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2010年11月27日 (土)

☆『レオニー/Leonie』☆

26日(金曜)の夜。
仕事帰り、久々に“ワーナー・マイカル・シネマズ高松”へと向かい、前々から気になっていた1作『レオニー/Leonie』を観て来た。

ワタシは現在、高松に住んで2年目となるんだが(因みに、高松には未だ1人の友人もいないんだが(=^_^=)>)・・昨年の、落ち着いた頃になってようやく、芸術家=イサム・ノグチに縁(ゆかり)の深い地であることを知ったワケだ。

そんなことで、牟礼(むれ)と言う(高松)北東のエリアにある“イサム・ノグチ庭園美術館”を見学したり(←要事前予約)、“高松市立中央公園”の片隅(?)に配されてる“イサム・ノグチのデザインによる遊具(3種)”を眺めに行ったり、ドウス昌代著の文庫本『イサム・ノグチ/宿命の越境者(上)(下)』をとある方に頂き「いつ読もうか、さぁ読もうか」とスタンバってる(By ブライト艦長)(←ただしまだ1頁も読めてない(×_×))状態だったりする。

正直、ワタシはイサム・ノグチその人の“芸術観”“世界観”に興味があったワケで、彼の両親がどんな人物で、どんな波乱の人生を送ろうが、とんと興味はなかったんだが・・イサム・ノグチ本人の生い立ちも、当然ながら附随して描かれるだろうことに興味を持ち、最終的な「鑑賞決断」を下した次第である。

1892年。米・フィラデルフィア州のブリンマー大学。女学生らの中にあって異彩を放つ、1人の才女=レオニー・ギルモア(エミリー・モーティマー)の姿があった。
独特の“反骨精神”“芸術観”を既に確立している彼女は、周囲から「変わり者」と思われ、とかく無視される存在だった。

そんな彼女に声をかけたのは、凡庸な令嬢=キャサリン・バーネル。最初は「無理しないで。あなたも皆と同じように私を無視していいのよ」と軽く突き放すレオニーだったが、キャサリンの心の中には、レオニーが何気なく放った言葉、

「平凡な人間なんて、退屈よ」

が深く突き刺さるのだった。

1年後。親友となっていた2人は「キャンパスの壁に向かって、演説(日本語!)のリハーサルを続ける」とある日本人大学院生の姿をみとめる。
その女性は津田梅子(原田美枝子)と名乗り「私は間もなく日本へ帰国し“日本初の女子大”を創設するのよ」と誇らしげに語るのだった。レオニーの心中に「日本」と言う“まだ知らぬ国の名”の響きが尾を引いて残るのだった・・

・・

1901年。ニューヨーク、イーストヴィレッジ。“編集者求む”の新聞広告を手にやって来たレオニーは、日本の詩人=野口米次郎(中村獅童)と出逢う。既にアメリカで『谷の声』など2冊の詩集を地味に出版していたヨネ・ノグチ(米次郎)だが、洗練された詩の表現に苦心していること、小説を執筆しようと考えていることなどを彼女に語って聞かせる。

「日本語を解せない」レオニーと「英語が完璧ではない」ヨネにとって、筆談でやりとりする場面も多かったが・・そんな中でも、2人っきりの共同作業が連夜続くことで、彼らの中に“恋愛感情”の芽生えるのは、そう遅いことではなかった・・

レオニーに妊娠を聞かされ、激しく動揺するヨネ(←男なら誰でも動揺するが(⌒〜⌒ι))・・やがて、ニューヨークにおける“黄禍(おうか)問題”が深刻になっていったこともあり(←1904年2月の日露戦争の開戦による)、ヨネはアメリカからも、レオニーからも逃げるように、1人さっさと帰国してしまうのだった。

・・

1904年。米・カリフォルニア州パサディナ。母の住む故郷へ戻ったレオニーは、この地で色黒の男児を出産する。
これが後のイサム・ノグチである。
「この子の名は、父親がつけるべき」と考えた彼女は、ついにヨネに再会するため、遠き日本に向かうことを決意する・・

松井久子監督・・と言う名をこれまで全く知らなかったんだが・・彼女の(わずか)3作目と言う本作。

その完成された(?)映像表現&演出手腕に、心底圧倒された! 日本人監督である点が奏功してか、ニッポン国内の描写がほぼカンペキなデキである!(唐突にニンジャとか出て来ないし(=^_^=))
全体的な完成度も、もはやぬるま湯に浸かっとるような(=^_^=)“ハリウッド謹製”を圧倒すらしている!

