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2009年10月11日 (日)

☆『ヴィヨンの妻/桜桃とタンポポ』☆

10日(土曜)。
昨日までの出張(愛媛県宇和島市)の疲れからか、結構酔って帰宅したからか・・すっかり“寝だめ”してしまった今朝。
「朝早くから、遠出ドライヴするど〜!」と言う(当初の)計画も気持ちも、何だかくじかれてしまい(⌒〜⌒ι) ただノロノロと家事をこなした午前中(←自業自得、、)。

正午も過ぎ、ようやく「出かけとかないと休みが勿体ないし!」と思い付き、月並であるが“ワーナー・マイカル・シネマズ綾川”に、観たいと思ってた新作邦画『ヴィヨンの妻/桜桃とタンポポ』を鑑賞しに向かった☆

“太宰治・生誕100周年記念作(?)”でもある本作。太宰原作の小説『ヴィヨンの妻』を下敷きに、彼自身をそのまま投影したような“ダメ男+死にたがってる”小説家と、その献身的な妻の物語が、静かに紡がれる。

昭和21年12月、東京。

スランプ気味でスキャンダルにまみれた30歳の作家=大谷穣治(おおたにじょうじ:浅野忠信)と、そんな夫に振り回されながらも“夫婦なる、運命共同体な関係”に懸命に向き合おうとする26歳の妻=佐知(さち:松たか子)。

彼ら2人に、大谷の愛人=秋子(広末涼子)、かつて佐知の慕った銀座の弁護士=辻(堤真一)、佐知を慕う三鷹の青年旋盤工=岡田(妻夫木聡)らの人々が絡み、運命はいびつな方向に転がり、回り始める。
さながら鉄の滑車のように、時に軋みながら・・

ザラッと辿るだけなら、実にあっさりとした「観易い作品」と言える。が、組立がシンプルなだけに、小説で言う“行間”に対し色々と思考を巡らさないと、表面をなぞるだけの鑑賞となってしまうので、油断出来ない1作とは言えようか。

「ヴィヨンって誰じゃ〜い?」と思ったら、中世フランスの詩人=フランソワ・ヴィヨンのことらしい。ウィキでザラッと辿ると「優れた詩人ではあるも、放浪癖があり、ならず者でもあった」なる人物で、大谷と言う作家をこの詩人になぞらえてるのかも知れない。

主演であり、ストーリーを牽引するのは佐知役の松さん。だが、ヒロインとし光彩を放っていたのは、秋子役の広末さんこそだった!
『おくりびと(2008)』はまぁまぁだったが、それ以降『GOEMON』、本作、そして公開の迫る『ゼロの焦点』・・となかなかの活躍ぶりだ!
私的には『おくりびと』以降の彼女を“新生・広末涼子”と呼んだげたい(=^_^=)

広末さんが珍しいヘアスタイル&賢そうな眼鏡ルック&体当たりっぽい“濡れ場”に(果敢に)チャレンジしてるものだから、それなりに頑張っている松たか子さんの立ち位置がどうにも後退しちゃってた感は否めない。
それっぽいシーン(演出)を(劇中に)少なくとも2ヶ所は描き得たハズなので、そこは「演出が下手」と言おうか、松さんの“体当たりのなさ”をやや残念に思う、男性観客としては・・(⌒〜⌒ι)

ちょっとびっくりしたのは“老けメイク”の際立ってた室井滋さん、、浅野氏とのベッドシーンを想像すると・・どうもイケません(×_×)

「とある夫婦の、とある期間のできごと」を描いたハナシでもあり、正直ワタシはラストシーンを観て「で、これからどうなって行くのよ?」とそこが気になってもしまった。
太宰自身の人生を考えるに・・大谷はこの先も「心中行為」に魅入られ続けて行くように直感するんだが、、

映像的には、オープニング&ラストにモノクロ描写の展開されるのが、結構な味わいがあって良かった☆

ワタシなどは「夫婦」と言う関係が(未だ)客観的にしか分からないンだが、ちょっとただれた風な(←こらこら)ご夫婦がご覧になれば、それはそれで何かの(再構築の)ヒントを得られるのではなかろうか。

〜 こんなことも感じたり 〜

・「ダメな男ほどエロい」ってのは間違いなさそうな気がする(=^_^=)
・岡田くんの歩いた国分寺⇒三鷹間は約10キロの距離らしい(×_×)
・大谷夫婦には子供が1人いるんだが、殆ど「かすがい」になってなかったような。。
・大谷&秋子。旅行もし、食事もし、性の契りも交わしている。ちと大谷&佐知のシーン群に比べ、描写の過ぎてた気も。
・「銀座日貿ビルヂング」に入る寸前に唇に紅を引き、出て来るや紅を乱暴に拭っていた佐知。それはつまり・・そう言うことだったんだろう。
・戦後っぽい看板類がリアルだった。「栄養食配給所」「民間金属類特別回収」など。
・今で言うJR中央線だろうか? 「吉祥寺」「三鷹」「武蔵小金井」「国分寺」などの駅が登場していた。
・群馬県の「谷川温泉」「水上警察署」が劇中に登場。
・“小料理・椿屋”のある中野区打越町。活気ある町並みですた。
・実は結構弱ってたかも知れない大谷。“フリ”はあるんだが、その後“オチ”には繋がってなかった(・ω・)
・劇中で義太夫(?)を歌う(=語る)浅野さん。結構流暢なのでびっくりした!

