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2012年11月26日 (月)

☆『少年は残酷な弓を射る(2010)』☆

14日(水曜)の夜。商店街の中心(?)にあるミニシアター“ソレイユ”で観たのは、その邦題にちょいと興をそそられてた1作『少年は残酷な弓を射る』だった。因みに“レディース・デー”の事である(⌒~⌒ι)

奔放な生き方で人生を切り開いて来た女流冒険家=エヴァ・カチャドリアン(ティルダ・スウィントン)は、夫=フランクリン(ジョン・C・ライリー)との熱愛を経て、息子=ケヴィン、娘=セリアを授かる。

物心ついた頃から、母親であるエヴァに対し、悉(ことごと)く反抗的な言動を取り続けるケヴィン。その理由は・・?

その“幼さ故の容赦なき残虐行為”は次第に加熱し・・15歳の美しい青年へと成長を遂げたケヴィンにより“残酷な弓”から放たれた矢は、娘=セリアや夫=フランクリンを経て、やがてエヴァたちの住む街全体を貫く「大きな事件」を起こす事になるのだった・・

久々に「意図的に時間軸を置換しまくって描く作品」を観た気がした。

物語自体(の展開)は、割と簡単に語れる(類の)モノであるが、詳細に描かれない部分が多く、その点では「あれこれと想像させられ続け、疲れてしまう」作品ではあった(・ω・)

エヴァの本業は、書店の店先に自著ポスターが大きく飾り立てられる程の(高名な)冒険家らしいのだが、その手の(冒険)シーンは全く描写されない。唯一、劇中で「エクアドルに7ヵ月行かなければならない」と夫に説明的に(?)語るセリフがあったぐらいだ。

なので、ポイントをしっかり掴んで観てないと「このしと、専業主婦やろか?」「何がどうなってんの?」「壁の汚れはトマト?」とワケが分かんなくなるかも知んない。

問題児=ケヴィン(エズラ・ミラー)についてもコレは同様で「学校でのシーン」が終盤以外殆ど描かれないため、彼がそこで起こしたとされる“事件”に対する予想が全く出来ない点は「不親切!」とも「隠し過ぎ!」とも思った。

冒頭から、エヴァが孤立した姿&疎外感溢れる言動で街をウロウロしたりするんだが、いきなり通りすがりの女性に顔を殴られたりし、観客である我々にも緊張が走った(×_×)

「一体、彼女の周りで何があったんや?」と静かなざわめきが心の中で起こり、高まってゆく。。

観終わってからは「ケヴィンの中に隠され続けてた“弱さ”」を感じる以上に「それでも尚、この街で暮らし続けるエヴァの“強さ”」に恐れ入ってしまった。

生来の頑固過ぎる性格によるモノか、この街でケヴィンを「待ち続ける」事を“償い”として自らに課した結論なのか・・

ケヴィンの「残酷な弓」がエヴァに向けては“決して”放たれなかった事実も「ケヴィンの、母に対する歪んだ愛情・・心の底では母を愛し、決して弓を向けられなかった」なのか「ケヴィンの、母に対する歪んだ憎悪・・母に最大級の苦痛を与えんがため、弓を向けなかった」なのかは、観客それぞれが想像で補って結論付けないといけないトコなんだろう。

全体的な印象が『エレファント(2003)』に似てた感もあったが・・決してお洒落には描いてない分、例えば「任意に1シーンを切り取れば、それがそのままポストカードになる」みたいな映像には乏しい(・ω・)

エヴァとフランクリンの恋愛模様も、或いは『ブルー・バレンタイン(2010)』みたいに演出する事も出来なくはなかったと思うが・・

何にせよ、ケヴィンを眺めるにしても、エヴァを眺めるにしても、どうにも救いようのないおハナシではあった・・

スペインのトマト祭り(トマティーナ)、ハロウィーンなど「騒がしい情景」が劇中に盛り込まれつつ、これ程までに暗く静かなテイストに貫かれてた点もまた、本作の忘れ難いトコであろう。

~ こんなトコも ~

・「タイトルがまんまオチになってますやんか!」と思わづツッコんだのは、ワタシだけではなかろう。

・妹=セリアの左眼の事、逃げたリス(?)の行方・・なども詳細には語られなかった。

・個性的な邦題には『隣人は静かに笑う(1999)』『ゆりかごを揺らす手(1992)』にも通じる命名者の(独特な)センスを感じる(=^_^=)

・「揺れるカーテンの向こうに庭が広がっている」そんな映像が繰り返されたが、さほどのインパクトはなかったか・・

・“ミスター・セロファン”は、やはり本作でも全体的に印象が薄かった。。顔つきこそは「濃い」んだけど(⌒~⌒ι)

・エヴァが眺めてた写真に写ってたのは「東大寺南大門(奈良県)」だったんやろか? それっぽく見えたけど?

