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2011年6月19日 (日)

☆『さや侍』☆

18日(土曜)。
帰阪の折、某市の“ワーナー・マイカル・シネマズ”に立ち寄る形で、ある程度ながら期待値を高めてた(のか?)新作『さや侍』を観て来た。

反響が少なかった(人気がなかった)のかは、良く分かんないが・・中規模のシアターに追いやられながら(?)も、そこそこに混雑しとる場内だった。

松本人志の監督&脚本による第3弾! いよいよ、松ちゃんに“監督失格”の鉄槌が下されるのか・・?!(⌒〜⌒ι)

伊香(いか)藩に属する下級(?)武士=野見勘十郎は、とある不幸な出来事をきっかけに刀(真剣)を棄て、脱藩を決行する。

“賞金首”に成り下がりつつ、娘=たえを連れ、諸国を逃げ回る勘十郎が腰に帯びるのは・・今や鞘(さや)のみであった。

彼の生命(懸賞金)をつけ狙う、3人の凄腕(?)の殺し屋(=三味線のお竜、2丁短銃のパキュン、骨殺師のゴリゴリ)の追求を辛うじてかわし、尚も逃げ続ける彼だったが・・ある夜、ついに多幸(たこ)藩の放った追っ手に捕われてしまう。

それは・・実に脱藩から2年3ヵ月を過ぎての事だった。

多幸藩主(國村隼)の御前、お白砂に引き出された野見父娘。
藩主は、勘十郎に対し「30日の業(ぎょう)」なる、珍妙な試練を課す。

それは・・『明日より30日の間に“流行病(はやりやまい)による母君の死をきっかけに、一切の感情を封じ込めてしまった”幼き若君を「1日1藝(げい)」の制限でもって披露し、笑わせる事が出来れば、その場で無罪放免に。
しかし、それが出来なければ、30日ののちに切腹を命じられる』と言うもの。

勘十郎は、自身の牢番である倉之介(板尾創路)と平吉(柄本時生)に妙案を借りつつ「業」に挑むが・・その一方で、次第に、たえとの間に生じた「溝」は静かに広がってゆくのであった・・

う〜ん。これまでの(監督)2作品については、今から振り返るに(・ω・)

『大日本人(2007)』・・“初監督作”とし、野心的かつ頑張ってはいたが、終盤のいわゆる「エネルギー切れ」が余りに無責任であり、それ故に中途半端にも。
『しんぼる(2009)』・・シチュエーションコントの拡大版、みたいな。“1ツの大ネタ”として楽しむにはやや苦しく、また「小難しいトコ」に逃げてた印象もあり、1作目に比べると“グレードダウン”が否めない。

って感想を(改めて)持ってるワタシだが、それらと対比すると「まともな作品」としての完成度(体裁?)こそは、ちゃんと整ってたように思う。

特に、時代劇としての「時代考証」「カメラワーク」そして、何処となく“クロサワのモノクロ時代の作品”を思わせる「味わい深いスコア(楽曲群)」がなかなか良かった!

その一方で「國村さん&板尾さんの助演」がもし実現してなければ・・「我慢出来ぬほどのつまらなさ」に仕上がってたな・・って危機感があった。

正直、ワタシの中では野見父娘を演じた2人の演技やら、そっち方面の事は「どうでも良かった」とさえ思えたワケで。

また、序盤における「お竜(りょう)、パキュン(ローリー:Rolly)、ゴリゴリ」の登場シーンが「当惑させられてしまう程」にサムくて「こりゃ、、マズいぞ、、」と妙な違和感がワタシの脳内を走ったのも、正直なトコである(⌒〜⌒ι) ←その“荒唐無稽さ”こそは、ちと『ピストルオペラ(2001)』っぽかったが。。

ラストも、何処となく「ワタシの予想してた展開」とは、違う意味で「演出が粗く」・・『HERO(2002)』や『ジャック・サマースビー(1993)』を観終わった時のような・・それでいて、もっともっと心に響かない(=^_^=)ような、そんな妙な気持ちとなったのだった。。

