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2012年2月 9日 (木)

☆『東京オアシス(2011)』☆

8日(水曜)の夜、仕事帰りに商店街の中にあるミニシアター“ソレイユ”に立ち寄り、公開中の邦画『東京オアシス』を観て来た。
ネットで評価を確認すると・・(満点=5点のトコを)2.3点と・・やたらと低かったりする本作なのだが、、予告編で観た映像に「何かピンと来る」モノがあったので鑑賞を決意した。

因みに、女性観客が多いな〜 と思ったら、またもや“レディース・デー”とぶつかったのだった(・ω・)

東京の“何処か”を舞台に(映し出される看板や情景を眺める限り、新宿区・杉並区・世田谷区・・等がロケ地のようだが)、都民の誰もが「何処かで観て、その顔は知ってる」と言う、そこそこに有名な女優=トウコ(小林聡美)を中心に、彼女と“ふとしたきっかけ”で出会い、何かのスイッチが微妙に切り替わろうとする瞬間の男女の物語を、3ツの独立したエピソードで静かに描く。

【エピソード1】
軽のワンボックスにレタスを積み、都心部からその近郊へと運ぶナガノ(加瀬亮)。深夜のコンビニで休憩中に“喪服姿”のトウコと出会った彼は、頼まれるままに彼女を助手席に乗せ、高速道路を“半島”に向けクルマを走らせる。
2人の辿り着いた場所は・・

【エピソード2】
以前はプロの脚本家だったキクチ(原田知世)。今は都内のミニシアターで、もぎりの係員=ヨシダ(森岡龍)と働いている。ある夜、最終上映の終わったシアター内で、前列に眠りこける女性を発見し揺り起こす彼女だが・・それが以前一緒に仕事をした事もあるトウコだと気付き・・

【エピソード3】
東京郊外の動物園。チケット売り場のバイトの面接にやって来た23歳の(美大志望の)浪人生=ヤスコ(黒木華)は、担当者=モチヅキ(光石研)とのやり取りの中で「きっと受からない」と言う“直感的な絶望感”に打ちのめされる。面接を終え、園内を無気力に歩いていた彼女に声をかけたのは、見ず知らずの女=トウコだった・・

タイトルに首都“東京”を冠しながらも「東京と言う街そのもの」が大きく取り上げられるワケではない。
主人公がトウコでありながらも、彼女自身の物語が綴られるワケでもない。
2人の主人公の出会う物語が描かれながらも、それ以上の“何か”が始まるでもない。

そんな「変化球さ」が観客を当惑させもし、またある種の観客には「吸引力」「新鮮さ」「中毒性」を発揮したりもする「観客を選ぶ作品」だと感じたワタシ。

因みに・・ワタシ自身は「観てソンはなかったな」とハッキリ感じたり(=^_^=)

何だか「物語の中心に主人公=トウコが配され」ながらも「ナガノ」「キクチ」「ヤスコ」が彼女に出会う形でそれぞれのエピソードが“淡々と”始まったり「深夜のコンビニ前」「小劇場のロビー」「動物園の中」など、どちらかと言えば“小規模/閉鎖的な空間”で長回し多用気味にドラマの進行する演出が、妙に心地良くこのココロに響くのだった。

これはやはり、小林聡美と言う女優の持つ「不思議さん」ぶりに起因してる部分が大きいのだろう。
決して「美人」ってタイプの女優さんじゃないんだが(←ファンの方、スミマセン) ・・歳を重ねておられつつ“無邪気さ”“出しゃばらなさ”が巧く際立っているのだ。

トウコはそこそこに有名な“女優”との事だが、スタッフやマネジャーが(その周囲に)登場するでもなく、常に“独り”で動き回っている。“女優”と言う設定そのものが「疑わしく」すら思えてしまう程である。

そんな“オフの姿”の彼女が“オンな姿”の3者と絶妙に絡み、そこに「“尾を引く”ような友情も、恋愛も・・“特別な事件の発生”すらも何ら描かれない」って点も、絶妙な演出性の高さを覚えた。

例えばトウコのキャラ造型を、更に「人間を超えた存在っぽさ」に変えてみたら・・もっとシリーズ化もハリウッド化も出来そうな、、そんな妄想が働いてしまった次第だ(・ω・)

〜 こんなトコも 〜

・井伏鱒二『山椒魚』、きつねうどん、『街のあかり(2007)』『過去のない男(2002)』、蜜柑、ツチブタなどのネタも。
・もたいまさこさんの台詞って・・??
・千葉(市の動物公園)まで行かずとも、姫路の動物園で「ツチブタ」に会える可能性もあるのかも・・?
・ポスターのみでしか「語られない」が、上映されてた2作品がいずれもアキ・カウリスマキ監督によるものである点、ちょっと要注意な気がする。どちらの作品が最終上映だったんだろう? そしてトウコはどの辺りで眠ってしまったんだろう?
・ヤスコの描いた「ツチブタ」って・・想像で描いたにしては、かなり似ていたと思ったが。。
・「アイス代を渡すため、汗をかきながら必死で走って来る」ってシチュエーションは、ちょっと“深い”のかも知んない(・ω・)
・あの印象的なミニシアターは『目黒シネマ』と言う施設らしい。

