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2008年8月16日 (土)

☆『スカイ・クロラ/The Sky Crawlers』☆

15日(金曜)。世間ではそこそこに“お盆の空気”が流れてるのだろうか?
確かに、通勤時の鉄道ダイヤが変更されてたり、職場の電話の鳴る頻度も少なければ、架ける方も不在が多かったり、昼休みに行きつけの食堂が閉まってたり、と色々「この1週間だけ」の変化は見受けられたが・・

今週も休まず&倒れず(・ω・)頑張れた“自分へのご褒美”的なトコで、会社の帰りに梅田へ出て「観よう!」と心に決めてた1作『スカイ・クロラ』を鑑賞した。

劇場は“ブルク7”だが、シアターが小規模だっただけに、異様に混んでてびっくり。最後列の端っこの席を選んだんだが(しか、空きがなかった、、)左右がしっかり埋まってしまい窮屈やら、鬱陶しいやらだった。
ま、そりゃお互い様か・・(・ω・)

『GHOST IN THE SHEL/攻殻機動隊(1995)』『アヴァロン(2001)』『イノセンス(2004)』・・と近作はそこそこフォローしてる(つもりの)、押井守監督の最新作は“戦争しか知らない子供たち”に焦点を当て描かれた、不思議な魅力に溢れるCGアニメーションだ。

『イノセンス』を劇場で鑑賞した際は「極めて美麗で情報に溢れ過ぎてる映像」と「昔ながらのセル画アニメ」の融合に“妙な違和感”を覚えてしまったワタシだったが、本作では「CGは主に(人間の姿が極力描かれぬ)空中戦&飛行映像」「セル画アニメは主に地上(?)におけるキャラたちの日常」と“棲み分け”がそこそこ実現出来ていたため、それほどの違和感は感じなかったかな。

しかし本作を観るに・・押井監督ってホンマに「ボブヘアーの女性」と「ポーランドの街並」がお好きなんやなぁ~とつくづく感じてしまう。まぁ、オレも決してキライじゃないけどさ(=^_^=)

現在ではない時間・・未来? それとも過去? 欧州の何処かと想定される、草原と青空に囲まれた空軍(前線)基地に1人の少年が降り立つ。彼の名はカンナミ・ユーイチ(函南優一:声は加瀬亮)。
ハッキリした幼少時の記憶を持たぬ代わり、年を取らぬ存在で、戦地における“先兵”とし次々に消費&補給されてゆく、そんな儚い存在“キルドレ”の1人だ。

彼は司令官であるクサナギ・スイト(草薙水素:声は菊地凛子)に配属早々、疑問に感じていること

「自分の乗る双発機「散香」の前任者(=前パイロット)が何者で、何処へ行ったのか?」
「あなたも“キルドレ”なのか?」

を問うも、彼女は「機密事項」としその答えを与えなかった。

飛行訓練(時に実戦)が断続的に行われる他には、時間の流れが止まったような日々を過ごす優一。

先に着任している“キルドレ”のユダガワ(湯田川)、シノダ(篠田)との淡白な関わり。
だが、その中でもトキノ(土岐野:声は谷原章介)だけは「バイクでのツーリング」「コールガールとのデート(彼自身は“朝帰り”となるケースが多い)」など、独自の楽しみを「基地の外」に見出し、優一をそんな「遊び」に連れ出したりする個性的な戦友だった。

・・日々は流れる。

“キルドレ”たちの過ごす地上での暮しには、殆ど何の変化も訪れはしなかったが、日々「新聞」や「TV」で報道される戦況に関しては、彼らの属する“契約戦争企業”ロストック社が「敵企業」であるラウテルン社の猛然の巻き返しに苦しめられつつあり“ティーチャー”と呼ばれる同社のエースパイロットが、優一らの“戦区”にも姿を現し始める。

そんな中、戦友の1人が海上で撃墜され、もう1人の“元エースパイロット”も一命こそ取りとめるものの、撃墜されてしまう。
優一は密かに「“ティーチャー”を撃ち落とせば、この戦況の“何か”が変わるのかも?」と考え始めるのだった。

新たな“キルドレ”であるアイハラ(相原:戦死したとされる某キャラに外見が酷似!)、ミツヤ(三ツ矢:声は栗山千明、珍しい女性キルドレ)を仲間に加えた自軍。

ある日、出撃した戦闘空域で「機首に“黒豹のペイント”の施されたスカイリィ機」即ち“ティーチャー”の機影を彼方に見出した優一はこれを迎え撃たんと単身、隊列を離脱し向かって行くのだが・・

