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2015年1月18日 (日)

☆『記憶探偵と鍵のかかった少女(2013)』☆

ぼちぼちと過去の鑑賞記事をアップしてゆきます。

昨年の10月13日(月)。
ご近所のシネコン“MOViXあまがさき”で観たのは、ほどほどに期待値を高めつつ鑑賞に臨んだSF(すこしふしぎ)サスペンス作『記憶探偵と鍵のかかった少女』だった。
この日は3連休の最終日でもあり、また「台風19号」迫る中の「別な意味でリアルに緊張感高めつつ」のシネコン行だったと記憶している。

スペインを代表する映像作家ら(ペドロ・アルモドバル、ギレルモ・デル・トロ)に師事し映像を学んだと言う、ホルヘ・ドラドの監督デビュー作にして、マーク・ストロング主演最新作。

・・

FBIが1970年代から研究に着手したとされる超絶の捜査技術=“記憶探索”を軸(ネタ)にしたミステリー。
被害者や目撃者の記憶の中に潜入し、犯行現場に於ける彼らの視聴覚体験を観察出来る能力を持つ“記憶探偵”・・ その証言は「ポリグラフ(嘘発見器)以上、DNA鑑定以下」と言う、(微妙に)絶妙な証拠能力を有していた。

数多くの事件を解決に導いて来たベテラン記憶探偵=ジョン・ワシントン(マーク)は、2年前に妻を亡くして以来「記憶探索中に“別な記憶”が混入し発作を起こす」と言う(職業上)致命的なトラブルに幾度も見舞われ、現在は休職中だった。

そんな彼を「マインドスケープ社」の上司=セバスチャンが訪ね、簡単な仕事を要請する。
それは・・ニューヨーク郊外の「森の中の屋敷」に閉じこもる16歳の少女アナ・グリーン(タイッサ・ファーミガ)の記憶に潜入し、1週間前から続く彼女の摂食障害を治す、と言うものだった。

アナの記憶に潜り込み、その原因を探ろうとするジョン。しかし“そこ”で彼が垣間見たものは、現実に起きた事件ともリンクする、奇妙な謎を孕んだものだった・・

“MINDSCAPE(心象風景)”なる原題を持つ本作。
パッと思い付く限り『パプリカ(←筒井康隆氏による小説、アニメーション作(2006)は未見)』『ザ・セル(2000)』などをネタ的に連想する次第だが、観てて強く思い浮かんだのは『マイノリティ・リポート(2002)』だったワタシ。え? ちがう? でも似てるなぁ・・

マーク氏は「ありのままの」ナチュラル・ヘアスタイルで心に陰をたたえた主人公を好演してくれる。
私的には『シン・シティ(2005)』に於けるブルース・ウィリスのように(もうみんな、ご存じの事なんだろうけど)「それなりの髪型」で本作出演に臨んで欲しかった気がする。
どうにも、あのルックスに『キック・アス(2010)』のフランク・ダミーコのイメージが重なってしまい、観てて心がザワついたワケである(苦笑)

「ワクワクさせる、ミステリアスな映像&展開」を期待してたら、何の事はなく(?) ハードボイルドタッチな作品だったり。
まぁ、ここで言うハードボイルドのテイストとしては「ファム・ファタールなヒロインに翻弄される、孤独で心優しい中年探偵の転落劇」って要素だけなんだが。
どうせなら、時代設定をも少し古く描くか、もしくは「レトロな空気を漂わせる、年代不詳な世界観」に仕上げた方が、物語がより鮮烈に仕上がった気がしなくもない。

ヒロインを演じたタイッサ・ファーミガは、あのヴェラ・ファーミガの妹さん! 名前からして「娘さん」かと勘違いしてた(すんません)。因みに、お姉さんとは歳の差=21歳との事である。

確かに、あらすじなんかで多く語られるように「美少女」だとは思う彼女だけど、私的には余り好みのタイプではない。も少し「護ってあげたくなるタイプ」の女優さんだったら、更に感情移入も出来た事だろうけどなぁ・・

