☆『ブルージャスミン(2013)』☆
5月10日(土曜)の夜。ご近所のシネコン“MOViXあまがさき”で観たのは、ウッディ・アレンが監督&脚本を手がけた『ブルージャスミン』だった。
ときに・・ウィキ(Wikipedia)の記載では、本作ってば「コメディ・ドラマ」と解説されとるが、、「笑える作品か?」と問われると「決してそうではあるまい? いや、ない!」と答えるであろうワタシ(・ω・)
因みに、本作に於ける演技が評価され、ケイト・ブランシェットは「第86回アカデミー賞」で見事「主演女優賞」を獲得している。
ほんでもって、彼女にとっては『アビエイター(2004)』での「助演女優賞」に続く、2本目の“オスカー像”ゲット(・ω・) ←んでも、私的には『ヴェロニカ・ゲリン(2003)』で放ってた彼女の演技&存在感が最も印象的だったと評したい。。
※
ニューヨークで裕福に暮らしていたジャスミン(本名:ジャネット)・フランシス(ケイト)が、サンフランシスコの空港に降り立つ。妹=ジンジャーの住まいに「居候」するためである。
かつては「マンハッタン屈指のセレブ」とし、何1ツ不自由なき生活を満喫して来たジャスミンだが・・夫=ハロルド(愛称:ハル、演:アレック・ボールドウィン)を巡る「とある事件」の影響で破産してしまい、これから先は“貧しい暮らし”を受容しなければならないのだった。
しかし、未だ「セレブ気分」の抜け切らないジャスミンは、ジンジャーやその家族と絶えず衝突し、新しい仕事にもなかなか馴染む事が出来ないでいる。
ギクシャクした関係がエスカレートして行く中、ジャスミン夫妻がジンジャー夫妻にもたらした“容易には赦されざる損害”が次第に明らかにされてゆく。
そしてまた、ジャスミンと言う女性の“心の蒼い闇”もまた、炙り出されてゆく事となる・・
※
一見、サンフランシスコの街に落ち延びて来たヒロイン=ジャスミンが「人生の再起をかけ、奮闘する“ハートウォーム&ビターテイスト”な物語」なのかと思いきや、、主人公に対して「共感」したり「応援」したくなる気持ちが少しも湧いて来ず、どちらかと言えば「“巨匠の手がけたロマンティック・コメディ”を楽しむつもりで期待値を高めて来てしまったが故に、失望感もまた大きかった」と言うのが、観終わっての本音だろうか(・ω・)
「ルイ・ヴィトン」「シャトー・マルゴー」「ベントレー」・・と言った“セレブ御用達(?)の華やかなアイテム群”がセリフの中に幾つも登場するが、、物語の“背景”や、次第に明らかとなって行く“真相”を知らされるにつけ「どんどん虚しく響いてしまう」のはどう言う事だろう。
終いには、ジャスミンと言う人間そのものに対する印象が「言動の総てが“虚栄心”に支配され、固められた、不愉快なだけの存在」に変わって行ったり。
終盤に於いて「いよいよ“社交界に返り咲くチャンス”を掴むか?!」と思わせる、正にその瞬間・・“最高のタイミングでの、最悪の展開”に見舞われる彼女だが・・ 「運がなかったね、可哀想に」と同情する気持ち以上に「まぁそりゃ、アレだけの事をしたんだし、仕方ないよね」と感じてしまった(・ω・)
「した罪」に対する“報い(=罰)”は必然(?)受けるものだろうし、“報い”を受けて貰わなければ、被害に打ちのめされた者は、それこそ報われないワケである。
ただ、そんな「究極の運の悪さ」に対し「有り得ない偶然やろ!」とすかさず突っ込ませないだけの「演出力」に関しては「流石は巨匠=アレン監督やなぁ〜」と貫禄(したたかさ?)を見せつけてくれた。
以前の良作『ミッドナイト・イン・パリ(2011)』に比べると、グッと「おススメ度」は下がってしまうが・・ケイト・ブランシェット主演作としては、彼女の女優人生を語る上で“欠かせぬ1作”とはなるのだろう。
まぁ“オスカー”に相応しかったのかどうかは「正直、微妙」に思えたワタシだが・・(⌒〜⌒ι)
〜 こんなトコも 〜
・戯曲『欲望という名の電車』との類似性に関して「も」ウィキに記載があるが・・確かに設定は似通っとる!(=^_^=)
・『シャドー(1994)』の冒頭を思わせる、アレックさんのワルぶりが光る!