・ケヴィンが「※※のメタファー」として、ライチをじゅるじゅる食べるシーンが不快だった(×_×)

・エヴァの家の裏手が線路になってた事が、終盤で明らかになる(←だからどうした)。

・リビング(居間)の事を「ファミリールーム」と言うそうだ。

・シーンによって流れる「三味線(?)風のBGM」が印象的ではある。

~ こんなセリフも ~

エヴァ「まさか・・ウソでしょ(You did not.)」

   「“死後の行き先”なら分かってるわ。

    地獄に堕ちて、永遠に呪われるだけよ」

ケヴィン「部屋の壁に紙なんか貼って、バカみたい」

    「個性って? バカみたい」

    「部屋を“特別”にしたかった」

    「もういい?(Now coming quick?)」

    「“慣れる”のと“好き”なのは違う

    「まだダメ(Not yet.)」

    「どうでも(Whatever.)」

    「コンピュータが壊れた?」

    「“切手集め”なんかに興味ないね」

    「絶好調さ」

    「此処が“どう言う世界”か分かってる?」

フランクリン「あの子も反省してる」

      「男の子はあんなもんさ」

      「無邪気な子のする事を気にするな」

      「天才だな(You are natural.)」

      「1度カウンセリングを受けろ(You need to talk this someone.)」

周囲の人々「地獄で腐り果てな!」

     「何様のつもりだ? “お情け”で誘ってやったのに」

     「地獄で朽ち果てろ」

フランクリン「2度といなくなるな」

エヴァ「2度と離さないわ」

フランクリン「軽く揺すればいいんだ」

エヴァ「(泣き止まないのは)私が悪いとでも?」

フランクリン「いつ言う気だった?」

エヴァ「今、言ったわ」

フランクリン「今更、何が出来る?」

エヴァ「“ママ”と呼んで」

ケヴィン「・・ヤだ」

エヴァ「それも“嫌がらせ”のつもり?」

ケヴィン「“嫌がらせ”? 母親に?」

エヴァ「太るものを食べるから、人は太るの

ケヴィン「時々、キツいね」

エヴァ「それに何の意味が?(What's the point?)」

ケヴィン「意味なんかないさ。

     そこがいい(That's not point.That's the point.)」

エヴァ「教えてくれない?(I want to you tell me.)

    ・・何故なの?」

ケヴィン「分かってるつもりだった・・でも今は違う」

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2012年11月25日 (日)

☆『のぼうの城(2011)』☆

12日(月曜)の夜。市内北方のシネコン“ワーナー・マイカル・シネマズ高松”へと出かけ、レイトショーで観たのは・・それなりに期待してた歴史大作『のぼうの城』だった。

『TBS開局60周年記念作品』なる触れ込みの、出演俳優陣の演技合戦(?)に重きを置いた、一風変わった切り口(?)の戦国絵巻。

この物語は約400年前の史実に基づいている・・

1582年(天正10年)。現在の岡山県=備中高松にて、羽柴秀吉(市村正親)は、毛利配下の武将=清水宗治(しみずむねはる)の城塞を堤防で囲んでから一気に決壊させる“水攻め”の戦略を以て、高松城を陥落させる。

秀吉の奇策に圧倒された家臣=石田“佐吉”三成(上地雄輔)は「俺もこんな、壮大かつ豪気な戦(いくさ)がしてみたい!」と自らの興奮を隠さなかった。

8年後の1590年(天正18年)。

天下統一を目前にした、関白=豊臣秀吉は、22の支城を擁する関東=小田原城の抵抗に業を煮やしていた。

配下=三成は秀吉より与えられた2万の軍勢を率い、支城の1ツ=武州・忍城(おしじょう)を討つよう命じられる。

忍城々主=成田氏長(なりたうじなが:西村雅彦)は、密かに豊臣方に働きかけて内通し、小田原城主=北条氏を裏切る腹づもりだったが・・石田勢の使者=長束正家(ながつかまさいえ)の傲慢な振る舞いに対し、氏長不在後に城主となった“のぼう様”と呼び親しまれる殿様=成田長親(なりたながちか:野村萬斎)は「城を引き渡すのは止めじゃ! 儂(わし)は戦(いくさ)を交える事に決めた!」と刹那的に言い放ってしまう。

かくて、領内の農民兵を加えてもせいぜい2千人程度の成田勢と、城をぐるり取り囲む石田側=2万の軍勢との戦いが始まるのだった。

歴然とした兵力差に「易々と忍城を落とせるだろう」と三成は踏んでいたが・・“のぼう様”と呼ばれ、バカ殿様と領民に親しまれる長親は、優秀な家臣らの助けや、自らの“取って置きの奇策”を以て、しぶとく城を護り続けるのだった・・

