☆『死にゆく妻との旅路』☆
8日(日曜)。この日もやっぱり疲れが出てしまい・・起きたら正午を過ぎてしまってた・・ぎゃふ〜ん(×_×)
起きてから片付けしたり、昨夜観た『冷たい熱帯魚(2010)』の事を吐きそになりながら(←余り引きずるなよ)思い返したりしてると・・それだけでずんずんダラダラした時間が進んでしまうのだった・・はァ(×_×)
“ワーナー・マイカル・シネマズ綾川”にまで出かけるパワーを、すっかり欠いてしまったモノで「今日は近場で済ましとこ」と思い立ち、商店街にあるミニシアター“ソレイユ”へと繰り出したのだった。
チョイスしたのは『死にゆく妻との旅路』って1本。
だったが・・勘違いから、上映開始時間(16:25〜)を10分も間違えてしまったモノで(×_×) シアターに着いた頃には開始してから5分ほどが経過してたのだった、、ぎゃふ〜ん(×_×)
※
これは真実の物語。
石川県七尾市在住の、縫製工場経営者=清水久典(三浦友和)は、11歳年下の妻=ひとみ(石田ゆり子)と暮らしていた。
しかし事業所は経営が悪化し、別件で連帯保証人(?)にもなっていた清水は、とうとう借金返済に窮してしまう。
そんな中、ひとみはガンに冒されてしまう。
入院し、手術は無事に終わるも・・「3ヵ月後、病は再発するかも知れない」と医師は告げるのだった。
清水は“病身の妻”をワゴン車に乗せ、死に場所を探し求めるかのように、海沿いの町々を転々と彷徨い走るのだった・・
期間:272日、距離:6000キロ。
9ヵ月の旅を終え、清水が最後に妻に与え、妻から得たものとは・・
※
前述の理由により、冒頭の約5分ほどを観逃してしまったワタシ(×_×) 「オープニングにラストシーンの置かれとるパターン」だったら最悪だが、、少なくとも着席してから(どうやらシアター内に1人ぼっちだったみたい)しばらくしてタイトルが表示された点からも、さほどの展開はなかった・・モノと信じたい(・ω・)
ロードムーヴィー仕立てでもあり、観易いし、大きな“事件(ハプニング)”ってのもそんなには置かれてないんだが・・田園地帯、砂丘、海岸、温泉街、花火大会、そして雪景色・・と、日本の「風景美」の次々と映し出される中で、主人公自身は「時間も体力も余るほど有る」のにも関わらず・・仕事は見つからず、親切な手も(決して)差し伸べられず、加えて最愛の人間がそばでひたすら死に突き進んで行く・・って展開は、ある意味「惨(むご)過ぎる」と思った。
少なくとも、本作の劇中に、神的なモノは存在してないように感じたワタシ。
・・
主演の三浦さん。拝見して来た近作の中では、未だに『Always/3丁目の夕日(2005)』シリーズにおける“ドクター宅間”役の印象が鮮烈ではあるが、、「こんなに静かながら、身を張った役も演(や)らはるんや!」と感心させられた。
石田さんも、最近観た舞台劇『国民の映画』でも準主役級だったし、ホンマに今が「静かに旬」って感じに思える。
そんな2人が、恐らくは“俳優としての限りある時間”を削って(きっとそれだけ、原作小説や脚本に惚れ込んだんだろう)、ほぼ1年近くに渡り、撮影に(断続的にせよ?)付き合われた事は、大きく評価したい! ホンマに四季に渡ってのシーンが展開されてました。
良く分かんなかったのは、清水が一瞬ながら(?)、地方の(富山県内?)のPP(ピーパブ)に転がり込んでたような流れ。逃亡を続ける中での(1ツの)勢い・・ってのは分かるにせよ「ヒモ人生」はアカンでしょ。。
東尋坊の高い断崖、富士山を見下ろす峠道のヘアピンカーブ、氷見の港湾に置かれてた(扼殺に適した)荒縄・・と清水を“死”に駆り立てるロケーション/アイテムが時折(?)バッチリのタイミングで登場するが、その度に“葛藤”みたいなモノが、セリフはないんだけど、それなりに画面(表情)から伝わって来るトコもあり、良かった☆
昨夜観た『冷たい〜』もそうだったが「妻の姿をいったん確かめた後、ひと呼吸置いてから近付き、声を掛ける」みたいな演出は、本作でも秀逸だった。
特に高岡駅前(?)の「大和(Daiwa)デパート」の(1階ロビーの)店内外で、1枚のガラスを隔て、清水が妻の背後に佇むシーンなどは、近年まれに観る「バツグンの名場面」である! と絶賛したい。
2人が劇中で「関係を営む」のがたった1回だし、それも淡白な描き方だったのが、何だか嘘っぽいが(それはエエやろ!)・・清水の行動の善悪に対し、敢えて主観的には踏み込まず、淡々と物語を進ませてる点も好感が持てた。
望むべくは、野宿のシーンで夫妻に火を焚いてもらい、奥さんに「その火を飛び越えて来い!」と言い放って欲しかったぐらいだろうか?
