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2009年1月 3日 (土)

☆『どですかでん(1970)』☆

さる11月15日(土曜)の夜、衛星第2で放送されたもの。録画後、すっかり“HDレコーダーのコヤシ状態”となってたが、これまで拙ブログで、幾度も「失敗作とされる」「駄作らしい」と“観もせず決め打ってしまってた感”があり、そこを反省しつつ、頑張って(=^_^=)観てみることとした。

が・・“抑揚に乏しき展開”“魅力なき登場人物群”などに阻まれ、結局は元日を挟み2回(=2夜)に分け鑑賞する憂き目に遭ってしまった本作(×_×)
んで、2日(金曜)夜に完全に観終えた次第☆

何だかね・・鑑賞にあたって体力&精神力の求められる作品だったッスね。。

山本周五郎の小説『季節のない街』を原作とした黒澤明監督、初のカラー作品。
“夕焼けの似合う”とあるくたびれた、スクラップに囲まれた街。ここには何処かエキセントリックな人々が集まって暮らしている。「過去にワケアリな住民」「現在にワケアリな住民」「未来にワケアリとなるであろう住民」・・
そんな彼らが、どん底のような暮しの中で、悲しくも逞しく生きてゆく・・そんな物語。

全篇に漂う「妙な郷愁感」が、作品世界の奇妙な色彩(←ある意味、狂ってる!)と相まって、妙な気分に誘(いざな)ってくれる(⌒〜⌒ι)
ときに、ウィキペディアでは「上映時間:126分」と記載されてるが、実際に観た感じ「2時間20分」ほどあったのではないか? “完全版”や“劇場版”なんかの区別があるんやろか?(・ω・)

幾つかのエピソードが断片的に、交互に描かれる展開(時間軸置換はなし)。
紛うことなき「群像劇」であり、観ようによっては同監督の『どん底(1957)』を、舞台を現代に置き換え、散漫にし、狂気性を高めた進化系(?)と解釈出来なくもないか?

・知恵遅れの六ちゃん(頭師佳孝)は“常人の眼には見えない列車”を運転し、決まったルート(路線)を「どですかでん!」と口ずさみながら朝から晩まで往復運転させることを日課&使命としている少年。その母(菅井きん)は「息子の回復」を願い、仏間で「なんみょうほうれんげーきょう!」と声高らかに唱えるのだが、それに気付かぬ六ちゃんは・・そんな母の隣で「毎度のことですが、どうか、母ちゃんの頭が良くなるように、よろしくお願いします」と祈願するのだった。

・作業員風の男2人(井川比佐志&田中邦衛)はそれぞれのアイデンティティーカラー(?)に身を包み(井川:黄色、田中:赤)向かい合った「赤い家」「黄色い家」に暮らす“義兄弟の間柄”である。常習的に(?)仕事帰りには「へべれけ」になって帰宅する2人。ある日、彼らは互いの同意のもと(?)家を取り替え暮らし始める。つまりは、双方の妻をもスワッピング(!)した2人であったが・・。

・今や堕落した饒舌な男・綿中は、健気で無口な義理の娘・かつ子にひたすら内職を強いる。ある夜、食う物さえ食わず、徹夜で働き続け、彼女は遂に疲労から寝入ってしまう。足を広げた、娘の無防備に眠るその姿に、あろうことか欲情した父は・・。

・あばら屋の戸口に南京錠をかけ、ふらふらと外出するコート姿の無口な平さん(芥川比呂志)。ある日、彼のもとへ“その過去”を知る女(奈良岡朋子)が押し掛けて来た。

・広場の片隅、黄色いシトロエン(2CV)のジャンク内で暮らす乞食の父子。金にも食う物にも悩まされる彼らだが、父親(三谷昇)は“大きな邸宅を建てる”と言う希望だけは捨てず、毎夜息子にその夢物語を語って聞かせるのだった。

・蓄膿症の発作(?)に時々見舞われる島さん。太った難癖おばはん(←『功夫ハッスル(2004)』に登場した“大家のおばはん”にそっくり(=^_^=))をワイフに持つ島さんは、横暴な態度を取る彼女に対し、とある感情を抱き続けていた。

