☆『マレフィセント』☆
7月13日(日曜)の夕刻。
ご近所のシネコン“MOViXあまがさき”にて観て来たのは、何だかスクリーンではお久しぶりな(?)感のある、アンジェリーナ“アンジィ姐さん”ジョリー主演最新作『マレフィセント』だった。
ジャンル的には「ダーク・ファンタジィ」っつぅ事で、物語のベースになっとるのは、同じく「ウォルト・カンパニー」謹製の古典アニメーション作『眠れる森の美女(1959)』なのだが・・ オリジナル版では「至って客観的に」描かれてた“悪の魔女”マレフィセントの存在に大きくスポットが当てられる事となり、それとは逆に“ヒーローキャラ(=本来「美味しい」キャラ)”であったハズの、フィリップ王子の立ち位置が大きく後退する事態となっている(×_×)
まぁ、それこそが・・いわゆる女子層を狙った「ウォルト社」の「イマドキ&したたかな新(?)戦略の一環」って事なのだろう(・ω・)
※
これは、昔々の物語。
敵対する2つの国家が隣り合って存在し、それぞれは「人間の国」「ムーア(妖精の国)」と呼ばれた。
“ムーアの守護者”とし、人間界の「度重なる侵略」を先頭に立ち喰い止め続けていたのが、大きな両翼をその背(せな)にたくわえた、美しき妖精=マレフィセントである。
だが、貪欲で嫉妬深い人間界の君主=ヘンリー王の密命(?)を受けた、ステファン青年の「裏切り」によって、彼女は唐突に、その美しい両翼を奪われてしまう。
そして、例えようのない悲しみを味わった事で、マレフィセントはその心を冷たく固め閉ざしてしまうのだった・・
・・
復讐に燃える彼女は、新たに国王となったステファンの、生まれたばかりの赤子=オーロラに「永遠に解けぬ呪い」をかける。それは「16歳の誕生日の日没前、糸車の針先で指を突いてしまう事により、オーロラが“2度と醒めぬ、死の眠り”に就く」と言う予言めいたものだった。
マレフィセントの呪いから逃れるべく、ステファン王の密命(?)で、城塞から遠く離れた森に隠れ暮し、3人の妖精(ノットグラス・シスルウィット・フリットル)に預けられ、育てられる事になった赤子のオーロラ。
やがて・・美しく育った彼女であったが“予言”された16歳の誕生日を翌日に控えたある日、とうとう自らにかけられた呪いと、それをかけた人物の正体を知らされる事となるのだった・・
※
非常に分かり易いハナシ(の展開)や、マレフィセントの立場に(視点を)置き換えての「みんなの知ってる物語」の超訳ぶり(?)が、新鮮でもあり、楽しかった本作。
その一方で、演出の幾つかが(その超訳っぷりの犠牲となってか)放置&崩壊しちゃってるトコもあり、そこは「ウォルト謹製」としては「そ、そのレベルの(仕上りの)脚本で良かったん?」と他人事ながら心配にもなってしまった(⌒〜⌒ι)
「ムーアの国の妖精たち」とか「ヘンリー王の側近&騎士団」「ステファン王の側近&騎士団」とか、もっと丁寧に描くべきトコがあったと思うんだけど、それらはまとめて割愛、、 もっとしっかりと見せて欲しかったトコやなぁ。あと、翼を取り戻してからの、大空を翔るマレフィセントの歓喜っぷりを表現するシーンとかもね。
ヘンリー王、ステファン王、フィリップ王子・・と主要な男性キャラはいずれも「華」を持たされておらず、最も前面に出てたのは、正体がカラスである青年=ディアヴァル。
そこそこにイケメンで、初登場シーンも“全裸+泥まみれ”と言う『ロック・ユー!(2001)』に於けるポール・ベタニーなんかを思い出させてくれるサービスカット(なの?)なんだが・・結局は「女主人(マレフィセント)の下僕」みたいな立場から脱するワケでなく、終始“クスんだ立ち位置”だった。。
ステファン王をあそこまで「狂気&極悪なキャラ」に仕上げるのも“お約束”としては良いんだろうけど、私的には「マレフィセントの思惑とは別に、裏で色々と画策してたディアヴァル」みたいなキャラ造型を組んでくれたら、それはそれで見応えが増したような気がする。
