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2013年9月 1日 (日)

☆『夏の終り(2012)』☆

8月31日(土曜)。ご近所のシネコン「MOViXあまがさき」にて“レイトショー”で観て来たのは、瀬戸内寂聴さん原作の同名小説を映像化した『夏の終り』である。

何でも、寂聴さんご自身の「自伝的小説」でもあると言う本作。尤も・・寂聴さんの“若き頃”が主演=満島ひかりに酷似してたとは、到底思えないが(スンマセン)、、出演俳優陣にも興味があったので、観てみる事に・・ と言うか、小林薫さんの助演ぶりが気になったもんで(・ω・) ウンタマの森のギル~!(←意味不明)

夫とまだ幼き娘を棄て、故郷・徳島県から年下の恋人=木下涼太(綾野剛)を追いかけ、上京して来た過去を持つ女=相澤知子(満島ひかり)。

中野区大和町に居を構え、染色作家として本格的に活動している彼女だが、8年前からは妻子ある年上の作家=小杉慎吾(小林薫)との半同棲生活を送っていた。

週の半分を知子の家で、残る半分を鎌倉市大町(の本宅)で過ごす慎吾。それなりに平穏な生活に満足していたつもりの知子だが、そんなある日、久しぶりに涼太が相澤家を訪ねて来る。

それを機に、知子は「慎吾(現在の恋人)と涼太(過去の恋人)の間で、乱れ動く自身の気持ち」を強く感じ始めるのだった・・

意識的に「古き佳きニッポンの映画を造り上げよう」と取り組んだ跡がハッキリと観て取れた本作。それ故に「アクションなし」「大きな事件なし」な展開には、今の若い観客層には“きっと苦痛なぐらい”の上映時間の長さを覚えさせる事だろうと思う。

ワタシとしては「セリフの少なさ」「説明的な要素を(意図的に)廃した演出」「“間”を大事にした脚本」については好感が持てた。また、かつての小津(安二郎)監督作を眺めてるような「固定(=据置)カメラ+長回し(撮影)」で映し出される“昭和な情景”には「おお、ポストカードにしたいなァ」と思わせる魅力を強く覚えたワケである。

一方で、説明的な字幕が一切出て来ないため「登場人物の心情」はおろか「大事な筈の(本来なら描くべき)場面」すらもが割愛されてて、あちこち想像力で作品全体を補完する努力を強いられたのは「この手の(=ミステリー系では決してない)作品」を観るにしては「不親切」だと感じた。

劇中で描かれる時代もハッキリ分からず、後々に街角の新作映画ポスターとして『カルメン故郷に帰る(1950)』や『わが谷は緑なりき(1941)』が貼られてるのを観て、やっと「昭和25~26年でしたか!」と理解出来たぐらいである(⌒~⌒ι)

また、時間軸も巧妙に入れ替えられてるので「途中から始まり、途中で終わってた感じやなァ」と知子を巡る「色恋」の流れがハッキリ掴めぬままだったのも残念だった。そう言う意味では、再度観直せば“新たな発見・感動”があるのかも知んない。

~ こんなトコも ~

・「コロッケ」「メザシ」「蜜柑」「桃」など・・“食べるシーン”を大切に描いてる感があった。

・近年観て来た作品の中でも屈指の「喫煙シーンの多さ」を誇ってた。一体、劇中で何十本が吸われてたんやろ?

・サスペンダー、パナマ帽・・などの古い(?)ファッションが印象的だった。

・三輪トラックを「選挙カー」にしてる人々・・ちと荷台に乗り過ぎじゃ・・?

・いつもながら「幸(さち)薄そう」な満島さんならではの個性が、ばんばんスクリーンから溢れ出てた。

・主役陣による“泣きシーン”が3者それぞれに用意されてるが・・3人とも、肝心な「そのシーンでのセリフ」がハッキリ聞き取れなかった。何言ってたんやろ?

・畳、縁側、裸電球・・古き佳き時代の日本家屋の素晴らしさを堪能出来た!!