個性的な城主による、異なった切り口の“和製『300(2007)』”なんかな? と思って観始めたが、どちらかと言えば『300』よりも『レッドクリフ(2008,2009)』の方に似てた気もした。常人を超越した、成田方の重臣=正木丹波守利英(まさきたんばのかみまさひで:佐藤浩市)や柴崎和泉守(しばさきいずみのかみ:山口“ぐっさん”智充)の鬼神のような戦ぶりに“関羽とか張飛とか”・・いわゆるそっち系の武将らを連想させられたからかも知んない(=^_^=)

合戦や、水攻めのシーンと言った「ダイナミックな見せ場」は確かに用意されているんだが、それぞれ「大味なCGを交えて済ませてるでしょ?」と突っ込めるトコも少なからずあり「ちゃんと地元でロケーションやってるんやなぁ」と感心させられるのは、ラストに映し出される「現代の忍城址とその周辺」ぐらいだったようにも思われた。

何となく『さや侍(2011)』『恋人までの距離(1995)』のラストと演出が似てて、笑ってしまったモノである・・

目立つ天守を構えない(?)忍城の雰囲気には『蜘蛛巣城(1957)』に出て来る山城の佇まいを連想したり。また武士(雑兵)のドラマではなく、農民(農兵)の言動に視点を据えてる辺りは、同様にクロサワ作品『7人の侍(1954)』に似てるなぁ~と感じた。

ついでだから、ラストで萬斎さんに「勝ったのは儂(わし)らではない」とぐらい、確信犯的に呟いて欲しかったかも(=^_^=)

結局のトコ、最大の見せ場と言えば・・やはり「(水攻めを破るため)船上で“田楽踊り”を披露する」のぼう様の姿だったろう。詳しく計測してないが、そこそこな規模の“長回し”もやってくれてたような(・ω・)

野村萬斎にしか演じられない役柄である意味は、こここそにあるワケで・・逆に、騎馬隊を率い猛々しく敵陣に斬り込んで行く“のぼう様”の姿を想像してたワタシは、どうやら大きな勘違いをしてたようである(=^_^=)

鈴木保奈美、榮倉奈々、尾野真千子、芦田愛菜・・と言った女優陣については、決して巧く活用出来てたと言えないように感じたし、夏八木勲さん演じる坊さんも、もっと強烈な出番があっても良い気がした。

それでも、比較的マイナーな(?)武将に焦点を当て、士と農の共闘ぶりを描いた“珍しさ”や、圧倒的な兵力差を「知的な戦略」でカヴァーする“精神戦”の要素がなかなか楽しかったんだが、もう少し展開をテンポ良く進めても良い気がしなくもなかった。

“オチ”を知ってしまうと、2回目を観るにはやや展開が間延びして感じられる事だろう。

「何度観ても飽きない」そんな完成度にまで高めて欲しかったモノである。

~ こんなトコも ~

・正直「掴み所がない」ってのが“のぼう様”のキャラ造型だった。

・“のぼう様”の(真の)スゴさを観客に「直感的に」理解させる、そんなエピソードを前半辺りに盛り込んで貰えると有難かったかも。

・しかし「取り囲む側近(家臣)」や「一揆らない百姓」には恵まれ過ぎてる“のぼう様”だった。

・成宮“ばかもの”寛貴君(酒巻靱負:さかまきゆきえ役)の恋愛劇に期待して、ソンした(⌒~⌒ι)

・てっきり佐藤浩市は「何故じゃあ~!」と叫びながらカメラの前で殺されるんかと思ってた(=^_^=)

・大した意味もなしに「全裸で尻を見せてた(入浴シーンの)市村さん&山田孝之くん(大谷吉継役)」ってば“女性客向けのサービスカット”のつもりやろか?

・市村さんは「ゲスト出演」のレベルだったかも・・

・劇中のロケーションは、正直何処でやっても良かったんかも。

・もう少し“のぼう様”と甲斐姫(榮倉)のロマンスを描いて欲しかった。

・前田吟さんと平泉成さんのキャラが、ワタシの中で何故だか強烈にカブってて、ちょっと混乱した(=^_^=)

・前半の“騎馬一騎討ち”で敵将を首コロさせたのって・・丹波守(佐藤)だったんやろか? 黒い甲冑姿になると、和泉守(ぐっさん)との区別がちょっと付きにくかったような(×_×)

・「敵将を狙撃する卑怯さ」が容認されるなら「三成方の使者をその場で斬り殺す卑怯さ」もアリだった気がした(=^_^=)

