« ☆『ワイルド・スピード/EURO MiSSON』☆ | トップページ | ☆『ワールド・ウォーZ【2D字幕版】』☆ »

2013年8月 5日 (月)

☆『終戦のエンペラー(2012)』☆

7月28日(日)の夜、比較的ご近所のシネコン“MOViXあまがさき”へとクルマを走らせ、観に行ったのは・・太平洋戦争の終結間もない我が国を舞台に、宇宙人=トミー・リー・ジョーンズが厚木(飛行場)に降り立ち「このろくでもない、すばらしき日本」の再建に向けた行動を開始する日本史的問題作(?)『終戦のエンペラー』だった。

正直、実際に作品の始まるまでは「何だか辛気くさそうだし、あんま気が進まんなぁ」とチケットを買いつつも、ちっとも気合の入らないトコがあったんだが・・「風呂敷を大きく広げつつ」「コンパクトなキャラ数&上映時間で」「僕らの知りたかった事」をドラマティックに描いてて、それはそれで満足感いっぱいとなったのだった(・ω・)

コレまで観て来た中で「おハリウッドが、下世話にも(天皇)陛下に対する娯楽的描写(表現)を断行した」と言えば『ラストサムライ(2003)』『硫黄島からの手紙(2006)』なんかが記憶に新しいトコであるが・・今作に於いても「降伏直後の日本に対し、開戦の責任が誰にあるのか? 陛下にあるとすれば、彼を裁くのか?」って際どい点(?)に容赦なく手を着けてる辺りには「日本の監督にこそ描いて欲しかった辺りを、また海外勢にやられちゃったよ」と思いつつ「まぁでも、今の日本を見渡し、ここに敢えて手を着け、更には娯楽作に仕上げちゃおうって気概のある監督さんなんか・・いないのかもネ」と妙に腑に落ちた感を覚えたのも事実である。

1945年8月6日。北マリアナ諸島・テニアン島のノースフィールド飛行場を飛び立った爆撃機=B29が同日、広島に・・続く9日には長崎に特殊爆弾を投下。

それらを“決定打”に、日本はポツダム宣言を受諾、無条件降伏した。

同年8月30日。神奈川県・厚木飛行場に降り立った、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)のトップ=ダグラス・マッカーサー元帥(トミー・リー・ジョーンズ)は、合衆国の主導による日本の占領・統治に本格的に着手する。

堀1ツを隔て、皇居の真向かいに位置する「第一生命ビル」に総本部を構えたGHQは、戦犯(戦争犯罪人)の一斉逮捕を行うと共に“戦争を引き起こした張本人が誰であるのか”を、わずか10日と言う短期間の中で探り、結論を導き出すよう、副官の1人=ボナー・フェラーズ准将(マシュー・フォックス)に命じる。

中心に“現人神(あらひとがみ)”昭和天皇(エンペラー)=裕仁を配した相関図には、関係者が「軍人」「宮中」「政治家」の3種類に分類され写真と共に掲げられた。

フェラーズは「戦時中の首相=東條英機(火野正平)」「開戦時を知る前首相=近衛文麿(中村雅俊)」「陛下を補佐する内大臣=木戸幸一」の3人に絞って聴取を行い“開戦及び終戦における陛下の役割”を探り、陛下自身の“戦争責任の有無”の調査を進める一方、開戦前である5年前に知り合い、現在は戦争末期の大空襲や混乱の中で行方の分からなくなっている恋人=島田あや(初音映莉子)の安否を専属運転手である高橋(羽田昌義)に命じ探らせる。

検挙時の拳銃自殺未遂により病院に運び込まれた東條は黙して語らず、近衛は気高い態度でフェラーズを迎える。木戸(伊武雅刀)は会見場所である料亭にその姿を現さなかった。逃走を図ったようである。

木戸に代わる人物とし「宮内次官=関屋貞三郎(夏八木勲)」に面会を試みるフェラーズだが、関屋に逢うためには、皇居内に向かわざるを得ないのだった・・

上映時間=107分と言う適度な尺(長さ)であり、主人公=フェラーズが関係者たちに面会する事で、提示された“謎”の真相が次第に明らかになって行く・・と言う展開から、ある種“探偵小説”を読み進めて行くようなワクワク感を鑑賞中、持続させていたワタシ。その対象となる4人も、それぞれに「反応」が違っていて(←当然なのだが)面白かった!

