« ☆ココロに残った“エエ言葉”☆ | トップページ | ☆『ボラット/栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習(2006)』☆ »

2013年1月31日 (木)

☆『めがね(2007)』☆

21日(月曜)の夜。

BSP(プレミアム)の番組“BSプレミアムシネマ”で放送された、荻上(おぎがみ)直子が脚本と監督を手がける『めがね』を観た。

この監督さんって言えば、代表作『かもめ食堂(2006)』と本作のみ未見のままに、その後の作品群・・つまり『トイレット(2010)』『レンタネコ(2012)』については、きっちりスクリーンで鑑賞しとるワタシだった(と言っても、共にミニシアター“ソレイユ”の、比較的小さな面積のスクリーンで、だが)。

てなワケで「ゆったりした気分に浸れるんかな?」と期待しつつ観てみたんだが、物語の背景に本来あるべき「設定」みたいなモノが殆どなく、それはそれでかなり驚かされたモノだった(⌒~⌒ι) こんな脚本造りでも成り立つし、アリなンですねぇ。

南方の何処かにある小さな島、そして季節は春。

大きな銀色のスーツケースを転がしながら、はるばるこの島にやって来たタエコ(小林聡美)は、何もない浜辺の宿「ハマダ」に辿り着く。

彼女を迎えるのは、一足先に島に降り立ったかき氷販売店の女主人=サクラ(もたいまさこ)、「ハマダ」の経営者=ユウジ(光石研)、遅刻ばかりの高校教諭=ハルナ(市川実日子)・・携帯の電波は入らず、観光名所も何ら持たぬこの島だが、タエコはその内に“自分なりのペース”で1日を過ごす術(すべ)を体得してゆく。

そんなある日、タエコを追いかけ島にやって来た青年=ヨモギ(加瀬亮)が住民たちに合流する事となり・・

「島の外」については、一切「映像」でも「セリフ」でも触れられない。

そんな潔さや「想像する余白」を敢えて配してる辺りに「心憎さ」を覚えた(=^_^=) 同様に、限られた登場人物たちは「過去」も「未来」も殆ど語ろうとはしない。

つまりは「今」と言う時間に「そのしと」と「此処」に存在する事こそが大事なんやろな・・ってワケなのだ。

「何もない事」「マイペース&奇妙な(島民の)ライフスタイルを目の当たりにする事」に違和感を覚えたタエコは、間もなく「ハマダ」を去ろうとするが・・結果的に「ハマダ」ほど自分に“似合う場所”のなかった事に気付かされるのだ。

ハイライトシーンも特にない“ある種、濃ゅ〜い造り”なんだが(=^_^=) ヨモギが浜辺で島民らを横にして(?)ドイツ語の詩を淡々と語るシーンが極めて印象的だった。

・・

Mir ist bewusst was Freiheit bedeutet

Folge dem Wege geradeaus

meide die Tiefen des Meeres

doch hab ich sol'ch Wort hinter mir gelassen

Der Mond scheinet auf jedem Wege

wie die, in der Dunkelheit, wie Diamanten schwimmenden Fische

heiss wie durch Zufall Mensch - und hier bin ich

Was hatt'ch zu befuechten

mit was zu kaepfen

bald ist es Zeit die Lasten zu legen

Erteile mir noch mehr kraft

Kraft zur Liebe

Mir ist bewusst was Freiheit bedeutet

mir ist bewusst was Freiheit bedeutet

何が自由か知っている

道は真っ直ぐ歩きなさい 深い海には近付かないで

そんなあなたの言葉を置いてきた

月はどんな道にも光を注ぐ

暗闇に泳ぐ魚たちは宝石のよう

偶然“ニンゲン”と呼ばれて 此処に居る私

何を恐れていたのか 何と戦って来たのか

そろそろ持ち切れなくなった荷物を下ろす頃

もっとチカラを 優しくなる為のチカラを

何が自由か知っている

何が自由か知っている

・・

島にはもう1軒「マリン・パレス」なる宿があるんだが・・「確かに、寂しくはないし、やるべき事もちゃんと用意されてるンだけど」って感じで・・絶妙に「で、どっちを選ぶのよ?」と観るもの総てに「問い」を突き付けて来る展開もなかなかだった。そのシーンにのみ、薬師丸ひろ子さんが出演されてるのもピンポイント(?)なだけに、より鮮烈だった(=^_^=)

