とか呼びかけてたら、かなりヤバかったかも。
・クローナンと言う乗組員が登場するが、つい「苦労人」に聞こえてしまった。本作の性格から来るモノか。。
・製作総指揮の1人としケヴィン・スペイシーの名を発見! 出はったらよろしかったのにぃ(・ω・)
・字幕担当は戸田奈津子女史。「海盆(BASIN)」って言葉が耳慣れなかった程度かな?
・貨物船内の移動時、裸足は危険だと知った。ムセが『ダイ・ハード(1988)』を観てたら、きっと船長を「アイリッシュ」ではなく「ミスター・カウボーイ」と呼んだ事だろう(=^_^=)
・劇中、誰もが「万事巧く行く(Everything’s gonna be OK.)」とか繰り返すもんだから、余計に不安な気持ちが高まった(⌒〜⌒ι)

〜 こんなセリフも 〜

リッチ「最近は、何もかもが速く変化するし、おまけにこの就職難だ。
    子供たちにとっては“サバイバル時代”だな」
   「(あれは)漁船じゃない」
   「コーヒーを楽しめ(Enjoy your coffee.)」
   「我々(の船)には“速度”“高さ”“(放水)ホース”がある」
   「コーヒーの後は仕事だ」
   「合言葉は“夕食(Suppertime)”だ」
   「発電機と操作パネルには近付けさせるな」
   「“換気”してアタマを冷やせ!」
   「私の話に耳を貸さないのが問題だ」
   「護衛なんかするもんか!
    (彼らは)交渉には応じないぞ」
   「いい加減にしろ。
    君も船長なら、乗組員の生命に責任を持て
   「米海軍が“君らを勝たせる”ワケがない」
   「小便がしたい」
   「塩水は傷にいい」
   「君は漁師なんかじゃない」
   「誰にだってボスはいる
   「家族に“心から愛している”と伝えてくれ!」

船員「“海賊と戦う”程の給料は貰ってないぞ」
  「これが“ビジネス”かよ?」

ムセ「誰よりも先にくたばるのは“腰抜け”さ」
  「俺たちは“アルカイダ”じゃない」
  「お前はアイリッシュのヤンキーか?」
  「こっちの話を聞け!」  
  「ハメるなよ(No game.)」
  「機関室が先だ」
  「お前は人質だ」
  「“意気地なし”に用などない」
  「万事巧く行くさ(Everything’s gonna be OK.)」

海賊「海に出て、稼げ! 船を襲え!」
  「見ろ。この船は“単独”だ」
  「急かすな!(I’m trying!)」
  「モタつくな!(Move your ass!)」
  「(ハシゴを)掛けろ!(Hook it on!)」
  「しっかりしろ(Be a strong man.)」
  「文句なら、海にでも言え
  「お前は“喋り過ぎ”だ」
  「撮影は止せ!」
  「逃すより殺す!」
  「分かってる(It’s my job.」)
  「波を立てるな」

艦長「これよりSEALsに指揮権を委ねる」

交渉人「降伏せよ(You must surrender.)」
   「降伏しなければ、後の事は保証しない
   「(連中は)喚きながら銃を振り回しています」
   「騙したりしない(No trick.)」
   「このTシャツを着ると“元気が出ます”」
   「“今まで座っていた席”に戻って下さい」

狙撃兵「標的を確保!」

師長「もう大丈夫よ(It’s gonna be OK.)」

アンドレア「歳を取ると共に、留守番が辛くなるわ」
リッチ「出掛ける方もね

シェーン「これは訓練ですか?」
リッチ「本番だ」

海賊「誰が床にガラスを?」
リッチ「誰もまいてない! これは事故だ」

船員「何か言え!」
ムセ「“アメリカ万歳”だ」

ムセ「このカネはお前たちが払うべき“通行税”だ」
リッチ「ここは“公海”だろ?」

海賊「・・簡単な筈だった」
船長「欲を出したからだ

船長「漁師が海賊や誘拐なんかしなくても、
   他にも方法はあるだろう?」
海賊「・・アメリカならな

ムセ「長老たちは何処だ?」
艦員「それは後で話す」

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2013年11月11日 (月)

☆『グランド・イリュージョン』☆

さる3日(日)。
連休の真っ只中だったが、伊丹にあるシネコン“TOHOシネマズ”に観に行ったのは、予備知識もないまま、ただ「その作品の放つ“上質そうな雰囲気”のみに惹かれ」鑑賞を決意した『グランド・イリュージョン』だった。

大掛かりな“マジック”やら“トリック”やらが「軸」になっとる物語なので「あわよくば“手品のタネ”なんかを明かして貰えるのかも知んないな〜」などと、勝手な期待感を過度に膨らませ、劇場に向かったワタシだったが・・(⌒〜⌒ι)

“とある人物”にタロットカードを渡され、導かれるかのように集められた4人のマジシャン・・ ダニエル・アトラス(特技:マジック全般)、メリット・マッキニー(特技:読心術)、ヘンリー・リーヴス(特技:脱出芸)、ジャック・ワイルダー(特技:ストリートマジック)は、プロマジシャン・チーム『フォー・ホースメン』を結成する。

そのわずか1年後。
『フォー・ホースメン』は、ラスベガスの巨大ステージ上でのイリュージョン・ショーを任されるまでにメジャーな存在となっていた。

彼らはショーの中で、ランダムに舞台にピックアップされたフランス人旅行者=エティエン・フォーシェ氏が口座を持つ、パリ9区の「クレディ・リパブリカン銀行」から320万ユーロもの大金を「観衆の面前」でまんまと強奪する。

すぐに彼ら4人の身柄は拘束されるも、この強盗事件の担当となったFBIのディラン・ローズ捜査官(マーク・ラファロ)とICPO(インターポール)から招かれたアルマ・ドレイ(メラニー・ロラン)捜査官の“合同捜査チーム”は、そのトリックを暴く事が全く出来ず、証拠不十分のまま彼らの釈放を余儀なくされる。