恋人であるあやについては、殆どが“回想描写”だった事もあり、その結論的(?)な部分でも「(物語への)絡ませ方が薄いんでは?」とも感じたが、それはそれで「本作の主題」ではないため、観る人が観ればごく自然に思えるのかも知れない。

圧巻は、陛下がマッカーサーの公邸に面会にやって来る終盤のシーン。片岡孝太郎演じる“昭和天皇”は威厳を備え、側近を叱責(?)するといった言動にも独特な重み、崇高さを漂わせていたように感じた。私的には『ラストサムライ』で“明治天皇”を演じた2代目・中村七之助と同様「なかなか良いキャスティングやね!」と好感を持った次第。

トミー・リーは「もっと全面的に出しゃばって来やがるんじゃ?」と不安&不快(=^_^=)に思い、構えてたが・・案外と作品全体のリズムをぶち壊すワケでなく、良い立ち位置をキープしつつ主演男優をサポートしていた。

『ノーカントリー(2007)』『メン・イン・ブラック3(2012)』など、近年だと「(ネームの割に)余りパッとした活躍もしてないおっちゃん」ってテイストがワタシの中で強いトコもあったりするが・・「しっかり助演してはった」って点では評価したい。

日本側の俳優陣が、西田“局長”敏行、桃井かおり、伊武さん・・と(実名の)インパクトあり過ぎで「役名に繋がって来ない」って点では、多少残念な気持ちにもなったが「生まれてないし、知らないし、知らなくても構わない事なのかも知れないが、知って勉強になりました」って事で、満足感の高かった1作である。

~ こんなトコも ~

・「竹林を走る紅いドレス」の(幻想的な)イメージ映像は「あはは・・待て、こいつぅ~」「うふふ・・捕まえてご覧なさい~」な世界だろうか?

・准将と言う肩書の割に、民間人の日本人(それも運転手)が1人つくだけって・・(×_×) 将校なんだから、もそっと護衛をつけとくべきじゃ?

・鹿島大将(西田局長)の“不死身ぶり”がなかなかスゴい。

・厚木に降り立つ直前の「機内から描いた再現(?)映像」が面白い。コーンパイプもレイバン(グラサン)も、タラップに進み出る寸前に思い立っての(?)装着だったんやね。

・東條英機は「左利き」だった!

・フェラーズと近衛の会見した場所のロケ地が知りたい! 「天地人」と書かれた掛け軸が目立ってました。

・『LEONiE/レオニー(2010)』でもそうだったが、中村雅俊さんの存在感がなかなかイイ!

・「山田製紙株式会社」「前田商店」など、劇中に登場する看板は「月並みな店名」ばかりだった。。

・東京~静岡間は軍用ジープで(片道)約3時間もかかる距離(当時)らしい。

・「陛下がマッカーサーに語ったとされる言葉」は記録に残ってるのか? それともフィクションだろうか?

・皇居警備兵の“張り詰めた緊張感”がハンパなかった! そばの兵士は「腰の日本刀の柄」に手をかけてるし!

・「玉音放送の音源(レコード)」を奪うべく、約1000人(?)の反乱兵が皇居を襲撃した実在の事件(宮城事件:きゅうじょうじけん)があったそうだ。その1夜を克明に描いた歴史作品がぜひ観てみたい!

・陛下と会う際の(当時の)ルールはなかなか厳しかった。「飲食を勧めてはならない」「握手してはならない」「その眼を真っ直ぐ見つめてはならない」「その影を踏んではならない」「撮影は事前に許可されたカメラマンが遠距離からのみ行える」「その左側に座らなければならない」「その名を呼んではならない」

