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2011年5月13日 (金)

☆『おとうと(2010)』☆

8日(日曜)の夜。「日曜洋画劇場」で“地上波初放送”された山田洋次監督の『おとうと』を観た。
“藤沢周平3部作”を経て、現代に舞台を戻して(?)の2本目。

山田監督が、市川崑監督の『おとうと(1960)』にオマージュを捧げた、とされる本作。

語り手である高野小春(蒼井優)の父母は、東京に小さな薬局を開設した。
父は早くに亡くなり、母=吟子(吉永小百合)はひとり娘を女手1ツで育て上げたのだった(厳密には、祖母も同居してるが)。

そんな小春がめでたく結婚披露宴を迎えた当日、それまで音信不通だった吟子の弟=丹野鉄郎(笑福亭鶴瓶)が会場に現れ“御法度”だったテーブルの酒に手を伸ばしたがために、宴席はメチャメチャになってしまう。

(吟子と鉄郎の)兄(小林稔侍)は激怒し「こいつとは、兄弟の縁を切る!」と言い放ってしまった。

・・

その後も何度か吟子母子の前に姿を現したり、現さなかったりしつつ厄介を起こし続けた鉄郎だが・・やがて彼が「重病に冒されている」との報せが、大阪から姉・吟子のもとへ届くのだった・・

当初「愚兄賢妹」なる初期タイトルで制作された、かの『男はつらいよ』シリーズ(1969-95)の“変形版”やろか? ぐらいの先入観でもって観始めたワタシだったが、とにかく放送時間の長い(2時間40分)割に、上記粗筋を超える迄の「演出」や「おトク感」が練り込まれてたワケでもなく、、正直、私的には“イマイチ”な出来だった。
ま、監督と主演がこの方たちである以上「悪く言える」ハズもないんだが・・(⌒〜⌒ι)

残念だったのは、豪華俳優陣を揃えてる割に、それぞれのキャラ造型が「表面的」に過ぎたトコであろうか。

吉永さんについては“国民的女優”って看板をこの先も背負って行かはる以上、これ迄に培われた“印象/人物像”をねじ曲げる程の“予想外の演技&言動”をしはるハズもなく、またそれを(観客の)誰も望んではいないんだが・・「姉=吟子に大きく絡む弟=鉄郎役の鶴瓶」「娘=小春に大きく絡んで来る大工=長田役の加瀬亮」の2大男優は、共に存在が「立ってた」事もあり、ゼヒ「鉄郎vs長田」のシーンぐらいは用意して貰いたかったモノだ。

それに加え、鶴瓶にも加瀬にも繋げ得る小春役=蒼井の立ち位置が「語り手」を超える迄には前面に出て来ず、彼女も正直、弱かった。

鶴瓶については、総じて3度ほど吟子らに接触した位だったので、ハッキリ言わせて頂くと「せいぜい特別出演レベル」の域を出てなかったのではあるまいか? とも。

あと、鉄郎がハチャメチャをするシーンが劇中で「3度」ほど展開されるが・・それらを眺めても「山田監督のハチャメチャぶりってば、この程度が限界なのン?」と眼をパチクリさせてしまったワタシである。

って事で“山田印”ってブランドを名乗るからには、も少し「観客を唸らせる何か」が欲しいように痛感した次第だ。

〜 こんなトコも 〜

・1シーン、あの“寅さん”がスクリーンに登場! 「大物アーティストが、自身の過去の名曲をサンプリングして新曲に用いてる」みたいなしたたかさ(?)があって面白い。
・「たこ焼き」造りを完全にマスターするには、5~10年もかかるそうだ。「フラリとやって来て、わずか1週間で体得して何処かへ去って行く」みたいなのはムリかなぁ?
・ベテランの大工は、あちこちで「嘘をつく」らしい。例えば「ドア自体の重さを計算に入れ、予め(真っすぐではなく)傾けて取付ける」のだとか。筒井康隆の短編小説(大工モノ)『横車の大八』を思い出した。
・民間ホスピス「緑の家」の代表者の妻役に石田ゆり子さん!! 『死にゆく妻との旅路』とは打って変わって“ピンピンしてる”石田さんに、違和感を感じまくった・・(⌒〜⌒ι)
・小日向文世&石田ゆり子の「夫婦キャスティング」って言えば・・三谷幸喜の舞台劇『国民の映画』とまんま同じなんですなァ(ゲッベルス夫妻役)。
・「緑の家」は大阪の新世界界隈にあるそうだが・・ホントにホスピス内のシーンが「大阪ロケ」だったのかどうかは、正直良く分かんなかった(⌒〜⌒ι)
・最後は喋れなくなってた鉄郎。淡々とした描写ながら“病気&死の辛さ悲しさ”が巧く表現されていた。
・山田監督ってば、大阪府豊中市のご出身だったんですねぇ・・知らんかった。

〜 こんなセリフも 〜

吟子「今日私がここに来たのは、薬局の経営の事じゃなく、
   あなたと小春の事なのよ」
  「真面目な事を、真面目に話し合うって事なのよ」
  「あなたが書いたんでしょ? その上手な字」
  「頭が悪いとかアホやとか、人間に対する侮辱です」
  「いいからちょっとお掛けなさい」

鉄郎「もうエエわ! 帰って寝ぇ、アホ!」
  「堪忍してぇな。他のハナシしよ」
  「ちょっと東京へ来たついでに、ご機嫌伺いに寄ったんや」
  「やっぱり麦茶が一番やな」
  「左様か。コレで終わりっちゅう事やな」
  「良ぅわいみたいな人間を、
   これまで世話してくれはりましたなァ」
  「お前らは正しくて健全な人間や」
  「3回目でも“初めて聞いた顔”してくれや、先生」
  「何、喰うても同じや。味、分からへん」
  「怒りないなァ」
  「姉ちゃん、食べぇ。一緒に食べたかった・・鍋焼き」
  「先生も愛想ないなァ」
  「お願いがあんねん。今晩ここに泊まってくれへんか?」
  「お姉ちゃん、おおきに。堪忍や」

