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2010年12月16日 (木)

☆『ノルウェイの森』☆

15日(水曜)の夜。

「昨夜のクチ直し」と言うワケでもないが(=^_^=)・・再び“ワーナー・マイカル・シネマズ高松”へと向かい、正直『SPACE BATTLESHiP ヤマト』以上に期待値を高めてた1作『ノルウェイの森』を観て来た。

「最初から、コレ選んどきゃ〜良かったんや」などと呟きながら・・(←おい、そこまで言うか)(=^_^=)

しっかしアレです・・またもや“レディース・デー”とモロにぶつかってしまったもんで、周囲が女性客だらけであり、騒がしくて鬱陶し・・いや、閉口させられてしまった(×_×) 男性観客にとっては、まさに「受難な曜日」と言えましょう(×_×)

“現代の日本人作家で、最もノーベル文学賞に近い男”とも噂される村上春樹の同名小説(1987年刊行)を、23年を経ての映像化に取り組んだのは、ベトナム出身&フランス在住の映像作家=トラン・アン・ユン監督。

主演に『人のセックスを笑うな(2008)』『D.M.C(2008)』『ウルトラミラクルラヴストーリー(2009)』の松山ケンイチと『バベル(2006)』『スカイ・クロラ(2008)』の菊地凛子を迎え、133分の長尺の映像世界で魅せる。かつPG-12指定作。

1967年、神戸。巷では、加山雄三主演による“若大将シリーズ”が劇場を賑わせてもいた頃。
17歳の高校生である僕=ワタナベ(松山)は、親友のキズキ(高良健吾)、その幼馴染み&恋人である直子(菊地)と3人で遊ぶ仲だった。

そんなある日・・理由は分からない(描かれない)が、キズキが自らの生命を突然に断ってしまう。

キズキの喪失に伴う“ぼんやりと残された空気の塊”をまとったまま上京し、東京の私立大学に通い始めた僕は、19歳となったある時、都内で直子に再会する。
互いに言葉少なながらも・・静かに距離感を縮めて行く僕ら。

しかし“とある事件”を境に、直子は僕の前から姿を消してしまうのだった。

やがて遠く、京都の北部にある療養所に身を置くこととなった直子。
一方で、僕の前には活発で小悪魔的なミドリ(水原希子)と言う女の子が現れて・・

本作は、大学の頃だかに原作(文庫版)を読了した覚えがある。何ともツカミどころのないような、ガチガチに構築された作品世界を読み進ませる、と言うよりもむしろ、行間に漂う世界観を自由に想像させてくれる、みたいな「輪郭の薄い感触」だった・・と記憶している。

面白いのは、タイトルにもなってる『ノルウェイの森』と言う(ビートルズの)ナンバーのことをワタシは全く知らず、読了後もしばらく耳にすることのなかった点(=^_^=)>

結局、初めて「どんな曲なのか」を知ったのは“PMドーン”と言うラップ/ヒップホップアーティストがカヴァーしている、メロディアス&ダンサブルなアレンジヴァージョンを耳にした時が初めてだった(恐らく1994年辺り)。

私的には、村上春樹作品で印象的だった小説は・・本作以上に『国境の南、太陽の西(1992)』だったように思う。よりエロティックだったモノで(=^_^=)>

さて、本作・・ 正直、トラン・アン・ユンが監督に起用された点が最も疑問だった。
私的には(同様に村上原作である)『トニー滝谷(2005)』が特に素晴らしかったが故、市川準にこそ監督をやって欲しかった、と観賞後、強く感じた次第。
(まぁ、ワタシはトラン・アン・ユン監督作を未見なので、それ以上は何とも言えないが・・)

何やら「長回し」「空撮&俯瞰アングル」「蒼系フィルター」などの印象的な映像群はバシバシ放ってくれるんだが、「コレ!」と言う“そのままポストカードに使える”までの映像には欠いてた感。
おまけに「引き伸ばしてでも(更に)描いて欲しいトコ」「省略しても良いトコ」のチョイス&バランスがイマイチ良くなく、世界観を楽しめるでも、物語世界に対する憧れを惹起させてくれるでもなかった。

演出群をこの数&バランスで劇中に挿入するんだったら、もっともっと全体を編集し、上映時間を短くすべきだったと思うワタシ。

登場キャラ群の魅力も押し並べて乏しく、
「キズキ:存在が薄過ぎ」「直子:“20歳〜21歳”なる設定にムリあり過ぎ」「ミドリ:(歯をのぞかせ)笑った顔がイマイチ&バスト薄過ぎ(←コレは個人的な好みやね・・スンマセン)」「永澤さん(玉山鉄二):存在を分厚くし過ぎ(=人物を描き過ぎ、魅力が薄れてしまった)」・・といずれも良くなかった。
つまり、描くべきキャラはもっと登場時間を増やして欲しかったし、もっと立ち位置を下げ“ミステリアスさ”をキープし続けて欲しいキャラもいた・・って感じ。

