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2009年1月23日 (金)

☆『美しい人(2005)』☆

22日(木曜)の夜。
衛星第2で放送された『美しい人』を観た。

本作に関しては、作品自体に対する予備知識が殆どなく、新聞には「出演:ロビン・ライト・ペン」と書いてたので「きっとマイナーなつまんない1作なんだろ」と勝手に決め打ってしまってたが・・その後、調べて(←結局、気になったんやね(=^_^=))知ったのが、

・『彼女を見ればわかること(2000)』路線の作品らしい。
・監督も『彼女を〜』と同じ、ロドリゴ・ガルシア(←ノーベル賞作家ガルシア・マルケスの息子さんだそうだ!)。
・複数の短編で構成されたオムニバス形式をとっている。

ってことで、俄然興味が湧いて来て、放送の開始された午後9時には、きっちりとTVの前に座してたワタシ(=^_^=)

9人のヒロインが、9つの短いエピソードの中で「人生の一瞬」を垣間見せる。
「何かの起こる、その時」「何かの起こった、その直後」「何かが起こりそうでいて、何も起こらなかった時」など、それぞれに演出過剰とならない程度の「女たちの転機(心の動き)」が描かれる。
彼女らの置かれた人間関係は、夫婦であったり、親子であったり、恋人であったり、不貞なそれであったり・・

骨太な展開は殆どなく(←あるエピソードのみ終盤で“拳銃”が登場するが(×_×))、1つのエピソードがぷっつりと終わった際には「えっ? 今のんで終わり?」と(身構えてたココロに)肩すかしを食らっちゃったようなハナシもあったりした。
いずれも女性が主人公であることから、きっと“想像力を働かせ、五感でストーリーを辿ることの出来る女性(観客)向けに、描き過ぎることを敢えて避けたんだろう”と考えたワタシ。

恐らく、男性の視点からすれば、オチに“爆発炎上!”“主人公は実は死んでた!”“全ては主人公の夢”“クリスタルスカルはチャチな小道具だった!”みたいなノリが控えてないと、ある種「納得出来ません」的なトコがあるんだろうが(←アホかい!)女性はきっとそう言う「作ってます」「仕込んでます」「引っ張ってます」的なオチを決して求めてる訳ではないんだろう。

原題の「Nine Lives」は直訳すると「9つの人生」となる。『9人の女たち』などと訳してしまうと“まんまオゾン監督風”となっちゃうので、まぁ『美しい人』で良かったんだろう。
9人(の女優)みんなが美しいかぁ? と言うとそうとも思えなかったワタシだが・・それは恐らくヒロインたちの「容貌&容姿」をのみ表現したモノではなかったんだろうな、と。

それにしても、長回しを多用する“静かながら、緊迫感溢れる”世界観はなかなかにスゴかった! 気の遠くなるようなNGテイクの山が、(どのエピソードにも)恐らくは築かれたことだろう(・ω・)

〜 エピソード名、粗筋、印象的なセリフなど 〜

【サンドラ】
ロスの某刑務所に服役しているサンドラは37歳。“清掃班”で熱心に働き、模範囚を目指す彼女だが、看守からは“密告”をそそのかされ、1ヵ月毎の待ち遠しかった面会では、受話器が壊れ、(壁越しの)娘との会話が途切れてしまう・・

サンドラ「どう助けてくれると? 私が告げ口してリンチに遭うのを?」
    「私に助言出来る立場かしら? 何よあんた、その歳で恥も知らないで服役なんかして!」

【ダイアナ】
小さなスーパー。カートを押し、買い物をするダイアナ(ロビン・ライト・ペン)の前に、元カレのダミアン(ジェイソン・アイザックス)が現れる。2人は現在、それぞれに配偶者を持ち、ダイアナは8月に出産を控えた身重の躯である。
当たり障りない会話の末、ダミアンに「今も君を想っている」と告げられたダイアナは・・

ダイアナ「(電話)番号は変わってないわ」
    「私たち一体何なの? まるで恋人同士みたい」
    「5分間、一緒にいただけで(別れてから)今までの人生が幻に思える・・あなたと居ると飲み込まれそう」
    「いきなり現れて“今も君を想ってる”だなんて・・ふざけないでよ!」 

【ホリー】
父との確執を清算するため、ホリーは実家に戻る。妹を通じ父を(オフィスから)呼び出して貰う彼女だが、父が帰宅するまでの10分間、庭に出て、(幼き頃の)記憶をよみがえらせたホリーの中で、感情が混沌とし始める・・

ホリー「この家、時間が止まったみたい」
   「ここはまるで墓場ね」
   「ボーイフレンドはいるの? じゃ、ガールフレンドは? 最近は、何が愛に化けるか知れないわ」

【ソニア】
ソニア(ホリー・ハンター)&マーティンの2人(スミス夫妻)は、友人のダミアン(ストーン夫妻)を訪ねる。2組の夫婦が会話を展開させる中で、マーティンは妻との間のとある「事情」を話し始める・・

