☆『青天の霹靂(せいてんのへきれき)』☆
5月25日(日曜)の夜、ご近所のシネコン“MOViXあまがさき”で鑑賞したのは、劇団ひとりの同名小説を原作とする『青天の霹靂(せいてんのへきれき)』だった。
原作(小説)そのものは「2010年刊行」との事だが、劇団ひとりとし「2作目の書き下ろし作品」であると共に「前作『陰日向に咲く(2008)←原作(小説)は2006年刊行』に続く映像化」であり、今回は「“初”監督+脚本+出演」を全部やっちゃってて、そこは確かにスゴい才能であり、類稀(たぐいまれ)なる幸運やなぁ〜と感心せざるを得ない。
バラエティ番組での劇団ひとりの“スゴさ”を(未だに)良く分かってないワタシなモノで、、俳優としての彼の演技(言動)を眺めるに『嫌われ松子の一生(2006)』にせよ『ゴールデンスランバー(2010)』にせよ『8日目の蝉(2011)』にせよ『麒麟の翼(2012)』にせよ「イマイチ弾けてないなぁ」と残念に思ってもしまうワケだが、それはそれできっと「定評のある、彼ならではの“キャラ造型”なんだろうかな」と解釈する事としたい(・ω・)
でもいつか、ドタバタでメチャクチャなアクションコメディを執筆+監督+主演してみて下さい(⌒〜⌒ι)
※
轟(とどろき)晴夫(大泉洋)は30代後半の平凡な男。学歴も稼ぎもなく、凍える夜に肌を温め合う(?)ような恋人もいない。
かつて「一流マジシャン」を目指した彼であるも、結局は(芸歴20年の)才能が陽の眼を見るワケでなく、今は東京の片隅にあるマジックバー「のぶきち」で酔客を相手にテーブルマジックを淡々と披露している日々・・
自宅アパート「正緑荘」(?)の水漏れで、部屋が水浸しになったりもし、淡々と落ち込む中、荒川東警察署から「あなたの父親である轟正太郎さんが亡くなったので、遺骨を引取りに来て貰いたい」と電話連絡を受ける。
長年、音信不通だった父は、(鉄道の)高架下でテント暮しを続けており、先日に界隈の河川敷で脳溢血により急死してしまったのだった。
父親の“余りにあっけない死”を唐突に突き付けられ、自身の現在置かれた境遇にも情けなさを感じ、川縁で立ち尽くし落涙する晴夫。
そこにピンポイントな白昼の落雷があり、直撃を受けた彼はその場に倒れ込むのだった・・
・・
眼を覚ました晴夫は、何故か“昭和48年(1973年)10月”の同じ場所(河原)にいた。
浅草に向かった彼は、やがてそこで若き日の父母(劇団ひとり、柴咲コウ)に出逢い、自身の出生にまつわる秘密を知る事となる・・
※
ジャンルとして「タイムスリップもの」に分類されよう本作だが、科学的な考察なんかには(意図的に)全く触れられず「何で?」と疑問を覚える前に、ストーリーがハイペースで展開するため、何となく誤摩化されてしまったワタシである(⌒〜⌒ι) ←本作そのものが「絶妙なマジックのテイスト」を有してたり(=^_^=)
約96分と言う「しんどくなって来ない上映時間」に、ゆったりテンポなドラマを練り込んでるのだが、私的にはどうにも『地下鉄(メトロ)に乗って(2006)』『異人たちとの夏(1988)』を連想させられっぱなしだった。って言うか、本作を観た「ある程度シニアな観客層」ってば、誰もがこれらの作品を連想するんじゃなかろうか?
思いっきりのコメディを期待してたら、さほどでもなく、中でも劇団ひとり演じる轟正太郎なる人物の「劇中で一貫してのやる気のなさ、駄目っぷり」が本作の印象を“残念なもの”に変えてる気がした。いや別に「劇団ひとりがミスキャスト」と言うワケじゃないんだが、もうちょっと気合を入れて「観客を笑わせにかかる“父子共演のマジック&コント”」をたっぷり拝見したかったのである。そちらこそが優先されるワケで、大泉洋による「クライマックスのソロマジックシーン」なんぞは、もっと尺を詰めても良かったぐらいに感じた。
(折角の)過去世界の「広がり」なんかも余りなかったし、柴咲コウの魅力もさほど引き出されてはいなかった。カメオ出演陣も目立たないし、現代に戻ってからの晴夫の境遇の変化(=未来の書換え)みたいなトコも「蛇足的にシーンを追加しろ」とまでは言わないから、せめて「エンディングに於ける静止映像群」なんかでもって、ちゃんと(我々の知りたいトコ)を描いて欲しかったものだ。例えば『WOOD JOB!(ウッジョブ!)/神去なあなあ日常』のエンドロールのように。
また、劇団ひとりってば「ホームレス(の方々)に対し妙なシンパシーを感じてる」のか“彼らはね、決して侮れない方々なんですよ”とでも「伝えたがってる」風を感じた。「ホームレス」と「人情コメディ」をくっ付けるその思考は、やはりチャップリン作品に影響されたモノやろか?
