« ☆『ゲド戦記(2006)』☆ | トップページ | ☆『長江七號/ミラクル7号』☆ »

2008年7月18日 (金)

☆『ホテル・ルワンダ(2004)』☆

14日(月曜)の夜、衛星第2で放送されたモノを鑑賞。
紛争に揺れるアフリカはルワンダで起こった実話をベースに“ルワンダのシンドラーと呼ばれた男”のとった行動が丹念に描かれるヒューマニズム系ドラマ。

それまで「脇役ポジションで、捜査官役とかを自然体で(?)演じてるおっちゃん」ってぐらいの印象しかなかった黒人俳優ドン・チードル(←ドン・シーゲルと名前がこんがらがり易いが、全くの別人である、、)がギャグやアクションを封印(?)し、生真面目なホテル支配人を演じ上げた。

ちょっとシリアス過ぎ、いつもの(?)チードル氏らしくない・・と評すると言い過ぎかも知んないが、、良質なドラマであったことは否定しない。
恐らくチードル氏の俳優人生を後年、振り返り総括したとしても「シリアスさの極まっていた、希有な主演作」と評されることではなかろうか(・ω・)

1994年、アフリカ中部に位置するルワンダ共和国。この国では首都キガリを中心に、2つの部族「ツチ」と「フツ」が民族紛争を繰り広げ、いつまで続くとも知れぬ混沌のもとで市民は不安を隠せないでいた。

フツ族であるポール・ルセサバギナ(チードル)は“外国資本の4つ星ホテル”「ミル・コリン・ホテル」の支配人。妻のタチアナはツチ族であるが、2人の間に部族を異にする違和感は何らなかった。
ポールはホテルマンとしての才覚(交渉力、調達力、人脈)を発揮し、ルワンダ政府軍(ツチ族を虐殺する体制側)のビジムング将軍に“ハバナ産の高級葉巻:コヒバ”“アルコール類”などを世話し、友好的な関係を築いていたが、フツ族至上主義の声が高まり、ツチ族を「反逆者」「ゴキブリ」などと称し、次々に連行⇒投獄&虐殺して行く現状を眼にして、フツ族/ツチ族を分け隔てることなく、ホテルに受け入れる(かくまう)選択をする。次第に「難民受け入れ所」状態となってゆくホテル。

「増えて行くルワンダの難民たち」を眺めるポールの心には「ホテルの格式と風格を下げてしまった・・」と言う後悔の念が芽生えたりもする・・

そそくさと国外に退去する(白人の)報道関係者たち、期待に応えてはくれぬ“余りに無力な”国連の平和維持軍。
そしてやっと、国連認可による難民らの海外移送が決定、平和維持軍の護衛のもと、次々とホテルからルワンダ人が空港へと向かうが・・
歯止めの効かぬ暴徒(フツ族の民兵)の群れは、とうとう「政治難民トラックを襲撃する」と言う愚挙に及ぶのであった・・

治安、経済、医療、食料自給・・など、思いつく限りの切り口で「黄昏れて行ってるよなぁ・・」と悲しいながらも肯定せざるを得ない我がニッポンの現状であるが、まだしも「民族紛争がない」って点だけは十分に「幸せである!」と考えて良いのだと痛感した。
何処かの誰かの密告で、ある夜いきなりお隣の一家が憲兵に連行され、朝になるともぬけの殻、そして2度と戻っては来なかった、、こんな恐ろしさってないんじゃないだろうか(×_×)

或いは、報道の眼(耳?)の全く届かない、どこかの河川敷に、埋葬もされぬままの市民の遺体が、殺害された状態で、老若男女を問わず無数に転がっている、、こんな悲惨さもまた想像すらしたくないシチュエーションである。

世界情勢を断片的ながら眺めるに「国連なんか、何の役にも立ってないじゃん!」と突っ込みたくなるケースがこれまでに何度もあったが、本作を観ると“リアルに国連解体を提案したくなる”気持ちがわいて来もする(・ω・)
劇中で描かれた「国連・平和維持軍」の現地活動の“腑甲斐なき実態”を、関係者各位は「恥」を持ってとくと観るべきではないかと感じた。