・成宮寛貴君が“和製ジョン・ローン”に見えて仕方がない(⌒~⌒ι)

~ こんなセリフも ~

のぼう「少々ぬかるんでおった」

   「全く面目ない」

   「隙あらば、儂を襲え」

   「一寸(ちょっと)良いかなぁ?」

   「隠せば、噂は広がる

   「じたばたしても仕方がない」

   「冗談通じて面白や~」

   「腹は今、決めた・・戦いまする!」

   「“下る”のが嫌になった」

   「“戦場にて相まみえる”と申した」

   「嫌なものは嫌なんじゃ!」

   「是が“世のならい”と申すなら・・儂は赦さん!」

   「坂東(ばんどう)武者の槍の味、存分に味わわれよ」

   「皆、ごめ~ん」

   「済まんが、一寸横になる」

   「御主も案外と馬鹿じゃなぁ」

   「儂は決めた! “水攻め”を破るぞ!」

   「儂は悪人になる!」

   「城外の百姓は皆、我等の味方ぞ」

三成「誠、水に浮くか試してみるか」

  「“水攻め”じゃ! 決壊させよ!」

  「遠慮致すな」

  「さぁどう出る? 忍の城の強者共よ」

  「“利に転ばぬ者”が此処にも居たか」

  「“佳き戦”に御座った」

丹波「・・関白と戦か」

  「本当にやるのか?」

  「我ら、戦に決した」

  「是が“天下の兵”か」

  「“槍合せ”を願おう!」

  「士気は高い・・勝てるぞ」

  「あれ程の悪人は居らんぞ」

  「侍共は命に代えても百姓を護れ!」

和泉「面白ぇ、やっちまおう!」

  「此の長野口を攻めた不運を知れ!」

酒巻「儂に“場”を与えよ! “天才の働き”を見せて遣るわ」

  「我等にしか取れぬ軍略を以て、勝利を掴む」

大谷「此の城を敵に回したは、間違いか・・」

  「初戦は我等の負け・・退くぞ」

  「何と豪気な・・まだ船を寄せるか」

  「是で此の戦、泥沼とな成ったぞ」

  「此の城だけだ・・堕ちなかったのは」

秀吉「決壊させよ!」

僧「“でく”を付けてないだけ有難いと思え」

※「百姓とて馬鹿ではない」

 「彼奴が総大将だ!」

 「田を駄目にされた百姓が黙って居ると思ぅたか」

 「最早、是非も無い」

甲斐「彼奴(あいつ)死ぬ気だ・・死ぬ気なんだ」

酒巻「(姫に)惚れておりまする」

甲斐「承知した・・有難(ありがと)よ」

酒巻「心底惚れた男に、まずは抱かれよ」

甲斐「・・そうする」

甲斐「(戦は)私の為か?」

のぼう「・・そんな訳ないでしょ」

追記1:本作の舞台となったのは、埼玉県行田(ぎょうだ)市。「皿尾橋」「持田駅」「石田堤址」などがラストで映されてた。

追記2:石田勢の旗印に書かれていたのは「大一大万大吉」の言葉。間違えて「大天万大吉」と読んでた(⌒~⌒ι)

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2012年11月17日 (土)

☆『リンカーン/秘密の書』☆

またもや、記事のアップが遅れに遅れてしまい、、恐縮至極です(×_×)

「鑑賞メモをまとめる迄に記憶の欠落しない程度」には急ぎたいと考えてますけん、穏やかな気持ちで見護ってやってくんさい~

・・

3日(土曜)の夜、市の北方にあるシネコン“ワーナー・マイカル・シネマズ高松”で鑑賞したのは、初めて“予告篇”を観て以来、密かに期待値を高めてたアクション娯楽大作(?)『リンカーン/秘密の書』だった。

実在の第16代合衆国大統領=エイブラハム・リンカーン(1809-65)を主人公に、一般に広く知られる“有能な政治家の顔”の裏に隠された“凄腕のヴァンパイア・ハンターとしての生涯”に重きを置いて描いた自伝的作品(=^_^=)

・・

1818年、インディアナ州。

この地で育ったエイブラハムは、少年期に美しい母=ナンシーを町の顔役=ジャック・バーツに殺されてしまう。

復讐心を抱えたまま育ち、やがて逞しい青年に成長したエイブ(エイブラハム)は、謎の紳士=ヘンリー・スタージスに出逢い、ジャックが“ヴァンパイア(吸血鬼)の一味である事”を聞かされる。