万策尽きた“合同チーム”は、マジックを暴く事に関しては“名人”と称される男=サディアス・ブラッドリー(モーガン・フリーマン)に捜査協力を求める。

サディアスは、ベガスの事件のトリックをすぐさま鮮やかに暴くと共に「今回の1件は“序章”に過ぎない」と、次なる「大胆不敵な強奪事件」を予想するのだった・・

本作の印象として、とにかく「スタイリッシュ!」「出演(俳優)陣が豪華!」「物語のテンポが良い(ってか良過ぎる)!」ってのが挙げられる。
その半面「良く分かんない(=掴めない)まま、ジェットコースター的に物語が進行する」「“緩急の配置”などは考慮されてない(=観客によっては疲れそう)」「演出に泥臭いトコがない」などと『オシャレ過ぎる』が故の“もの足りなさ”を覚えたようにも。

作品全般から漂う香りが「とってもヨーロピアン」なモノで・・「誰が監督なんやろ?」と、後で調べたトコロ『トランスポーター(2002)』『ダニー・ザ・ドッグ(2005)』『トランスポーター2(2005)』などを手がけた、フランス人のルイ・レテリエ氏と知った。

怪盗チームと彼らに対峙する2刑事、怒濤のカーチェイスをも交えた追跡劇、誰が“黒幕”なのかが読めないストーリー構成など・・総合的なその完成度が「更に突き抜けていたら」・・(例えば)『黄金の七人(1965)』『華麗なる賭け(1968)』と言った“残ってゆく作品群”にその名を確実に刻めようところだが・・ 総じては「少し弱いなぁ〜」と感じずにはいられなかった。

私的にちょっとなぁ・・と感じたのは、やはり大富豪=アーサー・トレスラー役のマイケル・ケイン爺さんと、その前に立ちはだかるモーガン爺さんの2人だったろうか。。

どうしても『バットマン3部作(2005)(2008)(2012)』の印象が“今だに強過ぎ”彼ら自身のイメージを、本作を観る中で“更新”出来なかった(×_×) 確かに豪華キャストなのは認めるが、、もう少し考えてみてはどうだったろう?

また、終盤で“5人目のホースメン”が遂にその姿を現すんだが・・その「意外さ」にびっくり! ・・と言うより、その「強引さ」にびっくり! ・・させられたワタシ(⌒〜⌒ι)

今、思い返しても「やられたなぁ・・!」と言うより「もう少し何とかならんかったんかなぁ・・!」と思う。

まぁ、それがないと“あの俳優さん”ってば「おバカキャラ」なままで終わってしまってたワケだろうが・・

何だか納得行かないような、、んでも、それって単なる“負け犬の遠吠え”のような・・不思議な感覚ではある(⌒〜⌒ι)

〜 こんなトコも 〜

・オープニングで「監修・・DaiGo(←メンタリストのしとの方)」なる字幕が。。“同名の芸人”が2人いるから、芸能人に疎いワタシにとっては・・ややこしい(×_×)
・ダニエルを演じたのがジェシー・アイゼンバーグだとは気付かなかった(×_×)
・エティエン・フォーシェ氏は、翌朝、パリの銀行の金庫室内で発見されたの??
・近年、ウディ・ハレルソン(メリット役)がとても気に入っている。『ノーカントリー(2007)』ではイマイチな役回りだったが『7つの贈り物(2008)』での演技がとても素晴らしかった! 実際には「心優しい方」に違いない(ホンマか?)
・「大ネタ」より「小ネタ」の解説をもっとやって(=暴いて)欲しかった。「手錠を外すと同時に、眼の前の相手の手首に掛ける」「その手錠のカギを未開封のペプシ缶の中に入れる」「すれ違った一瞬、相手の腕時計を外し盗む」「ビルの屋上から空中に身を投げた瞬間、大量のカードに変化する」「取調室で手も触れずに(?)椅子をグルグル回転させる」「巨大なシャボン玉の内部にすっぽり全身を入れ、空中を浮遊したり、その中で回転したりする」・・どれも、全く分かりません(⌒〜⌒ι)
・ジャック役のデイヴ・フランコは、かのジェームズ・フランコの実弟だそうだ。
・メラニー・ロランの左側の首筋と胸元にある黒子(ほくろ)を眺めてると、どうにも自分を抑え切れなくなってしまう(=^_^=)
・任意に選ばせたトランプの札を的中させ、背後の高層ビルの窓の照明で(札のマークを)再現する・・ と言うマジックだけは、そのトリックを何となく見破った!(=^_^=) 「トランプの束を丸ごと手先で入替える」と言う(パーム)テクニックの修得は必須だが、原理そのものは意外に簡単だと思う。
・ふた言ほど相手の言葉を反復しただけで、完璧な声真似が出来るって才能も凄い!

〜 こんなセリフも 〜

ダニエル「良く見てると思う程、簡単に騙せる。
     近付く程、見えなくなる」
    「まず電気技師を50ドルで買収したのさ」
    「俺の部屋より汚い」
    「今夜、銀行を襲います」
    「犯罪は楽しい」
    「皆さん、銀行に“恨み”がお有りのようで」
    「アメリカがパリコレを超えました」
    「殆どの検事は陪審員を説得出来まい」
    「俺を逮捕したら、マジックを信じてる事になるね」
    「俺はあんたらの7歩先を行く」
    「近付く程、逆に見えなくなるのさ」
    「鉄則1・・誰よりも賢くなれ」
    「100のトリックか、1のイリュージョンか」
    「マジックとは“計算された騙し”です」
    「少し痩せた?」
    「数字に集中して(Focus on number.)」
    「ジェット機と車は残しておいた・・いい気味だ」
    「楽しい事にも終わりは来ます。信じてくれて有難う」
    「“開かない鍵”はないよ」