・タイトルに「夏」とあるんだし「祭り」と言った“夏の風物詩”の描写程度は欲しかったかな。

・慎吾と涼太の「語らうシーン」は意図的にカットされてた(×_×)

・東京、鎌倉、小田原・・と関東エリアが舞台なんだが、ロケ地は洲本市、加古川市、姫路市・・と関西圏がメインだった。

・スコア(楽曲)を手がけたミュージシャン=ジム・オルークは『スクール・オヴ・ロック(2003)』でも音楽関連のコンサルタントを務めてたそうだ(ウィキ情報)。

・涼太の開衿シャツの胸元のボタンを縫い付け、最後に横顔を寄せ「余った糸を歯で噛み切る」知子の所作がドキッとさせる。

・胡坐(あぐら)をかいた軒先で手を伸ばし、庭先に降る雨で、指先の煙草の先の火を消す慎吾の所作も印象的だった。

・シーンの切り替えで多用されてたのは「固定カメラ+(黒画面への)フェードアウト」だった。

・有り得ない場面で、知子の枕元に座り、伸ばされた彼女の右手を握りしめる慎吾の姿は、かなりな「ホラー路線」だった(×_×)

・総じて「いつ」「どこで」が明確にされず、それを補う説明的な字幕も一切なかった。

・「部分的なストップモーション演出(=画面左右・奥の一部のみが時間停止する)」が光ってた!

・「道が坂になっており、右上に知子の家、左に涼太のアパートのある」地形で、2人の別れるシーンは、かなり雄弁に「画面」を構成してた!

・当時(?)、ヒステリーの事を「おヒス」と言ったりしたそうだ。

・「裁縫研究所」なる施設(?)が登場するが・・やはり「学会」とか「論文」とか「フェロー」とかが存在しとるんやろか?

・慎吾が執筆を嫌がってた“エロ剣豪の小説”を是非読んでみたい!

・パッケージが「白と青のツートンカラー」にも関わらず「MIDORI」と言う銘柄の煙草が登場(・ω・)

・エンドロールの最後に『完』と潔く表示されるのが、逆に清々しかった(=^_^=)

・綾野さん、どうにも「途中退場」な印象が強いんですけど・・

・綾野さんは・・アップで眺めると、さほどカッコ良くも思えなかった。思いっきり一重瞼だったし(ファンの方、スンマセン)。

・監督の熊切和嘉氏。その名は存じなかったが、高松市内のミニシアター“ソレイユ”で初めて観た『ノン子36歳(家事手伝い)(2008)』はなかなか良い作品だった! 次は『海炭市叙景(2010)』を観てみたいぞ!

~ こんなセリフも ~

知子「だって熱いのよ、これ」

  「髭(ひげ)ぐらい、剃ったら?」

  「私、病気なの・・重いの」

  「独りでなんか、寝てらんないわ」

  “何処へ行ってしまったんだろう”

  「8年よ・・長いわね」

  「“あの時”とは違うんだわ」

  「良い歳して、あれもこれもなんて

   惨めったらしいのよ!」

  「・・御免なさい。好きな人が居るんです」

  「だって、好きなのよ!」

  「何時(いつ)まで“こんなまま”で居させる気?」

  「ずっと寂しいんだもの・・長かったわ」

  「何処にあるの? 桃」

  「“あちら”に届けるんでしょ?」

  「慎と私には、あなたの知らない

   “生きて来た時間”ってものがあるの」

  「其れを言わせないでよ!」

  「・・憐憫よ!」

  「酔ってるのね? ・・切るわ」

  「私が来た事、あの人に伝えてよ。絶対よ」

  「分かります? 女独りで生きてく事の大変さが」

  「先生は、もっと書いて、ぶちまけるべきなんです!

