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2014年6月21日 (土)

☆『青天の霹靂(せいてんのへきれき)』☆

5月25日(日曜)の夜、ご近所のシネコン“MOViXあまがさき”で鑑賞したのは、劇団ひとりの同名小説を原作とする『青天の霹靂(せいてんのへきれき)』だった。

原作(小説)そのものは「2010年刊行」との事だが、劇団ひとりとし「2作目の書き下ろし作品」であると共に「前作『陰日向に咲く(2008)←原作(小説)は2006年刊行』に続く映像化」であり、今回は「“初”監督+脚本+出演」を全部やっちゃってて、そこは確かにスゴい才能であり、類稀(たぐいまれ)なる幸運やなぁ〜と感心せざるを得ない。

バラエティ番組での劇団ひとりの“スゴさ”を(未だに)良く分かってないワタシなモノで、、俳優としての彼の演技(言動)を眺めるに『嫌われ松子の一生(2006)』にせよ『ゴールデンスランバー(2010)』にせよ『8日目の蝉(2011)』にせよ『麒麟の翼(2012)』にせよ「イマイチ弾けてないなぁ」と残念に思ってもしまうワケだが、それはそれできっと「定評のある、彼ならではの“キャラ造型”なんだろうかな」と解釈する事としたい(・ω・)

でもいつか、ドタバタでメチャクチャなアクションコメディを執筆+監督+主演してみて下さい(⌒〜⌒ι)

轟(とどろき)晴夫(大泉洋)は30代後半の平凡な男。学歴も稼ぎもなく、凍える夜に肌を温め合う(?)ような恋人もいない。

かつて「一流マジシャン」を目指した彼であるも、結局は(芸歴20年の)才能が陽の眼を見るワケでなく、今は東京の片隅にあるマジックバー「のぶきち」で酔客を相手にテーブルマジックを淡々と披露している日々・・

自宅アパート「正緑荘」(?)の水漏れで、部屋が水浸しになったりもし、淡々と落ち込む中、荒川東警察署から「あなたの父親である轟正太郎さんが亡くなったので、遺骨を引取りに来て貰いたい」と電話連絡を受ける。

長年、音信不通だった父は、(鉄道の)高架下でテント暮しを続けており、先日に界隈の河川敷で脳溢血により急死してしまったのだった。

父親の“余りにあっけない死”を唐突に突き付けられ、自身の現在置かれた境遇にも情けなさを感じ、川縁で立ち尽くし落涙する晴夫。

そこにピンポイントな白昼の落雷があり、直撃を受けた彼はその場に倒れ込むのだった・・

・・

眼を覚ました晴夫は、何故か“昭和48年(1973年)10月”の同じ場所(河原)にいた。

浅草に向かった彼は、やがてそこで若き日の父母(劇団ひとり、柴咲コウ)に出逢い、自身の出生にまつわる秘密を知る事となる・・

ジャンルとして「タイムスリップもの」に分類されよう本作だが、科学的な考察なんかには(意図的に)全く触れられず「何で?」と疑問を覚える前に、ストーリーがハイペースで展開するため、何となく誤摩化されてしまったワタシである(⌒〜⌒ι) ←本作そのものが「絶妙なマジックのテイスト」を有してたり(=^_^=)

約96分と言う「しんどくなって来ない上映時間」に、ゆったりテンポなドラマを練り込んでるのだが、私的にはどうにも『地下鉄(メトロ)に乗って(2006)』『異人たちとの夏(1988)』を連想させられっぱなしだった。って言うか、本作を観た「ある程度シニアな観客層」ってば、誰もがこれらの作品を連想するんじゃなかろうか?