メリット「“無かった事”にしたいですか?」
    「200ドル・・いや、重罪だから250ドルを」
    「奥さんは“かかりにくい”ようだ」
    「君らも選ばれたか・・自惚れを棄てる事にするよ」
    「これはメンタリズムじゃない。只の観察力だよ」
    「君は特別だ。自信を持っていい」
    「賢者の声を聴こうと・・ダメだな」
    「何処へ消えた? いい奴だったのに」
    「殆どが錯覚・・ほんの少しばかり科学」
    「どんどん眠れ」

ローズ「油断や隙を見せてみろ。喰らい付いて離さないからな」
   「チープかも知れないが、俺は早いよ」
   「マジシャンは“人を食い物にする”連中だ」
   「・・自分を追ってた!」
   「見えなくともハッキリ感じる・・ここに何かある、と。
    そんな経験は?」
   「奴らを炙り出してやる」

アルマ「“イライラ勝負”なら貴方の負けよ」
   「信じる事は力よ」
   「お礼はいいわ(You are welcome.)」
   「“大事なもの”を見落としてるわ」
   「素面(シラフ)でも無神経なの?」
   「2度と(私を)車で待たせないで!」
   「理論や解決が総てじゃない。
    “秘密にしておく方が良い事”もあるわ」

サディアス「君たちFBIが手こずる程、カネになる」
     「パリへ行くには“階段”が便利でね」
     「意図的に選ばれた? 偶然に選ばれた?
      そう思っているだけ・・“暗示”さ」
     「襲うのは難しいが、初めから車内にいたら話は別だ」
     「どんなに屈強でも、催眠術には勝てない」
     「バカは治らんようだな」
     「無能にも程があるな」
     「君の無能さも証明されたワケだ」

アーサー「私が停止させたいと思えば、それは停止する」

黒幕「ようこそ“アイ”へ(You are in.)」
  「あの日から俺は“別人”になった」

客「ゆする気か?」
メリット「自業自得です」

ローズ「いつもそんなに上から目線?」
サディアス「そうだ」

アルマ「その笑顔は本物?」
ローズ「多分ね」

サディアス「取引は不成立だな」
アーサー「我々は弁護団も強いぞ」
サディアス「あいにく脅しには慣れててね」
アーサー「私の脅しは“そこらの”とは違うぞ」

サディアス「(奴らを)どう料理する? 煮込み? フライ?」
アーサー「ミンチにしてくれ」
サディアス「シェフにそう伝えよう」

ヘンリー「純粋に私を信じて」
ダニエル「その言葉・・グッと来たよ」

黒幕の伝言『ほら、消えた(Now you don’t.)』
     『薔薇は“別の名”で呼ぼうとも香る』
     『信じる者のみが“真実”に到る事が出来る』
     『誰よりも賢くなれ』

フランスの表現『信念は山をも動かす』

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2013年10月28日 (月)

☆『クロニクル(2012)』☆

26日(土曜)の夕刻。
クルマで梅田界隈まで出たついでに、久々に中心部のシネコン“TOHOシネマズ”で鑑賞して来たのは、マイナーながらも話題性の高い新作『クロニクル』だった。

「シアトル郊外を舞台に“とある事件”を機に“常人を超える能力”を手に入れた3人の高校生が、次第にそのパワーを暴走させ始める」と言う“何とも単純な”ストーリー展開なのだが・・何よりも魅力的に映ったのは「上映時間がたったの83分」ってトコである! 

予告編を観ても、どのようにすればたったの1時間ちょいで、あそこまで広げた(物語の)風呂敷を「転」「結」に持って行けるのか・・がさっぱり見当つかなかったので、後学のためにも(=^_^=)観に行っとこうか・・みたいな軽い動機だった。

観終わった時の気持ちとしては「まぁ、色々な部分を端折って短くしてたワケやね」ってのが大きいが、久々に“観始めるまでのワクワク感”を高め、終盤まで(?)維持してくれた作品って点では、しっかりと評価したいと考えている。

2012年、シアトル郊外。「CV高校」に通うアンドリュー・デトマーは2004年モデルの(キヤノン製の?)ハンディカムを手に、自身の生活を漫然と撮影するのが趣味の、内向的な若者だった。

従兄弟のマット・ギャリティの誘いで、ヘイブンヒルズ農場の大きな廃屋で深夜に開催されたダンス(レイヴ?)パーティーに出掛けるアンドリュー。

そこにはマットが密かに想いを寄せるケイシーや、学年委員に立候補している人気者のアフリカンアメリカンな優等生=スティーヴ・モンゴメリーの姿もあった。

騒がしいその場に(やはり)馴染めず、間もなく屋敷から戸外に出てぼんやりしているアンドリューの所に、スティーヴがやって来て「“イカすもの”を見つけたんだ。一緒に来て、君のカメラでそいつを撮影してくれ」と声を掛ける。

2人の向かった先には、地面に深く空いた大きな穴が・・

穴の周囲に集まったアンドリュー、マット、スティーヴの3人は、余り深く考える事もなく、その穴の底へと降りて行く・・ 果たしてそこには、地球上の物体とは到底思えぬ、異様な形状の生命体(?)が巣食っていたのだった・・

・・

異様な物体に触れた直後から、3人には“不思議な力”が備わる。

鼻腔からの出血など“肉体に与える負担”の大きさこそ恐ろしかったものの、3人はそれぞれ“パワー”をコントロールする事に成功。触れずに対象物を破壊したり、空中を自在に飛び回ったり出来るようになる。

彼らは仲間内で「この“パワー”の存在は秘密に」と厳格なルールを設けようとするが、家庭内や学生生活の中で「精神的に追い詰められる」局面の多いアンドリューは、次第に“怒りの感情”を抑制出来なくなって来る。

