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2012年11月26日 (月)

☆『少年は残酷な弓を射る(2010)』☆

14日(水曜)の夜。商店街の中心(?)にあるミニシアター“ソレイユ”で観たのは、その邦題にちょいと興をそそられてた1作『少年は残酷な弓を射る』だった。因みに“レディース・デー”の事である(⌒~⌒ι)

奔放な生き方で人生を切り開いて来た女流冒険家=エヴァ・カチャドリアン(ティルダ・スウィントン)は、夫=フランクリン(ジョン・C・ライリー)との熱愛を経て、息子=ケヴィン、娘=セリアを授かる。

物心ついた頃から、母親であるエヴァに対し、悉(ことごと)く反抗的な言動を取り続けるケヴィン。その理由は・・?

その“幼さ故の容赦なき残虐行為”は次第に加熱し・・15歳の美しい青年へと成長を遂げたケヴィンにより“残酷な弓”から放たれた矢は、娘=セリアや夫=フランクリンを経て、やがてエヴァたちの住む街全体を貫く「大きな事件」を起こす事になるのだった・・

久々に「意図的に時間軸を置換しまくって描く作品」を観た気がした。

物語自体(の展開)は、割と簡単に語れる(類の)モノであるが、詳細に描かれない部分が多く、その点では「あれこれと想像させられ続け、疲れてしまう」作品ではあった(・ω・)

エヴァの本業は、書店の店先に自著ポスターが大きく飾り立てられる程の(高名な)冒険家らしいのだが、その手の(冒険)シーンは全く描写されない。唯一、劇中で「エクアドルに7ヵ月行かなければならない」と夫に説明的に(?)語るセリフがあったぐらいだ。

なので、ポイントをしっかり掴んで観てないと「このしと、専業主婦やろか?」「何がどうなってんの?」「壁の汚れはトマト?」とワケが分かんなくなるかも知んない。

問題児=ケヴィン(エズラ・ミラー)についてもコレは同様で「学校でのシーン」が終盤以外殆ど描かれないため、彼がそこで起こしたとされる“事件”に対する予想が全く出来ない点は「不親切!」とも「隠し過ぎ!」とも思った。

冒頭から、エヴァが孤立した姿&疎外感溢れる言動で街をウロウロしたりするんだが、いきなり通りすがりの女性に顔を殴られたりし、観客である我々にも緊張が走った(×_×)

「一体、彼女の周りで何があったんや?」と静かなざわめきが心の中で起こり、高まってゆく。。

観終わってからは「ケヴィンの中に隠され続けてた“弱さ”」を感じる以上に「それでも尚、この街で暮らし続けるエヴァの“強さ”」に恐れ入ってしまった。

生来の頑固過ぎる性格によるモノか、この街でケヴィンを「待ち続ける」事を“償い”として自らに課した結論なのか・・

ケヴィンの「残酷な弓」がエヴァに向けては“決して”放たれなかった事実も「ケヴィンの、母に対する歪んだ愛情・・心の底では母を愛し、決して弓を向けられなかった」なのか「ケヴィンの、母に対する歪んだ憎悪・・母に最大級の苦痛を与えんがため、弓を向けなかった」なのかは、観客それぞれが想像で補って結論付けないといけないトコなんだろう。

全体的な印象が『エレファント(2003)』に似てた感もあったが・・決してお洒落には描いてない分、例えば「任意に1シーンを切り取れば、それがそのままポストカードになる」みたいな映像には乏しい(・ω・)

エヴァとフランクリンの恋愛模様も、或いは『ブルー・バレンタイン(2010)』みたいに演出する事も出来なくはなかったと思うが・・

何にせよ、ケヴィンを眺めるにしても、エヴァを眺めるにしても、どうにも救いようのないおハナシではあった・・

スペインのトマト祭り(トマティーナ)、ハロウィーンなど「騒がしい情景」が劇中に盛り込まれつつ、これ程までに暗く静かなテイストに貫かれてた点もまた、本作の忘れ難いトコであろう。

~ こんなトコも ~

・「タイトルがまんまオチになってますやんか!」と思わづツッコんだのは、ワタシだけではなかろう。

・妹=セリアの左眼の事、逃げたリス(?)の行方・・なども詳細には語られなかった。

・個性的な邦題には『隣人は静かに笑う(1999)』『ゆりかごを揺らす手(1992)』にも通じる命名者の(独特な)センスを感じる(=^_^=)

・「揺れるカーテンの向こうに庭が広がっている」そんな映像が繰り返されたが、さほどのインパクトはなかったか・・

・“ミスター・セロファン”は、やはり本作でも全体的に印象が薄かった。。顔つきこそは「濃い」んだけど(⌒~⌒ι)

・エヴァが眺めてた写真に写ってたのは「東大寺南大門(奈良県)」だったんやろか? それっぽく見えたけど?