思いっきりのコメディを期待してたら、さほどでもなく、中でも劇団ひとり演じる轟正太郎なる人物の「劇中で一貫してのやる気のなさ、駄目っぷり」が本作の印象を“残念なもの”に変えてる気がした。いや別に「劇団ひとりがミスキャスト」と言うワケじゃないんだが、もうちょっと気合を入れて「観客を笑わせにかかる“父子共演のマジック&コント”」をたっぷり拝見したかったのである。そちらこそが優先されるワケで、大泉洋による「クライマックスのソロマジックシーン」なんぞは、もっと尺を詰めても良かったぐらいに感じた。

(折角の)過去世界の「広がり」なんかも余りなかったし、柴咲コウの魅力もさほど引き出されてはいなかった。カメオ出演陣も目立たないし、現代に戻ってからの晴夫の境遇の変化(=未来の書換え)みたいなトコも「蛇足的にシーンを追加しろ」とまでは言わないから、せめて「エンディングに於ける静止映像群」なんかでもって、ちゃんと(我々の知りたいトコ)を描いて欲しかったものだ。例えば『WOOD JOB!(ウッジョブ!)/神去なあなあ日常』のエンドロールのように。

また、劇団ひとりってば「ホームレス(の方々)に対し妙なシンパシーを感じてる」のか“彼らはね、決して侮れない方々なんですよ”とでも「伝えたがってる」風を感じた。「ホームレス」と「人情コメディ」をくっ付けるその思考は、やはりチャップリン作品に影響されたモノやろか?

キャッチコピーが『笑いと、たぶん一粒の涙の物語』である本作だが、、涙はひと粒たりとこぼれず、笑いに対しても消化不良感の残されたワタシだった。

〜 こんなトコも 〜

・晴夫の自室にあったDVD群の主演女優「麻生希」は“ガチな女優さん”だった(⌒〜⌒ι)
・オネェマジシャン=澤田(柄本佑)を、ちょっとは劇中でやっつけて欲しかったんだが、、 何だか『涙そうそう(2006)』に於ける船越英一郎のような“勝ち逃げ”っぷりだった(・ω・)
・あの少年が“のぶきち”だったって解釈で良いんだろうか?
・スーパーで「80円引きセール開始」を待ちつつ、それを隠したがる主人公。いやいや、誰しも待ってますってば(=^_^=)
・地面に落ちたホットドッグのウインナーを、公園の水道で洗う主人公。確かにそれで「食べられはする」だろうけど、折角の味付けが洗い流されちゃったネ。。
・タイムスリップ直後、3人の小僧の持ってた新聞には「昭和48年10月5日(金曜)」とあったが、当日の朝刊だったのかどうかは(良く)分からない。
・500円硬貨は「何ですか、これ?」と店員に突っ込まれ使えなかったが(←流通前のため)、10円硬貨は問題なく使えた! しかし(デザインは同じでも)表記年号は大丈夫だったんやろか? 未来のだったら(流石に)使えないよねぇ(×_×)
・「パック牛乳:30円」「焼酎ハイボール:200円」「麦酒(ビール):290円」「ジュース:100円」「たい焼き:50円」なんてな表記があった。
・雷門ホールの出演芸人の名前が面白い。「イノブタ兄弟」「ヨセミテ・アレミテ」「ピーナッツさとし」などなど・・
・“ケンカマジック”ちぅ芸風は、実際にあるんやろか?
・本作に於ける重要なキーワード「胎盤剥離」は、男性も(既婚者であれば尚更の事)知っておかねばならない病状(症状)の1つだろう。
・悦子(柴咲コウ)のアパートは「台東区浅草8丁目11」との事だが、今はなき住所なんかな?
・『輝け! スター大合戦』の最終オーディション。日時&会場は分かってたし、結果を調べてみたいものだ(・ω・)
・浅田次郎センセイの描く物語より、更にライトタッチな世界感だった。
・現代の側のドラマは薄味だった。
・劇団ひとり、柴咲コウ共に「予想してたよりも薄め」な絡み方だった。
・風間杜夫が光ってた。『インスタント沼(2009)』と共に、同氏の俳優キャリアに於いて代表作と評される事だろう(ホンマか?)
・クライマックスのソロマジックより、冒頭の「何気ないマジックの数々」の方が凄かった!
・“起こった総てが白昼夢”ちぅ解釈もあるんやろか?
・もっと大胆に過去と現在とをリンクさせて欲しかったかも。
・「遺骨は※※」「テントは親父の住まい」と言う解釈で良いんやろか?
・「舞台から忽然と演者の消える展開」は良く分からん・・
・「2度目の霹靂」が良く分からなかった。落ちたのはやはり河川敷だったのか? それとも舞台の上空?
・「きっちり(生まれる)半年前に戻った」のは、誰の、どう言う調整(?)によるモノだろう?
・「カッコつけてる大泉」「調子こいてる大泉」を眺めてて、次第に「不愉快になって来る」のはどう言うワケだろう(⌒〜⌒ι) ←エエやんか!
・主人公のカードは「スペードの2」って事だったが“エエほう”なんやろか? ←ネットで意味を調べたら「不運」「移転」「死」って解釈が載ってたりも(・ω・)