そんなアンドリューを止めようとするスティーヴとマットだったが・・

「スーパーヒーロー作品」の序章、幕開けを何処となく匂わせる佳作である。

主人公格の3人を巡る運命が、後半〜終盤にかけ「あれれ?」と、大半の観客が予想するのとは異なる方向に逸れて行くワケだが・・“投げっ放し”にして、本作のみで終わらせる決断も出来るし、好評であれば、続編に繋げてゆく選択も可能な形にまとまっているので「ホンマに狡猾やな〜」と心底、制作陣の“したたかさ”に感心させられる(=^_^=)

まず連想した作品は『ハンコック(2008)』だったが、構成面では『AKiRA(1988)』『キャリー(1976)』『エレファント(2003)』『スキャナーズ(1981)』辺りの影響が色濃く出てそうな気もする。

そして、手法的に「踏襲したな」と思ったのは、やはり『ブレア・ウィッチ・プロジェクト(1999)』『クローヴァーフィールド/HAKAISHA(2008)』だろうか(=^_^=) 色んな“先駆作品”があってこその本作やろな、と言うツッコミは観客の誰もが繰り出すトコではなかろうか(=^_^=)

もう少し、アンドリュー以外の2人の家族構成などについて丁寧に描いて欲しい気もしたが・・考えたら、そんなアンドリューの両親の設定自体、断片的で余りに描写不足だった事を思い出した。

観ていると、中盤以降でどうにも「脚本家、発狂したの?」「主人公って誰(どっち)だったの?」「誰がこの(アングルの)映像を撮ってるの?」みたいな“破綻めいた空気”が流れたりもするんだが・・それを補う程度の満足感はあったかな。

んでも、もう少し魅力的な俳優さんをメインに配しといて欲しかった気もするなァ(・ω・)

〜 こんなトコも 〜

・シアターは『HEP-NAViO』の上層階かなと思いきや・・「別館シアター」の方だった。早めに気付いたから良かったモノの、、間違えてたら序盤を観逃すトコだった(⌒〜⌒ι)
・「特別料金:1000円」と言う設定だった。上映時間が短いからか? 何にしても嬉しい限りではある。
・ラストで某人物が辿り着く場所からするに・・続編は『バットマン・ビギンズ(2005)』『シャドー(1994)』『ゴールデン・チャイルド(1986)』『ジョニー・イングリッシュ/気休めの報酬(2011)』とかのノリで展開されるんだろうか?
・主人公らが“凄まじい才能”を覚醒させつつあるってのに、地元でバカばっかりやってるのが『インビジブル(2000)』のケヴィン・ベーコンを思わせるお茶目っぷりだった(=^_^=)
・後半から、誰の撮ってる映像なのか分かんない展開となった。「監視カメラ映像」の挿入される演出は『ファイト・クラブ(1999)』の終盤のようで素晴らしいが、もう少し丁寧で説得力のあるカメラワークをキープして欲しかったな。
・“件(くだん)の穴ぼこ”が、後日塞がって(塞がれて?)いて、立入禁止になってたが・・いわゆる“政府特務機関(例:MiB)”の管轄下に置かれてしまったんやろか?
・手の甲に突き刺した(突き刺そうとした)フォークの先端が見事に曲がってたが・・背後からの攻撃には弱いのか? 油断した途端にバリアが解除されるのか?
・CG映像には違いないのだろうけど・・蜘蛛を空中でちぎり殺す描写は、観てて余り気分の良いモノじゃなかった。
・主人公らに対峙する存在を「街を牛耳る犯罪組織」として描いたら・・『キック・アス(2010)』っぽい流れに変わったんやろか?
・後半に登場する展望塔『スペースニードル』の高さは184mとの事。
・シアトルの中心部にあった「あの銅像」に興味津々。誰がモデルなんやろ? そもそも実在する像なんやろか?
・アンドリューを演じた俳優さんが、若い頃のディカプリオにも見えてしまった(・ω・)

〜 こんなセリフも 〜

アンドリュー「色々撮ってるだけさ・・総てをね」
      「“今を楽しむ”方がいいさ」
      「ここが僕の学校だ・・多分」
      「ただ撮ってるだけさ」
      「カメラの調子がおかしい」
      「これを記録しよう」
      「“両手でくっ付ける”ように操るんだ」
      「“影響”を及ぼそう
      「待てよ! 逃げる必要ないだろ?」
      「“笑いの発作”が出たな」
      「飛べるぞ!(I can fly!)」
      「俺の方が強いんだ! 潰してやろうか?」
      「“こうなる前”は友人じゃなかったくせに
      「“この力”は今や、僕の一部になってしまった」
      「より強い者にとって、弱い者を殺す事に対する
       “罪の意識”などない・・それが重要だ」
      「来い来い・・早く袋に入れ!」
      「この俺に指図するな!」
      「お前らは弱い・・俺は強い」

マット「カメラは置いて来い・・少し“変”だから」
   「これは従兄弟からの忠告だ・・カメラは止せ」
   「たまには1人で行動しろ」
   「ここで樹を相手にしてたのか?」
   「何が“来い”だよ」
   「お前の方が巧い」
   「生意気だぞ(Do i hate you?)」
   「お前のそう言う“敵意”が問題なんだ」
   「“この能力”は筋肉と同じだ。
    ムリすると“肉体の限界”を超える」
   「犯人は黒人ですよ」
   「次々にアイデアが湧くぞ」
   「“この能力”にはルールが必要だ。
    生き物に対しては使わない。怒ってる時に使わない。
    そして人前では使わない。“俺達だけの秘密”にするんだ」
   「もっと慎重になれ。何かをやる前には
    良く考えないとダメだ」
   「(その状態で)屁をこくと飛んで行くぞ」
   「上空は寒いな」
   「今日は、俺にとって“人生最高の日”だった。
    どう考えても、これまで今日よりイイ日なんかなかった」
   「お前には“凄い才能”があるだろ?」
   「ViPのお通りだぜ!」
   「ところで、俺は何時から“撮影係”になっちまったんだ?」
   「昨夜、落雷の記録はなかった・・お前、何をした?」
   「またルールを破ったな?」
   「もう止めろ! ゲームじゃないんだぞ。
    これ以上やると、取り返しがつかなくなる」
   「人を傷付けるな!」
   「逃げろ! ここは安全じゃない」

