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2012年11月25日 (日)

☆『のぼうの城(2011)』☆

12日(月曜)の夜。市内北方のシネコン“ワーナー・マイカル・シネマズ高松”へと出かけ、レイトショーで観たのは・・それなりに期待してた歴史大作『のぼうの城』だった。

『TBS開局60周年記念作品』なる触れ込みの、出演俳優陣の演技合戦(?)に重きを置いた、一風変わった切り口(?)の戦国絵巻。

この物語は約400年前の史実に基づいている・・

1582年(天正10年)。現在の岡山県=備中高松にて、羽柴秀吉(市村正親)は、毛利配下の武将=清水宗治(しみずむねはる)の城塞を堤防で囲んでから一気に決壊させる“水攻め”の戦略を以て、高松城を陥落させる。

秀吉の奇策に圧倒された家臣=石田“佐吉”三成(上地雄輔)は「俺もこんな、壮大かつ豪気な戦(いくさ)がしてみたい!」と自らの興奮を隠さなかった。

8年後の1590年(天正18年)。

天下統一を目前にした、関白=豊臣秀吉は、22の支城を擁する関東=小田原城の抵抗に業を煮やしていた。

配下=三成は秀吉より与えられた2万の軍勢を率い、支城の1ツ=武州・忍城(おしじょう)を討つよう命じられる。

忍城々主=成田氏長(なりたうじなが:西村雅彦)は、密かに豊臣方に働きかけて内通し、小田原城主=北条氏を裏切る腹づもりだったが・・石田勢の使者=長束正家(ながつかまさいえ)の傲慢な振る舞いに対し、氏長不在後に城主となった“のぼう様”と呼び親しまれる殿様=成田長親(なりたながちか:野村萬斎)は「城を引き渡すのは止めじゃ! 儂(わし)は戦(いくさ)を交える事に決めた!」と刹那的に言い放ってしまう。

かくて、領内の農民兵を加えてもせいぜい2千人程度の成田勢と、城をぐるり取り囲む石田側=2万の軍勢との戦いが始まるのだった。

歴然とした兵力差に「易々と忍城を落とせるだろう」と三成は踏んでいたが・・“のぼう様”と呼ばれ、バカ殿様と領民に親しまれる長親は、優秀な家臣らの助けや、自らの“取って置きの奇策”を以て、しぶとく城を護り続けるのだった・・

個性的な城主による、異なった切り口の“和製『300(2007)』”なんかな? と思って観始めたが、どちらかと言えば『300』よりも『レッドクリフ(2008,2009)』の方に似てた気もした。常人を超越した、成田方の重臣=正木丹波守利英(まさきたんばのかみまさひで:佐藤浩市)や柴崎和泉守(しばさきいずみのかみ:山口“ぐっさん”智充)の鬼神のような戦ぶりに“関羽とか張飛とか”・・いわゆるそっち系の武将らを連想させられたからかも知んない(=^_^=)

合戦や、水攻めのシーンと言った「ダイナミックな見せ場」は確かに用意されているんだが、それぞれ「大味なCGを交えて済ませてるでしょ?」と突っ込めるトコも少なからずあり「ちゃんと地元でロケーションやってるんやなぁ」と感心させられるのは、ラストに映し出される「現代の忍城址とその周辺」ぐらいだったようにも思われた。

何となく『さや侍(2011)』『恋人までの距離(1995)』のラストと演出が似てて、笑ってしまったモノである・・

目立つ天守を構えない(?)忍城の雰囲気には『蜘蛛巣城(1957)』に出て来る山城の佇まいを連想したり。また武士(雑兵)のドラマではなく、農民(農兵)の言動に視点を据えてる辺りは、同様にクロサワ作品『7人の侍(1954)』に似てるなぁ~と感じた。

ついでだから、ラストで萬斎さんに「勝ったのは儂(わし)らではない」とぐらい、確信犯的に呟いて欲しかったかも(=^_^=)