ヘンリーの下で“ヴァンパイアを滅ぼす存在=ヴァンパイア・ハンター”としてのスキルを磨き上げたエイブは「私怨を棄てる」「友人も家族も持たない」と言う2ツの条件を突き付けられ、それを半ば承諾するカタチでハンターとしての実績を積み重ねてゆく。

そんな彼の前にメアリー・トッドと言う魅力的な女性が現れる。

ヘンリーとの“約束”を脳裏によぎらせながらも、メアリーに対する愛情の深まってゆく自身に気付くエイブ。

仇敵=ジャックの背後に控える一味の黒幕=アダム(ルーファス・シーウェル)が、制定されて久しい「奴隷制」を楯に、貧困層の人々を“食糧”として南部に送り続けている真相を知ったエイブは、武器である手斧を“封印”し「奴隷解放」を目指して政治の道にその身を投じる決意をするのだったが・・

“ネタ”として「リンカーン」と「ヴァンパイア・ハンター」を繋げる強引な設定にこそは圧倒されたが(=^_^=)・・如何せん、それ(両輪)が総じては巧く噛み合っておらず、、違和感を感じ続け、ツッコミを放ち続けたのも事実である。

その設定は設定として「天晴れ!」と評したいトコだが、一方でキッチリと「それをどう効果的&クレバーに描き、観客に見せるか」には更に知恵を絞って欲しかった。

同じ“強引路線”にせよ『フォレスト・ガンプ/一期一会(1994)』の方が、的確に「歴史的エピソードとの絡め方」を押さえてくれてて、観てて気持ち良かったモノだった・・確か。

手斧1本で、ハンター仲間もなしにヴァンパイア相手にまともに(?)戦えてるエイブもスゴかったが、これまでになかった“ヴァンパイア像”を確立しようとする半ば強引な姿勢にも(=^_^=)驚かされたワタシ。

『同族(ヴァンパイア)が殺せない』

『陽光を浴びても死なない』

『死んでも身体が消失(炭化?)したりしない』

『十字架やニンニクを恐れない』

『蝙蝠(コウモリ)に化けたりしない』

『銀製品(で造られた武器)に弱い』

『決して美男子ばかりとは限らない』

でも、敵組織となる、そんなヴァンパイアたちの身体能力がとにかく凄まじく、単体でもやたらと強い!

んで、そんな連中が全米じゅうにやたらと存在してるようなので、もっと団結したら地球全体を苦もなく征服出来たとも思うんだが・・何故に「南部から北部に攻め入ろうと“律儀に”画策してるのか」がサッパリ分かんなかった(・ω・) 人類に対してハンデをつけて遊んでたんやろか?

そして、エイブにとって“親友”とも呼べる人物が2人“ハンターとしての”彼と行動を共にするんだが、その辺りの「友情」の描き方もまた、どうも薄っぺらく、ちょっと感動するには情報量が乏し過ぎた(⌒~⌒ι)

アクション描写(カメラワークなど)で「おおッ!」と思わせてくれるトコは確かにあったので、後は物語としての骨格をもっとしっかり形成して欲しかったモノである。

~ こんなトコも ~

・連想した作品は『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア(1994)』『ヴァン・ヘルシング(2004)』『フライトナイト(1985)』『ブレイド(1998)』『ジョン・カーター』辺りか。

・ヴァンパイアに咬まれた場合の「死ぬケース」「同族になるケース」の違いが今もって良く分かんない(・ω・)

・主人公を演じたベンジャミン・ウォーカー。観ようによっては「リーアム兄さん」「ケヴィン“先生、手がヤバい”クライン」にも似て見えた。

・ベンジャミンは(実生活で)メリル・ストリープの娘さんと結婚してはるらしい!

・「実在の人物をネタに、歴史的エピソードを(物語に)部分的にはめ込んででっち上げた系」って作品が、これから増えて来るのかも??

・“黒人系”“東洋系”のヴァンパイアはいずれも出て来ず残念。

・最期に日記の書かれた「1865年4月14日」は・・リンカーン暗殺事件の前日である。

・“絶体絶命の場面”で屋敷に突入して来るのが・・割と意外な人物だったのでびっくり。。

・議員の中にはヴァンパイアはいなかったんやろか?

・シルクハットって、意外にもしっかりした造りらしい。メアリーが乗っかって(身長差を補って)エイブにキスしてたので(・ω・)

・「ヴァンパイアの起源(ルーツ)」ってのには触れられてなかった。トランシルヴァニアではないんか?

・頑張った割に、ジョシュア・スピードのあの扱いはぞんざいでは・・?