スティーヴ「そのカメラ、使えるか?」
     「“クールなもの”を見つけた。そいつで撮ってくれよ」
     「すげェ不気味だ!」
     「ちゃんと撮れてるか?」
     「触ったぞ!」
     「良く(穴の底から)逃げ出せたな」
     「試したくないか? “これ以上の事”を
     「街へ出て練習しよう」
     「飛んだから驚いてる」
     「観てろ(Watch this.)」
     「顔に生理が来たみたいだ」
     「僕らはモ※モン教徒です」
     「聴けよ。これは見た目よりも簡単だ。
      自分を持ち上げろ。ハリアーをイメージしろ」
     「マット、やっと特技が出来たな」
     「サマンサは俺の“テク”を分かってる筈さ」

ケイシー「急に“新しい人間”になったとでも言うの?」
    「自分は他人より優れていると?」
    「何故“あんな事”が出来るの?!」

※※※“済まない事をしたと、お前に言っておきたい。
    もし出来れば、仕方がなかったと分かって欲しい”
   “俺は生まれ変わり、人を助けて生きて行きたい”
   “そして真実を突き止める”
   “伝える機会がなかったが、お前が好きだ”
   “ここを何処だと思う?”
   “お別れだ”

母「いいカメラね」
 「お前を憶えていたい」
 「お前はもっと強い・・自分でそう言って」

父「何を隠してる? 何をコソコソやってる?」
 「映像? 観たとも。“負け犬”のお前が映ってた」

ユング“パーティーは自己の価値の確認を行う場だ”

父「ドアを開けろ!」
息子「酔ってるね? 朝の7時半なのに」
父「何だと?!」

スティーヴ「ここで何してる?」
アンドリュー「何故“ここにいる”と分かった?」
スティーヴ「お前の声が(ここから)聞こえた」

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2013年7月15日 (月)

☆『コン・ティキ(2012)』☆

7月7日(日曜)の夕刻。

最近「その近さ」故にお気に入りのシネコンとなって(来て)いる“イオン伊丹”上層階の『TOHOシネマズ伊丹』に出掛け、観て来たのは「そのマイナーっぽさ」故に突然に観たくなって来てしまった(=^_^=) 実録海洋冒険モノ(?)『コン・ティキ(原題:KON-TiKi)』である。

スタッフにも出演者にも、その顔ぶれに(総じて)耳慣れなさを覚えつつも鑑賞を決めた“ノルウェー映画”なのだが・・何でも「第85回アカデミー賞」に同国を代表し出品され「外国語映画賞」にノミネートされたとの事である(ウィキ情報。因みに受賞はオーストリア代表の『愛、アムール(2012)』だった)。

ノルウェー・ラルヴィク出身のトール・ヘイエルダールは、6歳の頃(1920)、氷の張った湖面を“度胸試し”で歩き、薄氷を踏み割って溺れかけた事もある「好奇心と負けん気の人一倍強い」少年だったが・・そう言った資質を失わぬまま逞しく成長する。

23歳の頃(1920)、美しい妻=リヴと共にポリネシア・ファッヒバ島に長期滞在したトールは、現地の歴史・文化に触れ合う中で「ポリネシア人のルーツが東方(=南米)にあるのではないか?」と言う大胆な説を打ち立てる。

しかしトールの仮説は、当時の学会の反発にあう。

「ポリネシアの起源とされる約1500年前の造船技術では、太平洋の荒波を超えて島へ到達する事など不可能」との定説が成立していたのである。

かくて、トールは当時の技術だけで筏(いかだ)を建造し、南米ペルーからポリネシアへの約8000キロの距離を、100日かけて横断し、自説の正しさを証明しようと決意する。

集められたメンバーは、トール(人類学者)をリーダーに、幼馴染みのエリック、冒険家としての経験あるトルスティンとクヌート(元諜報員)。そこにアイデアマンとし自らを売り込んだヘルマン(元冷蔵庫の訪問販売員)、カメラマンの腕前を買われたベンクト(民俗学者)が参加する。

やがて、総勢6人の漢(をとこ)たちが12本のバルサ材を綱で結ぶ事で“(帆を除く)推進装置を持たぬ”「コン・ティキ号」が完成する。

1947年2月。ペルーの港町・カヤオを出発した「コン・ティキ号」は西に向かって進む計画だったが・・進路を変えられない筏は大きな帆を張り、風の吹くのを待つしか手段を持たないのだった。

そんな航海の中、大時化(しけ)との遭遇、サメの大群の襲来、クルーの中に静かに広がる不安感・絶望感などがトールを悩ませ始める・・

そのタイトルのリズミカルな響き(?)から「コメディ要素満載の冒険モノ」やろか? と少し勘違いしてたワタシもどうかなと反省したワケだが・・非常に真面目かつ真っ当な(?)冒険ドラマだった。イアン・フレミング原作の童話とかでもなかったし(⌒~⌒ι)

(そこそこに立派な)船舶を期待してたら、ただの(?)筏と言う思い切ったムチャぶり(?)にも驚かされる。そしてまた、主要な登場人物にも女性クルーなどは一切含まれず、その“野郎祭り”ぶりはまるで『遊星からの物体X(1982)』か『U-571(2000)』かって感じ(⌒~⌒ι) 主人公の奥さん=リヴ役の女優さんが美しく聡明な方だっただけに、中盤以降の“野郎密集ぶり”には観てるこっちが息苦しくなりそうだった(⌒~⌒ι)