“エロティック至上主義”を密かに唱えて止まぬ(=^_^=)ワタシとしては、全体的に「映像が上品過ぎる」点には不満も戸惑いも感じ続けたか。菊地凛子さんがヒロインってことで、トンでもない「体当たりアクト」を期待してたら・・全くもってフツーでした。セリフ群では、結構なエロさが爆発してましたが・・

劇中で、ズバリ「ノルウェイの森」をギター演奏でご披露してくれるレイコさん(霧島れいか)。
このしとも、終盤の「体当たり」を必要以上にドキドキしつつ、硬くさせつつ(←おい!)観てたら・・全然“フル・モンティ”じゃなくガックシ(×_×)

原作では「お仏壇を前にし、大胆なコトをしちゃう」ミドリちゃんについても・・「そんなシーン」が映像的に再現されようハズもなく(×_×)ワタシはすっかり軟化しちゃうのだった(←やめんかい、その表現)

ってことで、恋愛モノとして観ると、正直「ナニを描きたかったのか」曖昧な観後感が残るんだが・・感受性の強い方(或いは、何処かで自身の記憶とリンクさせられるような方)には、きっと鮮烈な余韻を残す1作なんだろうなァ・・とは思いますわ。

〜 こんなトコも 〜

・主人公が飛行機に搭乗してる(原作の)冒頭シーンも、観てみたかった気がする(・ω・)
・主人公の、永澤に対する「高貴な精神を持った俗物」って表現(評価)は、インパクト十分!
・タクシー料金が「2キロ:100円」の時代だった! 学食のランチは「A:120円」「B:100円」「C:80円」の3種だってさ。
・ミドリの飲んでたカクテルは「トム・コリンズ」で、僕の注文は「ウィスキー・ソーダ」だった。
・風に揺れる両足・・連想したのは、やっぱり『グラディエーター(2000)』だったですかなァ(⌒〜⌒ι)
・主人公の、直子に対する恋愛感情の中には、(たとえそれが無意識的であるにせよ)死んだキズキに対する対抗心/反発心(友情をも伴う)みたいなものも色濃く存在してたように思う。
・主人公が『50回目のファースト・キス(2004)』の主人公(演:アダム・サンドラー)みたいな性格だったら・・或いは直子も、その心を回復させたことやろか?
・「涎の糸を引いて泣く」のは、やっぱしみっともないス(・ω・)
・生きている相手の表情をアップで映しながら“それから2年後、この人も死んだ”なんてな主人公の独白の入る演出は、なかなかスゴい!
・未見だが『69/Sixty Nine(2004)』もこんな感じの世界やろか?(高校時代のシーン)
・主人公の連発する「もちろん」は『大日本人(2007)』における「是非!」のように耳にこびり残る(=^_^=)
・主人公が2人の女性の間を絶妙にシフトして行く辺り、何となく『ジョゼと虎と魚たち(2003)』を連想してしまった。
・主人公のフルネームは? ワタナベ・ヂュンイチだったりして(⌒〜⌒ι) それって、阿寒に果てそ〜。

〜 こんなセリフも 〜

僕「黙ってたって構わないさ。僕も“お喋りな方”じゃないし」
 「そうだよ」
 「もちろん」
 「どう致しまして」
 「ごめん。訊くべきじゃなかった」
 “返事が欲しい。僕は君を傷つけてしまったのか? それだけでも知りたい”
 「肘は身体の中で、1番感覚の鈍いトコロらしいよ」
 「“孤独が好きな人間”なんていないさ」
 「時間だけは余ってるんだ。その時間の中で、
  君を眠らせてあげたいぐらいだよ」
 「人と人がそんなに愛し合うって、素敵なことだな」
 「君にとって、愛って何?
 「今“うまいよね”って言ったのは、その食べ方が“上手い”って
  言ったんだけど」
 「・・なかなか巧いね」
 「何か、僕に出来ること、ある?」
 「僕が何を言っても・・始まらないですよ」
 「頼むよ・・場所、わきまえてくれよ」
 「ここは“長くいる場所”じゃないと思うし」
 「僕は本質的に“楽天的な人間”なんだよ」
 “お前と違って、俺はきちんと生きようと思ったんだ。
  俺は今よりももっと強くなる・・大人になるんだ”
 「“人としての責任”みたいなものを、簡単に放り出すことは出来ない」
 “哀しみの中で学び取った何かも、
  次にやって来る哀しみを前にしては、何の役にも立たないのだ”
 「あなたは誰かと恋をすべきです
 「君以外に求めるものは、何もないよ」
 「僕は今・・何処にいるんだろう?」