後述する(予定)ような、幾つかの「弱点」こそあるモノの・・ワタシの中では「今年(って言うか、あと1ヵ月やけど、、)に限っては、もう本作を超える劇場作は(洋画・邦画を引っ括めても)出て来ないやろな!」と密かに確信するに至っている。

今年ってば、とにかく『悪人』にノックアウトされまくったワタシだったが、この『レオニー』もまた“2トップ”としてかなりなランキング上位に喰い込んで来る予感がある!

主演のエミリーさんと言えば・・『Dearフランキー(2004)』『ラースと、その彼女(2007)』がワタシの記憶の中で鮮烈だが(他にも『ノッティング・ヒルの恋人(1999)』『キッド(2000)』『シャッターアイランド(2010)』に出演したはるらしい)、本作ではデミ・ムーアに似た(?)雰囲気も巧く紛れてて(=^_^=)集中出来た。

※私生活では『ココ・アヴァン・シャネル(2009)』『フェイス/オフ(1997)』での好演の光る、アレッサンドロ・ニヴォラ(←オットコ前やんか、キミ!)がダンナ様らしい(悔)

中村獅童くんは・・「役作りナッシング」と言おうか(=^_^=)、ごくごく自然に“ロクデナシ詩人”を好演してくれた。
終盤で、成長した息子=イサム・ノグチと語り合うシーンが描かれるが・・その場面の映し方が「巧いよな〜」と。

ヴ※ンサン・カ※セル氏と同じように、同性であるワタシに言わせて頂ければ「キュウリみたいな顔やし、カッコ良くないじゃん!」って感じなんだが・・きっとメチャクチャに厳しく、一方で優しいしとなんやろなぁ(=^_^=)

どうせなら、レオニーを前にして、
「お前は・・私の下から、飛んで行ってしまうのだろうな(←ここまで静かに)・・飛ぶんだろうが〜!!(←突然激しく)」
とか激昂して欲しかった(=^_^=) ←そりゃ『ピンポン(2002)』のドラゴンだろうがよ!

日本人俳優陣の起用が、これまた効果的でスゴい!

吉行和子、竹下景子、原田美枝子・・の3女優がまず豪華! なんだが、確かにそのクラスを持って来ないと、物語全体のバランスが崩れてたことだろう。
男優陣では、中村雅俊、柏原崇。そして何と言っても大地康雄の存在が凄まじ過ぎる!
このしとなんて「名も無き大工の棟梁」の役でっせ!
せやのに、あの強烈なインパクト、何やねんなホンマに! ←あ〜、うるせぇ(=^_^=)

本作ってば、ドウス昌代著の『イサム・ノグチ/宿命の越境者』にインスパイア(触発)されつつ、そこに松井監督ならではの“創作”を練り込んで造り上げられたようだ。
確かに、終盤に至って「あ、この映し方ってば、アレやったんか!」と驚かされるトコもあり、そう言った点では、すこぶる自由に、それでいて鮮烈にレオニー母子の人生を描き切ってくれてたと思う。

何にせよ、ワタシの中では「何としても“モエレ沼公園(札幌)”に行かなければ、コレは死んでも死に切れんぞ!」と急な課題(=^_^=)が、突然に盛り上がって来たトコである。

「行くんだろうが〜!!」 ・・ってね。 ←だから、それは言わないっての(=^_^=)