〜 こんなセリフも 〜

トウコ「今・・“回転レシーブ”しましたよね?」
   「このクルマに、乗せて下さい」
   「私、全然怖くないです。死ぬとか、全然ないです」
   「私は、行かなくてはならないんです」
   「こんなに沢山、レタスの段ボール積んだ人に、
    悪い人はいませんよ」
   「うわ、東京タワー! ・・いきなり行きましたね」
   「夜に巨大なビルを見ると、何か怖くないですか?」
   「好きだな、ああ言うの・・
    何故だか分からないけど、大好きなんです
   「今は、流行ってませんよ」
   「いつも逃げるんです。
    でも、全く逃げてなかったんです」
   「“今思えば”ってハナシになるけど」
   「“多分”ぐらいでイイんじゃない?
    “完璧”じゃなくても・・
   「案外“戻った場所”が“新しい場所”って事もあるし
   「この時間じゃムリですよ。(ツチブタは)夜行性ですから」
   「こんなに近くにいるのに、あんなに謎が多いんです」
   「思ったより大きいんだよね、いつも・・
    何でだろ?」
   「良く子供の頃、此処で“迷子”になったの・・わざとね」
   「こないだ、試しに逃げてみた。でも昔とは違ったなぁ。
    “独り”で逃げたら・・帰りも“独り”
   「素通りされて“可哀想だな”って思ってる?
    案外(当人は)“楽だな”って思ってるかもよ?
    だって、此処は“安全”だから」
   「空を見て、思い出すかもね」
   「“世界は広い”って言うけどさ・・この街に住んでたら
    そう言う事、さっぱり忘れちゃうよね」

ナガノ「僕は“悪い奴”かも知れないですよ?」
   「あなたは何処へ行くんですか?」
   「僕の質問に、質問で答えるんですね」
   「何か“出鱈目な感じ”がします」
   「“いもかわ(芋川)”は“きしめん”とか
    “ほうとう”とは、全く違います」
   「まぁ、そんなに言うなら・・
    したかも知れません。“回転レシーブ”」
   「走るトラックに向かって“Aクイック”ですか」
   「僕は逃げたりしません。
    “真剣にレタスを運ぶ”だけですよ」

キクチ「“1度やめて、又戻る”って言うのが、
    自分の中で抵抗があると言うか・・」
   「書けば書く程、他人に対しても自分に対しても
    疑問に感じる事が多くなって・・」

ヤスコ「私は“運に見放された女”ですから」
   「大学に5回落ちてるから、感覚で分かるんです」
   「石膏デッサンでは“ヘルメス”ってヤツが
    1番得意なんです」
   「何か難しいです・・
    似顔絵描くの、凄い難しい顔してます。
    何と言うか“とらえどころがない”んですよね」
   「・・私も」

ナガノ「今日、好きな人が死んだんですか?」
トウコ「はい。今日、好きな人が死にました」
ナガノ「その言い方・・すごく変ですよ」
トウコ「・・嘘です。嘘つきました。私、嘘つきなんです」

トウコ「何で(沢山ある中で)“きつねうどん”なんですか?」
ナガノ「それは、僕が訊きたいです」

トウコ「空・・こんなに晴れてたんですね」
ナガノ「きっと“夜明け”ですね」
トウコ「“夜明け前”だけど・・何か始まりましたね
ナガノ「はい、動き出しました

ナガノ「これから何処へ逃げるんです?
    “何か”から逃げて来たんでしょう?」
トウコ「はい。逃げて来ました」

トウコ「私が来たかったのは、此処です。私がどうしても
    来なきゃならなかったのは、此処です」
ナガノ「・・此処ですか」

ナガノ「じゃあ、此処でイイんですね?」
トウコ「イイんです。此処でイイんです」

トウコ「凄く(絵が)上手ね」
ヤスコ「そうなんです・・ムダに」

トウコ「逃げたって又、此処に戻って来るかもよ? 私みたいに」
ヤスコ「そしたら又、逃げたくなりますか?」

ヤスコ「まだですかね?」
トウコ「もうそろそろだと思うんだけど」

トウコ「私は、行くよ」
ヤスコ「何処へですか?」
トウコ「・・それじゃね!」
ヤスコ「・・さよなら」

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コメント

こんばんは。

そうなのですか、カウリスマキ作品の影がいくつか見られるのですね。
興味津々、こちらでは上映が終わってしまっていますので、DVD化された際には観てみたいです。

>「何かピンと来る」モノがあったので

ネット評価も気にはなりますが、自身の“ピン!”を信じることって大切ですよね。

投稿: ぺろんぱ | 2012年2月14日 (火) 20時00分

ぺろんぱさん、ばんはです。

アキカウの事を書けば・・ひょっとしたら、ぺろんぱさんだけには
コメントを寄せて頂けるんじゃないかな・・と思ってました(=^_^=)

>そうなのですか、カウリスマキ作品の影がいくつか見られるのですね。

単に「劇中、壁に貼られたポスターとかで、さり気なく監督の趣味をアピールする」みたいな演出に過ぎなかったんかも知れません。。

>興味津々、こちらでは上映が終わってしまっていますので、
>DVD化された際には観てみたいです。

ボリュームを上げて聴いて、もたいさんの台詞を聞き取りたいです。

>ネット評価も気にはなりますが、自身の“ピン!”を信じることって
>大切ですよね。

ネット評価も「やらせ」があるかも知れませんし(=^_^=)

投稿: TiM3(管理人) | 2012年2月16日 (木) 00時50分

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