~ こんなセリフも ~

晴夫『何時からかな? 自分が“特別”だと思わなくなったのは』
  『昔は、自分が“エース”とか“キング”とか、
   そう言う存在と思ってた』
  「普通の人生を手に入れるのって、実は凄ぇ難しい」
  「お客さんは“この辺”かな?」
  「“タメ口”の方が喋り易いんで」
  「何でこんなもん、大切に持ってんだよ」
  「親父・・生きるって難しいな」
  「毎日、惨めでさ」
  「俺、何の為に生きてんだか、もうどうしたらいいか、
   良く分かんなくなって来た」
  「何で、俺なんか生きてんだよ」
  「ちょっと迷っちゃったみたいで」
  「戻る場所なんてないか・・
   いや・・むしろ、戻りたくないです」
  「ユリ・ゲラーが来て、ブームになる」
  「何かえらい浮かれちゃって・・
   やっと俺も“エース”とか“キング”とかに
   なれるのかなって」
  「帰るのもアレだしなぁ・・家って近いんですか?
   行っちゃおうかなぁ・・帰るのもなあ・・
   で、家って近いんですか?」
  「開き直ってんじゃねぇぞ!」
  「何してる? 何のつもり? 何で落とす?」
  「お前は昔から何も変わらない」
  「まるで自分が完璧みたいな言い方っすね」
  「そんなんじゃ、駄目なんだよ。
   そんなんじゃ、辻褄合わねぇんだよ!」
  「このカードは1枚しかないんだから。
   同じカードは存在しない」
  「※※さんは、子供にとって“生きる理由”です」
  「人生が“凄く愛おしいもの”に思えて・・
   だから、※※さんは“生きる理由”です」
  「そんな※さんの子供に生まれて来て良かった。
   そう思ってます」
  「ま、駄目は駄目なりにな

ペペ「ナマステ~! 今日は“印度の奇跡”見せるよ」
  「アレ、くたさい」
  「こらんくたさい」
  「今日は“印度の奇跡”お見せします」
  「もっと強く引っ張って!」

正太郎「“悦子の代わり”ってどう言う事?」
   「分かった! 分かった! 悪かったよ」  

悦子「今日も空席を除けば“超満員”ね
  「私に何か話す事ない?」
  「私の顔、見て」
  「私に隠してる事、あるでしょ?」
  「頑張って“本物の花”のフリをしている。
   でも、奇麗ですよ。
   自分なりに精一杯咲こうとしてて、
   凄く奇麗です」
  「見えますか? 私の未来」
  「触ってみます? ほら」
  「冷蔵庫のチョコレート、
   勝手に食べちゃ駄目だよ」