キャッチコピーが『笑いと、たぶん一粒の涙の物語』である本作だが、、涙はひと粒たりとこぼれず、笑いに対しても消化不良感の残されたワタシだった。
〜 こんなトコも 〜
・晴夫の自室にあったDVD群の主演女優「麻生希」は“ガチな女優さん”だった(⌒〜⌒ι)
・オネェマジシャン=澤田(柄本佑)を、ちょっとは劇中でやっつけて欲しかったんだが、、 何だか『涙そうそう(2006)』に於ける船越英一郎のような“勝ち逃げ”っぷりだった(・ω・)
・あの少年が“のぶきち”だったって解釈で良いんだろうか?
・スーパーで「80円引きセール開始」を待ちつつ、それを隠したがる主人公。いやいや、誰しも待ってますってば(=^_^=)
・地面に落ちたホットドッグのウインナーを、公園の水道で洗う主人公。確かにそれで「食べられはする」だろうけど、折角の味付けが洗い流されちゃったネ。。
・タイムスリップ直後、3人の小僧の持ってた新聞には「昭和48年10月5日(金曜)」とあったが、当日の朝刊だったのかどうかは(良く)分からない。
・500円硬貨は「何ですか、これ?」と店員に突っ込まれ使えなかったが(←流通前のため)、10円硬貨は問題なく使えた! しかし(デザインは同じでも)表記年号は大丈夫だったんやろか? 未来のだったら(流石に)使えないよねぇ(×_×)
・「パック牛乳:30円」「焼酎ハイボール:200円」「麦酒(ビール):290円」「ジュース:100円」「たい焼き:50円」なんてな表記があった。
・雷門ホールの出演芸人の名前が面白い。「イノブタ兄弟」「ヨセミテ・アレミテ」「ピーナッツさとし」などなど・・
・“ケンカマジック”ちぅ芸風は、実際にあるんやろか?
・本作に於ける重要なキーワード「胎盤剥離」は、男性も(既婚者であれば尚更の事)知っておかねばならない病状(症状)の1つだろう。
・悦子(柴咲コウ)のアパートは「台東区浅草8丁目11」との事だが、今はなき住所なんかな?
・『輝け! スター大合戦』の最終オーディション。日時&会場は分かってたし、結果を調べてみたいものだ(・ω・)
・浅田次郎センセイの描く物語より、更にライトタッチな世界感だった。
・現代の側のドラマは薄味だった。
・劇団ひとり、柴咲コウ共に「予想してたよりも薄め」な絡み方だった。
・風間杜夫が光ってた。『インスタント沼(2009)』と共に、同氏の俳優キャリアに於いて代表作と評される事だろう(ホンマか?)
・クライマックスのソロマジックより、冒頭の「何気ないマジックの数々」の方が凄かった!
・“起こった総てが白昼夢”ちぅ解釈もあるんやろか?
・もっと大胆に過去と現在とをリンクさせて欲しかったかも。
・「遺骨は※※」「テントは親父の住まい」と言う解釈で良いんやろか?
・「舞台から忽然と演者の消える展開」は良く分からん・・
・「2度目の霹靂」が良く分からなかった。落ちたのはやはり河川敷だったのか? それとも舞台の上空?
・「きっちり(生まれる)半年前に戻った」のは、誰の、どう言う調整(?)によるモノだろう?
・「カッコつけてる大泉」「調子こいてる大泉」を眺めてて、次第に「不愉快になって来る」のはどう言うワケだろう(⌒〜⌒ι) ←エエやんか!
