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2010年2月24日 (水)

☆『アパートの鍵貸します(1960)』☆

23日(火曜)の夜。今夜も、衛星第2ではビリー・ワイルダー監督の『アパートの鍵貸します』が放送されるってことで、コレはもうとっとと帰宅するしかなかった(・ω・)

そもそもは・・職場で知り合った、とある人物がスラスラと挙げてた作品群の中の1本でもあった本作。ようやく、その鑑賞の機を得た次第だ(⌒〜⌒ι)

因みに、その人物の挙げてた作品群って言うと・・『シー・オヴ・ラヴ(1989)』『ジャック・サマースビー(1993)』『恋におちて(1984)』・・そしてこの『アパートの鍵貸します』などだった(・・ように記憶している)。当時から「好きなシネマを心に持ってて、それがスラスラと言えるのんってエエな〜」と感心もし、憧れたモノである。

ワタシなど、雑食的に色々観過ぎてるが故に、なかなか(思い切って)絞れなかったり、絞った結果、余りに(挙げる)作品群が“ベタ化”したりもし、情けなくなることが多いもんで。。

1959年11月のニューヨーク。巨大ビルに丸ごと居を構える、大手総合保険会社に勤めるC.C.バクスター=愛称:バド(ジャック・レモン)は上司に“ヘボ社員”と陰で呼ばれつつ・・その実、自身の住むアパート(西67丁目51の2階A号室)を4人の課長の“逢い引きの場”に提供するしたたかな一面も持っていた。

4人の課長=カークビィ、ドビッシュ、アイケルバーガー、ヴァンダーホフを“お得意様”とし、部屋の鍵を提供。“自室が静かになる”午後8時まではサービス残業をしたり、アパートの周囲で(寒さに震えながら)時間を潰したり。
上司が口にする「君の昇進は近いぞ」の言葉を信じ、せっせとデスクの電話で(勤務中に)先々の(自室の)予約を調整するバド。

そんな“孤独な彼”にも憧れの女性がいた。それは毎朝の出勤時に出会う、エレベーターガール=フラン・キューベリック嬢(シャーリー・マクレーン)である。

ある日、総務のジェフ・シェルドレーク部長に呼び出されたバド。
「全社員(←3万1259人もいるそうだが、、)の事情に精通している」と自負する彼には“鍵のやりくりの件”も既にお見通しだった。慌てて「もう鍵を貸すのはやめます!」と約束するバドだが・・部長は「君と私だけの秘密で、優先的に鍵を貸して貰えんか?」と提案する。

代わりに人気ミュージカル“ミュージック・マン”の切符を2枚手渡されたバドは、早速それを武器に(?)キューベリックにデートを申し込む。
「その夜は(デートの)先約があるの」と言う彼女だが、それが終わり次第“マジェスティック劇場”の前に行くわ、と答えるのだった。

だが・・劇場前で待ち続けたバドの前に、とうとう彼女は現れなかった。

不意にぼんやりと、彼の中で「キューベリックと付き合ってるのが“5人の顧客の内の誰か”なのではないか?」なる疑念が沸き上がる。
果たしてそれは誰なのか? そして彼の(彼女への)想いの報われる日はやって来るのか?

(アルフレッド・ヒッチコック監督の『サイコ(1960)』同様に)1960年の作品にして「モノクロ作品」ってのが、妙に印象深い。当時となれば「カラー作品」を撮ることの方が自然であり、主流ともなって来てた(?)ハズで・・これはもう“大御所=ワイルダーのこだわり”と評するしかないのではなかろうか?

劇中でキスを迫られるシャーリー・マクレーンが「口紅が付くわ」とかわす(?)シーンがあるが、あそこも「モノクロ」なので、観客自身が想像力で(映像に着色し描写を)補わないと、ちっともドキドキしないんじゃなかろうか?(⌒〜⌒ι)

私的には「コンパクト」や「シャンペン」など小道具の“フリ”がとにかく巧くて、正直「コレはスゴいや!」と唸らされた。
コンパクトはまだしも中盤だが、(ピストルの会話ネタの一件が)シャンペンに繋がるのは・・かな〜り終盤なので、結構“ジラされる”感がなくもない(=^_^=)

ジャック・レモン演じる主人公が、とにかく「周囲に誤解されっぱなし」であり、情けなくも歯がゆくもなるキャラをしっかりと確立してくれていた。同性としても心から同情したくなるが・・実のトコロ「自分で蒔いたタネ」が一因でもあり、その辺も「易々と観客に感情移入させない」作り手側の「ニヤリぶり」が伝わって来るようだ(=^_^=)

悲しいけど重くはなく、面白おかしいけど“紛うことなくオトナ向け”なビターな味わいが独特な本作。

ワタシとしては、中盤から後半にかけ「ちょいとダラダラしてるなぁ」なる印象があり、更に10分程度ダイエットさせつつ、研ぎ澄ませてくれたら、もっと評価も上がってた気がする・・