結局のトコ、最大の見せ場と言えば・・やはり「(水攻めを破るため)船上で“田楽踊り”を披露する」のぼう様の姿だったろう。詳しく計測してないが、そこそこな規模の“長回し”もやってくれてたような(・ω・)

野村萬斎にしか演じられない役柄である意味は、こここそにあるワケで・・逆に、騎馬隊を率い猛々しく敵陣に斬り込んで行く“のぼう様”の姿を想像してたワタシは、どうやら大きな勘違いをしてたようである(=^_^=)

鈴木保奈美、榮倉奈々、尾野真千子、芦田愛菜・・と言った女優陣については、決して巧く活用出来てたと言えないように感じたし、夏八木勲さん演じる坊さんも、もっと強烈な出番があっても良い気がした。

それでも、比較的マイナーな(?)武将に焦点を当て、士と農の共闘ぶりを描いた“珍しさ”や、圧倒的な兵力差を「知的な戦略」でカヴァーする“精神戦”の要素がなかなか楽しかったんだが、もう少し展開をテンポ良く進めても良い気がしなくもなかった。

“オチ”を知ってしまうと、2回目を観るにはやや展開が間延びして感じられる事だろう。

「何度観ても飽きない」そんな完成度にまで高めて欲しかったモノである。

~ こんなトコも ~

・正直「掴み所がない」ってのが“のぼう様”のキャラ造型だった。

・“のぼう様”の(真の)スゴさを観客に「直感的に」理解させる、そんなエピソードを前半辺りに盛り込んで貰えると有難かったかも。

・しかし「取り囲む側近(家臣)」や「一揆らない百姓」には恵まれ過ぎてる“のぼう様”だった。

・成宮“ばかもの”寛貴君(酒巻靱負:さかまきゆきえ役)の恋愛劇に期待して、ソンした(⌒~⌒ι)

・てっきり佐藤浩市は「何故じゃあ~!」と叫びながらカメラの前で殺されるんかと思ってた(=^_^=)

・大した意味もなしに「全裸で尻を見せてた(入浴シーンの)市村さん&山田孝之くん(大谷吉継役)」ってば“女性客向けのサービスカット”のつもりやろか?

・市村さんは「ゲスト出演」のレベルだったかも・・

・劇中のロケーションは、正直何処でやっても良かったんかも。

・もう少し“のぼう様”と甲斐姫(榮倉)のロマンスを描いて欲しかった。

・前田吟さんと平泉成さんのキャラが、ワタシの中で何故だか強烈にカブってて、ちょっと混乱した(=^_^=)

・前半の“騎馬一騎討ち”で敵将を首コロさせたのって・・丹波守(佐藤)だったんやろか? 黒い甲冑姿になると、和泉守(ぐっさん)との区別がちょっと付きにくかったような(×_×)

・「敵将を狙撃する卑怯さ」が容認されるなら「三成方の使者をその場で斬り殺す卑怯さ」もアリだった気がした(=^_^=)

・成宮寛貴君が“和製ジョン・ローン”に見えて仕方がない(⌒~⌒ι)

