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2013年3月10日 (日)

☆『ふがいない僕は空を見た(2012)』☆

コレもまた、随分と前の鑑賞・・(・ω・)

2月22日(金曜)の夜。商店街の中にあるミニシアター“ソレイユ”の「レイトショー」で鑑賞したのは、そこそこに話題性もあり、ネットでの評価も高めだった『ふがいない僕は空を見た』である。

再オープンしたばかりの「ホール・ソレイユ(4階)」での上映かな? と思いきや・・これまで通りの「ソレイユ2(地下)」だったので、当初“何となく”4階に向かったワタシは、係員さんに「今日のこのシアターでの上映はもう終わったよ」みたいな事を言われ、瞬間的にかなり焦ってしまったモノだった(⌒~⌒ι)

“2011年・本屋大賞2位”に輝いた、窪美澄の同名小説を原作に、女流監督=タナダユキがメガホンを執った「R18」指定作品(因みに大賞は東川篤哉氏の小説『謎解きはディナーのあとで』である)。

不妊に悩む主婦と、彼女とコミックマーケットで出逢った高校生の不倫関係を軸に、そんな2人を取り巻く周囲の迎える苦悩、そして再生への道が描かれる。

母親=寿美子(原田美枝子)の経営する助産院が自宅である高校2年生=斉藤卓巳(永山絢斗)は、友人に連れられ出掛けたコミケ(=コミックマーケット)会場で“あんず”と名乗る主婦=岡本里美(田畑智子)と知り合う。

程なく2人は里美の家族に隠れ、彼女の自宅(マンション)で“コスプレ(=コスチューム・プレイ)姿での情事”に耽るようになる。

やがて、2人の性行為を“隠し撮り”した映像や画像が、ネット上に多数バラまかれる事になり・・2人のみならず、その周辺の人々までもが「直面する厳しい現実」を改めて突き付けられる事となる・・

正直に告白すると「田畑さんの“体当たり演技”が観たかった!」ってのが、大きな鑑賞理由でした。すんませんッ!

で、その辺りを「ダラダラと」描くんかな~ と思いきや・・物語は前篇・後篇にキッチリ分かれてる感じで「物語のテーマ」も「主人公キャラ」もガラッと一転するテイストに仕上がってた点に驚かされた。

「誰がネット上にプライベート動画をバラまいたのか?」と言う部分の“謎要素”はストーリー上でさほど重要ではなかったらしく、その辺りのミステリー性には重きが置かれていなかった。

それ以上に「奇跡的に始り、いつまでも続くと思われた“最良の関係”と言うべきモノが、如何に容易く崩れ去るものか」って事が、劇中に「色んなパターン」でもって、我々観客に何度も襲いかかるのである。

ストーリーの大部分で「別離・喪失」が描かれる一方「物語中で誰も死なない」って演出には「“ありきたりな悲劇パターン”に逃げ込んでおらず、スゴいな~」と心から感心させられた。

田畑さんに関しては、眺めてて「痛々しくなる体当たりシーン」と言う訳でもなく、案外寛いで拝見出来たワタシだった。

私的には「コスプレ姿」と言うのには殆ど関心がなく、どちらかと言えば「ベッドルームに監視カメラ(=見守りカメラ)が仕掛けられてるのを承知の上で、より激しい(全裸での)性行為を繰り広げる」と言う開き直った“あんず”の言動にこそ、少なからず興奮を覚えてしまった(⌒~⌒ι)

主役格の2人(永山&田畑)を喰っちゃおうか的な勢いで、存在感を発揮してたのは、里美の義母=マチコ役を演じた銀粉蝶さんと、卓巳の親友=福田のバイト先であるコンピニの先輩=田岡役を演じた三浦貴大くん。この2人には、助演女優&男優賞を差し上げても良いぐらいである。

しかしながら・・あんなにも強烈な個性を放っていた人たちでさえ、物語の進行と共に「此処でない何処か」へと静かに去って行くのである。「挑発的な作品」と思い、身構えて観に行った本作に於いて、こんなにも切なさや喪失感を与えられるとは思わなかった。

さほど世界観の大きな物語でもなかったワケだが「貧困」「友情」「家族」と言った“誰にとっても身近な要素”について、しっかり考えさせてくれる「良作」であったと評したい。