ちょっとダークな味付けでも施しとかないと「フィリップ王子以上に前に出ちゃう男子キャラ」ともなってしまうもんで。
オリジナル版『眠れる森の美女』の「最大の見せ場」とし「終盤で、マレフィセントがドラゴンに化け、フィリップ王子と一騎討ちする!」ってシーンが控えてるワケなんだが・・今回は「マレフィセントに魔法をかけられたディアヴァルがドラゴンに変身する」「ドラゴンはフィリップ王子と戦わない」ってな仕上りになっており、そこはどうにも消化不良だった(×_×)
って言うか、イマドキ「画面にドラゴンがど〜ん! と登場」しても、さほど驚きもないしねぇ、、 これが『ドラゴンハート(1996)』辺りの時代だったら、さぞ興奮しまくりだったんだろうけど(・ω・)
本来「コメディリリーフ役」であるべき、あの3妖精の言動も妙にムカつくだけだったなぁ。アレなら、代わりに「魔法の師匠キャラ」とか「剣技の師匠キャラ」を配し(例・・『風の谷のナウシカ(1984)』に於けるユパ翁)、幼いオーロラ姫に対しての「特訓シーン」なんかを挿入して貰ってた方が、よほど見応えがあったかも(・ω・)
全体的に、登場人物の造型をもっと「丁寧に」「分厚く」描いて欲しかったモノである、、
〜 こんなトコも 〜
・アンジィ姐さんの頬骨の“痩(こ)けっぷり”がちと異常な感じだった。大丈夫なのでしょうか?!
・ディアヴァル役を演じたのはサム・ライリー。サム・ライミやサム・リーと響きが似てるが別のしとです。因みに、ご尊顔はちょっとブレンダン・フレイザー入ってる感じやと思います。
・ステファン王を演じたのはシャールト・コプリー! あの“ヴィカスおじさん”だったとは! 最期は城壁から転落して行ってたが・・更に『エリジウム(2013)』のクルーガーばりに「転落+爆散」して欲しかったかも(おい!)
・CG満載なファンタジィ映像のどこを眺めても『アバター(2009)』以降の映像なんやな〜 って事に気付かされる(=^_^=)
・この調子で、男女を逆転させた『ジュリエット&ロミオ』『オペラ座の怪女』などの企画を次々と実現させて貰いたい。
・中盤で病死してしまう王妃様。キャラ造型としては「皆無」に等しかった・・ひっでぇ(×_×)
・『アリス・イン・ワンダーランド(2010)』同様に「映像こそ、そこそこ鮮烈だったけど・・きっと記憶には残んないだろうな」ってな作品感ではある(=^_^=)
・“悪の魔女”にも背景があった! ってのは、ネタとしてはミュージカル作『ウィキッド(2003)』の二番煎じなんやろか?
・ステファン少年の投げ棄てた「(鉄製の)指環」が後々の“フリ”になると思ってたが・・
・「両翼を切り取られる程の痛み」でも目覚めない睡眠薬・・ってどんだけ強力やねん! 糸車の針先に塗られてた(?)のと同じ成分だったんやろか?
・妖精の王国の「まとまりのなさ」がちょびっと気になる(・ω・)
・国中から集めた糸車ってば、城内に隠しとくんじゃなく、どっか辺境にでも棄てに行っとけば良いのに。。
・「かけた当人にすら解けない呪い」ってば、考えたらオッソロしいね(×_×)
・ステファン王に酷使されてた国中の鍛冶職人・・ 鉄の武器を造らせてたんかな(因みに、ボウガンの既に存在する時代だった)?
・劇中での「Castle(城)」の発音は「カーソル」に近かった。“Cursor”との響きの違いが分かんねぇ(×_×)
・城へと急ぐマレフィセント。それなら「馬」でなく「巨鳥」に化けさせたら良かったんでは?
・戦闘シーンのマレフィセントは、誰もが思うように、まんま「キャットウーマン」だった! これがふた昔(?)も前の企画だったら、ステファン王=マイケル・キートン、マレフィセント=ミシェル・ファイファーで演って欲しかったな。
・マレフィセントには「連続バック転」で王のそばまで来て貰い、背後で建物を唐突に爆発(=^_^=)させて欲しかった。ミャオ!