〜 こんなトコも 〜

・勘十郎の人相書の描かれた高札によれば、物語の時代設定は「辰年の7年29日」以降の事らしい。
・舞台となる多幸藩は「富士山の見える、浜辺を擁する地」にあり、静岡県内かその周辺と推測される。
・勘十郎は「30日の業」に挑んだ、11人目ぐらいの罪人らしい。
・ベタなトコだろうけど、ベラベラ喋ってる平吉を「うるさいぞ!」と叱り付けた後、(お喋りに変えて)鼻歌を歌い続ける彼を「全く咎めない」倉之介がとても良かった(=^_^=)
・多幸藩の「蛸の御紋」はなかなかイケてる意匠だった! グッズ類ってあるんかな(=^_^=)
・状況&結果の説明を(主人公の周辺に、でなく)町民や、本筋に無関係な人々にさせる辺りは演出として良い。
・大きな道具(カラクリ)の製作を次々と(連夜に渡り)命じられた、多幸藩のお抱え職人ら(?)の頑張りには、流石に頭が下がる(=^_^=) ←翌日までに仕上げられないと、それはそれで切腹とか??
・「眼の表情」と「(小道具の)金平糖」だけで、雄弁に心情を語ってみせた國村さんは、やっぱりスゴい!
・「7日草(なのかそう)」の効き目は抜群だった!
・立てられた襖(8枚ほど?)を連続で突き破る「業」の時、リアルに右手指(?)をケガしてるように見えた勘十郎役のしと(×_×)
・終盤の4日ほどは「業」を披露するシーンも、バッサリ割愛されてた(⌒〜⌒ι) それはそれで残念。。
・“若様は、赤い※※が好き”って情報は、もっと早く入手出来なかったモノなのか。。
・「許官」「萬小道具」「日向焼」「和漢書物」と言った表記が町内に見受けられた。
・北野武が『座頭市(2003)』で放った“町民タップダンス”に対抗したか(?) 川辺での“アカペラ披露”はちょいとした話題になりそう(なるの?)
・「首が〜!」芸には、どうにも“ジャミラ”ってなウ※トラ怪獣を連想させられた(⌒〜⌒ι)
・脚本には監督自身を含め、6人もが関わってた! 板尾さんもその内の1人!
・エンドクレジットの「うどんすすり指導:ほっしゃん。」には、やはり場内から失笑が漏れた(=^_^=)
・「人間大筒美術」ってなスタッフもおられた。
・最後・・「鞘」にアレがぴったり収まらなかったら・・さぞ辛かったろうな(⌒〜⌒ι)
・勘十郎の「過去=物語以前」に関し、もう少しなりと「情報」「材料」「演出」と言ったモノが欲しかった。

〜 こんなセリフも 〜

勘十郎「一寸(ちょっと)、頼みがあるのですが」
   「腹に絵を描いてみては、如何(どう)でしょうか?」
   「お願いします。其処(そこ)を何とか」
   「何か、済(す)いません」
   「首が〜! ・・戻った」
   “巡り、巡り、巡り、巡って、
    其(そ)れだけですが、其れが総てです”

たえ「父上! 何時(いつ)迄逃げるお積もりですか?
   其れでもお侍ですか? お侍ならお侍らしく、
   戦って下さい!」
  「自害せず、其れでも本当のお侍ですか?
   明日から、どうなさるのですか?」
  「何なのですか、それ。一体、何をしたかったのですか?」
  「どうするお積もりですか?」
  「あれは一体、何と言う藝なのですか?
   あれが出来た処で、一体どうだと言うのですか?」
  「私のせいじゃないですよね?」
  “今度は何ですか?”
  “こんな事をする位なら、
   今、此処(ここ)で御自害なさっては如何ですか?”
  「・・自害しましょう!」
  「父を、鞘だけでは終わらせません!
  「此の男、大筒に入り、天高く飛んで見せまする!」
  「ひぃ! ふぅ! みぃ! いざ!」
  「此の男、どんな荒馬をも乗りこなして見せまする!」
  「此の男、人間花火で、見事に弾けて見せまする!」
  「刀など無くとも、人は立派に戦えるのです
  「此の男、どんな苦難をも突き破り、見事若君に
   “カスティラ”を届けて見せまする!」
  「此の男、息を吹きかけ、※※を回して見せまする!」