直子「少し歩かない?」
  「思うんだけど・・人って“18歳と19歳の間”を行ったり来たりするべきなのよ。
   (中略) そうしたら・・色んなことがもっと楽になるのに」
  “頑張って下さい。またいつか、逢いましょう”
  “今はまだ、あなたに逢う準備が整っていません”
  “あなたが私を傷つけた訳ではありません。
   私を傷つけたのは・・この私自身です”
  “私には、あなたの顔しか思い浮かばないのです”
  「どうしても逢っておきたかったの。
   あなたの顔を見て、慣れておきたかったの」
  「全然濡れなかったし・・開かなかったの」
  「話さない訳にはいかないの」
  「彼のこと、愛していたのに・・
   “愛するってことがどう言うことなのか”も、分からなくなっちゃうの!」
  「もう少し、自分のことをキチンとしたいから」
  「出してあげよっか?」
  「東京で誰かに逢っているの? その時は、私に話してね」
  “雪が降り始めた頃、私に逢いに来てくれますか?”
  「どうして、私にかまうの?」
  「あなた・・“自分に嘘ついてる”とは思わないの?
  「どうして分からないの? “あなたの存在”が私を苦しめるのよ!」
  「どうして濡れないのかしら? どうしてダメなのかしら?」
  「いつまでも忘れないでいて欲しい。約束してくれる?」

教授「“ギリシア悲劇より深刻な問題”が存在するとは思えないが」

永澤「俺が100人の女とヤッたかって? 大袈裟だよ。せいぜい70人だ」
  「“刻(とき)の洗礼を受けていない文学”など読む必要はないさ」
  「それはハツミの問題であって、俺の問題じゃない」
  「俺のこと、酷いと思うか?」
  「自分に同情するのはな・・下劣な人間のすることだ」

ミドリ「そうしたら・・愛してあげるの」
   「来ないでね。お葬式って大ッ嫌い。
    ああ言う場所で、あなたに逢いたくないの」
   「今度、ポルノ映画に連れてってくれる? すごくイヤらしいヤツよ」
   「どうしてって・・どう言うことなのよ、これ?」
   「私を抱く時は、私のことだけを考えてね。
    ・・言ってる意味、分かる?」
   「私に何をしても構わないけど・・私を傷つけることだけはやめて。
    ・・幸せになりたいの

ハツミ「私は傷ついてる。どうして、私だけじゃ足りないの?」
   「そう言うのって“自分でもどうしようもないこと”なのよ」

レイコ「“7年前に失ったもの”を取り戻すことが出来たわ」
   「幸せになりなさい

僕「疲れてるの?」
ミドリ「久しぶりに、身体から力を抜いただけ」

レイコ「忘れないでね。私たち“普通”じゃないの」
僕「・・みたいですね」

直子「私と、寝たい?」
僕「もちろん」

ハツミ「楽しかった?」
僕「・・別に、楽しくはなかったです」
ハツミ「なら、どうしてそんなことをするの?
    (中略) そう言う種類のことは、あなたには向いていないし、
    相応しくない、と思うんだけど」

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コメント

やっぱりヒロインが菊池凛子という時点でチョット引いてしまったところがあります。
もしも、直子役に綾瀬はるかちゃんだったらどうなっていたんだろう?
アイスキャンディを口移しだなんて、ワタシは一度も経験ありません(爆)

緑がプールの水面に顔を出す瞬間こそハリウッド女優に見えてしましました^^;
瞬きしないわ、前髪手で払わないわで、ここだけ好印象でした^^

投稿: ituka | 2010年12月17日 (金) 00時10分

itukaさん、ばんはです。

セリフが少なめかな・・と思いきや、結構インパクトある言葉が
飛び交ってて、圧倒されました(⌒〜⌒ι)

>やっぱりヒロインが菊池凛子という時点でチョット引いてしまった
>ところがあります。

もっともっと歳を重ねられたら、オッソロしい演技派代表格となって行かはりそうな気がします。
キクリンさん。
結局は「ヴィジュアル系とは対極の位置」に立ったはるのでしょうね。
テラシノさんと同様に・・

>もしも、直子役に綾瀬はるかちゃんだったらどうなっていたんだろう?