日本で(何度)舞台化されたのか(されてないのか)、良く分かんないが・・この世界を植木等主演にして(当時の)邦画で再現してくれてたりしたら・・コレはもう、結構大ヒットしたような気もする(=^_^=) 課長のうち2人には、ハナ肇&谷啓をキャスティングして、ね(=^_^=)

〜こんなトコも 〜

♦バドが何度か放つ「僕、マヌケじゃない?」のセリフが、後でグッと効いて来ますなぁ。
♦いつかは言ってみたい(=^_^=)バドのセリフ。「君が大好きだったが・・もう終わった。出てってくれ」
♦劇中、TVで名画が放送されてたが・・それは『グランド・ホテル(1932)』だった。
♦ドビッシュ課長のセリフ「モンロー級の女だ」が面白い(=^_^=) ワイルダー監督の『お熱いのがお好き(1959)』ではジャック・レモンが“その”マリリン・モンローと実際に共演してるし!
♦フランは「ダイキリ」を、マクドゥーガル夫人は「ラム・コリンズ」を飲んでいた。
♦(当時の?)保険業界では「良く交通事故に遭う契約者」のことを「不良契約者」と言ったそうである(・ω・)

〜 こんなセリフもありました 〜

バド“僕の月85ドルのアパートには、事情が”
  「当店は“年中無休”ですとも」
  「調整して連絡を・・」
  「今夜、3人でデートしないか? 僕と君と・・この帽子君でさ」
  「家族はいないが、家は無人じゃなくてね」
  「恋人はいるが、僕のじゃない」
  「手紙はやめといた方がいいな。綴り(スペル)を間違えるだろうし、
   それに、後で自己嫌悪に陥るに決まってる」
  「何処へ? さぁ・・まず、ここ部屋を出るのが先決でしてね」
  「聞こえたかい? ・・心から君を愛してる」

フラン「盲腸の手術のことは内緒にして。あなたが(手術跡を)見たと思われちゃうわ」
   「思い出すと、(愛の時間の)総てが汚らしく見えて来るのよ」
   「私は離婚なんか頼んでないわ。でも・・本気なの?」
   「バカみたいね。妻子ある男性との恋に、マスカラは禁物なのに」
   「頭にガムの塊が詰まったみたいだわ」
   「人は何故、人を愛するの?」
   「利用する人とされる人・・後者はとことん損ばかりよ」
   「ポンプを使って、頭から“イヤな記憶”を吸い出したいわ」

フラン「どうしたらイイの?」
バド「勝つことさ」

フラン「あなたに恋をすれば良かったわ」
バド「そんなものさ、世の中なんて」

バド「独りは気楽さ」
フラン「偶然ね。私もよ」

彼氏「毎朝のエレベータが耐えられない。よそよそしいあの挨拶・・こんなにも君を愛してるのに」
  「クビにした秘書の密告で妻が私をクビに・・とんだ解決だよ」
  「食堂やトイレも、重役用のを使いたまえ」
  「自分が大事じゃないのか? ここ27階まで昇るのには何年もかかるが。失墜はほんの30秒だぞ?」
  「ヤツめ・・“相手が君だとなおさら断る”だと言い放ってね」

課長「ワーゲン(ビートル)のドライヴは、カラダに堪えるのだ」

オルセン「イイこと? 最後に泣きを見るのは、いつも女なのよ」

バド「どうしました先生? 急患ですか?」
ドレイファス「サンドイッチの楊枝を抜かずに喰ったヤツがいてね」

バド「僕は何を?」
ドレイファス「コーヒーを入れて・・祈れ」

バド「医師より隣人として考えて欲しい」
ドレイファス「隣人だとしても・・今の君なら、迷わず蹴飛ばすさ」

ドレイファス「殴られたのは気の毒だが、自業自得だな。明日にはアザになるぞ」
バド「こんなの大丈夫。少しも痛くない」

ドビッシュ「酒もクラッカーも要らん。鍵さえあれば構わんさ」

ドレイファス「窓を開けて、空気を」
      「歩け! 眠ってはいかん、数時間は」
      「患者より、医師が疲れるよ」
      「メンシュ(=人間)になれ!」

バド「借りた皿は洗って返すよ」
隣人「(洗うと)きっと割るだろうから、取りに来るわ」

バド「鏡が割れてる・・」
フラン「そうよ。私の今の気持ちを映してるの」

追記:“ビリー・ワイルダー語録”とし、こんな言葉が遺されてるそうだ。

  「監督とは・・警官であり、助産婦であり、精神分析医であり・・
   そして何よりもまず、ロクデナシでなければならない」

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