・「さして脈絡もなく“現在”と“過去”が解説字幕すら出ずに混在し、描かれる物語」は、老匠だからこそ赦された「問答無用なテイストの作品世界」と言えるのかも知んない(⌒〜⌒ι)
・男も女も一癖ある“ロクデナシばかりの世界”とも言えた。
・主人公は「(終盤で)ぶっ壊れた」と言うより「(作品開始以前から)ぶっ壊れてた」ように思われる。
・「過去の記憶をただ反芻し、今は無き虚栄にすがる生活」と言うのも哀し過ぎる(×_×)
・豪華なブランドをその身にまとっても“中身”は空虚(うつろ)なまま・・と言う事もあるのだろう。
・「ノーメイクなシーンも含め、狂女役を赤裸々に演じ切る」と言う挑戦が「吉」と(結果的に)出たのだろう。
・“最高の瞬間”にこそ“最悪の瞬間”が、音もなく忍び寄るモノなのだろう。
・「ヘタレ男性キャラ陣」と「肉食女性キャラ陣」の共演(激突?)は、イマドキな印象。
・主人公姉妹は「不幸(災難)を引き寄せる女たち」とも言えた。
・姉妹と恋仲となる男性らは、いずれも“何処か問題ある”ようだった。詳細まで(踏み込んで)は描かれなかったが。
・「どうしてバレたのか(=誰がバラしたのか)」「息子との確執の真相」が終盤の大ネタだった。
・「身の丈に見合った幸福」とは、一体何処にあるんだろう?
・「別撮り、別シーン、カットバック」のような“対話シーン”が面白かった。
・「依存し続ける」のか「自立する」のか、結局は答えの出せないままだった主人公。
・全世界の「ジャネットさん」を敵に回しはしなかったか? アレン監督(=^_^=)
・“あいつ”の悪党としての“心の強さ”は『ウルフ・オヴ・ウォールストリート』の主人公なんかとは比べ物にならなかった(×_×)
・ジャスミンの「瞳の蒼さ」をこそ、強調して描写して欲しかった。
・ラスト、ベンチの隣にトム・ハンクス(それも青年期)が座ってて「チョコレート食べる?」とか勧めて欲しかった(=^_^=)
・ジャスミンの好むカクテル「ウォッカティーニ」は、つまり「ウォッカ・マティーニ」の事だそうだ。
〜 こんなセリフも 〜
ジャスミン「ハルは“理想の夫”だったの」
「夫は何もかも“ダイナミック”だったの。
セ※クスもね・・詳細は言わないけど」
「この私を甘やかす気なの?」
「“ジャネット”なんて名前、平凡だわ」
「ジャスミンよ。名前を変えたの」
「何にだって、すぐサインするわ。
夫を信じてるから」
「今の私には“ここ”しかないの」
「グラフもヴァンクリーフも“買う時”は高額なの」
「気の重い5日間だわ」
「皆、誤解してるけど・・首を吊ると
首の骨が折れるの。ポキッといくのよ」
「受付係なんてごめんだわ」
「“ヨガ”を思い出すのよ」
「“たかがカネ、されどカネ”だわ」
「全く、誰と寝りゃ“ウォッカティーニ”が呑めるのよ!」
「そのお愉しみを削ぐ事なく、
(TVの)音量を下げるのは可能かしら?」
「訴える? もう裁判なんかこりごりだわ」
「ジャスミンは“夜に咲く花”なの」
「駄目よ。直ぐに(電話)を取ったら、
“待ってた”みたいに思われる」
「パーティこそ、私の得意分野よ」
「“最高の恋”と出逢った時は、ピンと来るの」
「人はそう強くないわ」
