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2010年3月23日 (火)

☆“なにわバタフライ(2004)”☆

かっなり久々に、この週末は(大阪に)演劇を観に行く予定となっていた。
脚本・演出:三谷幸喜、主演:戸田恵子の“独り芝居”『なにわバタフライN.V』である。

映画監督としての三谷さんについては、まだまだ「心酔するまでの境地」には達せぬワタシだが、こと舞台劇・・それも“少人数による回想テイストの物語”を書かせたら(←エラそやね・・「書いて頂いたら」・・としとこ(=^_^=))まさに天下一品なのである!

コレまで観て来たのは(DVD版の)『You Are The Top/今宵の君(2002)』、ナマ舞台での『コンフィダント/絆(2007)』『グッドナイト・スリイプタイト(2008)』なのだが(←わずか3作じゃん!)・・『コンフィダント』を(ワタシの中での)(現時点における)頂点とし、ホンマにその才能にはホレボレさせられてしまう。

この『なにわバタフライ』は6年前に初演された、同作のDVD版であり、劇作家=三谷のスゴさをワタシに教えて下すったとあるお方に「予習しとくように!」とお借りしてた・・のをパッケージに手も触れぬまま、月日ばかりが過ぎてしまってたモノだった(×_×)

かつては“アニメ声優”としてしかイメージのわかなかった戸田恵子さんの、女優としての素晴らしさを『You Are The Top』『グッドナイト・スリイプタイト』でガツンと思い知らされてたのはあるも・・上演時間=120分以上の“独り芝居”ってことで「キツいんちゃうんかなぁ?」と先入観でモノを観てしまってたのだ、、反省。

実際のトコ、緊張するでも退屈するでもなく、楽しく鑑賞することの叶った本作。
2日に分けて観たので、ちょこっとまとめときます。

♦18日(木曜)

後半までの約1時間半を観る。物語は「楽屋を模したセット」を中心に展開される。

大阪の大物喜劇女優(実名こそ登場しないが、モデルは明らかに“ミヤコ蝶々”さん)が舞台の終演後、やって来たインタビュアーを相手に語る自身の半生。相手は全く登場せず、どんな人物であるのかは彼女の「表情」「視線」「言葉遣い」などから観客それぞれが想像力でもってヴィジュアルイメージを膨らませるしかない。
当然ながら、相手のセリフもないわけで、戸田さんの“天性の「間(ま)」の感覚”が問われまくるのだ。それは長過ぎてもアカンし、短過ぎるのは無論もってのほかだ。ホンマにスゴいなぁ(・ω・)

彼女を全面的にバックアップしたのが「照明」と「音響」だった。効果音やBGM(マリンバ&パーカッションのナマ演奏)、床面を照らすスポットライトが、ロケーションや相手役の立ち位置なんかを絶妙に表現してくれる。
また小道具が使い回されたり、意外な「別の道具」に変形したりするのはクスッとおかしかった。例えば・・楽屋の壁に掛けられた書軸(?)みたいなのがベリッと剥がされ、帯として巻かれる辺りのナンセンスさはなかなかである☆

以下のようなセリフが印象的だった。

「あんた、優しいなぁ」
「済みません。中間(ちゅうかん)ちぅもんがありませんでした」
「思(おも)たらあん時、総てが決まってしもたような気がするなぁ」
「大きな声で笑ぅとったなぁ・・分かるよ、舞台の上からも」
「離れてると、相手を想う気持ちは余計燃え上がるもんや」
「恋をしてる時の女は強いで」
「けど、巧いこと行くかどうかは、やってみぃひんことには分からへんと思うんです」
「もちろん、ええ話やと思いますよ」
「まさか、そないなことになってるとはなぁ」
「人間、3時間泣いたら頬っぺたがヒリヒリするて初めて知ったわ」
「とうひ(逃避)てアタマの皮のことやなかったんや」
「自分は生まれながらの芸人や。人並みの幸せなんか要らん。芸の道に生きるだけや」
「先輩の皆さんには、良ぅしてもろてますよ。
 別にそんな、イジめとかそんなんはありません。ホンマですって! ・・(間)・・ イジめられてます」
「一生懸命が見えたら、客は笑わんのですか?」
「あんなことしてたらな、いずれバレますって! ・・(間)・・ 嬉しかったけど」
「因みに、何故(なにゆえ)こちらがお分かりに? あぁ、お尾(つ)けになられたんですか」
「お客さんに手ぇ出したらアカンのとちゃいますか?」
「せやけど、人の性格がそう簡単に変わるもんやない、と言うことをその時の私はまだ知らなんだ」
「今のひと言は余計やで。自分の師匠をそないに言うもんやない」
「“この世の中、盗(と)ったもんは必ず盗られる”・・その通りになってもうた」
「や〜めた。考えるのや〜めた」
「新しいもんやらんと、お客さん入らへんねん」
「それはアカンのとちゃいますか!」
「何で、ちゃんと向かい合って話そうとせんのですか!」
「しかし何や、立て膝にタバコふかして・・あんた一晩で態度でかなったなぁ」
「世の中には、今さら水に流せと言われても流せるもんと流せんもんがあるんです」
「ああ言うことなって、あたしみたいな色気ムンムンにぞっこんになるんはしゃあない。そら人間として当然の心理です」
「せやから、そう言う仔犬のような眼で私を見るなぁ!」