〜 こんなセリフもありました 〜

ポール「時は金なり、と言うからね(time is also money.)」
   「何とかしたいが、僕には何も出来ない・・それに隣人は隣人だ、僕の家族じゃない」
   「僕は白人に追従し、何もかもを鵜呑みにし・・そして全てを失った、民族の誇りすらも」
   「ここを難民キャンプと思わせてはならない、ここは外国資本の4つ星ホテルなのです」
   「君たち家族をナタでは殺させたくない・・いざとなったらホテルの屋上から飛び降りてくれ、子供たちと」

ジャック「世界はあの虐殺映像を観て「怖いな」って言うだけでディナーを続けるだろうさ」

アーチャー「少女が殺される瞬間に叫んだわ・・“どうか殺させないで! もうツチにならないから!”と」

TVキャスター「虐殺行為が何度あれば“大量虐殺”だと言うのですか?」

隊長「ルワンダ・フランなぞケツを拭く紙にもならん、この先は国連にでも守って貰うんだな」

タチアナ「このもてなしの代償に私は何を・・?」
ポール「君の“キス1つ”でいいさ」

アーチャー「ホテルは満杯?」
ポール「いつも空いておりますとも」

追記1:助演陣にニック・ノルティ(国連軍・オリバー大佐役)、ジャン・レノ(ホテル本社(ベルギー)・テレンス社長役)、ホアキン・フェニックス(記者・ジャック役)・・とそうそうたる男優がポイントを押さえててスゴい。
追記2:「種族を効率的に絶やすため、女子供を優先して殺害する政府軍」なるセリフには流石にムカムカ来た。

|

« ☆『ゲド戦記(2006)』☆ | トップページ | ☆『長江七號/ミラクル7号』☆ »

コメント

こんばんは。
私も観ました。

>ギャグやアクションを封印(?)し、生真面目な

そうなのですか?
私は『クラッシュ』(P.ハギス監督)でのチードル氏が印象的でしたのでシリアス路線の彼しか思い浮かばす、です。

いつもこういう作品を観ると「当事者」と「当事者以外」とに大別してしまうところが私の中であり、当事者以外の我々は胸を痛めつつも、それこそ、「怖いねと言った後でディナーを続ける」非力な存在でしかないのだなと非情につらくなります。

せめて何らかの状況下で「当事者」となった時に、大勢に巻かれて自分の意志を見失うことのないようになりたいとは願うのですが。

>そうそうたる男優がポイントを押さえてて

予備知識が無かったのでホアキン君が出ていたのは嬉しかったです。

投稿: ぺろんぱ | 2008年7月19日 (土) 21時07分

ぺろんぱさん、ばんはです。

さっきまで衛星でクロサワ映画『白痴』を延々(←失礼)観てましたが・・モノクロで約3時間と言うのも、なかなかキッ・ツィイーもんがありますね、、

>私は『クラッシュ』(P.ハギス監督)でのチードル氏が印象的でしたので
>シリアス路線の彼しか思い浮かばす、です。

『クラッシュ』は良いらしいですね〜!
DVDソフトは購入済みなんだけと、未だ開封すらしてなくて・・(×_×)

ワタシの中では『ミッション・トゥ・マーズ』と『ソードフィッシュ』でのチードル氏が印象深いですね。
何故だか「いっつも捜査官なしと」ってな(勝手な)思い込みをしてしまいます、、
更に失礼なことには『ターミネーター2』の研究所員・ダイソン役のしとと勘違いもしてたし(×_×)

>「怖いねと言った後でディナーを続ける」非力な存在でしかない
>のだなと非情につらくなります。

「国連がこんな非力なんじゃね・・」と無力感に打ちのめされた観客も少なくなかったんじゃないかなぁ・・

>大勢に巻かれて自分の意志を見失うことのないようになりたい
>とは願うのですが。

『ポセイドン・アドベンチャー』や『デイ・アフター・トゥモロー』でも「逃げるか? 残るか?」で大きく運命の分かれるトコがありますよね。最近では『ミスト』もそうでしたっけ・・(×_×)

>予備知識が無かったのでホアキン君が出ていたのは嬉しかったです。

ワタシはラストの主要キャスト紹介映像でようやく気付きました(×_×)
ジャン・レノは流石にすぐ気付いたけど・・(=^_^=)

投稿: TiM3(管理人) | 2008年7月20日 (日) 00時32分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ☆『ゲド戦記(2006)』☆ | トップページ | ☆『長江七號/ミラクル7号』☆ »