ソニア「“彼らは彼ら、俺たちは俺たち”・・それってイイ響きね」
   「時々、本当に意地悪ね、あなた」
   「“とめどない時の流れ”に乾杯しましょう」

マーティン「最後は“正しい選択”をしたが、あの時はだらしなかった」

【サマンサ】
サマンサの家では、パパが重い障害を負って以来、パパとママの間には直接的な対話がなくなり、娘である彼女が2人の間を往復し、その関係を辛うじて繋いでいた。
パパもママも、そんなサマンサに「自由に羽ばたきなさい」と“奇しくも同じようなアドバイス”を送るのだが・・

パパ「別れ方は大事な問題だ」
  「お前はわが家の宝だ」
  「お前の触れるものは、全て黄金に変わる」

ママ「あなたはわが家のかすがいよ・・大空に羽ばたいて」
  「“人生はこれから”と思ってるかも知れないけれど、それは“今この瞬間”だけのことよ」
  「“いつか”は明日じゃないわ・・今日なのよ」
  「あなたが子供の頃、パパとママは競ってあなたの寝顔を見に階段を上がったものよ」

【ローナ】
ローナとその両親は、自殺した友人の葬儀に参列する。厳かな式の中、ローナの姿を認めた(友人の夫である)アンドリュー(ウィリアム・フィックナー)は彼女の姿に釘付けとなる。実は、アンドリューはローナの元夫でもあったのだ。
高ぶる想いを抑え切れず、彼はローナの手を引き、別室へと連れ込んでしまう・・

ローナ「人間をひと言じゃ表せないわ」
   「女は自殺なんかしないものよ」

父「女の中には宇宙が広がっているのさ」

友人「人生は秒針と同じ、こうやっていつまでも続くのよ」

ローナ「世界なんて狭いものね」
友人「人が狭くするのよ、過去を引き摺るから」

アンドリュー“君が忘れられない、君を想って自分を慰めてる” ←手話で話してられました。

【ルース】
モーテルの一室。ルース(シシー・スペイセク)と(その娘サマンサの教師である)スタントンは、背徳の一夜を過ごそうとしていた。しかし、スタントンがアルコールを買いに出かけた直後、窓の外で繰り広げられた光景が、彼女の心に“とある変化”をもたらすのだった・・

スタントン「総てがつながって存在してることを教えてくれるのが・・あの月さ」
     「明日は笑い飛ばせるといいが・・笑えないと、後悔しか残らない。それはこの世で最も醜い感情だ」
     「動物の一生は我々には想像でしか分からないさ」
     「ライオンがシマウマを眺めてる(TV)映像、あのシマウマは1年以上も前に別撮りされたものさ」
     「幻ほど、現実的なものはないさ」
     「ここにいない友に、乾杯」

ルース「キスが巧いのね」
スタントン「それを以前にも言われたことが・・」
ルース「あら? 誰にかしら?」
スタントン「移民局の係官にさ」

管理人「運に恵まれた人と見放された人がいるのよ」
   「みんな、責任は自分で取らないとね」

【カミール】
カミールは乳ガンの手術を控え、ナーバスになっていた。付き添う夫リチャードにもことあるごとにかみ付いてしまう彼女。やがて手術の時間が迫って来た・・

カミール「子供の頃に見たママの裸、きれいだった・・私は、乳房のない醜い姿となるのね」
    「眠らされるの、怖いわ」
    「人間なんて所詮・・夢と骨だけの存在よ、無なんだわ」
    「何故、いつもあなたには“説明”が必要なのよ・・仕方ないわね、元は他人ですもの」
    「他人(医師と看護師)の言いなりなんていやよ」
    「私たち・・しがみついて放して、またしがみついて・・」

看護師のホリー「指環をご主人に預けて」

リチャード「僕らは永遠にずっと一緒だ」 ←愛妻の耳元で囁く、このひと言がいい! 彼女は麻酔で既に眠ってたけど、、

【マギー】
マギー(グレン・クローズ)は娘マリア(ダコタ・ファニング)を連れ、1年に1度の墓参りをする。墓碑の前でシートを広げ、ピクニックをする2人。幸せな時間が過ぎて行くが・・感極まったのか、突然にマギーは娘の前で嗚咽し始めてしまう・・

マリア「墓参りの人、少ないわね」
マギー「昔来てた人も・・殆どが死んでしまったからね」

マリア「猫には9つの命があるの?」
マギー「いいえ、1つよ」

マギー「時は流れるの、みんな大きな重荷と一緒に流れて行ったわ」
マリア「重荷って?」
マギー「人生につきものの“沢山の苦しみ”のことよ」

マリア「樹に登ると・・ママより背が高くなって、大人になった感じよ」

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コメント

こんにちは。
これは公開時に見送ってしまっていて、今回も不覚にも、録画もしていなかったのに鑑賞も最後の一章の半分だけと言う実に情けない“ぬるい”自分を再確認してしまいました。
しかし、最後の章での、あの幕引き感がこの作品世界を物語っていたのかなぁと、今読ませて頂いて感じております。
結構個性の強い女優さんが名を連ねてらっしゃいますね。最後の章なんて、グレンさんもダコタちゃんも、ややもするとサイコサスペンス的世界に陥りそうな二大顔ぶれですものね。
ロビン・ライト・ペンさんはアクはないですけど結構好きです。