(またそこで『潮騒(1975)』ネタかよ!)
〜 こんなトコも 〜
・クルマは青の「マツダ・ボンゴ」だった。(タイヤの)空気圧がちょっとヤバい感じだった。。
・加賀市(山中温泉)、萬歳湯(名古屋市?)、姫路市(白鷺城)、鳥取砂丘、亀岡市、神戸市、美濃市、掛川市、明石大橋、三保の松原、甲府市、黒部渓谷(トロッコ列車)などがロケされてた。
・南沙織の『ひとかけらの純情』って曲が少しネタになってた。どんな曲だっけ・・?
・清水を“おっさん”呼ばわりする奥さんに、当初は違和感があった(⌒〜⌒ι)
・ブレーキパッド交換に1万5000円。工賃+部品代なら、そんなトコかな?
・荒れた畑での野菜掘り、海岸でのワカメ摂り、拾った釣竿で魚釣り・・と次第に“食糧確保”の手段がシンプルと化してく。。
・1300円のマスクメロン(1玉)を買おうか買うまいか、真剣に悩む主人公。。
・「金沢医科大学・氷見市民病院」に担ぎ込まれるも・・逃げ出す奥さん。で、治療費は・・??
・夫妻の様子(或いはワゴン車)を遠目に(客観的に)映し、それを取り巻く人々を幸せそうに描写する“対比的なるカメラワーク”は、悲しい。。
・加賀市のハローワークの女性事務員が、異常に冷酷に思えた(×_×)
・でんでんさんも出たはったらしい? 何処だっけ? ボディが透明になってはったとか?(おい)
〜 こんなセリフも 〜
清水「わしはまだまだ働ける、て」
「“50(歳)過ぎてる”ってだけで何で・・」
「わしら、運がエエんや」
「身体だけ丈夫で、力だけが余って仕方ないんです」
「何か良い事をすれば、妻にも何か良い事が
起こるんじゃないかと思いまして」
「もう眠って、イイんやで」
ひとみ「これな・・初めてのデートなんやよ」
「こんな綺麗な海見て、死ぬ人の気がしれんね」
「誰が見ても、関係ないって」
「家の前でじっと待っとったけど、
本当は“合鍵”欲しかったんよ、あの頃」
「おっさんの怒った顔、見たくないだけや」
「奇麗やね・・只の雨やのに」
「私は・・ガンやろ?」
「心中・・一緒に死ねたんやから、
幸せやったんや・・エエよ、私は」
「おっさんは“女の事で崩れる人やない”
って信じとったよ」
「病院はイヤや! また離れ離れになるのはイヤや!」
「おっさんに頼みがあるんや」
「ずっと一緒におりたいの」
「おっさんが悪いんや!