・ウィル・ジョンソン&スピードが、何となく「大統領の側近中の側近」の立場におさまってて違和感が。。

・銀の(?)懐中時計に刻まれた“刻は人を待たず”の言葉は、なかなかに意味深い。

・ジャックが暴れ馬をジャイアントスウィング(?)で投げ付ける、豪快なアクション映像は強烈だった(=^_^=)

・息子ウィリーを失った大統領夫婦の食事シーンで、彼らの向かい合うテーブルのやたらと長いのが印象的だった。説明的なセリフなんかなくても、あのテーブルの“座り位置”だけで雄弁に語れるんやね。

~ こんなセリフも ~

エイブ“歴史は人そのものより、その伝説を好む”

   “私は夫であり、弁護士であり、大統領だっだ。

    そして・・闇と戦った者だった”

   “我が友ヘンリーに、この日記を遺す”

   “私は産声を上げなかったそうだ”

   “私はまだ復讐を果たす勇気を持てずにいた”

   「何も見てません」

   「オノの扱いなら得意だ」

   「思い切って言うと、あなたに興味がある」

   “ヤツらは想像以上に存在する”

   「今までに・・そうだな、6人は殺した」

   「僕を“世界一幸せ”にしてくれ」

   「万人が自由になるまで、我々は皆奴隷だ」

   「武器ではなく、言葉と理想で戦うぞ」

   「・・妻を慰めようがない」

ナンシー「万人が自由になるまでは、誰もが奴隷よ」

父「“バカなマネ”はしないと約束してくれ」

ヘンリー「深酒は“女にキスするため”か“人を殺すため”だ。

     お前はそのどちらだ?」

    「済まんが、そのドアを閉めてくれ」

    「あんなザマでは、とてもヤツは殺せん」

    「君は大バカな上に、それに気付いてない」

    「ヴァンパイアは実在し、総ての町、総ての州、

     そして国中にいる」

    「“殺す”ではなく“滅ぼす”だ」

    「ヤツを殺(け)したいか?

     それで亡き母親の思い出が浄化されるか?」

    「復讐を棄て、ハンターとして生きると誓うか?」

    「友も家族も持つな。誰も信用するな」

    「このラッパ銃は“スコティッシュ・ハイランド”だ。

     弾丸が切れたら、懐中時計でも詰めて撃て」

    「樹と思うな。“復讐の対象”として切れ。

     もっと憎しみを込めろ」

    「憎しみではなく、真実から“本当の力”が生まれる」

    「人々を護るには、まず自分自身を護れ

    「視覚以外の感覚を磨け」

    「銀はヤツらを滅ぼす」

    「“標的”は俺が決める」

    「死者から生者を護るのだ」

    「“不測の事態”に備えろ」

    「“票集め”より、ヴァンパイアを狩れ」

    「総てを奪われたのは君だけじゃない」

    「あと何人死ねば、俺の意見を聞く?」

アダム「南部に“新鮮な収穫物”を送れ」

   「神が“小細工”をしたようだ」

   「私も“世界を愛する者”の1人でね」

   「川を上るぞ。リンカーン君を

    葡萄酒でもてなそうではないか」

   「彼を“その気”にさせるとしよう」

   「5000年前、ユダヤ人によるピラミッド建設も観た」

   「人々は皆、何かに支配されている」

   「自らの鎖を断ち切れ」

   「戦争が始まる」

   「この戦いを経て、この国は我々のものとなる」

バーツ「運が悪い・・やっと“死ねる”と思ったが」

   「人間には2種類いるそうだ。引き金を引く

    度胸のある者と、それがない者のな」

   「お前の血の味はどうだ?」

   「かすったな」

   「俺たちは無数にいるのさ」

スピード「探してるのは安い部屋か?

     それとも“タダの部屋”か?」

    「何事にも対価が必要でね」

    「大変だ!(We got trouble!)」

    「お前と一緒なら、敵などいないさ」

アーロン「痛みは一瞬だ・・心配するな」

メアリー「そこに座ってたら、踊れないわ」

    「スゴいわね(My goodness.)」

    「“正直者”だと思ってたのに」

    「狩りを頑張って(Happy hunting.)」

    「彼は気負わないわ。だから強いの」

    「大事なのは“踏ん張って戦う”と言う大義よ」

    「劇場に遅れるわよ!

エイブ「君が必要だ」

メアリー「・・“その言葉”をずっと待っていたわ」

ヘンリー「こんな時に、日記か」

エイブ「そうだ。総てを記す・・“何もかも”を」

※※※「人間にも信用出来るヤツはいるんだな」

エイブ「ヴァンパイアにもな」

アダム「銀は何処だ?!」

エイブ「・・ここだよ!」

追記1:現代では、どんなヴァンパイア・ハンティングが行われとるんやろ?