不甲斐ない忸怩たる思いを消去すべく、なるべく早くツ○○さんでお世話になりたいと思います。

投稿: ぺろんぱ | 2009年1月25日 (日) 15時34分

ぺろんぱ様が観たはれへんのに、わざわざ言うの恐縮ですが、劇場公開時観に行きました。ロドリゴ・ガルシアに興味あったのと、女優的には”エイミー・ブレネマン”が結構好きで・・。

おっしゃるように、「それで終わりかいっ!」てのありました、ありました。(父親との幼い頃のトラウマをもったホリーの章は男の人でなくても「・・・」となる気ィが)

カミールの章とマギーの章にウゥッときた記憶あります。

それと、”シシー・スペイセク”もすごいけど”エイダン・クイン”がえっらい老けたなぁと感じた記憶も・・。

どっちゃにせよ今回録画したのをそのうち(録画ビデオどんどん溜まっていてどうしても一度観たのは後回しになる)改めて観て自分の心の変化ありか確認しようと思とります。

投稿: ビイルネン | 2009年1月25日 (日) 17時56分

ぺろんぱさん、ばんはです。

行きたい映画も、録画したままの映画も、溜まってます(×_×)

>これは公開時に見送ってしまっていて、今回も不覚にも、
>録画もしていなかったのに鑑賞も最後の一章の半分だけ
>と言う実に情けない“ぬるい”自分を再確認してしまいました。

9つも必要だったのか? と言う直感的な印象はありましたね。

何人かのキャラが複数のエピソードで繋がってるんですが、
もっと奇想天外な繋ぎ方が欲しかったかも、と個人的には(=^_^=)

>最後の章での、あの幕引き感がこの作品世界を物語って
>いたのかなぁと、今読ませて頂いて感じております。

静かな流れでしたよ。
20分もないようなストーリーの中に、何となく「生涯の記憶に残る瞬間」を描き切ってる感もありました。

>最後の章なんて、グレンさんもダコタちゃんも、
>ややもするとサイコサスペンス的世界に陥りそうな
>二大顔ぶれですものね。

パパ役を必要としたとすれば、やっぱりデ・ニーロさんが適役だったでしょうか(=^_^=)

>ロビン・ライト・ペンさんはアクはないですけど結構好きです。

ロケーションが地方のスーパーの店内に過ぎないんですが、存在感はありました。
物語がしばらくしてから「実は妊婦さんである」ことを観客に気付かせるカメラワークも好感が持てました。
(ちょっとカメラが「後退」するんですよね)

元カレとのあの出会いが胎教に悪影響を及ぼさなければいいのですが、、

>不甲斐ない忸怩たる思いを消去すべく、
>なるべく早くツ○○さんでお世話になりたいと思います。

女性の感想が聞きたいですね。
前作とも併せ、ご覧頂けたら幸いです。

投稿: TiM3(管理人) | 2009年1月26日 (月) 00時33分

ビイルネンさん、ばんはです。

>劇場公開時観に行きました。ロドリゴ・ガルシアに興味あったのと、
>女優的には”エイミー・ブレネマン”が結構好きで・・。

公開時にチェックされたんですね。すごい!
本作ではローナ役でしたか・・
私的にはウィリアム・フィックナーさんの出演が光ってたな、と。
ちとクリストファー・ウォーケンな雰囲気があって、好きなんですよ(=^_^=)

>おっしゃるように、「それで終わりかいっ!」てのありました、ありました。
>(父親との幼い頃のトラウマをもったホリーの章は男の人でなくても「・・・」となる気ィが)

冒頭の【サンドラ】からして、消化不良な感がありました、、

>カミールの章とマギーの章にウゥッときた記憶あります。

カミールの旦那さんが可哀想でした。将来の俺もあんなかしら(=^_^=)

>それと、”シシー・スペイセク”もすごいけど
>”エイダン・クイン”がえっらい老けたなぁと感じた記憶も・・。

彼のおどけた「戻り姿」が一層悲しかったですね・・

>どっちゃにせよ今回録画したのをそのうち
>(録画ビデオどんどん溜まっていてどうしても
>一度観たのは後回しになる)
>改めて観て自分の心の変化ありか確認しようと思とります。

女性であれば、その時々で感情移入する対象のエピソードが変わって行くんでしょうね。

投稿: TiM3(管理人) | 2009年1月26日 (月) 00時44分

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