コレはいい! 詳しい世界観の説明が殆どなされない代わり、観客の想像の幅でどんどん物語を補完させてゆく楽しみがある。
中盤までは「もっとドッグファイト(空中戦)をガンガンやって、飛行映像に酔わせてくれよ〜」と思ったりしたが、機銃掃射を受けたパイロットや機銃兵が血しぶきと共に一瞬で吹っ飛んだり(=直接的描写)、基地に帰還しない機があったり(=間接的描写)するのを眺めさせられる内に「カッコ良くなんかないじゃん・・」と“戦場での死”と言うものの「軽そうな重さ」がだんだん伝わって来て、地上での変わらぬ日々の描写こそが愛おしく思えて来た。

「何も分からないづくし」の優一にヒントを与えるのが草薙、土岐野、そしてコールガールのフーコ、であるが(女性整備士・笹倉が恐らく最も“真相”を把握していると思われるが、最も口を閉ざしている)「相原の赴任」や「草薙の語る“ティーチャー”の前身」などから、観客にも次第に“キルドレ”がどういう存在なのかが(朧げながら)分かって来る。

そう言う意味で、ラストシーンはちと「描き過ぎ」と感じたが(降り立つ、までで十分だったかなと)・・平和な時代にこそ観ておき、自分なりの“何か”を感じ取っておくべき作品ではないか、と感じたのも事実である。

〜 こんなトコロにひと言、ふた言 〜

・「作戦⇒プロジェクト」「上官⇒上司」なる言葉の用い方(言い換え)が「会社組織」ぽかった。
・“ダニエルズ・ダイナー”のマスターや、その入口の階段にひたすら無言で座り続けてる爺さまの「ドラマ」が気になる。
・撃墜された機体の着水時、海面⇒海中⇒海面と自在に切り替わるカメラワークがスゴい!
・少年少女に“兵器的な価値”を見出すのはアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』にも通じる設定か。
・草薙と彼女の“妹”ミズキ(瑞季)を巡るシチュエーションは、アニメ『トップをねらえ!』の終盤で用いられた“時の流れの非情さ”を連想させてくれる(あちゃらは“ウラシマ効果”がネタだったが)。
・飲酒(←飛行前は流石に御法度(=^_^=))も運転も喫煙もセックスも自由、と言う“特権”を与えられた“キルドレ”たち。未見ながら特攻隊員を描いた『君を忘れない(1995)』にも通じる設定かも知れない(あちゃらはせいぜい「長髪」「食事」程度の“特権”だったらしいが)。
・異世界でも「読売新聞」は健在だった!(=^_^=)
・観終われば「空を這う者(Sky Crawlers)」と言うタイトル(日本語訳)に込められた“もっと大きな意味”を感じもしてしまう。
・機銃掃射ばかりで「ミサイル攻撃(ロックオン系)」や「空爆」などは行われなかった。企業同士の「ルール(紳士協定)」が設けられてたんだろうか?
・「戦士は戦争なしには生きてゆけないか?」ってテイストは『戦争のはらわた(1977)』の主人公(ジェームズ・コバーン演じる)にも共通してたかも。
・三ツ矢には柴咲コウのイメージを、土岐野には伊藤英明のイメージをそれぞれ感じた。。
・草薙が劇中で長々と“戦争論”をぶつシーンは聞き所かも。ちと感情不足なんだが、それはそれで味がある(=^_^=)
・コルト・ガバメントやワルサーPPKなど(違ってるかも・・)オートマチック拳銃ばかりが登場。リボルバー拳銃は邪道なんかな?
・そもそも描かれた(戦区の)全ては“キルドレ”のためだけに企業の用意した環境ではなかったか?(ダイナーの客がいつも同じ顔ぶれ、コールガールがいつ呼んでも来る、など)
・敵の具体的な姿が見えて来ない辺りは『MEMORIES/大砲の街(1995)』『となり町戦争(2006)(未見なんだけどイメージ的に・・)』とかを連想させるかも。
・劇中、優一が英語で話すシーンはやや発音がお粗末だったかと(⌒〜⌒ι)
・「欧州連合の勧告で戦闘中断」なる中盤の大規模空戦中止の展開には「所詮は企業同士の壮大なコンペティションじゃないんか?」「“何か”の(世界的)バランスを保つため“誰か”が仕掛けてる戦争じゃないんか?」とワタシの想像は広がるのだった。
・優一と“ティーチャー”の関係には、殆ど説明がされてないが、私的には「ルーク・スカイウォーカーとダース・ベイダー卿」或いは「オースティン・パワーズとイーブル博士(=^_^=)」のような因縁が潜んでるんじゃないか? と妄想してしまった。
エースパイロットとしてのDNAはそんなにポコポコと自然発生するもんじゃないと思うし・・