♦21日(日曜)

後半の約50分ほどを観る。中盤までの“恋模様”の中では「ひなびた温泉宿での過ち」「略奪愛」など“波乱の半生の片鱗”が女優自身の口から語られたが、後半も「ヒロポン中毒」「旦那の浮気」「浮気相手の女との対峙」など、なかなかの勢いで転がった(⌒〜⌒ι)

ラストではインタビュアーが次第に喰い下がって来るようになり、女優の態度が変わる辺りが見所でもあった。
「・・あんた、誰や?」のひと言がとうとう彼女の口をついて出て来る辺りの緊張感もまた、なかなかだった。

以下のようなセリフが印象的だった。

「(ヒロポン打つと)あらゆる世の中の境目が無ぅなって、楽しいもんの塊みたいに思えて来る。
 (けど切れたら)薬を打つ前よりも気持ちが落ち込んで・・せやから又打つ」
「私にしたら、あんたが頼りや」
「いつかきっと、売れる日が来る」
「芸人に遊びは付きもんや。ムコはんはオモテでモテるぐらいがちょうどええ。私も鼻が高い。
 けど、本気はアカンのとちゃうか? 本気は」
「私には分かる。女のカン、バカにしたらアカンで」
「聞かせて。私の何処がアカンの? 鬱陶しいか? 私とおると。
 こうるさいんか? しんどいんか? 私があんたなしでは生きて行けへんことぐらい、良ぅ分かってるやろ?」
「何か言うてぇな。あんたのクチから聞きたいんや」
「どんな人やろか? 私よりも奇麗な人やろか? 出来たらぶさいくがええなぁ。
 でも、あんまりぶさいくもややなぁ・・そのぶさいくに負けたことになる。ま、適度にぶさいくがええ」 
「言いたいことは言いました。もう悔いはない」
「私の何処がアカンの? “男、甘やかし過ぎる”て、好きになったら誰でもそやないんか?
 ほな“あんた私を棄てないで~”って泣いてしもたら良かったんか? そう言う女が可愛いんか? アホ、出来るか」
「せやから、その顔やめなはれて」
「眼ですがるな!」
「私はなぁ、あんたの笑(わろ)た顔が好きなんや」
「あんたもな、漫才師やったら、別れる時ぐらい明るせぇ。本気でこれで最後と思とんのやったら、
 それこそ最高の笑顔で私を見送らなアカンやろ? ほたら私も最高の笑顔返したるわ」
「しんみりはキライやねん」
「おおきに。ま、こんなところ、エエ感じでまとめてちょうだい。変に持ち上げんでええで。
 ちゅたかて、悪ぅ書いてもろても困る。ありのままでええねや」
「女はな、何をするにも理由(わけ)が要る。成功するにしろ失敗するにしろ、喜ぶにしろ悲しむにしろ、
 何をする時もまず理由を探す。それがな、傷付いた時に痛みを和らげるたった1つの方法やからや。
 そやから、どんな時もまず言い訳を探す」
「男運はない。けど、それを総て“芸の肥やし”にして此処までやって来た。私には仕事が総てや。女である前に」
「芸人やめよ、思たことなんて今の今までいっぺんもない。当たり前や、他に何が出来る言うんや。
 この世界でやってくしかないやろ?」
「ほな訊くけど、みんな“ホンマは何がやりたかったか”なんか分かってんのか? 分かって皆さん生きてはるんか?」

♦特典ディスクのこと

・三谷氏曰く「“独り芝居”と言うのは、書くのは楽だが、観る方は面白くない」「(淡々と進行する芝居に対し)観客の集中の続くのは10分が限界」「これまでの“独り芝居”は、重く終わる場合が多い。僕は“楽しく晴れやかに終わる”ものをやりたい」「(ミヤコ蝶々さんの自伝を読み)その“見事な人情コメディの人生”をドラマに、と考えた」
・戸田さん曰く「“見えない登場人物”が見えて来るのを期待している」
・スタイルとしては、まず「標準語」で脚本を書き、それを生瀬勝久氏の監修で大阪弁(?)に“変換”していったそうである。
・戸田さんのリハーサル風景では、相手役を生瀬さんが務め“実際のセリフのやりとり”をしていた。これにより彼女はアタマの中のイメージをより具体化させたり、間(ま)を掴んだりしたのだろう。ワタシとしては、セリフのみの出演でイイから“生瀬参加ヴァージョン”もゼヒ観たかった!
・戸田さんに対する配慮もあってか、三谷氏の「(リハ中でも)“煮詰まった感”ってのは絶えずありますので、なるべく稽古場には多く人を集めるようにしてます。出来るだけ(僕と彼女の)2人きりにならないように」なるコメントが印象深かった。

追記1:大阪府箕面市には「ミヤコ蝶々記念館」があるそうだ。知らんかった(×_×)
追記2:大阪市天王寺区の「大善寺」には蝶々さんのお墓があるそうだ。

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