・5人の子宝に恵まれ、内職に勤しむ父親(三波伸介)。ある夜、泣き出した子供らに「僕たちみんな父ちゃんの子じゃないってホント?」と問い詰められた父は。

・“街の長老”とも言うべきご老人。広場で日本刀を振り回し暴れる男あれば行って説得し、自殺しようと考える老人が来れば軽妙にあしらい、深夜に忍び込んだ強盗には金品を与え帰らせる。そんな彼は、広場に暮らす乞食の父子にも救いの手を差し伸べるのだが。

・酒屋「いせまさ」の若店員・岡部。密かに想いを寄せるかつ子に往来で出会う度、彼女を励ますのだったが・・ある日、そんな彼に“思いも寄らぬ災難”が降り掛かるのだった。

特にひねくった演出などはなく、クライマックスらしきモノもないんだが(とは言え、後半では“逃亡”“別離”“死別”“激昂”“刃傷沙汰”などの展開がそれぞれのエピソードで描かれたりするが)、
そんな中で私的に「おっ!」と感じたのは「終盤において意外にご近所同士だったことが判明する人々」「終盤になってその名の判明する人物」「終盤でようやく重い口を開く人物」などが配されてたことか。

“クロサワによる初のカラー映画”となれば、これは間違いなく“壮大な活劇”・・と(恐らく)期待した当時の観客を(きっと)大きく裏切る形となったんじゃないか? と勝手に想像するワタシだが・・恐れ多くも「ちょっと製作すべき時期も違ったし、まず第一に“世間の求める(クロサワ)作品と乖離してる感”があるんでは?」と思ってしまった。

〜 こんなセリフもありました 〜

六ちゃん「電車に轢かれたら、どうしようもないじゃないか!」

岡部「人間、働くのにも限度があるし、自分のことを考える権利もあるんだ」

女たち「あんまり奇麗な口を利ける人間、いやしまいと思うけどさ」
   「見かけに騙されるんじゃないよ・・ああ言うのはね、生まれつき人並み外れて“色深い”たちなんだよ。
    幾つになっても身体は“色盛り”でちっとも衰えないってクチさぁ」

長老「楽しい夢を見るのも、生きていればこそだねぇ」

綿中「女ってもんはな、親父・・15でも30でも、同じようなところがある・・魔物だよ、女って奴は」

息子「父ちゃん、僕たちみんな父ちゃんの子じゃないってホント?」
父親「そう言うことは自分で考えてみろよ、自分が父ちゃんの子かそうでないかってことは。
   父ちゃんは、みんな自分の子だって言うことは知ってる。
   だからみんな大事だし、可愛くてしょうがない・・けれどお前たちが父ちゃんが好きでもなく、
   自分たちの父ちゃんだと思えないんなら、父ちゃんはお前たちの父ちゃんじゃない、そうだろ?
   人は色んなことを言うよ、何だのかんだのって、好き勝手なことを言ってる。
   つまりその、父ちゃんを信用するか、父ちゃんより他の人を信用するか、どっちかだ・・どうだいみんな?」

島氏の同僚「僕たちは今日、招かれざる客じゃなかったのかい?」

島氏「あれは、野人なんだよ」
  「僕のワイフはね、そりゃ、君たちにはね、三文のね、値打ちもないと見えるかも知れないけどね、
   僕のためには苦労したんだよ。食う物も食わず、水ばかり飲むような生活をやって、辛抱したんだよ」

女「どうしても口を利いては下さらないんですか・・」
 「あんたも苦しんだでしょうけど、あたしもずうっと辛い思いのし通しでした」
 「人殺しのような重い罪を犯した者でも、事情によっては服役が終われば赦されることもある、と聞きました」
 「枯れてしまえば、何の木でもないんだわ」

綿中「ここは倫理学よりも法医学的な処置を取る方が、合理的だと思うね」
妻「分かるように言って下さい、堕ろすんですね?」
綿中「つまり、そうだよ!」

妻「何でそんなに怒鳴るんです? あの娘の言ってることが本当に出鱈目なら、
  何もそんな剣幕で喚くこともないし、警察行くの、そんなに怖がることもないでしょう?」

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