~ こんなトコも ~

・田畑さんの囁くようなセリフ「パラレル・プリンセス・ヴァージョン・アップ」の音声データをネットで死に物狂いで捜してしまう俺がいて(恥)

・「こんなトコから早く抜け出しちまえ」と福田の背中を押す田岡に『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997)』に於けるベン・アフレックのイメージが重なった(=^_^=)

・そんな田岡くんは“ムエタイ”とかが得意そうなヴィジュアルだった。

・共通するイメージを感じたのは『天国と地獄(1963)』『東京タワー/Tokyo Tower(2005)』『人のセックスを笑うな(2008)』辺りだろうか。

・『悪の教典(2012)』よりもある意味深くて恐かった本作・・

・友情の皮を1枚めくると・・案外、冷酷無比な感情がそこに流れてるのかも知んない。

・劇中に表示される「独白」みたいなメッセージが印象的だった。

 “その日から、俺の頭の中はあんずの事でいっぱいになった”

 “こんな気持ちのいいセックスの果てに子供が産まれるとしたら、

  それは何て幸せな事なんだろう”

 “どうか今夜、あの人が寒い想いをしていませんように。

  僕は意地悪な神様に1度だけ祈った”

 “神様、どうかこの子を救って下さい”

 “僕たちは、僕たちの人生を本当に自分で選んだか?”

・ソフト化の折には劇中アニメ『魔法少女マジカル☆リリカ』関連の映像特典なんかも封入しといて欲すい(=^_^=)

・人生で1度ぐらい「あの人、超ムラマサじゃない?」だの「ムラマサ、入ってますよね」だのと言われてみた・・かっ・・た・・(ガクッ)

~ こんなセリフも ~

卓巳「俺も・・松永とおんなじだから」

  「好きってだけでつとまる仕事じゃないよ、助産師」

  「あんずさんって分かんなかった、コスプレしてないから」

  「だって・・あんずが笑うと“中が響く”し」

  「お前・・“厄介なもん”くっ付けて産まれて来たなぁ」

里美「早く冬休み来ないかな・・そしたら、朝から会えるでしょ?」

  「出来たら絶対産むよ・・なんて言わないから」

  「そろそろ旦那、帰って来るから」

  「私だけが悪いの?

  「あんたは絶対、此処に戻って来るんだから!」

  「・・呪ってやる」

  「もっと舌、尖らせて」

  「・・美味しくない」

  「人生で一番巧く描けた“ムラマサ”・・私の理想の人」

  「あんまり強くしないで・・生理前だから」

  「・・脱いで」

  「いいよ、出して・・大丈夫だから」

  「また逢ってくれない? 逢ってくれる?」

  「ごめんなさい・・1人にして」

  「あんず、いい子にして待ってました」

  「アメリカに行くの、私・・ウェストヴァージニア」

福田「バカだなぁ・・あいつ」

  「いつも弁当、済みません」

  「何だかエラい事になってるぞ・・

   誰かがお前の“何かヘンな写真”バラまいてて

   ・・あの女、誰?」

  「自分だけ不幸なフリしてんじゃねぇよ!