~ こんなセリフもありました ~

草薙「随分と早い到着ね」
函南「・・太陽が余りに眩しかったから」
草薙「カミュ?」

草薙「人の状態は突き詰めれば2つ・・そこに“いる”か“いない”かだけよ」
  「可哀想なんかじゃない! 同情なんかであいつを侮辱するな!」
  「もしかして・・君も殺して欲しい?」
  「殺していい? それとも、殺してくれる? さもないと・・私たち“永遠にこのまま”だよ」
  「戦争の存在は不可欠なのよ、それを意識しなければ平和は維持出来ないわ」

函南「煙草を吸わない上司は信用しないことにしてるので」
  「この機体は何だか躯にしっくり来る・・違和感を感じない」
  「キミに誇れるようなことは、何もしちゃいないさ」
  「キミは大人になりたいの?」
  「明日死ぬかも知れない人間が大人になる意味なんて、あるのでしょうか?」
  「殺し合い? これは仕事だよ、昔ながらの非効率的で懐古的な、ね」
  「“生”の実感がない・・“記憶”に確信がない」
  「いつも通る道でも、見える景色は違う・・それだけじゃいけないのか?」

フーコ「あなたが来たってことは・・仁郎(ジンロウ)は死んだってことね」
   「仁郎に訊ねたわ・・“心をいつもどこに置き忘れてるの?”って・・
    彼は黙っていたけれど・・その答えは“空”だったのかも知れないわね」
   「また来てくれる? きっとよ」

土岐野「ここ(基地)を“見学”するって発想をどう思う?」
   「エースってのは“ままならない”ものなんだよ」
   「双子のキルドレの場合、1人だけが戻って来ることってないな」

※「あの人、危ないよ・・まっすぐにここ(胸)からぶつかっちゃってる感じ」

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コメント

こんばんは

>「作戦⇒プロジェクト」「上官⇒上司」なる言葉の用い方(言い換え)が「会社組織」ぽかった。

これですね。“自然で不自然”な印象を持ってたんですが、そういうことだったんだと気が付きました。

>異世界でも「読売新聞」は健在だった!(=^_^=)

これ、スポンサーなんですかね(笑)
スポニチだったら笑ってしまうところですね。

クサナギ・スイト(水素)これでスイトって呼ぶんですね。当て字?
なんだか女の子に付けたくなるような名前ですよね~
ってミーハーなワタシでした。

この上司は完全に女王様キャラですね。
しかし、カンナミ・ユーイチは怯えるどころか
マイペースで堂々と渡り合っていました。
感情の無い台詞が妙にアンドロイドっぽかったです。

>そもそも描かれた(戦区の)全ては“キルドレ”のためだけに企業の用意した環境ではなかったか

人類のためのキルドレだったのか、それとも人類は既に
全員キルドレで地上に居る人間は『ウエストワールド』のようなロボットだったら・・・。
この映画は考える時間をしっかりと与えてくれてるので
どこまでも妄想が広がっていってしまいます。

機体と空中映像は本物に限りなく近くて感心しましたが
地上のメカ(キャデラック)に関しては、トホホな感じがしました。

投稿: ituka | 2008年8月17日 (日) 00時48分

itukaさん、ばんはです。
何だか「オタク盛り」ぽかったです、劇場内(=^_^=)

>“自然で不自然”な印象を持ってたんですが、そういうこと
>だったんだと気が付きました。

戦死したら「労災認定」「昇格」とかあるんやろか(⌒〜⌒ι)

>スポニチだったら笑ってしまうところですね。

スポーツ紙だと面白いですね。
でっかい見出しに「戦争いよいよ集結か?」・・とか。
「か?」部分のフォントだけがめちゃめちゃ小さいんですよね(=^_^=)

>クサナギ・スイト(水素)これでスイトって呼ぶんですね。当て字?

怒らせたら「スイト爆弾」ですね・・ああ、不謹慎でした(陳謝)

>この上司は完全に女王様キャラですね。

名前が“攻殻〜”シリーズのヒロイン(草薙)と共通してるのが、面白いですね。偶然なんかな?

>感情の無い台詞が妙にアンドロイドっぽかったです。

でも、感情のなさそうに見える人間にも「内なる呟き」はきっとあるんでしょうね。

>この映画は考える時間をしっかりと与えてくれてるので
>どこまでも妄想が広がっていってしまいます。

ポイントとなる人物は草薙が向かった本部にいた2人(姿を見せた1人と見せなかったもう1人)だと思います。

>地上のメカ(キャデラック)に関しては、トホホな感じがしました。

どんなんでしたっけ・・?(⌒〜⌒ι)

私的には、凄まじい数の薬莢がバラララッと空中に放出される描写がたまらんかったですね〜。

いやいや、それにしてもエエ作品でした☆

投稿: TiM3(管理人) | 2008年8月17日 (日) 02時40分

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