終盤まで姿を現さないのが、同僚の記憶探偵であるピーター・ランドグレン。ピーター・ラングレン(Lundgren)、ピーター・ラングドン(Langdon)などとうっかり読み間違えそうなキャラ名だが、そこは気を付けて貰いたい。

結局のトコ、悪い意味では「観客の想定内」だった本作。キャラ(≒キャスティング)の魅力で、その辺りを何とか(?)カヴァーして欲しかったトコだ。

〜 こんなトコも 〜

・NYの郊外ってば、あないに田舎なんか、、 雪も積もってるし、、
・『スリーピィ・ホロゥ(1999)』『エンゼル・ハート(1987)』『メメント(2000)』『リアル/完全なる首長竜の日(2013)』『インセプション(2010)』・・などの路線っぽくも。
・物語のほぼ総ては「挿れ子構造」だった?!
・過去に解決した事件(のエピソード)や、記憶探偵業界の詳細な成り立ち、描写などは・・バッサリとカットされてた。
・独自の雰囲気があり、(上映時間の)短いのは良いけど・・ねぇ。
・「もしヒッチコック監督が撮ったら」と言う仮定のもとに本作がリメイクされたら、ぜひ観てみたいトコである! そうなれば、主人公には「更なるおじさん俳優」がキャスティングされる事やろかね(例えばジョージ・クルーニーとか)。

~ こんなセリフも ~

ジョン「悪いね(Take care.)」
   「摂食障害? (娘から)ファッション誌を隠せ」
   「座ってもいいかな?」
   「今の質問に正解はない」
   「私の仕事は“人を記憶へ導く”事だ」
   「潜在意識は、(見せられたものが)記憶だと知ってる」
   「古い記憶ほど効果がある」
   「準備出来たら眼を閉じて」
   「さぁ・・戻るぞ」
   「記憶こそが“幸せな時間”だ」
   「無理な監禁は逆効果だ」
   「嘘だ(I don’t believe you.)」
   「記憶に導く」
   「人は時々、都合良く記憶を変える
   「寮の廊下にある時計の針が止まっていた」
   「誰だ?(Who’s there?)」
   「行く先は決めた?」
   「話す事で記憶を汚すな」
   “記憶は完全には信用出来ない。
    しかし記憶こそが、最後に寄って立つ
    「唯一の真実」なのだ”
   “真実だけがあなたを自由に出来る”

アナ「断酒会に遅れるわよ、ママ」
  「これで満足?(Better?)」
  「妻は夫の裏切りを疑いつつ、その不在を喜ぶものだわ」
  「奥さんの写真を見せて。
   “財布に入れて持ち歩くタイプ”でしょ?」
  「非難の半分以上は濡れ衣よ
  「人はみな死ぬの。死は自由よ」
  「(私の描いた絵は)家に帰ってから見るのよ」
  「飲酒は“悪魔の名刺”よ」
  「大人は子供の話を聞かず、
   意見を押し付けるだけ」
  「寝顔が可愛いわね」
  「芸術だって、最初は芸術だった
  「この鍵を預かって。“味方がいる”と思えるから」
  「ごめんね」

セバスチャン「いいんだ(Don’t forget about it.)」
      「良く考えろ(Open your eyes.)」
      「“簡単な仕事”の筈だった」
      「勘で動くのは止せ」
      「調査より記憶に集中しろ」

ランドグレン「我々の仕事に、目撃証言と同等の“重み”はない」

ジュディス「好きなのが仕事でないなら、仕事を好きに」
     「(私の)部屋に寄らないの? 断わるけど」
     「私の記憶を覗けば?」

オルテガ「記憶探偵? “金持ちにたかる連中”だろ」
    「あの家族に報いの来る事を望むよ」

アナ「(あなたの質問に)答える事の“見返り”は?」
ジョン「“自分への理解”さ」

ミシェル「あの娘は・・恵まれている」
ロバート「“別な言い方”をすれば・・呪われている」

ジョン「(君に)断わらせてあげようと思ってね」
ジュディス「入って」

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2015年1月 1日 (木)