~ こんなセリフも ~

のぼう「少々ぬかるんでおった」

   「全く面目ない」

   「隙あらば、儂を襲え」

   「一寸(ちょっと)良いかなぁ?」

   「隠せば、噂は広がる

   「じたばたしても仕方がない」

   「冗談通じて面白や~」

   「腹は今、決めた・・戦いまする!」

   「“下る”のが嫌になった」

   「“戦場にて相まみえる”と申した」

   「嫌なものは嫌なんじゃ!」

   「是が“世のならい”と申すなら・・儂は赦さん!」

   「坂東(ばんどう)武者の槍の味、存分に味わわれよ」

   「皆、ごめ~ん」

   「済まんが、一寸横になる」

   「御主も案外と馬鹿じゃなぁ」

   「儂は決めた! “水攻め”を破るぞ!」

   「儂は悪人になる!」

   「城外の百姓は皆、我等の味方ぞ」

三成「誠、水に浮くか試してみるか」

  「“水攻め”じゃ! 決壊させよ!」

  「遠慮致すな」

  「さぁどう出る? 忍の城の強者共よ」

  「“利に転ばぬ者”が此処にも居たか」

  「“佳き戦”に御座った」

丹波「・・関白と戦か」

  「本当にやるのか?」

  「我ら、戦に決した」

  「是が“天下の兵”か」

  「“槍合せ”を願おう!」

  「士気は高い・・勝てるぞ」

  「あれ程の悪人は居らんぞ」

  「侍共は命に代えても百姓を護れ!」

和泉「面白ぇ、やっちまおう!」

  「此の長野口を攻めた不運を知れ!」

酒巻「儂に“場”を与えよ! “天才の働き”を見せて遣るわ」

  「我等にしか取れぬ軍略を以て、勝利を掴む」

大谷「此の城を敵に回したは、間違いか・・」

  「初戦は我等の負け・・退くぞ」

  「何と豪気な・・まだ船を寄せるか」

  「是で此の戦、泥沼とな成ったぞ」

  「此の城だけだ・・堕ちなかったのは」

秀吉「決壊させよ!」

僧「“でく”を付けてないだけ有難いと思え」

※「百姓とて馬鹿ではない」

 「彼奴が総大将だ!」

 「田を駄目にされた百姓が黙って居ると思ぅたか」

 「最早、是非も無い」

甲斐「彼奴(あいつ)死ぬ気だ・・死ぬ気なんだ」

酒巻「(姫に)惚れておりまする」

甲斐「承知した・・有難(ありがと)よ」

酒巻「心底惚れた男に、まずは抱かれよ」

甲斐「・・そうする」

甲斐「(戦は)私の為か?」

のぼう「・・そんな訳ないでしょ」

追記1:本作の舞台となったのは、埼玉県行田(ぎょうだ)市。「皿尾橋」「持田駅」「石田堤址」などがラストで映されてた。

追記2:石田勢の旗印に書かれていたのは「大一大万大吉」の言葉。間違えて「大天万大吉」と読んでた(⌒~⌒ι)

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コメント

予告編だけだと志村氏のバカ殿とほとんど変わらなかった印象でした^^
そうそう、物語の節々でIQがずば抜けてるとか
あんなふうに見えても実はここが凄いんです!みたいなのあっても良かったですよね(笑)

この映画で田楽踊りというものを知りました。
今から忘年会シーズンですが、日本の誰かはこれをやりそうですね(爆)

投稿: ituka | 2012年11月26日 (月) 01時54分

itukaさん、ばんはです。

ようやくのアップでした。
危うく公開期間そのものが終わるトコでした(⌒〜⌒ι)

>予告編だけだと志村氏のバカ殿とほとんど変わらなかった印象でした^^

(往年の)スーパーファミコン用ソフトで『であえ殿さま/あっぱれ1番』
ちぅ、のぼうなタイトルのアクションゲームがあったんですが、それを彷彿とさせるうつけ者ぶりでした(=^_^=)

>そうそう、物語の節々でIQがずば抜けてるとか
>あんなふうに見えても実はここが凄いんです!みたいなのあっても
>良かったですよね(笑)

結局は、人を惹き付ける(何らかの)力に(のみ?)恵まれてたんでしょうね。

「この殿様ったらもう・・しゃあないなぁ」と思わせる、そんなキャラさえ備わってたら、多少の兵力差などは気にしなくとも良いんでしょうね。(そう言い切れるんか?)

>この映画で田楽踊りというものを知りました。
>今から忘年会シーズンですが、日本の誰かはこれをやりそうですね(爆)

そうですね・・食べ物の田楽ぐらいしか思い浮かびませんでした(=^_^=)

投稿: TiM3(管理人) | 2012年11月27日 (火) 01時11分

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

投稿: 職務経歴書 | 2012年12月 2日 (日) 16時14分

コメントを有難うございました!

投稿: TiM3(管理人) | 2012年12月10日 (月) 00時37分

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