加瀬君が開始から55分後ぐらい経ってようやく登場するので、彼のファンはやきもきする事必至だったり(=^_^=) 観終わると「主人公ってば・・タエコからサクラにシフトしてません?」と思えて来たり、色々と細かい「想定外」が点在してて、実に小気味良かったワケである。

~ こんなトコも ~

・犬のコウジは大して目立つ存在でもなかった。

・光石研と加瀬亮が口論でも始めやしないかと、妙にヒヤヒヤさせられた。『アウトレイジ ビヨンド(2012)』な、お2人ですからして。。

・「焼き肉」「かき氷」「梅干し」「伊勢エビ(?)」・・と“食べるシーン”が丁寧に盛り込まれてた。

・道のど真ん中に置き去りにされてたタエコのスーツケースは、その後どうなったんやろ?

・ヨモギの引用してた『春の海 終日(ひねもす) のたりのたりかな』は与謝蕪村の句だった!

・かき氷のお礼、みんなそれぞれに頑張ってたが・・ヨモギは何を対価に? あのドイツの詩?

・コンゴルグルス(って聞こえた?)は朝顔に、ブルーデイジーはガーベラに似てて間違え易いそうだ。

・あのメガネが風で吹っ飛んで、海ポチャしたんやろか?

・『梅はその日の難逃れ』ってのは、何となくもっともらしい(=^_^=)

・コウジは・・雌犬だった!!

・考案と監修:伊藤千枝による「メルシー体操」の真面目な解説動画が観てみたい(=^_^=)

・「何となく不安になって来て、2分ぐらい走ったら、そこを右」「何となく不安になって来て、そこから80mぐらい走ったら、そこを右」と言う手描きの地図に添えられたメモは、何とも人間くさくて面白い(=^_^=)

~ こんなセリフも ~

タエコ「黄昏れる? ・・黄昏ですか」

   「・・無理!」

   「かき氷は苦手なんで」

   「此処では、毎朝起こされなくてはいけないんでしょうか?」

   「“黄昏れる”と言うのは、この辺りの習慣か何かですか?」 

   「今日迄のお会計をお願いします」

   「“毎年来る”と言う事は・・“毎年来る”って事ですよね?」

   「・・朝ご飯、食べて来れば良かった」

   「私は・・“携帯電話が通じなさそうな場所”

    に行きたかったんです」

   「“黄昏れる”のに、何かコツとかあるんでしょうか?」

   「地球なんか無くなってしまえばイイのに・・

    そう思ってました。此処に来る迄は」

   「何もないからイイのかなぁ」

ユウジ「大きな看板出すと、お客さんいっぱい来ちゃうでしょ?

