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2008年9月 7日 (日)

☆『どん底(1957)』☆

3日(水曜)の夜、衛星第2で放送された黒澤明監督による群像人情悲劇(?)『どん底』を観た。
ロシアの作家・ゴーリキーによる同名の戯曲を「貧困に喘ぐ人々の生活を、彼ら各々の人生観を交え描く」と言うテーマはそのままに、舞台を「江戸末期の長屋」に置き換え、やや“定点的”に描いた長編ドラマである。

黒澤さん、どうにもロシア文学に傾倒されてたようで・・『白痴(1951)(原作:ドストエフスキー)』にこの『どん底』、後年に『デルス・ウザーラ(1975)(原作:アルセーニエフ)』・・とピンポイントでそっち系(ってどっち系?)の作品を精力的に映像化している。どうやら『戦争と平和(原作:トルストイ)』も映画化しようと考えておられた、と言う逸話もある。

江戸時代の末期。町人が「どうせ掃き溜めだ」と毒づきながら芥(ゴミ)を投げ落とした土手下・・にある棟割長屋に集まった人々がそれぞれの価値観を譲ることなく「生きる」姿を描いた群像劇。

とにかく、登場人物が多く、名前やキャラ設定が意外に分かりにくい(かつ覚えにくい)のもあるが・・“長屋そのものが主人公”とでも解釈すれば良いんだろうか?(・ω・) 常連俳優たる三船敏郎(泥棒の捨吉役)や重要キャラたる左卜全(巡礼の嘉平役)も登場するが、それぞれの退場の仕方を眺めるに・・主人公か? と問われると決してそうでない気がする(・ω・)

テーマが「人は何のために生きるか」「嘘とは何か」とも言われるが、これと言った答えや(監督自身の)解釈が劇中で明確に描かれてる訳でもなく、従って私的にも「物語世界に入って行きにくい」作品ではあった。。

そんなことで、取り敢えずは「セリフ」群をまとめて紹介させて頂く。

 「お前さんは辛抱強過ぎたんだよ」
 「今にお前、本当に地獄へ堕ちるぜ」
 「いっそ、くたばったんなら有難てぇがな・・大家」
 「思い出せねぇことばっかりよ」
 「善根を積めば、その報いは必ずある・・あの世でな」
 「親切は親切、借金は借金だ。味噌も糞も一緒にしちゃなんねぇ」
 「働く? 働いて楽になるんなら働くさ」
☆「温かくさえ有りゃ、そこが極楽さぁ」
 「この若い衆も正気じゃないねぇ・・」
 「手討ちにするだと? で、刀はあるのか?」
☆「河原の石ころさ、もまれて丸くなったのさ」
 「あの世に行きゃ、息がつけるさ」
 「5文じゃ三途の川も渡れねぇ」
 「死ぬ前には、心が寂しくなるもんだ」
 「何故良くなる? また苦しい目に遭うためかい?」
 「往生の妨げはせんことだ」
 「いいことをしなきゃ、悪いことをするしかねぇわな」
 「嘘か真(まこと)か、自分で行って確かめてみるんだな」
☆「この世の中で嘘が悪いとばかりは限らねぇよ・・また真が良いとばかりもな」
 「女は女さ、男のようには行かないよ」
 「あんた、糸の切れた馬鹿みたい」
 「いつか、あたしもこんな風に虐め殺される・・」
☆「俺もお前もいつかはくたばる、ただそれだけよ」
 「みんな我が身を不憫がる暇もないんだからねぇ」
☆「死んだ者は何もしやしないよ、怖いのは生きてる奴さ」
 「身体は汚れていても、心が汚れていなければ生娘も同じだと」
 「なぜこんなことを喋るのか、そこんところを汲んでやりな」
 「お泣き、たぁんとお泣きよ」
 「ただこの連中はあんたに妬いているんだよ」
 「あたしだって色んなこと考えて、本当にそうなることを考えてんだよ・・明日になれば何かいいことがあるって」
 「いいかい、余計なことは言わないで労(いたわ)ってやるんだよ」
 「俺はな、何でもありのままをぶちまけねぇと気がすまねぇ質(たち)なんだよ」
 「何処に行くのか分からねぇから、それを探しに出かけるのさぁ」
 「男の一言だ、間違いねぇ」
 「後悔なんかしてねぇ、こうでもしなきゃ今頃くたばってらぁ」
 「1人で探すよりは2人で探す方が良いに決まってる」
 「米がなければ麦を喰う、麦がなければ稗(ひえ)を喰う」 ←マリー・アントワネット系発言?
☆「どぶ板を踏み抜いたのよ」
☆「この男はね、お前を酷い目にも、嬉しい目にも遭わしゃしないよ」
 「そろそろお神輿(みこし)を上げようと思ってね」
 「叩けば埃の出る身体、か」
 「あたしも出て行こう、何処でもいいさ、ここでさえなけりゃ」
☆「この世の中には、嘘でつっかえ棒しなきゃ生きていけない奴もあらぁ」
☆「その人は、ひょっとしたら、わしらのため、世の中のためにいいことをしに生まれて来たかも知れねぇ」
 「俺は今日、馬鹿に人がいいな」
 「下らねぇ、なるようにしかならねぇよ」
☆「どうせ人間は同じ事を繰り返すだけだ・・朝起きて晩寝て・・」
 「酒は毒だぜ、余り飲み過ぎちゃいけねぇ」
 「折角の踊り、ぶち壊しやがって・・」
(気に入ったセリフに“☆”をつけてみますた)

※「足元の明るいうちに出て行きな」
※「そういうあんたの足元はどうだい?」

※「人の気も知らねぇで」
※「へぇ、どんな気だい?」

さて本作、下町の人情悲劇かな、と思ったんだが、のろのろと抑揚少なく進む物語のくせに「劇中で3人も死人(しびと)が出る」ってのにちょっとした意外さがある。
「最下層の人々が放つ金言(?)に酔う」ちぅ楽しみ方は確かにありそうで「話劇」としては興味深いが、それにしてもズバリ言わせて頂くと・・「総じて面白くない!」ってトコだろうか(・ω・)

カラー化に踏み切った第1弾『どですかでん(1970)』が、黒澤監督作品の中で最もつまらない! と言う評価をネットで見つけたが、本作もモノクロ作品群の中ではなかなかのつまらなさを誇るのかも知んない。

まぁ「貧乏かつ堕落した日々を手に入れたが故に、周囲を入念に観察し、そして実人生に賢くなれた人間」って言う「どん底なりの人生勉強の一端が眺められる」楽しみのみはあるんかも知れない。

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