それにしても「今までご覧頂いた物語は、総てボクの妄想かも知れません」ってな語り口で、スッキリ感を観客に提供してくれなかった『ライフ・オヴ・パイ/トラと漂流した227日(2012)』に比べると、物語に安心感があると言おうか、人間ドラマがあると言おうか、本作の方にこそよっぽど観終わって「心地良く、有意義な疲労感」を与えて貰ったモノだ。

特筆したいのは、有名な男優さんが全く登場しないため「誰がどうなるのか、全く先の展開が読めん!」ってトコだろうか。厳密に言えば(ウィキで調べたら)ベングト役を演じたのは“決してその名を口に出して言ってはならないあのしと(←エエやんか!)”の息子さんであるグスタフ・スカルスガルドちぅ男優さんだった。って言うか、ワタシよかずっと若かったとはね(・ω・)

男優としての名前は知らないんだけど「ヘルマン役=フィリップ・シーモア・ホフマン系、クヌート役=アントニオ・バンデラス+ウィレム・デフォー系」などと(勝手に)関連づけてご尊顔を眺めてると、それはそれで彼らそれぞれにも「大物男優感」が漂ってみえるから面白い!

まぁ、私的にはトール&リヴのファッヒバ島に於ける“背徳と恥辱にまみれた私生活”をもっともっと観てたかった次第だが(←何処に期待しとんねん!)・・久々に「前知識なく、こう言うマイナーっぽい作品を意図的に観てみるのも、展開が予測不能だからこそ面白いよなぁ」と実感したワタシである。

~ こんなトコも ~

・「ノルウェー製の航海もの」を観るのは確か初めてだったろう(・ω・)

・主人公トール(Thor)は“北欧神話”でお馴染み(?)のソー(Thor)と同じ名前である。

・「コン・ティキ」の意味は“太陽神”だそうだ。

・トールとエリックの「若い頃の逸話」ももう少し盛り込んで欲しかった。

・「漂流モノ」の要素とし常に想定される「仲間割れ」「食人行為」などの演出領域にズカズカと踏み込むんじゃないか? との不安はあった。

・クルーの1人が中盤(後半?)で「誰もこの筏を信じちゃいねぇ~!」と訴える印象的なシーンがあるが、他の4人の本心がどうだったのかが良く分からなかった。観客それぞれに判断が委ねられてるってワケか?

・ジンベエザメ(?)、サメ、オウム、トビウオ、夜光イカなどが登場。

・カゴに入り海中に潜ってたしとがいたが、何がしたかったんやろ?

・案外、本作辺りも「ハリウッドリメイク」されたりなんかして(爆笑)

・色んなトラブルがクルーを待ち受けるが・・最大の難関は「あの鋭い環礁」だったんじゃないか?

・本作の時代設定が分かってなかったが・・「ヘリ・無線機・撮影用カメラ(モノクロ)の既に存在する世界で良かった(=^_^=)

・水中から見上げるカメラワークで「沈んでゆく木片」が映し出されたが・・“そう言う意味”があったんやね。

・散々、面会を待たされたトール。やって来た男性に「水を貰えないか?」と訊くと・・そのしとこそがホセ大統領ご本人だった(×_×)

・主人公にとっては、エリックが“ビフ・タネン”みたいな奴になってなくて安心した。

・ガラパゴス諸島の南には、エドカー・アラン・ポォの小説でも有名な『大渦巻き』が出没するらしい。

・“サメ避け剤”は“粉末トマト・スープ”に酷似してるらしく、間違えて食べても健康には影響ないようだ。

・朝は筏の縁(へり)で歯を磨いたり・・と案外、規則正しい「コン・ティキ・ライフ」が営まれてた。

・マルタ、タイ、モルディブなどがロケに使われてた。

・出航地であるカヤオの街の雰囲気が『グラン・ブルー(1988)』の主人公らが少年期を過ごした“あの街並”に酷似していた。

・ノルウェー・オスロの博物館に「コン・ティキ号」が展示されてるそうだ。

・ベングトの撮影した映像群に基づく、長編ドキュメンタリー作品が「第24回アカデミー賞(1951)」で「長編ドキュメンタリー映画賞」を受賞したそうだ!

・トビウオはニシンのような味らしい?

・終盤で流れ着いたのが“あの謎の(人喰いの)浮島”だったら・・と思うとゾッとした(⌒~⌒ι)

・リーダーには“社交性”“統率力”以上に“ある種の狂信性”が必要なのかも知んない。

・泳げないなら、せめて少しは「泳ぐ練習」を積んでから出航しても良かったんでは?

・船長が「観ろ! 鳥だ!」と叫ぶシーンに『宇宙戦争(2005)』終盤のトムクルを思い出した(=^_^=)

・打ち寄せる波には「13回の法則」と言うサイクルがあるそうだ。で、13回目のが大きいんやて。

・ラストまで、ギター(小道具)とかカニさん(8番目のクルー)とかが残ってて良かった。

・浅瀬を歩くためには靴が必要なのだ。ウニとか潜んどるかも知れんしね(・ω・)

~ こんなセリフも ~

トール「笑わないで(No smiling.)」

   「“一般常識の誤り”を証明するのが、研究者の使命です」

   「“現地の者のやり方”を見習え」

   「1500年前と全く同じやり方で(筏を)造る」

   「ティキが信じられないなら、この私を信じろ

   「身体を何かに縛れ!」

   「(命令違反を)咎めるのは(君ではなく)私の仕事だ」

   「信じてたろ?」

   「鳥だ!」

   「岸まで230メートルだ! 靴を履け!」

ヘルマン「“危ない”のはセールスの仕事だって同じさ」

    「この航海は“宗教”とは違う! どうかしてるぞ!?」

    「知ってるさ・・皆もね(I know..All know.)」

ベングト「カネなら(航海の)記録映画でがっぽり稼げるさ」

    「荷物? 本の他には何も。

     ・・総て(航海中に)読めるとイイんだが」

    「撮影する気なら、まずレンズのキャップを外して」

リヴ“100日後も子供たちに父親がいるとイイけど”

  “おめでとう(You did it.)”