・ケヴィンが「※※のメタファー」として、ライチをじゅるじゅる食べるシーンが不快だった(×_×)

・エヴァの家の裏手が線路になってた事が、終盤で明らかになる(←だからどうした)。

・リビング(居間)の事を「ファミリールーム」と言うそうだ。

・シーンによって流れる「三味線(?)風のBGM」が印象的ではある。

~ こんなセリフも ~

エヴァ「まさか・・ウソでしょ(You did not.)」

   「“死後の行き先”なら分かってるわ。

    地獄に堕ちて、永遠に呪われるだけよ」

ケヴィン「部屋の壁に紙なんか貼って、バカみたい」

    「個性って? バカみたい」

    「部屋を“特別”にしたかった」

    「もういい?(Now coming quick?)」

    「“慣れる”のと“好き”なのは違う

    「まだダメ(Not yet.)」

    「どうでも(Whatever.)」

    「コンピュータが壊れた?」

    「“切手集め”なんかに興味ないね」

    「絶好調さ」

    「此処が“どう言う世界”か分かってる?」

フランクリン「あの子も反省してる」

      「男の子はあんなもんさ」

      「無邪気な子のする事を気にするな」

      「天才だな(You are natural.)」

      「1度カウンセリングを受けろ(You need to talk this someone.)」

周囲の人々「地獄で腐り果てな!」

     「何様のつもりだ? “お情け”で誘ってやったのに」

     「地獄で朽ち果てろ」

フランクリン「2度といなくなるな」

エヴァ「2度と離さないわ」

フランクリン「軽く揺すればいいんだ」

エヴァ「(泣き止まないのは)私が悪いとでも?」

フランクリン「いつ言う気だった?」

エヴァ「今、言ったわ」

フランクリン「今更、何が出来る?」

エヴァ「“ママ”と呼んで」

ケヴィン「・・ヤだ」

エヴァ「それも“嫌がらせ”のつもり?」

ケヴィン「“嫌がらせ”? 母親に?」

エヴァ「太るものを食べるから、人は太るの

ケヴィン「時々、キツいね」

エヴァ「それに何の意味が?(What's the point?)」

ケヴィン「意味なんかないさ。

     そこがいい(That's not point.That's the point.)」

エヴァ「教えてくれない?(I want to you tell me.)

    ・・何故なの?」

ケヴィン「分かってるつもりだった・・でも今は違う」

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コメント

こんばんば。

着地点(という表現がいいのか否かわかりませんが)がよくわからないまま残っている作品です。エズラの時折の全てを呪うかのような表情も。

タイトルは、全てわかっちゃうけれど、それでもなお不可解なる恐怖へと誘われますね。


投稿: ぺろんぱ | 2012年11月27日 (火) 00時38分

ぺろんぱさん、ばんはです。

忘れずにお邪魔頂いた上、コメントまで残して頂き、有難うございます。

明らかに更新ペースが低下してますが、見棄てずに、たまにはのぞいてやってつかぁさい(⌒〜⌒ι)

>着地点(という表現がいいのか否かわかりませんが)がよく
>わからないまま残っている作品です。エズラの時折の
>全てを呪うかのような表情も。

主人公が絞れていない(ブレている)トコもありましたね。
2人が唯一、積極的に交流をはかるシーンも、
「単にパターゴルフやってただけじゃん」ぐらいの印象しか残らず、
制作側が伝えようとしてた「何か」までは掴めなかったワタシでした(×_×)

>タイトルは、全てわかっちゃうけれど、それでもなお不可解なる
>恐怖へと誘われますね。

宅配便で届けられたのが「銃器」だと思ってたので、ちょっと肩すかしな(おいおい)印象もありました。
「16歳になる事」を恐れていたんでしょうかね・・彼は??

投稿: TiM3(管理人) | 2012年11月27日 (火) 01時18分

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