   だって、誰よりも才能がお有りなんですから!」

  「愛なんかより、習慣の方がずっとずっと強いんだから」

  「もう来ないで頂戴」

  「息苦しいのよ、此の部屋!」

  「此の家すら出て、独りでやり直したいの」

  「此処からなんだわ。此処に

   “確かなもの”を築いてみせる。そう決めたの」

慎吾「彼奴(あいつ)には、苦労して欲しくない」

  「只の風邪だ。寝てりゃ治る」

  「無性に君の声が聴きたくなってね」

  「相当なヒステリーだな・・彼も」

  「(そんな事は)分かってるさ。放っとけば良い」

  「可笑しな奴だ・・“他人のもの”ばかり欲しがる

  「旅行にでも行って来ると良い・・気分が変わる」

  「旅に出よう・・一緒にだ」

  「あっちで、僕は死ぬかも知れない」

涼太「きっと優しいさ・・でもそんなのは愛じゃない」

  「・・変な人だ」

  「自分が傷付きたくないのさ・・ヒューマニティだよ」

  「呑むんだ・・煙草」

  「“いっとう良い”のを用意しました」

  「・・そのままで」

  「行くの? 泊まってけば良い。

   今、居ないんだろ?」

  「だから! どうするんだって!?」

  「帰って呉れないか・・あの時は酔ってたんだ」

  「帰らないなら、俺が出る」

  「言い訳するのが愛なの?

夫「・・女のくせして」

慎吾「訪ねて来たよ、今日」

知子「・・誰?」

慎吾「・・木下君さ」

慎吾「月曜日には戻る」

知子「風邪、引いちゃ厭(いや)よ」

慎吾「・・君もな」

慎吾「楽しかったかい?」

知子「ええ、とっても」

知子「どっかで食べてかない?」

慎吾「・・また、すぐに来るんだ」

知子「落ち着かないの」

慎吾「わがままなんだ・・君は。

   厭になるね」

慎吾「惚れてるのか?」

知子「分からない・・

   どうしたら良いか分からない」

慎吾「行こうか」

知子「“来ない”とは思わなかったの?

慎吾「貴女(あなた)“来る”って言ったもの」

慎吾「一緒に死んで呉れないか?

   厭なんだ・・もう何もかも。

   ずっと前から死にたいんだ」

知子「・・どうして奥様に頼まないんですか?」

慎吾「だって・・あいつはいつも一生懸命なんだ」

涼太「嫉妬は無いの?」

知子「もう恋は無いんだもの」

涼太「無神経な女だよ。2人の男に迎えられて・・

   ふしだらで、淫らで、だらしがないよ!」

知子「それが愛なのよ! だらしないものよ!」

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コメント

こんばんは。

本作は、満島さんの女優さん振りに興味がある一作です。
今はドラマで「薄幸ながら健気に生きる芯の強い女性」っていうイメージが強いようですが、私は初めて見た時の印象から、どっちかといえばその逆に近いようなイメージが付いてしまっていて。興味あります、だから。
満島さんちの姉弟、どっちもイイ役者さんですね。

夏の終り、、、寂しい季節です、今この時期に観るにはドンピシャのタイトルですね。

投稿: ぺろんぱ | 2013年9月 2日 (月) 20時05分

ぺろんぱさん、ばんはです。

何だか急に、夜が寒く感じられるようになりましたね。
肌寒く、人恋しくなって来る季節の始まり・・なのでしょうか(・ω・)

>本作は、満島さんの女優さん振りに興味がある一作です。
>今はドラマで「薄幸ながら健気に生きる芯の強い女性」っていう
>イメージが強いようですが、私は初めて見た時の印象から、
>どっちかといえばその逆に近いようなイメージが付いてしまっていて。
>興味あります、だから。

極端にカメレオンな感じではないように思ってますが、安定した演技と存在感の、良い女優さんになってはりますね。

タイプは違うのですが、菊地凛子さんと共に、何となく気になってしまう女優さん(の1人)です。

『愛のむきだし』と『川の底からこんにちは』だけは、観とかないと・・評価する資格はないのかも知れません、、かね(⌒〜⌒ι)

>満島さんちの姉弟、どっちもイイ役者さんですね。

存じませんでした・・(×_×)

>夏の終り、、、寂しい季節です、今この時期に観るにはドンピシャの
>タイトルですね。

そうですね。『川の辺(ほとり)』のように、何気ないんだけど、ちょっと気になるタイトルとして、記憶の片隅にのこってゆきそうです。

私的には「女2人と男2人」の構成なワケだから「男2人同士」「女2人同士」のパートをもっとみせて欲しかった気がしました。

投稿: TiM3(管理人) | 2013年9月 5日 (木) 01時03分

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