追記2:手斧1本で、専ら接近戦でバトルを余儀なくされてて、キツそうやな〜と思いきや・・実は「飛び道具」を仕込んでたのだった(=^_^=)

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2012年11月 7日 (水)

☆『リンカーン弁護士(2010)』☆

鑑賞してから、1週間後に至っての記事アップとなってしまいました(×_×)

メモをまとめてる内に、はや記憶の薄れて来ちゃっとる感もありますが(苦笑)、まぁ気長にお楽しみ下さい。

・・

10月31日(水曜)の仕事後、商店街の中にあるミニシアター“ソレイユ”のレイトショーで観たのは、意外と“かなり気になってた”1作『リンカーン弁護士』である。

現代のカリフォルニア州ロサンゼルス。

ナンバープレート「無罪(NTGULTY)」の燦然と輝く高級車“リンカーン”の後部座席を「移動事務所」とする、無名だが腕利きの弁護士=ミック・ハラー(マシュー・マコノヒー)は、麻薬売人や売春婦と言った“ツワモノの依頼人”から高額の弁護料をふんだくる代わりに、司法取引を駆使し、軽微な判決に持ち込むやり口を得意としていた。

そんな彼を指名して来た依頼人は、資産家の御曹司=ルイス・ルーレ(ライアン・フィリップ)。

彼はバーで知り合った娼婦=レジーナ・カンポに対する傷害罪(殺人未遂?)で告発されていた。

彼は情報屋=ヴァル(ジョン・レグイザモ)や調査員=フランク(ウィリアム・H・メイシー)らと連携を取りつつ「簡単な仕事」のつもりでルイスの弁護に取りかかる。

そんな中、ミックは今回の事件と“自らが4年前に手がけた、とある事件”の「類似性」に気付き始める。

そして“とある事件”ついて、過去の資料を洗い直していた矢先、突然に“第2の事件”が発生してしまう・・

シブい! シブ過ぎる! まさに“ソレイユ向き”と言おうか、抑えに抑えまくった演出の結晶体(?)であり、完成体だった。

『リンカーン弁護士(原題:The Lincoln Lawyer)』なるタイトルからして、もっと“おシャレ系”“コメディ系”“バディ系”そして“アクション&カーチェイス系”なんかも多少は期待してたんだが、見事にそれらのどの演出群にも逸脱(=^_^=)する事はないのだった。

マコノヒー氏と言えば『評決のとき(1996)』以来の(?)弁護士役なんじゃないかと記憶してるんだが、更に“ポール・ニューマンっぽさ”が増しとる感じで(=^_^=)「いよいよ、キャリアを代表する作品に出会っちゃったのかもネ」などと勝手な事を思った。

ポール・ニューマンさんに有りがちな(?)「アルコール依存症」てなキャラ造型には流石に(安直に)走ってなかったが「華やかな表舞台(法廷)の裏(私生活)では、過去の罪に怯え続ける」みたいな複雑&繊細な演技もそつなくこなしておられ、その点には唸らされた。

私的には“第2の殺人”が発生する辺りの描き方(物語の置き方)が印象的だった。

被害者の殺害された後で「遺された(そのしとの)留守電を聞く」トコや、その死に顔がハッキリと映されないトコ、そのしとの飼ってた愛犬までもが無惨に殺されるトコ、などにピンポイントな「リアルさ、恐ろしさ」が漂ってるのだ。

そしてまた“第2の殺人の真犯人”が現れる終盤の「唯一のアクション描写」も印象深かった。

何だか「最後の最後」でサスペンス&ガンアクション展開に「ゲージの振り切れちゃってた感」がなきにしもあらずだったが・・こう言うスッキリ演出もハードボイルド路線(なの?)作品には欠かさざるべき要素(の1ツ)なのだろう。

本作を構成する、総ての要素について「1980年代ごろの技術で充分に撮れたんじゃないの?」と思わされるワケだが・・その点について「観てソンしたわ!」と観客に感じさせないだけの「上質で普遍的な何か」を確実に掴んでる佳作やな、と思った。

~ こんなトコも ~

・アールとかヴァルとか、出番が少ない割に巧くキャラを立ててたように思う。あの“おっさんバイク軍団”との付き合いぶり(腐れ縁?)ばかりは、何だか良く分かんなかったが・・

・“アレ”を携行する以上は「防護するアイテム」もちゃんと装着しとけよ! とつい思ってしまう。

・スカーレット・ヨハンソンちゃんが経年変化して行くと・・何となくマリサ・トメイっぽい雰囲気やご尊顔になって行かはりそうな気がする。

・“あのしと”が全裸で縛られ、暴行されるシーンを想像するに・・ちょっとアタマがクラクラして来た(×_×)

・娘さん=ヘイリーは、もっと「マセた言動の子」でも面白かったかも知れない(⌒~⌒ι)