・陛下とマッカーサーの会話を「ドアの隙間から盗み聞き」してる主人公は、余り趣味が良いとは言えなかった。

・マッカーサーは結局、大統領にはなれず(1951年に解任⇒退任)。フェラーズも後年、アイゼンハワー元帥により大佐に降格させられたと言う。

・陛下は自らを「私」と呼んでいたが、実際にもそうなのだろうか? てっきり「朕(ちん)」を使うのかと思った。

~ こんなセリフも ~

フェラーズ「日本の国民にも、その忠誠心にも、

      疑いを持っておりません」

     「我々は占領軍だが・・支配者ではなく解放者に見られねば」

     「空襲で“通り”さえなくなった今では、住所もなければ、

      日本人の協力も得られまい」

     「日本は“矛盾の国”なのです

     「天皇は開戦を止め得たか? 例えそれを望んだとしても」

     「日本では何事も白黒がハッキリしない。

      殆どの事が灰色なのだ

     「お悔やみを(I'm sorry.)」

     「今、笑ったね?」

     「ソレデハ、失礼シマス」

     「オ会イ出来テ、光栄デス」

     「いつかは呑み損ねたな・・今こそ呑もう」

マッカーサー「武器を所持しない事、その“恐怖心のなさ”で

       彼らに衝撃を与えるのだ」

      「よし、米国軍人の“男っぷり”を見せてやろう」

      「直れ(As you are.)」

      「辛いだろうが、これも任務だ」

      「君は私と同じく“政府の言いなり”にならんようだ」

      「天皇を裁かねば、日本にロシアの共産主義が乗り込む」

      「馬鹿たれが。必要なら奇跡だって起こせ

      「いいな?(Clear?)」

      「我々は決して“道徳的権威”を失ってはならん」

      「この報告書の結論は“推論”なのか?」

      「では君主に会うとしよう・・証拠に代わる面会だ」

      「“蒸し返す”事もなかろう」

リクター「元帥は名誉と栄光を重んじる」

    「元帥は“アカ嫌い”だ」

アヤ「私は・・積極的な女の子なの」

  「もう来ないで(You should not have come.)」

  「軍は“国民の心”まで変えたいの」

  「神道を・・そして“信奉”を理解出来れば、日本を理解出来るの」

  “結局、私の居場所は此処・・

   でも、心はいつも貴男のものです”

東條“死に損ねて済まない”

近衛「靴のままでどうぞ(No need.)」

  「陛下は総ての戦争に反対しておられる」

  「我々はあなたたちを“お手本”にしたに過ぎない」

  「我々は“戦争の熱”に冒されていたのです」

鹿島「陛下に奉じる、その義務感ゆえに

   日本兵は米兵に勝っているのだ」

  「日本人を表わす2ツの言葉は“建前”と“本音”です

  「あの娘を想うなら、もう逢うな」

  「総て君宛の手紙だ」

衛兵「・・貴様1人だけだ。武器は外せ」

関屋「陛下ご自身の気持ちは、記録に残されない」

木戸「これから私が話すのは“非常に内密な話”です」

  「総ての記録は焼却され、証人も自決しました」

  「陛下の生活は“何1ツとして自由なきもの”です」

娼婦「ちょっとどうだい?」

明治天皇の御製(短歌)

  “四方の海 みなはらから(皆同胞)と思ふ世に

    など波風の立ち騒ぐらむ”

フェラーズ「“生存者リスト”はないのか?」

高橋「・・“死者のリスト”ならあります」

フェラーズ「家族を亡くし・・立ち直れたのか?」

高橋「少しも・・死のうとすら」

日本人A「彼奴(あいつ)らの来る店、決まってんだろ?」

日本人B「さあな、そこら中にいるぜ、ゴキブリみたいによ」

日本人A「彼奴、臭ぇんだよ」

客「姉ちゃん、何かないの?」

女将「ウチはうどんしかないよ」

|

« ☆『ワイルド・スピード/EURO MiSSON』☆ | トップページ | ☆『ワールド・ウォーZ【2D字幕版】』☆ »

コメント

こんばんは。

最近は本当に劇場通いの機会が減ってしまっているのですが、それでも、本作は気になる一本でした。
非常にデリケートな問題ながろ、自分たちの問題として自分なりの答えも出したい問題ではないでしょうか。
外国の監督さんの作品だからこそ、どっち派の方々にとってもある程度の余裕をもって受け入れられるのかもしれませんね。

夏八木さんが出ていらしたのですね。
遺作となったわけなのでしょうか。

投稿: ぺろんぱ | 2013年8月 6日 (火) 21時13分

ぺろんぱさん、ばんはです。

庵野カントクの初主演作(?)も多少は気になるトコですが・・

>最近は本当に劇場通いの機会が減ってしまっているのですが、
>それでも、本作は気になる一本でした。

余り期待してなかったが故に、結構楽しめました。
火野正平さんの存在感がなかなか良かったです。
キャラの印象は「何を喋るか」「どう動くか」だけで決まるワケじゃ
ないんですねぇ。

>非常にデリケートな問題ながろ、自分たちの問題として自分なりの
>答えも出したい問題ではないでしょうか。

その内に、大河ドラマなんかでもこの時代の物語が取り上げられるように
なっていくのでしょうか・・

>外国の監督さんの作品だからこそ、どっち派の方々にとっても
>ある程度の余裕をもって受け入れられるのかもしれませんね。

主人公のセンチメンタルさなどは、まさに日本の恋愛モノのようでした(=^_^=)

>夏八木さんが出ていらしたのですね。
>遺作となったわけなのでしょうか。

そうだったんですね・・
ウィキで調べると、遺作は今年の年末に公開予定の『永遠の0』
だそうです。作品自体にも興味津々なので、きっと観に行くと思います!

夏八木さんと言えば・・近年では『眉山』に於ける存在感が印象的でしたね。あ・・『のぼうの城』にも出たはりましたっけね。

投稿: TiM3(管理人) | 2013年8月 7日 (水) 00時39分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ☆『ワイルド・スピード/EURO MiSSON』☆ | トップページ | ☆『ワールド・ウォーZ【2D字幕版】』☆ »