澤田「TVに出たらいいのにね」
  「普通だね・・マジック好きの学生?」

少年「マジシャンなの?」
  「お前・・盗むなよ

父「早くちゃんとしろ」
 「警察が騙されてちゃ、世話ねぇよな」

支配人「下手なオチだねぇ」
   「で、誰のとこでやって来た? 
   「よし。俺が面倒をみてやる」
   「此処に住み込みゃいいさ」
   「ここ浅草じゃ、手品師も玉乗りも、
    『笑い取らざる者は喰うべからず』だ」
   「名前は・・ペペで行くか」
   「だってお前、印度人ってツラしてるじゃねぇか」
   「鯨(げい)を喰って、芸を磨け!」
   「笑われるんじゃなく、笑わせるんだよ。
    お前たちのマジックで」
   「ホールから(世界に)羽ばたけ」

※「本気でやってみ、ケンカ」
※「受けるよ、これは」

後輩「なかなかッスね」
晴夫「なかなかだろ?」

支配人「で、誰の所でやって来た?」
晴夫「・・誰も」
支配人「・・帰れ!」

晴夫「・・です」
支配人「他には?」

晴夫「・・こんな感じです」
支配人「もう1回、やってみろ」

晴夫「ユリ・ゲラーって知ってる?」
少年「由利徹じゃなくて?」

正太郎「警官の1000円を、500円にして返したのさ」
晴夫「それ、立派な罪人だろ」

晴夫「そんなだから、碌(ろく)な死に方しねぇんだよ!」
正太郎「死んでねぇよ!」
晴夫「死んでんだよ!
正太郎「じゃあ、今の俺は何なんだよ!

悦子「正ちゃん、迷惑かけてませんか?」
晴夫「既にこの状態が迷惑っつぅか」

正太郎「結局、大丈夫って事?」
医師「・・そう聞こえた?

悦子「・・見えないんですか?」
晴夫「じゃあ、本当に“少しだけ”ですよ」

晴夫「もっとマシな嘘つけよ。
   馬鹿にされるぞ」
正太郎「慣れっこだよ

悦子「いっぱい叩いたね」
正太郎「これからも頼むわ

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コメント

劇団ひとりさん、私も今一つバラエティでの面白さがよく分からない一人(私が)ではあります。
でも真面目な人(気持ち的に)なんだろうなぁっていう感じはします。
そういう意味で、TiM3さんが「いつか、ドタバタでメチャクチャなアクションコメディを・・・と書いていらっしゃるのは何となく分かる気がしました。TiM3さんはまた違う意味で書かれたことと思うのですが。

大泉さん、(私的に)徐々に高感度が上って来てる男優さんなので大泉さん見たさでいつの日かの課題作リストに入れました。(*^_^*)

投稿: ぺろんぱ | 2014年6月24日 (火) 06時34分

ぺろんぱさん、ばんはです。
お早いですね(⌒〜⌒ι) 平日早朝のブログチェックだけは・・ムリです(×_×)

>劇団ひとりさん、私も今一つバラエティでの面白さが
>よく分からない一人(私が)ではあります。
>でも真面目な人(気持ち的に)なんだろうなぁっていう感じはします。

ニックネームが「ゲゲゾッゾ」と仰るそうなので、それに相応しい芸人となっていかはるのか、見届けてゆきたいものです。 ←それ、ネタだってば

>そういう意味で、TiM3さんが「いつか、ドタバタでメチャクチャな
>アクションコメディを・・・と書いていらっしゃるのは
>何となく分かる気がしました。
>TiM3さんはまた違う意味で書かれたことと思うのですが。

他意はありませぇん(⌒〜⌒ι)

>大泉さん、(私的に)徐々に高感度が上って来てる男優さんなので
>大泉さん見たさでいつの日かの課題作リストに入れました。(*^_^*)

やっぱり万人におススメしたいのは『しあわせのパン』でしょうかね。
「ねずみ男」しか知らない方々にも、ぜひご覧いただきたいっ!(=^_^=)

投稿: TiM3(管理人) | 2014年6月26日 (木) 01時06分

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