〜 こんなトコもありました 〜

・私的には評価のかなり高い本作だが・・万人にはおススメしにくい。ヤマ場を欠くため「インパクト面で弱い」と言う評もあろう。
・ワタシが思うに「“感覚的に優れたしと”向けの秀作」であるかな、と。ヤマ場のなさすらも、ワタシには心地良いし(=^_^=)
・ヤマ場に欠けると前述したが・・色んなカタチでの“おんな同士のバトル”が、それに該当すると確信している。「レオニーとキャサリン」「レオニーと母」「レオニーとウメ(津田梅子)」「レオニーとハル(産婆)」「レオニーとアイリス」・・レオニーが真剣に向き合い、真剣に戦う相手は、常に「おんな」だったんではないかな、と。
・因みにワタシが一番好きなバトルは「vsウメ」である。お互いに「表面っぺら(?)な言葉を耳で聞く」だけじゃなく「相手の眼を見つめ、本心を掴もうとする」トコがスゴかった! あの訣別は、絶対に「敵対」ではなかった、と信じたい。
・ラストにドでかい“謎”の残されるのが気になった。「必要な時に支えてくれた人」と言ってはったので、ワタシはもう、イサム・ノグチ少年に声を掛ける、あのしとしかおらんかな? とも思うんだけど・・ ←キミ、エラい推理が浅いね〜(=^_^=)
・老いたレオニーが、時たま「ジーン・ハックマンの女装」に見えてしまった(爆笑)
・もうちと「深く描いて欲しかった」相関関係もあったけど・・想像の余地があって、それも良ろしかろうて。
・オラツィオ・ジェンティレスキ、アルテミジア・ジェンティレスキ、なる2画家(父と娘)の名を初めて知った。ブランドの名前かと思った(おい!)
・“Pull one's strings”で「助ける」って意味らしい。“Go on”は「どうぞ」やね。“Oh,my..”で「驚いたわ」ってさ。
・意識しては観なかったが、衣装デザインに黒澤和子さんの名が。
・日本語字幕は戸田奈津子さんが担当!
・ぶら下がった綱を握りしめたり、4つン這いになったり・・「産みの苦しみ」も大変なのですね、、(汗)
・セク〜ス突入直前の、レオニーの方からヨネに書いてみせた言葉が気になる・・(⌒〜⌒ι)
・“イサム”は父親の命名だった。それまでの名は・・“ヨー(Yosemite)”だってさ。
・ヨネの連れて来た、チャールズ・スタッダードなるおっつぁんは、一体何者だったんやろ? 字幕表現的にかなり“ゲイ気味”だったが、、 ←アレは戸田さんの一存か?(爆笑)
・ポート・アーサーとは「旅順港」のことらしい。行ったことないけど。。
・本作最大の“謎”の答えは・・キャサリンだけが知っていた、と邪推するワタシ。
・劇中のピアノ曲はショパンの「夜想曲第2番」だそうだ。
・1923年当時“世界一高いビル”は、マンハッタンの「シンガービル(160メートル)」だったそうだ(現存せず)。
・母レオニーの“呪縛”が良い方向に働いた(?)イサムだったが・・これで才能が曲がったら、ノーマン・ベイツになってたろうかな。。
・ネイティヴな女の子が“Look at me(見て!)”を「ルカミー」って発音してた☆
・大地康雄が更におネツを上げて指導したら・・イサム・ノグチは「歴史に名を残す宮大工」になってたかも知んない(=^_^=)
・日本にやって来たレオニーは、英語教師とし3人の生徒を受け持つこととなるが・・この3人がそれぞれにイイ感じだった。でも、市川崑監督作だったら、ここで連続殺人とかが起こりそうやな(=^_^=) ←『女王蜂(1978)』かよ!
・当初は医師になるため、勉学に勤しんでたイサム。しかし病理学の講義中に、彼がテキストに書いた(描いた)のは人物の素描。。考えたら、解剖学を極めたことが芸術家としての飛躍的なスキルアップになったんやろね。
・直感的に連想した作品は・・何故だか『ピアノ・レッスン(1993)』だった。って何でやねん!
・ラストに映される“モエレ沼公園”の淡々とした描写が『硫黄島からの手紙(2006)』における(現在の)硫黄島の風景演出を彷彿とさせる。

〜 こんなセリフもありました 〜

レオニー「“魂の奥底”にあるものを取り出し、紙の上に表現すること。
     それは、学校では習えないこと」
    “あなたが居なくとも、私たち母子は生きて行けます”
    「彼は“窓から飛び去って行く鳥”なの・・それっきり逢えないわ」
    「“物の見方が悲観的な人”ね」
    「あなたの芸術は“武器”であり“声”なの」
    「芸術家に国境は存在しない」
    “とても幸せな毎日です。それを声に出して言うのが怖いけど”
    “疲れるのって心地良いわ”
    「私ハ、アナタノ、犬デハナイ」 ←日本語!
    「郵便が届かないのは・・局員のあんたが無知で無能だからよ! さ、和訳して!」
    「今、謝るのは・・“これでもう2度と逢うことはない”と思ったから?」
    「私たちには詩があるわ・・それは永遠に残るでしょう」
    「ここに来たことがある・・ある男に会いに・・30年前」
    “今は物質の世界から遠く離れ、素朴な生活に満足しています”
    「その時は深刻でも、必ず回復するわ
    「彼は去り、あなたは愛した・・それが重要なのよ」
    “今は世俗的な一切を棄て、
     存在の中に美を見出しています。樹のように、石のように・・”

イサム“母さん・・あなたの物語を聞かせて”
   「アメリカに行きたい。僕はアメリカ人でもあるから」
   “ママの声は何処? 僕を忘れたの?”
   「僕の人生は、僕のものだ!」
   “私は・・「母さんの想像力の落とし子」なのですね”