おっさんと結婚したから、こう言う事になったんや!」
「トイレって言ったんは嘘や。
おっさんにおんぶして貰いたかったんや」
老人「コンビニでその都度、棄ててしまうのを
貰って来るんです」
「縫製工場で働いてましたよ。ブラザーミシン。
八代亜紀のドレスも縫いました。
皇室の食事係も。九州では造船の仕事も」
「“裏を見せ、表を見せて、散る紅葉”・・良寛ですよ」
「また、逢いましょう」
家族「ウチから罪人が出るなんてな・・」
刑事「何で病院に連れて行かんかった?
人間として当たり前の事やろ?」
「あんなんなって、奥さん、可哀想やなかったんか?」
清水「逃げたらアカンやろな。卑怯と言われるやろな」
ひとみ「おっさんの好きにしたらエエ。私はあんたの
そばにおられたら、それでエエんよ」
清水「もっとゆっくり(銭湯に)入ったらエエのに」
ひとみ「早よ、逢いたかったんよ」
清水「出荷出来んような野菜を頂くだけや」
ひとみ「そやね。1回ぐらい(盗みも)エエよね」
清水「この車が壊れたら、もうお終いや」
ひとみ「なら、歩けばエエ」
清水「わしの話、聴いとるんですか?」
事務員「聴いてないように見えました?」
追記1:終始、穏やかだった妻が・・終盤に「夫の手の甲や頬を傷つける程、痛みに苦しむ」トコロからは“ガンの恐ろしさと激痛”が静かに伝わって来た。
追記2:描き方こそは全く異なるんだが、主人公のとった(強引な)行動には『世界の中心で、愛をさけぶ(2004)』に通じるトコもあったか。
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コメント
こんばんは。
前レヴューでの「BTQ」、©TiM3さんで使わせて頂きたいです。(^^)
本作も前レヴュー作も「存在」を知りつつスルーしてしまいましたが、(前レヴュー作はかなりの精神力が要りそうなので今のところ手が出せなさそうとして)本作はレヴューを読ませて頂き、観たくなりました。
友和さんは比較的近年では『転々』を観ましたが、少し前の『空がこんなに青いわけがない』が未だに気になっています。(じゃあ、さっさと観なさい、私!)
本作、唯一「大切」と思えるもののために、いいえ、何が「大切」なものかが分からなくなった故なのか、人間がその時にどう動くのか(そもそもそんな視点の映画ではないのかもしれないけど)観てみたいです。
投稿: ぺろんぱ | 2011年5月10日 (火) 21時41分
ぺろんぱさん、ばんはです。
某県に2泊出張でやって来ております。
流石にシネコンの影すらなく、少しばかりさみしいです。。
まぁでも、ネット環境が整ってて良かった。
>前レヴューでの「BTQ」、©TiM3さんで使わせて頂きたいです。(^^)
どうぞ! BSPと共にご贔屓にお願いします(=^_^=)
でも、後でネットで検索したら・・既に使ってはる方がいました(=^_^=)> ←誰でも思い付くって
>本作も前レヴュー作も「存在」を知りつつスルーして
>しまいましたが、(前レヴュー作はかなりの精神力が要りそう
>なので今のところ手が出せなさそうとして)
>本作はレヴューを読ませて頂き、観たくなりました。
ある意味、アレ(=前レヴュー作)が韓流リメイクされたら、
更にスゴい事になりそうです。
でも、観てみたい!(ちょいとばかし)
>友和さんは比較的近年では『転々』を観ましたが、少し前の
>『空がこんなに青いわけがない』が未だに気になっています。
>(じゃあ、さっさと観なさい、私!)
『転々』はワタシも気になってますねぇ。
>本作、唯一「大切」と思えるもののために、いいえ、何が「大切」
>なものかが分からなくなった故なのか、人間がその時に
>どう動くのか(そもそもそんな視点の映画ではないのかも
>しれないけど)観てみたいです。
病気の妻と旅をするって部分については、ややベタな感もありますが、
それ以上に(?)50歳代の健康な男性が、ハローワークに苦しめられ
続けるって展開に、衝撃を受けました(×_×)
加賀市のハロ※ワ※クのあの女性事務員の、対応の冷たい事・・!!
投稿: TiM3(管理人) | 2011年5月11日 (水) 23時42分