    これぐらいでちょうどイイんです」

   「あっちが海で、こっちが街・・

    それだけ覚えとけば大体、大丈夫」

   「これ以上、お客さん増えたら困るから、

    ちょうどイイんですけどね」

   「才能ありますよ・・此処にいる才能

   「お早うございます。きっと来ると思ってました」

   「『梅干しと友達は古いほど良い』と言うけど」

   「“観光する所”って・・ありませんよ」

   「夕べは大変でしたね」

   「それは・・出来る事なら、私も乗ってみたいな」

   「イイですよ・・とてもイイです」

   「私はただ、此処で待つだけですから・・過ぎて行くのを

   「“大切にしまった何か”を忘れてしまうのがコウジなんです。

    そこが彼奴(あいつ)のイイところで」

   「食べてみるとイイですよ。サクラさんのかき氷」

ハルナ「此処には、かき氷以外のものはありませんよ」

   「夕焼けを観て黄昏れるなんて、意外と・・単純」

   「此処じゃ本、読めないでしょ?」

   「まぁ大丈夫だと思います・・“気分を変える”と言う意味では」

   「黄昏が得意なワケでもないのに」

   「幾ら真面目にやってても、休憩は必要です

   「編み物って“空気も一緒に編む”と言いますよね」

   「分かったからってどうなんでしょう

ヨモギ「先生・・捜しました」

   「僕は何よりもかによりも先生を想ってますから・・ウソです」

   「直ぐには帰りませんよ・・“飽きる”迄は」

   「“此処で黄昏れる”のも最高です」

   「“人生で一番のかき氷”でした」

   「凄いかなぁ? でも僕はいいや」

   「旅は“思い付き”で始まりますが、

    永遠には続かないものですよ。

    ・・僕はそろそろ帰ります」

サクラ「氷、ありますよ」

   「大切なのは、焦らない事・・焦らなければその内きっと」

サクラ「氷、ありますよ」

タエコ「いえ、結構です」

サクラ「済みません・・黄昏中にお邪魔して」

タエコ「いえ、黄昏れてなんていませんから」

ハルナ「タエコさんは、一体何ものですか?」

タエコ「・・何者でもありませんけど?」

ハルナ「いつ迄?」

タエコ「飽きる迄」

タエコ「キレイに揃ってるけど、つまらないんだよなぁ」

ハルナ「つまらなくなんか、ないです」

ハルナ「釣れますか?」

ヨモギ「・・いえ」

ハルナ「人は死んだらどうなるんですか?」

サクラ「このお魚と一緒です・・1度死んだら2度は死なない」

タエコ「慣れると結構分かるものですね、この地図」

ハルナ「“才能ある”って言われませんでした?」

タエコ「喜ぶべきなんですかねぇ?」

|

« ☆ココロに残った“エエ言葉”☆ | トップページ | ☆『ボラット/栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習(2006)』☆ »

コメント

おはようございます。
本作ではヨモギさんが自然体でなかなかよかったです。

>「才能ありますよ・・此処にいる才能」

実はこのユウジさんの言葉が気になっちゃったんです、私。
マリン・パレスにいた人達は、何ていうか、自分の行動に理由付けを求めてしまうというある意味真面目で不器用な人たちに思えて、そうなるとハマダに暮らせる彼らの方が実は器用に生きれる人なんじゃないかなと。ちょっと“上からユウジ”的な言葉に感じてしまったのです。

>『アウトレイジ ビヨンド(2012)』な、お2人ですからして。

なるほど。(^_^;)
二人とも豹変したら怖いですね。

『かもめ食堂』、是非ご覧になってくださいね~。(*^_^*)
お~、ガッチャマ~ン♫ ← 映画見て歌って頂きたいです。(*^_^*)

投稿: ぺろんぱ | 2013年2月 2日 (土) 07時38分

ぺろんぱさん、ばんはです。

この週末は、風邪で半分ダウンしてました(×_×)

なかなか記事が更新出来ず、悔しい限りです・・

>本作ではヨモギさんが自然体でなかなかよかったです。

登場まで結構引っ張ってましたよね。
「(ホントに出演してるのか)何となく不安になって来て、そこから5分ぐらい経ったら、やっと登場」
って感じでした(=^_^=)

>実はこのユウジさんの言葉が気になっちゃったんです、私。

イイですよね〜 『レンタネコ』のユウジさんも良かったですよ。
(あ、役名違ってたっけ)

>マリン・パレスにいた人達は、何ていうか、自分の行動に理由付け
>を求めてしまうというある意味真面目で不器用な人たちに思えて、
>そうなるとハマダに暮らせる彼らの方が実は器用に生きれる人
>なんじゃないかなと。ちょっと“上からユウジ”的な言葉
>に感じてしまったのです。

「働かざる者、喰うべからず」ちぅ考え方も、コミュニティにとっては
当然の決まり事なのでしょうけど、そこを脱するにはもう少し違った
柔軟な考え方が問われるのかも知れませんね。
将来、この国が更に荒廃した時のために、本作から何かヒントを得ておこうと思います(=^_^=)

>なるほど。(^_^;)
>二人とも豹変したら怖いですね。

その上、この島に「大友」が乗り込んで来たら・・おおこわい(=^_^=)

>『かもめ食堂』、是非ご覧になってくださいね~。(*^_^*)
>お~、ガッチャマ~ン♫ ← 映画見て歌って頂きたいです。(*^_^*)

放送の機会があれば、是非に〜

投稿: TiM3(管理人) | 2013年2月 3日 (日) 23時09分

>突然のご連絡、申し訳ございません。
>株式会社ウェスポーランドの小畠と申します。

余りに突然な連絡に驚きました(⌒〜⌒ι)

>弊社サイトと管理人様のサイトの相性が合いそうだったので
>広告掲載のお願いでご連絡させていただきました^^
>広告掲載の件、ご相談可能かメールにてご連絡いただけますでしょうか?

折角のおハナシですが、広告掲載の件には関心ありませんので、
辞退させて頂きます。

返事もこのコメントにて替えさせて頂きます。
宜しくお願いいたします。

>株式会社ウェスポーランド 小畠
>〒101-0047
>東京都千代田区内神田3-21-6 
>TEL: 03-5297-7758
>mail: marketing@wespoland.jp

投稿: TiM3(管理人) | 2013年2月 8日 (金) 00時28分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ☆ココロに残った“エエ言葉”☆ | トップページ | ☆『ボラット/栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習(2006)』☆ »