はるかちゃんに、あのキャラは演じて欲しくないなぁ・・(苦笑)
ブランコされてもイヤだし。。

>アイスキャンディを口移しだなんて、ワタシは一度も経験ありません(爆)

飲料を口移しってのは経験ありますが、個体を・・ってのはないですし
憧れますねぇ(汗)
ゲイのカップルも、そう言うことをしはるんでしょうかねぇ(ウグッ、、)

>瞬きしないわ、前髪手で払わないわで、ここだけ好印象でした^^

CG処理では?(=^_^=) それにしても、ペッタンペッタンでしたね、、(ファンの皆さん、スンマセン)

投稿: TiM3(管理人) | 2010年12月17日 (金) 00時44分

おはようございます。

原作を意識しない、映画を映画として冷静に評された貴レヴューを大変興味深く読ませて頂きました。
(私はどうしても原作を意識し過ぎてしまったので。)

>行間に漂う世界観を自由に想像させてくれる

まさにそんな魅力です。
ビックリするくらいの的を射たご表現ですね。

私も『トニー滝谷』は原作ファンにとっても納得の一作だったと思います。
ラストも、敢えて原作と違えたところも良かったですし。逆に、あれをトラン・アン・ユン監督が撮ったらどんな映画になっていたのでしょう、、、そんなことを今ふと思いました。(^^)

>キズキ:存在が薄過ぎ
>永澤さん(玉山鉄二):存在を分厚くし過ぎ

キズキについては同感です。
「時間」ではなく、瞬間的にでももっと心に残る見せ方をして欲しかったですね。
逆に永沢さんについては、同様に「時間」ではなく、もっと踏み込んだ人物設定をして欲しかったかなぁ・・・と。

>主人公が飛行機に搭乗してる(原作の)冒頭シーンも、

こちらも同感です。
あの冒頭でビートルズの「ノルウェーの森」が活きてくるのですものね。

直子は、最も大切な要素として、私の中で抱いてきた直子像とはやはり違っていました。
もしかしたらコレにつきたのかもしれません。

とにかく、冷静に(納得しかねた部分も良かったと思えた部分も両方含めて)細部を振り返ったり、ずしんと来た瞬間の感覚だけがあの曲と共に今も甦ってきたり、良くも悪くも後を引くものになりました。
やっぱりかなりのめりこんで観ていたのだと思います。

投稿: ぺろんぱ | 2010年12月17日 (金) 05時15分

ぺろんぱさん、ばんはです。

コメントが遅くなり、恐縮です。
本作の2度目の劇場鑑賞は・・有りそうですか?(・ω・)

>おはようございます。

早いお時間ですね〜!

>原作を意識しない、映画を映画として冷静に評された
>貴レヴューを大変興味深く読ませて頂きました。

覚えてなかっただけかも知れません(⌒〜⌒ι)
読んでから観ると、また違った評が仕上がったことかも・・ですね。

>ビックリするくらいの的を射たご表現ですね。

原作版では「僕」や「直子」の顔(容貌)が余り具体的に浮かばなかった
印象があります。
そう言う意味では、本作ってば、あの2人に「役を演じてる俳優さん」って気持ちの延長しか感じなかったワタシでした。

松ケン君に限っては、本作を観たことにより、改めて
『人のセックスを笑うな』って良かったなぁ〜! と認識したモノです。

>私も『トニー滝谷』は原作ファンにとっても納得の一作だった
>と思います。

音楽にも、センス溢れる映像群にも、ただ圧倒されましたっけ。

>逆に永沢さんについては、同様に「時間」ではなく、もっと
>踏み込んだ人物設定をして欲しかったかなぁ・・・と。

永澤さんに割く時間を、その分レイコさんの背景描写に充てて欲しかったかも。
結果的に、あそこまで主人公と縁(えにし)を深めるワケですから・・

>あの冒頭でビートルズの「ノルウェーの森」が活きてくる
>のですものね。

シーンとしては、撮影済みなんじゃないかな? と勝手に妄想してます。
「完全版」が楽しみです(=^_^=)

>直子は、最も大切な要素として、私の中で抱いてきた
>直子像とはやはり違っていました。

直子については「影絵だけ」「声だけ」と言った、特殊な描き方を
やってみても面白かったのかも知れませんね。

>やっぱりかなりのめりこんで観ていたのだと思います。

ワタシは・・やはり日本の監督に手がけて欲しかったと思いました、本作。
この完成度なら、撮れる監督は、このニッポンにもいると思います・・(・ω・)

投稿: TiM3(管理人) | 2010年12月18日 (土) 20時02分

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