☆明けましておめでとうございます☆

今年も1月1日の朝6時出発でクルマを走らせ、昨年(の元日)と全く同じ場所へと向かったワタシ。

そこは自宅から約25分の距離にある、尼崎市東海岸町(=尼崎港)の「初日の出撮影ポイント」である。

今年も空には雲が多く、寒風が容赦なく吹き、両耳は寒さでちぎれそうになり、空腹感(の高まり)にも泣かされそうになりつつ・・約30分ほど、東の空(の雲の上端)から太陽が顔を覗かせるのを待っていた。

三脚にセットしたデジイチ(Nikon D7000)とポケットの中にスマホ(iPhone6プラス)をスタンバイさせつつ、何枚か撮ってみた。

Newyear2015

お楽しみ頂けたら幸いである。

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☆“2014年のベスト・ムーヴィー”を発表!☆

鑑賞記事がまとめられぬままに何本も溜まってしまってるが・・
それに優先し、まずは「年が変わる前に」ベスト・ムーヴィー記事を(何とか)まとめてみた次第。
お楽しみくださいっ!

【2014年】

劇場鑑賞本数: 45本 (前年比 +4本)
リピート作品: なし(×_×)

 1位 ・・ 『LiFE!/ライフ』

 2位 ・・ 『グランド・プダペスト・ホテル』

 3位 ・・ 『超高速!参覲交代』

 4位 ・・ 『プリズナーズ』

 5位 ・・ 『イコライザー』

 6位 ・・ 『イントゥ・ザ・ストーム』

 7位 ・・ 『インターステラー』

 8位 ・・ 『Wood Job!(ウッジョブ)/神去なぁなぁ日常』

 9位 ・・ 『ラストベガス』

10位 ・・ 『キャプテン・フィリップス』

次 点 ・・ 『春を背負って』『ジャッジ!』『ニシノユキヒコの恋と冒険』

・・

今年も、昨年に続き「凡作が多かったなぁ」と痛感させられた1年だった。確かに「公開期間中に観逃した作品」も決して少なくはなかったが「食指を動かすに至らぬ作品」もまた多かったように思う。自身の中で「コイツは何としても観とかなきゃ!」アンテナが反応したとすれば、平日の夜にでも強引に出かけてたハズだろうし・・

『ライフ!』は「悲劇仕立てではないロードムーヴィー」とし、誰にでも「オススメし易い」点を評価した。ホントの所、1位に輝かせるにしては「弱い」部分も(確かに)あるんだろうけど。
『グランド・プダペスト・ホテル』は「映像美の勝利」だろうか。物語の出来としては、監督の独りよがりだしイマイチなんだけど、どのシーンを静止画にしても「ポストカード」に仕上げられるような、そんな映像美は(間違いなく)絶賛に価する。
『超高速!』はコメディとしての面白さとテンポの良さを評価したい。
『プリズナーズ』は「これまでに(余り)ない設定・展開とスリリングさ」を『イコライザー』は「シリーズ化も可能なヒーロー像のキャラ造形」を評価した。
同様に『イントゥ・ザ・ストーム』には群像劇の面白さを『インターステラー』には「トンデモ系SF(=^_^=)の新しい形」をみせて貰った気がする。
『ウッジョブ!』は「職業紹介ムーヴィー(=娯楽系PV)の素晴らしい完成形」だと感じたし『ラストベガス』は「シニア同窓会ムーヴィー」ならではの寛いだ雰囲気を楽しませて貰った。
『フィリップス』は、本来なら昨年に評価すべきだろうが・・良作だったので(今更ながらも)ここでランクインさせて貰った。
『ジャッジ!』『ニシノユキヒコ』は『超高速!』『ウッジョブ!』ほどの総合力こそなかったものの、邦画の佳作としてやはり推しておきたい。『春を背負って』もかなり良かった! 個人的にはすこぶる気に入ってるんだけど、総合的な判断でこのランクとした。

こんなこんなで2014年の鑑賞も終わったが、公開期間中の作品は、何とか年始にでも観ておきたいと考えている。例えば『フューリー』や『ベイマックス』などである。

ってなワケで、新年もまた「佳き作品」との出逢いを願いつつ・・

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