母「ここはとてもイイ所よ。あなたの期待とは違うかも知れないけど」
 「まだ、あの男を待ってるの?」

ヨネ「詩の才能はあれど、家事の才能は皆無でして」
  「僕のこと、少しはお分かり頂けました?」
  「躊躇からは、何も生まれません
  「僕らはもう、仕事を始めているようですね?」
  「君は・・このアメリカでの“僕の声”だ」
  「君がいなければ・・僕は樹の如く、石の如く無言だ。囁くことすら出来ない」
  “レオニー・ギルモアは、私の妻です” ←書き慣れた言葉やろかねぇ、、
  「日本は、君のように美しい・・
   君は僕の“ハクジ(白磁)”だよ・・美しい、真っ白な肌・・ 
   君は僕の国そのものだ」
  「ここは僕の国じゃない。もうここにいる理由はない」
  「ウソだ! 僕を引き止めるためのウソだ!」
  「この国が僕に何を? こんな“差別の国”なんて・・」
  「僕らは運命で結ばれている」
  「私の横を歩くな。日本では、女性は男性の後ろを歩くものだ」
  「日本では、男が2軒の家庭を持つことは、決して珍しくない」 ←こちとら1軒もねぇよ(涙)

スタッダード「才能ある者は、誰もが独占したがる」

キャサリン「私を退屈させないで。私をガッカリさせないでよ」
     「レオニーは“瞳の奥に、計り知れない考えの渦巻いていた人”だったわ。
      あなたと同じように」

大工「ムダな力を入れるなよ。眼を信じちゃダメだ。
   木って奴は・・人間の眼も、耳も、頭も信用しない。
   木は“感じる”だけだ。 ・・女と同じだよ」
  「芸術家になりたいなら、まず“女を知ること”を覚えなきゃな」 ←まだまだで御座ります(焦)

レオニー「あなたは幸せ?」
キャサリン「もちろん。不足のない暮らしよ。
      毎朝9時にゆっくり起き、午後には2度のお茶の時間。
      主人の帰宅を待ち、7時にクラブに出かけるわ。
      10時にベッドで横になり・・こう思うの。
     “素晴らしい牢獄だわ”とね」

追記1:新しいジェルインキ(青色)ボールペンに持ち替え、鑑賞に臨んだ本作だが・・中盤でインクのかすれにより“メモが完全に判読不能となってること”に1夜明けてから気付かされた(×_×) 正直、メーカーを訴えたい気分だが・・確認したら「MADE IN CH*NA」となってた。やっぱりだ(I know it!)! お前ら、やっぱりだ!(=^_^=)
追記2:そんなワケで、ひょっとしたら中盤を確認するため、再鑑賞するかも知んない(・ω・)

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コメント

自ら決断したとはいえ単身渡米するイサムの年齢を考えても
あそこで行かせるレオニーの度胸には、ただただ驚くばかりでしたよ。
自分に迷いがないというのは、観ていて気持ち良かったです^^

巷では第二子に関する謎が(ちょこちょこと)飛び交ってますが
これは実際のところ誰なんでしょうね。
大工の棟梁だったら大笑いです(爆)

日本映画もついにここまで来たな!という思いです。
言われるように、下手なハリウッド映画より断然よかったですから。

ワタシも今年のトップ3に入る作品となってます。
あと、残す作品を見てもこれといってないのが寂しい!(笑)

投稿: ituka | 2010年11月27日 (土) 21時43分

itukaさん、お早うございます。

昨日は朝から出かけており・・疲れてたか、
久々に早めのおねむとなりました。

『ライラの冒険/黄金の羅針盤』を20分遅れでだらだら観始め・・
残り30分ほどは完全に夢の中でした(×_×)

まぁ、思ったほど吸引力なかったかなぁ?

>自ら決断したとはいえ単身渡米するイサムの年齢を考えても
>あそこで行かせるレオニーの度胸には、ただただ驚くばかりでしたよ。

母も頑固なら、息子も頑固でしたし。。
まぁ、10歳で家をしっかりデザイン出来る才能があれば、
大抵のことは出来そうな気はします(?)

>巷では第二子に関する謎が(ちょこちょこと)飛び交ってますが
>これは実際のところ誰なんでしょうね。
>大工の棟梁だったら大笑いです(爆)

にしては・・全く会話シーンがなかったですが・・(=^_^=)

>言われるように、下手なハリウッド映画より断然よかったですから。

次の1作に、断然注目してしまいますね〜

>ワタシも今年のトップ3に入る作品となってます。
>あと、残す作品を見てもこれといってないのが寂しい!(笑)

しょっぱいのん観るぐらいなら、あと1〜2回ほど、
どうですか? 『レオニー』・・(=^_^=)

投稿: TiM3(管理人) | 2010年11月29日 (月) 07時11分

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