・その髪型に違和感を感じまくったメイシーさん(=^_^=) 辿る運命は『サイコ(1998)』の私立探偵=アーボガスト役にも似てた(×_×)

・ライアン・フィリップは、ちょっとチャニング・テイタムにも似た容貌に思える(・ω・)

・ボブ・ガントンは余り前面に出て来なかったかも。まぁでも『デッド・サイレンス(2007)』ほどには「ヒドい扱い」じゃなくて良かった(⌒~⌒ι)

・100万ドルもの保釈金を積んで勾留が解けたにせよ、追跡装置の着用が義務付けられるそうだ。

・“青のマスタングの男”を演じた、あのイケメン男優さんがちょいと気になった(=^_^=)

・「ウッズマン」なる22口径のコルト銃が登場。45口径じゃないコルトがあるなんて知らなんだ。。

・ミッキー・コーエンと言うギャングは実在の人物だそうだ。

・劇中で“駐車違反”が2度摘発されるが、どちらも良いアクセントになってた。

・「思いがけない人物がやって来る演出」「弁護士が駐禁キップを切られる(皮肉な)演出」「最期は“銃頼み”となる(銃社会ならではの皮肉な)演出」などは特筆すべきトコと言えよう。

・“お得意さん”は「repeat customer」となるようで。

・“Don't Sweat the Technique / Erik B. & Rakim”“Moment of Truth / Gang Starr”“California Soul / Marlena Shaw feat. Ya Boy”と言った曲群が、シブくて通狙いでエエ感じ!!

~ こんなセリフも ~

ミック「じゃあな、アール」

   「どんなチャンスだ? 話せよ」

   「“袖の下”入りのナッツを忘れたのか?」

   「おい! 自分の弁護士から逃げるなよ」

   「俺にとっちゃ、君は“信用出来る人間”じゃないからな」

   「俺の事務所は“ここ”さ」

   「免停期間なら、とうに終わってるさ」

   「資金が足りない。前金5000ドルの半分は、

    航空写真のプロに支払ったんでね」

   「俺の仕事に不満なら、公選弁護士を雇え。

    尤も、腕は落ちるだろうが」

   「保釈されるまでは黙ってろ」

   「皮肉な態度の君ってサイコウだな」

   「ルーレの写真が750ドルで売れるのか?

    なら、俺が1000ドルで買おう」

   「実刑を覚悟しとく事だ」

   「彼女のハナシがウソなら、簡単に勝てるが・・

    “隠してる事”は何もないか?」

   「容認出来る評決はたった1ツ・・“無罪”だけだ」

   「月灯りが似合うね」

   「君がウソをついてさえなきゃ、起訴は回避出来る」

   「司法制度はそんなもんじゃないだろ?」

   「死刑を回避するには、罪を認めるしかないぞ」

   「“家族への脅し”は初めてじゃない」

   「お時間をどうも(Thank you for your time.)」

   「俺は“容疑者扱い”か?」

   「あんたが退職した翌朝、あんたを蹴飛ばしに行くよ」

   「過激な発言も戦術の1ツです」

   「役目は果した。別の弁護士を捜せ」

   「後で俺を蹴飛ばしていい」

   「殺すなよ」

   「ハメたのはあんだだ」

   「こいつを持つのは“保険”さ」

   「この次はふんだくるさ」

アール「ボス、気を付けて」

   「ヤミで買ったものだから、アシはつきません」

マギー「分かるわ(join the club.)」

ヴァル「俺の責任みたいに言うのは止してくれ」

カーレン「クズ共を弁護して、良く平気でいられるもんだ」

    「あんたはな、社会のゴミを出しっ放しにしてるんだ」

フランク「防犯カメラの映像だ。警備室に1000ドル払った」

ルイス「僕は犯(や)ってない(I did not do this.)」

   「僕は無実だ(I'm innocent.)」

ドブズ「見事だ(You're splendid!)」

真犯人「そうさ、私が殺した。

    あんたには“秘匿特権”があるんだろ?」

   “女に当然の報いを受けさせたまでだ”

※「あんたは全く謎だな・・一体どっちの味方なんだ?」

証人「400ドルを払い“合意の上で楽しんだ”だけさ」

ミックの父“無実の依頼人ほど恐ろしい者はいない”

裁判長「これでは裁判の続行は不可能だ」

アール「先生なら、ストリートでだって生きてけそうだ」

ミック「今だって、こうしてストリートを走ってるさ」

ミック「誰も君の言葉なんか信じんさ」

マルティネス「それを言うな!」

マルティネス「質問? 今更?」

ミック「間違いを正したい」

ミック「大変な仕事ですね」

レジーナ「・・それに危険よ」

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