兄「あいつ、ベロベロだぞ」
 「俺はこいつと縁を切るぞ。もうウンザリだ」

小宮山「“不幸の在り方”と言うのは、千差万別でして」
   「偶然、部屋が空いていて良かったです」

長田「春ちゃんが※※したって話を聞いた時、
   俺“やった〜ッ!”て思ったんだ」

母「はいはい。あたしはどうせ、のけ者なんですからね」
 「あの人、来るのかい? 大阪にいる、あんたの変わり者の弟」

鉄郎「わい、烏龍茶にしてくれるか」
吟子「乾杯ぐらいイイじゃないの」
鉄郎「その一杯が、命取り」

吟子「今、何してるの?」
鉄郎「水、飲んでるんやけど」
吟子「仕事よ」

吟子「そんな話、聞きたない」
鉄郎「聞いてや」

吟子「今は小春の話をしてるんじゃないでしょう?」
鉄郎「オウムの話やったかな?」
吟子「違います」

母「そんなにあたしが邪魔なの?」
吟子「うん」
母「・・うん、て」

小春「2度も貰っちゃって」
丸山「3度目はナシだよ」

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コメント

こんにちは、これはオリジナルの方を観た事ありますね。あんまり好みじゃなかったので、こちらもスルーしてしまいました。最近のリメイク作品はろくなのがない気がします。

ところで、今月も「ブログDEロードショー」やってます。作品は『トワイライトゾーン/超次元の体験』 。DVD持ってたり・・・しないですかね(笑)
いちおう日程は、5月20日(金)~22日(日)。もし気が向いたら、みんなで映画を楽しみましょうね♪

投稿: 宵乃 | 2011年5月13日 (金) 10時59分

宵乃さん、お早うございます。

昨夜も午前様コースでした。
エンゲル係数、高過ぎ、、(⌒〜⌒ι)

>これはオリジナルの方を観た事ありますね。
>あんまり好みじゃなかったので、こちらもスルーしてしまいました。

市川崑作品、ダメでしたか・・(×_×)

>最近のリメイク作品はろくなのがない気がします。

山田監督の「古き良き時代の、古き良き物語を皆さんに」って言う
部分が、真っ当な事で、大切な事なんだけど・・
ちょっと伝わって来ない感じでした。
決して押し付けがましくも、イヤミでもないんですけど。

>ところで、今月も「ブログDEロードショー」やってます。
>作品は『トワイライトゾーン/超次元の体験』 。
>DVD持ってたり・・・しないですかね(笑)

あ、イイですねー。
DVDは持ってないんですが、記憶の範疇で語ったらアカン
でしょうかねぇ・・(=^_^=)

ビック・モロー、ジョン・リスゴー、ダン・エイクロイド・・
ある程度、覚えてますよ!
(特に、最終エピソードの「旅客機の翼上でガーゴイルが暴れるヤツ」は
インパクト的にスゴかったです!)

>いちおう日程は、5月20日(金)~22日(日)。
>もし気が向いたら、みんなで映画を楽しみましょうね♪

皆さんのレビューを拝見しにうかがいたいと思います。

投稿: TiM3(管理人) | 2011年5月14日 (土) 08時33分

再び、今度は「こんばんは」です。

本作、『女の子ものがたり』の後に観ました。
ん~、もともと何となくつるべさん主演ということでの躊躇があったので観方が素直じゃなかった感もありますが、ちょっと残念でした。

吉永さんの大阪弁や綺麗な愁い方の描かれ方には少し違和感を感じたのですが、TiM3さんの仰る通りそこは「“国民的女優”って看板をこの先も背負って行かはる以上、・・・・・(観客の)誰も望んではいない」ということなのでしょうね。なのに私は敢えて言ってしまいましたが。^^;
何だかそれぞれの登場人物の絡まりにリアルさが無かった感じがしました。

笹野さんと鉄郎さんの元・同居女性を演じたキムラ緑子さんはしっくりきました、よかったです。

投稿: ぺろんぱ | 2011年8月16日 (火) 19時38分

ぺろんぱさん、こちらにも訪問、有難う御座います〜

>本作、『女の子ものがたり』の後に観ました。

良かったですね。また観たいです、あれ。

>ん~、もともと何となくつるべさん主演ということでの躊躇が
>あったので観方が素直じゃなかった感もありますが、
>ちょっと残念でした。

大物俳優を配しながら、それぞれの絡まり方がイマイチだったようにも
思います。

>そこは「“国民的女優”って看板をこの先も背負って行かはる以上、
>・・・(観客の)誰も望んではいない」ということなのでしょうね。
>なのに私は敢えて言ってしまいましたが。^^;

そうですねぇ。
でもワタシは男性だから、あのしとの悪口は言えないんです(=^_^=)

>何だかそれぞれの登場人物の絡まりにリアルさが無かった感じ
>がしました。

あ、さっき上に書きましたが、やっぱりぺろんぱさんも感じ取られたんですね(=^_^=)

案外、現場は「別撮りの嵐」だったんかも知れませんね。。

>笹野さんと鉄郎さんの元・同居女性を演じたキムラ緑子さんは
>しっくりきました、よかったです。

笹野さん、出過ぎ!(爆笑)

投稿: TiM3(管理人) | 2011年8月18日 (木) 23時18分

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