  “海に落ちても、意志の力で浮いていられるわ”

母「また目立とうとしたのね」

島民「総ては東から来て、西へと向かう」

教授「此処にある本の総てが述べているのは“仮説”だ」

クルー「“骨を斬る”鋸・・何かに使えるかもな」

   「“冷蔵庫屋”は大丈夫か?」

   「あの夕陽に向かって(正しく)進んでれば良いんだが」

   「あと100日もあるな」

   「溺れ死ぬ前に過去が? 観たくもないね」

   「無線で救命信号を送った所で、間に合わないさ」

   「心の傷を癒すのに、大海原を漂うのはイイ事だ」

   「我々は(魚から)進化して人間になった」

   「誰もティキを信じてなんかいない!」

   「お願いだ(I'm beggin' you.)」

   「此処(洋上)じゃ、少なくとも凍傷はないな」

   「ゲシュタポを4人撃った・・3年前の事だ」

   「お陰で少しは救われた」

   「士気は高い(Our spirit is high.)」

   「悪くないな(I like it.)」

トール“薬も沢山積んだよ”

リヴ“(それを)使わない事を祈るわ

A「“サメ避け剤”だって? 効くのか?」

B「さぁな・・何ならあんたが試してくれ」

A「今頃、故郷にも原爆が落ちてるかも」

B「なら交信など出来ん筈だろ?」

追記:「サメをやっつける」シーンだけは、映像がスプラッター調になってて、やや家族向きではないように思われる。鑑賞時にご注意を!

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2012年7月11日 (水)

☆『崖っぷちの男』☆

8日(日曜)の午後。
帰阪の折、大阪府内(の南方)にある某シネコン“ユナイテッド・シネマ”で観て来たのは、やたらと期待値を高めてくれるサスペンス作『崖っぷちの男』だった。

因みに・・ここのシネコンには“iMAX(アイマックス)”ちぅ、圧倒的な臨場感を誇る映像設備(スクリーン)を擁したデジタル・シアターのある事を知った。

今までだと、大阪府箕面市の“109シネマズ”ぐらいしか思いつかなかったんだが・・。(因みに、ネットで調べると奈良県の“シネマサンシャイン大和郡山”にも導入されてるようだ!)

最近では『タイタンの逆襲』に於いて、主人公=ペルセウスを“人間クサく”演じたサム・ワーシントン主演最新作。

ニューヨークの“ルーズヴェルト・ホテル”の20階・・「2105室」の窓を開け、わずかな幅しかない庇(ひさし)に降り立った1人の男。
やがて、彼の姿をはるか頭上に見つけ、地上の通行人たちは騒然となる。

現場(室内)に駆け付けたジャック・ドハディ刑事は“ウォーカー”と名乗るその男(ワーシントン)の自殺を阻止すべく、交渉を開始するが・・“ウォーカー”が指名したのは、先月「ブルックリン橋での交渉」に失敗し、男性警官の飛び降り自殺を阻止出来なかった女性交渉人=リディア・マーサーだった。

マーサーは独自の話術で、窓越しに“ウォーカー”の正体と、彼の自殺しようとする理由を探って行く。

やがて彼女は“ウォーカー”の本名が、元ニューヨーク市警の警官でもある脱獄囚=ニック・キャシディである事を掴むが・・ニックには「自らを崖っぷちに追い込む」ちゃんとした理由があるのだった。

その一方、ニックの元同僚=マイク・アッカーマン、ドハディの同僚=ダンテ・マーカスの2刑事それぞれが「崖っぷち男事件」の早期解決を目指し、独自に動きを開始するのだった。

同じ頃“ルーズヴェルト・ホテル”にほど近い“イングランダー・ビル”では、謎の2人組が「崖っぷち男」と時をほぼ同じくして、「何かの計画」を進めていたのだった・・

いわゆる「シチュエーション系」「密室系」のサスペンス劇を期待してたら、意外と「物語の広がる感じ」があり、その点は面白かった。しかしながら「冒頭から観客をダマしにかかってる」姿勢がややハナについたりもしたかな(=^_^=)

「現在のシーン」「過去のシーン」「別な場所での、別なキャラによるシーン」などが入り混じって描かれる分、その辺りが繋がって来ると「面白ぇぇぇ!!」と思えるワケだが・・あちこちに“ご都合主義過ぎる”点もあり、完全に物語世界に入っていけなかったのは、ワタシとして残念なトコでもあった(×_×)

“ウォーカー”の指紋がホテル客室内に「一切残されてない」事から(彼自身が丁寧に拭い去ったため)、身元判明に時間がかかってしまうんだが・・序盤を良く観てると・・「素手で窓枠に手をかける」のが見て取れたワケで、、その辺りから「もしや・・ポンコツ?」と直感してしまった。そう言った点、突っ込むしとはおらんのやろか?

んでもラスト。
ちょこちょこっと“彼ら”をヘルプし続けてたおっちゃん(良く観たら、ウィリアム“スチュワート大佐”サドラーじゃん!)が何者であるか? ってのが明らかとなるシーンで、不覚にもウルウルさせられてしまった。あのシーンと、例の2人の「指環を巡るシーン」には、意外な満足感が味わえたりもするのだった。

って事で、観終わって冷静に考えたら「B級じゃんか!」とハッキリ突っ込めるんだけど・・まぁ、たまにはこう言う「成金をやっつけろ!」的な物語も、楽しく爽快に思えたりもするから、赦そう(=^_^=)