倉之介「一寸やってみろ」
   「まぁ、一寸待て。之(これ)を鼻に刺してみてはどうだ」
   「何だ? わしのせいだと言うのか?」
   「一寸“派手さ”に欠けるな」
   「あんたも、こんなんじゃ
    死んでも死に切れんだろう」
   「俺の考えたのは・・之だ!」
   「独り相撲。“天涯孤独の業”だ」
   「張り倒せ! 張り倒されるな!」
   「赤と黒・・2匹の金魚を飲み込み、
    意のままに取り出して見せる。
    “天衣無縫の業”だ」
   「鼻で笛を吹く。“奇想天外の業”だ」
   「箱から飛び出す。“抱腹絶倒の業”だ」
   「無理に行くな・・行くか? 行くか?
   「じわっとだぞ。じわっとな
   「目隠しでもって竹刀を受け止める。
    “暗中模索の業”だ」
   「間抜け! 薄のろ! 能無し! この鞘侍!」
   「“父を途中で見棄てた娘”が、今更何を言いやがる
   「父を“鞘侍”のまま終わらせる気か?」
   「城の外か? 何分、前例がないからな」
   「泣いても笑っても、明日で終わりか」
   「何を暗くなってるのだ。
    まだ終わった訳ではないだろう
   「良いんだよ。別に“字足らず”でも何でも」
   「この際、面白けりゃどっちだって良いんだよ」

平吉「もう、(期日の)半分が過ぎたぜ。
   まぁ、最後迄やり切ってくれりゃ、
   こっちはどうだって良いんだけどな」

お竜「30日もの生き恥・・それは侍にとって、
   1番辛い事だろうよ」
  「あんた、たまには良い事を言うねぇ」
  「あたしは気に入ったけどね。
   “スカッとして、馬鹿馬鹿しい”あんな笑いが」

パキュン「コレか? コレか? 撃つぞ!」

ゴリゴリ「どう言う事だよ?!」
    「俺はだんまりを決め、並んどきゃ良いんだな?
     ・・ってどう言う事だよ?!」

家老「切腹を、申し付ける!」
  「之より・・30日、最後の「業」に入る!」
  「明朝、辰之刻、切腹を執り行うもの也!」

団子屋「本日、之にて売切れ!」

倉之介「しかし・・雨が降るとはなぁ」
平吉「え? 俺のせい?」

平吉「之、どう言う状況なんスか?」
倉之介「今はな・・押してるんだ

倉之介「2匹の蛇を“蛇(じゃ)結び”にする。
    “奇怪至極の業”だ」
平吉「之、毒とか持ってないんスか?」
倉之介「さぁ、どうかな?

平吉「何なんスか?」
倉之介「お前は寝てろ」

平吉「あの大筒に火を点けちまった事で、
   俺の心にも、火を点けちまったみたいですね」
倉之介「面白い事、言うなぁ」
平吉「面白いスか?」

辞世の句“切腹を しなけりゃ殿様 御立腹”
    “腹を斬る 赤子は臍(へそ)の 緒を斬る”
    “切腹は 嫌だお腹が 痛いから”
    “切腹と 接吻は似て非なる もの也”

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コメント

こんばんは。
松本さんの作品はどれも未見です。
今回は松本さん御自身が随分とマスコミに対して饒舌になっておられたので、「決めの一作」なのかなぁとも思いつつ。
良くも悪くも「あの松っちゃんの映画」というイメージが作用しちゃってるんでしょうか?であるにしても、3作のうちならコレを観てみたい気がしています。

・・・にしても、一作目のハリウッドリメイクって・・・一体どんな風に、なのでしょう。


投稿: ぺろんぱ | 2011年6月20日 (月) 20時33分

ぺろんぱさん、お早うございます。

昨夜も帰宅すると・・25時手前でした(⌒〜⌒ι)

>松本さんの作品はどれも未見です。

もっと年月が経ってからでも良いかも知れませんね(=^_^=)

>今回は松本さん御自身が随分とマスコミに対して
>饒舌になっておられたので、「決めの一作」なのかなぁ
>とも思いつつ。

昼食時、うどん屋(のTV)で観たのか、昼の「そうですね〜!」
(←今でも言ってるの?)な某バラエティ番組に出演してはるのを見かけました。

饒舌なのは、何だかイヤですねぇ(・ω・)

>であるにしても、3作のうちならコレを観てみたい気がしています。

監督ご本人が主演したはらないぶん、雑念も少なくして(=^_^=)
鑑賞出来るのはありますね。

>・・にしても、一作目のハリウッドリメイクって・・・
>一体どんな風に、なのでしょう。

たまに「外国の人ってアホなんとちゃうやろか?」と思う事がありますが、
今回もそんな風に感じてしまいました(=^_^=)

まぁ、あの『ゴッドズィラ』みたいに、根本的に改造しまくる(?)のかも知れませんが。。

やっぱし「手持ちカメラ映像」が大半を占めるんでしょうかねぇ(=^_^=)

投稿: TiM3(管理人) | 2011年6月21日 (火) 07時34分

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