☆『一命【3D版】』☆
22日(土曜)の夜。
クルマに乗り“ワーナー・マイカル・シネマズ高松”へと行き“ハシゴ鑑賞”を敢行した2本目は、
三池崇史監督による時代劇『一命(いちめい)』である。
時代劇初の“3D作品”って事で多少は期待してたんだけど、ホンマに「3D仕様にする意味」が全然ないと言うか・・そもそも「活劇」としてジャンル分けされるモノでもなかった気がする(×_×) 「問題作」って言う事は、確かに分かるけど。
※
寛永7年(1630)12月。名門・井伊家の屋敷の門を、津雲半四郎(つくもはんしろう:市川海老蔵)と名乗る浪人(元・広島藩士、福島家)が叩く。
彼は家老=斎藤勧解由(さいとうかげゆ:役所広司)に「切腹をしたいので、当家の玄関先を拝借したい」と申し出る。
斎藤はそんな津雲に対し「2ヵ月前に当家を訪れ、全く同じ申し出をした浪人=千々岩求女(ちぢいわもとめ:瑛太)がいた事」を告げると共に、彼に対し行った処分を語って聞かせる。
話を聞き終えた津雲は、平然とした様子で、斎藤や側近=田尻(竹中直人)に「最期に1ツだけ。出来ますれば・・介錯人を※※※※※殿にお願いしたい」と申し出る。
そしてその理由を語り始めるのだった・・
※
鑑賞後に知ったが(=^_^=) この作品もまたリメイクらしい。監督:小林正樹、主演:仲代達矢による『切腹(1962)』が元になってると。(原作:滝口康彦著『異聞浪人記(1958)』)
元の方が、三國連太郎(斎藤役)、岩下志麻(美穂役)、丹波哲郎(彦九郎役)・・と、妙に俳優陣にワクワクさせられるんだけど(⌒〜⌒ι)
本作は「サムライの面目とは何か?」を問い、武家社会・武士道精神の抱える“矛盾”をテーマに「家老と浪人(=いわば、武士階級の上層と下層)が対峙する」物語なのだが・・平成のこの時期に、この仕様で、企画・製作された事が、正直良く分からなかった。
結論なんか出ないし、観終えて心が晴れるワケでもない。
三池監督が撮るべき、三池監督でなければ撮れない作品は「本作とは全く別なトコ」にあるんじゃないやろか? と感じたのはワタシだけやろか?
津雲の回りくどい(?)行動や、総てを語り切ったとも思えない心情。
それに対する、斎藤の「徹底的に思考停止した価値観」ってのも、妙に不愉快だった。
と言うか、役所さんならではの「持ち味」が生かされてなかったんじゃないかな、とか。
前半で描写される、瑛太の「切腹シーン」が妙にキツくて、観てて貧血を起こして倒れそうになってしまった。
いや、実際には、大した描写じゃないんだが・・想像力(妄想力?)の有り過ぎるしとには、刺激が強過ぎると思う。
(ホンマにキツかったのは“決意”してからの美穂ちゃん(演:満島ひかり)だったんやろけど、、)
三池さんの中に「“時代劇と言えば、山田洋次監督”ってな図式をぶっ壊してやろう!」的な目論みがあるのかどうか、そこは良く分かんないんだけど・・「エンタテインメント」を優先するなら(「3D仕様」と言うスペックだけから判断すれば、本作は「娯楽作」を狙ってる筈なので)もう少し「観終わって、気持ちの明るくなる物語」を選び、手がけて欲しい・・と思ったのだ。
〜 こんなトコも 〜
・ナニを勘違いしたか、チケットを買い求める際「最終上映の『いちみょう』を1枚」って言ってしまった。。まず、ちゃんと読めてないじゃん!(×_×) ←タイトルは『いちめい』です、ハイ。
・京都の「南禅寺」「化野(あだしの)念仏寺」がロケ地になってた。
・時代劇=庄内映画村・・と来ればセディックインターナショナル(=経営母体)に繋がって来るんやね☆ 観光地としても賑わうだろうし、巧いやり方だなァ!
・海老ちゃんのセリフがボソボソとし過ぎ(×_×)
・殿中を歩く斎藤の動きには“とある特徴”が。アレってば、戦(いくさ)によるモノか?
・斎藤の飼っている白い猫が印象的。ペルシャ猫じゃないのね(=^_^=)
・「壊れた木魚」にちょこんとおさまってる野良猫も可愛かった。
・本作を観ると・・「栄螺(サザエ)」が喰いたくなる!
・「傘張り」「竹光(たけみつ)」などの演出は『たそがれ清兵衛(2002)』で既に観たモノなので、さほど「新鮮さ」はなかった(⌒〜⌒ι)
・津雲の剣術の強さがハンパない! 内職なんかせずとも、武芸指南役とかで(藩に)仕官する事は叶わなかったんか?