「“エジソンの治療”・・つまり電気を使うの」
「この匂いは? 香水の瓶でも割ったの?」
「いつもそうなのよ! いつも!」
「“このため”に人生を棄てたの? 中古楽器を売るために」
「こんな屈辱ってないわ」
「私を棄てるなんて、絶対に赦せない!」
「私、ここで何をしてるの?」
「“出世を助ける女”でなきゃ」
「世の中、危険だらけね」
「彼が何をしてるかは知ってるわ・・トボけないで」
ハル「儲けは分かち合わなければ」
「まずは、如何に“50%の課税”を免れるかだ」
「“仕事人間”にしちゃ、いい趣味だろ?」
「富を得るのは、少しも恥じゃない」
「この僕に任せてくれ」
「ちゃんと(君を)甘やかすから、心配しないで」
「話を作るな(Don’t build a case.)」
「今回は違う! 真剣なんだ」
ジンジャー「1万ドルまではコツコツ貯めてたわ」
「彼はセクシーよ。(誰かみたいに)泥棒でもないし」
「断わらなかったのは、
あなたの誘い方がスマートだったからよ」
「エレンにバレたって? エレンって誰?」
「“失いかけた”のは私の方よ」
ダニー「過去は過去だが、僕はもう逢いたくない」
チリ「看護師は“床上手”と言うぜ」
「俺は“セレブ様”じゃねぇが、人様のカネも盗まねぇ」
「カッとなったけど、抑えたぜ」
「この俺に棄てられたいか?」
アル「俺の事を“彼氏”に言わないで呉れよ」
「こう言うスローなリズムがカギなのさ」
エディ「今度“アルカトラズ島”の見学ツアーに行こうぜ」
フリッカー「僕とお酒でもどうかな?」
「口の中を見れば“その人”が分かる」
「“見る眼”を持つ事だね」
「君は美しい歯をしているね。
それに、歯以外もとても美しい」
「人生、色々あるよね」
「歯科麻酔で一緒にハイになろう。
君のガード(警戒心)も緩むだろうさ」
シャロン「このシスコで恋に堕ちなきゃ
何処に行ったってムリよ」
「(あなたが)行動しなきゃ、何も動かない」
ドワイト「魅力的でエレガンスで独身の女性と知り合えた。
今夜は“大当たり”だな」
※「1人で喋り通しなのよ。
自分の事ばかりペラペラと」
「コルシカで良いのは天気だけ」
「富には責任が伴うの」
「でも、ペテンは所詮ペテンよ」
「だいぶ遅かったけど、遂にこの日が来たのね」
「そう簡単に“過去の恨み”を
忘れない奴もいるもんだぜ」
「石油パイプ好きなら、喜んでアラスカに行くとでも?」
「事実は隠すのか?」
「私の“一世一代のチャンス”を
潰したのはあんたじゃない!」
「人はゴシップが好きなものよ」
ジンジャー「じゃあ何故、ファーストクラスなの?」
ジャスミン「贅沢が身についてるせいね」
ジンジャー「彼にウソがバレたのかも?」
ジャスミン「その“ウソ”って言葉、使わないで!」
ドワイト「僕もこのパーティから“退散”したいよ」
ジャスミン「そう見えた? 私」
ドワイト「“殆ど”ね」
ドワイト「君としては、どうして欲しい?」
ジャスミン「私としては、もう1度・・」
ジャスミン「何故、知ってるの?」
※「知らないのはあなただけ」
ハル「逮捕状はあるのか?」
警官「これです」
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