  「ねぇ・・何で俺、産んだの?」

  「堕ろせば良かったのに。

   ・・“自分の都合”だけで俺を産まないでよ」

寿美子「仙骨だからね」

   「一番大切な事は、夫婦の仲が良い事」

   「赤ちゃんってね、全部見てるのよ、お腹の中で」

   「時間のかかるのは“お産の証”だからいいの」

   「思ってる以上に子供は死ぬの・・どんなに手を尽くしてもね」

   「卓巳、生きててね。あんたも生命の1ツなんだから。

    生きて、そこにいて

光代「ホントの事、言いたくなる時ってないスか?」

  「やっぱり先生、腹黒いスよ」

  「オトコ、知ってんの? この事」

  「“中絶出来る時期”なんてとっくに過ぎてんだよ、バカ野郎!」

  「この世にいるんスかね? “バカな恋愛”した事ない奴なんて」

マチコ「今から朝ご飯? 遅いのねぇ」

   「出来る事は全部やってみない?」

   「“3年子なしは去れ”と昔は言われたものよ」

   「ねぇ・・何で出来ないの?」

   「結婚させるんじゃなかった」

   「あんたなんて“外れクジ”よ」

   「子供がいないから“こんな事”になるのよ」

   「女は暇を持て余してるとロクな事しないもんよ」

   「アメリカにいい病院があるのよ」

田岡「これじゃ“アナザー(another)”じゃなく

   “アナター(anater)”だよ」

  「お前さ、今のままじゃ、まるっきり“丸腰”じゃん」

  「大卒のステータスぐらい装備しろよ」

  「(お前に)教えてる奴が無能なんだよ」

  「じゃあさ、勉強しようか?」

  「入院させた方がいいな・・もうお前の手には負えねぇよ」

  「こんな暇なもんより“最短であの団地から抜け出る事”を考えろ」

阿久津「どうでもいいけど、ウチらどう足掻いたって

    こっから抜け出す事なんて出来ないかんね」

有坂店長「ルンペンに喰わせる弁当はねぇ」

    「バカしかいねぇな、この街は」

福田の母「父さんの母親だもん、私が面倒見る義務ないじゃん」

    「ほっとけばそのうち・・死・・」

卓巳「いい娘で待ってたかい? あんず」

里美「はい、ムラマサ様」

卓巳「ダメだ・・ヤバい」

里美「いっぱい出していいよ」

卓巳「ねぇいいの? いつもコンドームつけなくて」

里美「大丈夫、計算してるから」

卓巳「もう来ないから・・じゃあ」

里美「ヤだ! ダメだから!」

卓巳「こんなの、何が面白いの?」

里美「・・現実、見なくていいから

卓巳「冷やしちゃダメだよ、此処は」

里美「どうしてそんな事、知ってるの?」

里美「今までありがとね」

卓巳「・・置いてかないでよ」

里美「もう“お家”へ帰らないとね」

阿久津「ヤバいのは動画の方でさ・・何つうの・・」

松永「そのサイトのアドレスも頂戴」

阿久津「観たいんだ・・そっか」

松永「だって、まだ好きだから」

福田「何で俺を助けるんですか? “施し”みたいなもんですか?」

田岡「俺は、本当はとんでもない奴だから、

   それ以外のトコではとんでもなくイイ奴になんないとダメなんだ」

寿美子「お祈りしてたら、息子に会っちゃった」

卓巳「何、祈ってんの?」

寿美子「子供の事。あんたの事も。

    世界中の子供、これから産まれて来る子に、

    産まれて来られなかった子に。

    生きている子も、死んだ子も、全部」

母親「そんなに気になるなら、自分で確かめれば?」

父親「今の俺は父親としてダメ過ぎる」

母親「だったらそんな事、訊かないで!」

追記:世界中から「カエル顔」と言われても、田畑さんの1ファンでありたい!(←なら「取って付けた」ように追記扱いで書くなよ!)

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コメント

こんばんは。

これは原作を続けて二度読んで、(主演俳優さんたちは分かっていたものの)田岡青年をいったい誰が演じるのか、それが一番興味のあるところでした。原作で福田君と田岡さんのやり取りを綴ったパートがとても深く心に残っていたので。

三浦貴大さんですか。
三浦友和さん百恵ちゃんご夫妻の息子さんなのですね。なるほど、より一層観ておきたくなりました。DVD化されれば是非に。


投稿: ぺろんぱ | 2013年3月12日 (火) 19時20分

ぺろんぱさん、ばんはです。

時節柄、色々とバタバタしておりまして・・
すっかりお返事が遅くなってしまい、済みません(×_×)

>これは原作を続けて二度読んで、(主演俳優さんたちは分かっていた
>ものの)田岡青年をいったい誰が演じるのか、それが一番興味のある
>ところでした。原作で福田君と田岡さんのやり取りを綴ったパートが
>とても深く心に残っていたので。

原作は未読なのですが、今回、映像化しても良いシーンに仕上がっていたと思います。

>三浦貴大さんですか。
>三浦友和さん百恵ちゃんご夫妻の息子さんなのですね。なるほど、
>より一層観ておきたくなりました。DVD化されれば是非に。

そうだったんですね! 気付かなかった(⌒〜⌒ι)
いずれはやはり『潮騒』に主演して、その火を飛び越えて欲しいトコですね(=^_^=)

顔つきから、何処となく「さかなクン」を連想してもしまったのでした、、ギョギョ~!

投稿: TiM3 | 2013年3月23日 (土) 02時12分

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