・「美しいヒロイン」であるハズのオーロラ姫なんだけど・・エル・ファニングを眺めてて「う〜ん」と正直、感じてしまった。まだしも、少女時代のマレフィセントを演じてた女の子の方が、可愛かったような気がしたぞ、、
・改めて『ドラゴンハート』を観直してみたくなった(=^_^=) 当時は「LD(レーザーディスク)」版のソフトを買ったんだよなぁ。
・ステファン青年に対しての「宝石よりもはるかに高価な、妖精の心を盗んでしまった少年」ってなナレーションを耳にして、どうにも『ルパン3世/カリオストロの城(1979)』の終盤に於ける銭形警部のセリフを思い出してしまったワタシ(=^_^=)
~ こんなセリフも ~
マレフィセント「出て来て(Come out.)」
「盗みは悪い事だけど、殺したりしないから」
「棄てたんじゃないわ。
“それがあるべき所”に戻しただけ」
「引き返すがいい!」
「お前は“私の王”ではない」
「共に戦え!(Rise and Stand with me!)」
「思い知れ!」
「カラスよ、男になれ!」
「我が翼となりなさい」
「玉座が欲しくて、私の翼を奪ったのね!」
「おやおや(Well,Well..)」
「とんでもない(Why not.)」
「可哀想なぐらい醜いわね」
「醜い子は大嫌い」
「あれじゃ“飢え死に”するわ」
「もう行きなさい(Go away.)」
「どうしてやろうか・・(I wonder..)」
「お休み・・“モンスター”さん」
「呪いよ、消えろ・・これっきりに」
「この世には“悪”がある。
私はあなたを護り切れない」
「“真実の愛”など存在しない」
「馬が必要ね」
「・・遅かった」
「来なくていいわ。
これは“私の戦い”だから」
「愛は天から降っては来ないわ」
「“真実の愛”なんてないの(I told you.)」
「赦しは請わない・・赦される事じゃない」
「憎しみと復讐心で心が曇っていた」
「生きる限り“あなたを護る”と誓うわ」
「ドラゴンになれ!」
オーロラ「あなたは“妖精のゴッドマザー”よね」
「何処へ行こうと、いつも
“見護る気配”を感じていたの」
「・・話す事があるの」
「両親は死んだ筈では?」
「止めて!(Enough!)」
ステファン「お前は“招かれざる客”だ」
「静かに・・余が“会話をしている”のが
お前には分からぬか」
「射よ!(Shoot her!)」
ディアヴァル「“運命の人”だ(That boy is the answer.)」
フィリップ「父が“王に逢え”と」
「こんな美女は初めてだ」
3妖精「近付かないで!(Stay away!)」
「これからは飛ぶのも禁止。魔法も封印よ」
「ズルしたわね!(You Cheating!)」
「当日!(on!)」
「翌日!(after!)」
「(あんたはキスが)下手くそなのよ!」
「私達の16年も犠牲になって・・
・・いえ、何でも」
ディアヴァル「犬(に化ける)なんてごめんだ」 ←狼ですが、、
マレフィセント「“何でも従う”と」
オーロラ「妖精には皆、翼があるの?」
マレフィセント「・・大半はね」
オーロラ「帰りもこの道を?」
フィリップ「もちろん」
オーロラ「ではまた、すぐに逢えるわね」
フィリップ「すぐにね」
| 固定リンク
コメント
女性主体という傾向はアナ雪の大ヒットから目立ってきましたね(笑)
>男女を逆転させた『ジュリエット&ロミオ』『オペラ座の怪女』などの企画
それ絶対に観たい映画となりそうです(笑)
こうなったら過去の名作、一気に逆転リメイクとかいって
セス・マクファーレン監督辺りに先陣を切ってもらいたいです^^;
投稿: ituka | 2014年8月 3日 (日) 19時17分
itukaさん、ばんはです。
台風のおかげで家にこもりがちになってました(×_×)
※この時期『イントゥ・ザ・ストーム』のCMを流すのはどうかな〜とか(TVを観ながら)思いましたが。。
>女性主体という傾向はアナ雪の大ヒットから
>目立ってきましたね(笑)
ギブリの新作『マーニー』からも、パッと見「GL(ガールズラヴ)」な雰囲気を濃厚に感じますし・・(⌒〜⌒ι)
>それ絶対に観たい映画となりそうです(笑)
>こうなったら過去の名作、一気に逆転リメイク
>とかいってセス・マクファーレン監督辺りに
>先陣を切ってもらいたいです^^;
ネタはゴロゴロと転がってますよね。
邦画でも、またぞろ『幕末純情伝』なんかがリメイクされたりして(=^_^=)
投稿: TiM3 | 2014年8月11日 (月) 02時00分