〜 こんなセリフもありました 〜

母「(卒塔婆に取付けられた)鉄の輪をぐるぐる回し、それが止まってから少しでも逆に回ったら・・その人は地獄に堕ちる」

大谷「坊やはどうです?」
  「何故、僕にカネがあると思うんです?」
  「まぁ、そう言うことになるかな」
  「家では仕事が出来ないんです・・ヒモだからね」
  「ほらほら、そうやって泣いてみせる所が、女郎みたいだ」
  「女には幸福も不幸もないものです。男には不幸だけがある・・いつも恐怖と戦ってばかりいる」
  「あの人たちは・・バカなんですよ」
  「死にたくてしょうがないんです」
  「恐ろしいのは・・この世の何処かに神がいるってことなんです」
  「男女の道は、遠くて近い」
  「こんなに弱ってるとは・・僕はもう終わりだな」
  「グラグラするほど酔わないと、恥ずかしくて他人(ひと)と話が出来ないんだ」
  「梅雨はイヤだね・・誰かに“死ね”と言われてるようで」
  「僕は、どうしても死ねないんだ」
  「何だか、生きられるような気がする」

椿屋「先生・・すっかり一人前の悪党だな!」
  「魔物が初めて現れる時は・・あんなにもひっそりとした、初々しい姿をしているものなのか」
  「見込まれてしまった」
  「お金ってのは、自分の手で握ってみないうちはアテにならないものなんですよ」
  「色も出来、借金も出来ちまった」

佐知「名馬も、牝馬は半値だそうです」
  「大谷の小説なんか・・何処がいいのかしらね」
  「“タンポポの花一輪の誠実さ”を、あの人、持っているのかしら」
  「死ぬってどう言うことなんだろう?」
  「人非人でもいいじゃないですか。私たちは生きていさえすればいいのよ」

秋子「あたしは“冷や(酒)”に決まってるのさ。覚えときな」
  「また死にたくなった?」
  「楽しいわ・・こうやって死んで行くのも美しいものね」
  「これで死ねるなら、随分簡単ね」
  「大谷さん・・逃げるの?」

岡田「僕が間違ってました」

大谷「信じたいんだよ、君を」
佐知「何処まで疑うんですか・・」

佐知「私の知らないことがいっぱいあるのね」
大谷「あなたの知らない僕の部分なんて・・つまらない、どうでもいいことです」
佐知「私、自惚れてました・・あなたに愛されてるって。
   ・・何処に愛があるんでしょうか?」

大谷「何をして来た?」
佐知「・・人に言えないことを」
大谷「そうですか・・やっぱり“コキュ”に成り下がった」

椿屋「出版社の方は“他人に書けないものを書く作家”だと」
大谷「それは、けなしているんです」

大谷「誰か“いい人”がないものかねぇ」
秋子「あたし、いいよ」
大谷「付き合って呉れますか?」
秋子「いいわよ」

追記1:事件現場に残されたままの“証拠品A”・・ちゃんと回収しとかないと!
追記2:大谷の言ってた“コキュ”はフランス語の“COCU=寝取られ男”の意だそうだ。
追記3:ブッキー(妻夫木)が椿屋で注文したのは「すじこ」だった。

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コメント

あなたの感想は気持ちが悪い。
松たか子より、広末が光っていたなんて、
そんな感想は広末オタク以外からは聞いたことがない。

投稿: | 2009年10月30日 (金) 18時57分

? さん、初めまして? かな?

>あなたの感想は気持ちが悪い。

そうですかね、、まぁ私的な感想ですから、何卒ご容赦を(=^_^=)

>松たか子より、広末が光っていたなんて、
>そんな感想は広末オタク以外からは聞いたことがない。

『おくりびと』よりはかなり良かったんですよ。
でも今後『ゼロの焦点』の広末さんについて、或いは苦言を呈すかも知れません。

ワタシは広末オタクではないですので、悪しからず!
(ってムキになると、余計怪しいかも知れませんね(=^_^=))

投稿: TiM3(管理人) | 2009年10月30日 (金) 22時49分

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