・一方で、寺子屋の経営って、あそこまで悲惨なモノだったんやろか。
・広島城の“破却沙汰”に関する史実を、物語に巧く盛り込んでると思う(元和3年(1617)〜5年(1619))。
・当時の広島藩は49万8200石。572名を抱えていたと言う。
・「世話人」と「見届け人」の役割の違いが、分かりにくかった(・ω・)
・千々岩家に伝わる宝刀は、刀工・和泉守兼定の手によるもの。
・昔の子供は「お先に頂戴します!」と礼儀正しい(=^_^=) ←今はアカンのかい!
・地面に這いつくばって、割れた卵を吸うあのしとが悲し過ぎる・・
・傘6本を50文と交換してた津雲。1両=4000文と言う当時の相場だから、薬代=3両と言えば、傘1500本ぶんぐらいに相当したのか(×_×)
・竹中直人さんの持ち味は、余り生かされてなかった(×_×)
・連想したのは、やはり『HERO/英雄(2002)』だろうか。あの作品も、後味は決して良くなかったよなぁ(×_×) あ、あと『さや侍』(=^_^=)
・“竹光侍”たった1人に、何を手こずってンだか・・猫も退屈してますにゃん。
・「求女」と言う名前に、何処となく“ナンパな響き”を感じちゃうんスけど・・
〜 こんなセリフも 〜
津雲「御願いの儀があって参った。御取次ぎ願いたい」
「其の時の経緯(いきさつ)を承りましょう」
「其の様な御念(ごねん)には及びませぬ」
「“喰詰め浪人”の最期には、
此のままが相応しいと申すもの」
「毎日、壱ツ壱ツ丁寧に行っておれば、
やがて上達する。心配するな」
「“熱い内にしか喰えぬ味”かも知れぬぞ?」
「下らん事は心配せずとも良い」
「弐人(ふたり)で食べた方が美味い」
「も少し大きな鯛にしたかったが、申し訳ない」
「父親に遠慮などしてはならん」
「何ぞ手立ては無いのか?!」
「其方は“侍の子”ぞ」
「求女は何をしておる・・」
「待って呉れ! 合点が行かぬ」
「武士も“血の通ぅた人間”であろう?」
「も壱ツ“持参したもの”が御座った」
「正(まさ)しく“首があって首がない”・・」
「全く辻褄が合わぬ! 下らぬ! 実に下らぬ!」
「拙者は唯生きて・・春を待っていただけだ」
求女「御願いの儀が御座って参った」
「御猶予を!」
「・・是にて、斬らせて頂く」
「夫が妻や子の為に働くのは当然であろう。
我らは割符(わりふ)の如く“弐ツで壱ツ”なのだ」
彦九郎「此の様な差料(さしりょう)で
潔く腹を斬ろう、とはな」
「さ、御着替え召されよ」
「御望み通り、切腹なさるが宜しかろう」
「猶予とは見苦しい!」
「御最期は、自分のものが宜しかろう?
見事な脇差を御持ちじゃ」
「最期の願いが其れか? 情けない奴め」
「自分でぐいと引き回すのじゃ!
引き回せ! まだまだ!」
斎藤「誠(まこと)、奇特な志(こころざし)と承った」
「当家で“狂言切腹”は通用せぬ」
「少し心を落ち着けられてはどうだ?」
「我らとて、筋を通さねばならぬ。
武士に弐言があってはならぬ。
自分の為された事、分かっておるな?」
「して、其処許(そこもと)は如何(いかが)なさる?」
「・・何しに参られた!?」
「武士が斬ると云ったら、斬らねばならぬ」
「我等は武士として禮(れい)を尽くした」
「人には夫々(それぞれ)面目があろう?
なければならぬ!」
「斬り棄てぃ!」
「乱心者めが!」
甚内「こんな日に寝ておっては、罰が当たる」
田尻「御指示の通り、終わりまして御座居まする」
※「御侍ってのは、色々ややこしいもので御座んすねぇ」
「おや? 御存じではないんですか?
今、巷を騒がせてる“狂言切腹”の噂を」
「此の参両は御家老様から。確かに御届け致した」
「“狂言切腹”は当家では通用しない、と」
斎藤「如何かな? 今の話は?」
津雲「・・して、その先は?」
斎藤「申してみぃ」
津雲「然(さ)れば」
質屋「其の御腰のものは御売りにならないんで?」
求女「・・無礼だろう!」
津雲「此処におられる皆様は“面目の為に
死を恐れる”事はないと?」
斎藤「如何にも!」
藩主「手入れをして呉れたのか?」
斎藤「“赤備え”は我等が“誇り”で御座居ます故」
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