・主人公のカードは「スペードの2」って事だったが“エエほう”なんやろか? ←ネットで意味を調べたら「不運」「移転」「死」って解釈が載ってたりも(・ω・)
~ こんなセリフも ~
晴夫『何時からかな? 自分が“特別”だと思わなくなったのは』
『昔は、自分が“エース”とか“キング”とか、
そう言う存在と思ってた』
「普通の人生を手に入れるのって、実は凄ぇ難しい」
「お客さんは“この辺”かな?」
「“タメ口”の方が喋り易いんで」
「何でこんなもん、大切に持ってんだよ」
「親父・・生きるって難しいな」
「毎日、惨めでさ」
「俺、何の為に生きてんだか、もうどうしたらいいか、
良く分かんなくなって来た」
「何で、俺なんか生きてんだよ」
「ちょっと迷っちゃったみたいで」
「戻る場所なんてないか・・
いや・・むしろ、戻りたくないです」
「ユリ・ゲラーが来て、ブームになる」
「何かえらい浮かれちゃって・・
やっと俺も“エース”とか“キング”とかに
なれるのかなって」
「帰るのもアレだしなぁ・・家って近いんですか?
行っちゃおうかなぁ・・帰るのもなあ・・
で、家って近いんですか?」
「開き直ってんじゃねぇぞ!」
「何してる? 何のつもり? 何で落とす?」
「お前は昔から何も変わらない」
「まるで自分が完璧みたいな言い方っすね」
「そんなんじゃ、駄目なんだよ。
そんなんじゃ、辻褄合わねぇんだよ!」
「このカードは1枚しかないんだから。
同じカードは存在しない」
「※※さんは、子供にとって“生きる理由”です」
「人生が“凄く愛おしいもの”に思えて・・
だから、※※さんは“生きる理由”です」
「そんな※さんの子供に生まれて来て良かった。
そう思ってます」
「ま、駄目は駄目なりにな」
ペペ「ナマステ~! 今日は“印度の奇跡”見せるよ」
「アレ、くたさい」
「こらんくたさい」
「今日は“印度の奇跡”お見せします」
「もっと強く引っ張って!」
正太郎「“悦子の代わり”ってどう言う事?」
「分かった! 分かった! 悪かったよ」
悦子「今日も空席を除けば“超満員”ね」
「私に何か話す事ない?」
「私の顔、見て」
「私に隠してる事、あるでしょ?」
「頑張って“本物の花”のフリをしている。
でも、奇麗ですよ。
自分なりに精一杯咲こうとしてて、
凄く奇麗です」
「見えますか? 私の未来」
「触ってみます? ほら」
「冷蔵庫のチョコレート、
勝手に食べちゃ駄目だよ」
澤田「TVに出たらいいのにね」
「普通だね・・マジック好きの学生?」
少年「マジシャンなの?」
「お前・・盗むなよ」
父「早くちゃんとしろ」
「警察が騙されてちゃ、世話ねぇよな」
支配人「下手なオチだねぇ」
「で、誰のとこでやって来た?
「よし。俺が面倒をみてやる」
「此処に住み込みゃいいさ」
「ここ浅草じゃ、手品師も玉乗りも、
『笑い取らざる者は喰うべからず』だ」
「名前は・・ペペで行くか」
「だってお前、印度人ってツラしてるじゃねぇか」
「鯨(げい)を喰って、芸を磨け!」
「笑われるんじゃなく、笑わせるんだよ。
お前たちのマジックで」
「ホールから(世界に)羽ばたけ」
※「本気でやってみ、ケンカ」
※「受けるよ、これは」
後輩「なかなかッスね」
晴夫「なかなかだろ?」
支配人「で、誰の所でやって来た?」
晴夫「・・誰も」
支配人「・・帰れ!」
晴夫「・・です」
支配人「他には?」
晴夫「・・こんな感じです」
支配人「もう1回、やってみろ」
晴夫「ユリ・ゲラーって知ってる?」
少年「由利徹じゃなくて?」
正太郎「警官の1000円を、500円にして返したのさ」
晴夫「それ、立派な罪人だろ」
晴夫「そんなだから、碌(ろく)な死に方しねぇんだよ!」
正太郎「死んでねぇよ!」
晴夫「死んでんだよ!」
正太郎「じゃあ、今の俺は何なんだよ!」
悦子「正ちゃん、迷惑かけてませんか?」
晴夫「既にこの状態が迷惑っつぅか」
正太郎「結局、大丈夫って事?」
医師「・・そう聞こえた?」
悦子「・・見えないんですか?」
晴夫「じゃあ、本当に“少しだけ”ですよ」
晴夫「もっとマシな嘘つけよ。
馬鹿にされるぞ」
正太郎「慣れっこだよ」
悦子「いっぱい叩いたね」
正太郎「これからも頼むわ」
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