〜 こんなトコも 〜

・松本人志監督&主演最新作で『壁に挟まれた男』ってのはどやろ?(=^_^=) 英題には「TOMIYOSHI」とか付けて(=^_^=)
・エド“ケーニッヒ少佐”ハリスの老化が著しい・・単なる「イラついたおっちゃん」にしか見えなかった(×_×)
・ボールペンにも指紋が残ってたんかも?(ってか、手袋しときゃもっとラクなのに)
・成金さんに中途半端なプレゼント(例:高級腕時計)を持って行くとどうなるか・・が良ぉく分かる。
・ロレ※クスは意外と「衝撃に弱い」のかも知んない?(持ってねぇから分かんねぇス)
・某ビル内の警備にかなり(異常なほど)詳しかった。「内通者もなしに、あそこまで突破出来る」モノなんやろか。。(ってか、あそこまで知ってるなら、最後の“壁の仕掛け”も分かっとかなきゃ!)
・登場する誰もが「怪しい刑事」に見え始めて来て、困った(⌒〜⌒ι) ってか、破産寸前だったおっちゃんにあそこまでの“NYPD牛耳り力”があるもんなんかなあ?
・中盤ぐらいから「あ・・取り敢えず“死ぬ気”は全くないんやな」と何となく気付き始めてしまう(=^_^=)
・冒頭の「某カークラッシュ」を経ても、全くの無傷で済んでる時点で、かなり安心させられる。飛び降りるよりも、あっちの方がよっぽど「死ぬ確率」高かったんじゃ?(⌒〜⌒ι)
・あれがジェイミー“ビリー・エリオット”ベル君だったとは!
・最初に“47-50ストリート駅”(地下鉄駅)が出て来た。
・(ウォーカーと)同名の男が600名いる、とか言ってたが・・誰かTV観て「あいつ、ニックやんか!」と気付くしと、おらんかったん?
・「17分に1人が自殺する」と劇中で言われてた。北米レベルのハナシか?
・「女は男(が原因)で、男は借金(が原因)で飛び降りる」のセリフも(・ω・)
・ブロンクスにある、イタリアンの店『ロベルト』って実在する?
・「高温高圧処理を施され、(人工的に)色の改変された」ダイヤを“モナーク・ダイヤモンド”と言うそうだ。
・ワーシントンの“低音ヴォイス”が某バ※トマンぽくもあった(=^_^=)
・『フェノミナン(1996)』のキーラ・セジウィックが、随分とギスギスした感じに変わっちゃってた(×_×)

〜 こんなセリフも 〜

ウォーカー「眺めのいい方(の部屋)で」
     「酒(の提供)は早いかな?」
     「自分を傷付ける? 考えた事はないね。
      ・・自殺なら毎日考えるが」
     「ここ(ムショ)じゃキスは禁止されてる」
     「接触は禁止? “美人は例外”さ」
     「銃を置け。子供の事を考えろ!」
     「今日で総てががらりと変わる
     「この俺の“死の覚悟”を分かって欲しい」
     「交渉人ってのは面倒な仕事だな?」
     「“男の世界”じゃ浮くだろ?」
     “いいぞ・・みんながこの俺を見てる”
     「命を実感してる」
     「警官はゲンを担ぐ、だろ?」
     “そいつは、冷やさないと面倒だ”

ニック「ここで無実を晴らすぞ」
   “雨を降らすぞ”
   「“総てを奪った男”にどう復讐を?」
   「今日こそ、あんたは人を助けるんだ
   “直感を信じろ”
   「盗むのさ・・初めてな」
   「ルームサーヴィスです!」
   「逃がすもんか!」
   「今日からは“家宝の指環”だ」

マーサー「止してよ(Kiss my ass..)」
    「このポテト、鑑識済み?」
    「何故この私を?(Why me?)」
    「ここは私の持ち場よ・・さっさと出てって」
    「下の人たちは、あなたの飛び降りが見たいだけ。
     でも、この私は違う」
    「本気なのかどうか・・
     時々、相手の“心の動き”が分かるの」
    「何かウラがある・・何かを待っている」
    「何故、正体を隠すの?」
    「メキシコにでも逃げるべきだったわね」
    「もしウソだったら・・私が突き落とすわよ」

ジョーイ「これで脱走犯だ・・殺される」
    「思いっきり殴ったな?」
    「他に、俺に秘密ってない?」
    「怒るなら“ダクトの中”で怒れ」
    「ダメだ・・目的は1ツ」
    「ダサいパンチだな・・あんた、田舎者か?」

ドハディ「全く人騒がせな・・」
    「落ち着いて(Stay calm.)」
    「“あと2分で飛び降りる”の一点張りでね」
    「5分で説得しろ」
    「滅多な事を言うな! 更に浮くぞ」

マイク「人生、山あり谷ありだ(Life goes on.)」
   「余計な心配するな・・ケガするぞ」

スージー「失恋か? 株の失敗でしょうか?」

デヴィッド「こんなもん、要るか!」
     「高級な時計を有難う」
     「飛び降り? 何故、銃で自殺せんのだ?」
     「3年前の金融危機を経て・・この国は這い上がる」
     「この国では、ビジネスは戦争なのだ」
     「とんだ迷惑だな」
     「さっさと捕まえんと、明日から駐禁係だぞ」
     「可愛い小僧だな・・そっちはペットのチワワか?」
     「血と鼻水と涙がムダになったな」
     「こいつが宙を舞うぞ? こいつだけでも助けてやれ」
     「人間には・・“手段を選ぶ者”と“選ばない者”の2種類がいる」

通行人「あそこよ!」
   「窓の外に人が!」
   「警察を呼んで!」
   「さっさと飛び降りろ!」
   「あの人、大好き!」
   「追い詰められると、人はああなるんだ!」

報道関係者「“番組中”に飛び降りるかな?」

アンジー「アツくならないで。天井のセンサーが反応するわよ」
    「何が知りたいの? セ※クスのこと?」
    「最高のセ※クスは・・あなたとよ。
     ・・もう1人いたけど」
    「入ったわ(I'm in.)」
    「好きにして(Whatever.)」

マーサー「何故そこに?」
ウォーカー「眺めがいい」

ウォーカー「俺を諦めるな」
マーサー「止めてみせるわ」

マーサー「一体どうやったの?」
ニック「その先は“静かな所”で」

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