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2008年6月 8日 (日)

☆『THE有頂天ホテル/The Wow-Choten Hotel(2006)』☆

7日(土曜)の夜。
三谷幸喜の監督最新作『ザ・マジックアワー』の公開開始に合わせ「土曜プレミアム」で地上波放送された『THE有頂天ホテル』を観た。
確か、昨年末に地上波初放送されるも、見逃してしまった作品だったので「今回こそは!」と気合を入れ鑑賞に取り組むこととした次第。

・・にしても「バレーボール(予選)中継」の延長により“55分”もの放送時間繰り下げ。。作品そのものが3時間近くあったもんで、流石に疲れてしまった。。何とかならんもんかねぇ・・(×_×)

ある年(結局、西暦何年だったんや?)の大晦日、都内(?)の一流ホテル「ホテル・アバンティ」を舞台に、集まった人々(ホテル側&客側)がそれぞれに“予期せぬ出会い(邂逅も含む)”や“笑えぬトラブル”に見舞われつつ、終盤の「カウントダウンパーティー」に向かってその言動・運命を収束させて行く・・と言う流れ。

とにかくキャスティングが豪華であり、演出の細かい部分で「キャラの接続(Aが実はBだったことが判明する)」「キャラの置換(偶然からCがDを演じることとなる)」「キャラ&アイテムの移動(Aが動く事でCに出会う、Bの渡したアイテムが他人の手を次々に介し再びBに戻る)」などの“秀逸なテクニック”が光ってたりもし、その何点かには正直「やるなぁ〜」と唸らされた☆

が、反面「キャラが多過ぎる」ことから「光る演出」「厚いキャラ造形」の全てが奏功してた、とは言い難かった。全体を通し「作り手側が満足してるだけで(観客には)面白くない演出」「引っぱった割に、描けてなかった(薄い)キャラ」も少なくはなかったか、と。
それは劇中のギャグについても同様で、概して「上品で人畜無害な造り」ではあるも「クスリとも笑えんぞ!」と感じた類のも目立ってたようだ。
三谷幸喜ファンじゃないと分かんない“お遊び”も多かったと思われたし。

キャラクターの中では、矢部(戸田恵子)と瀬尾(生瀬勝久)に、もっと内面(ホンネ)を語って欲しくあり、議員・武藤田勝利(佐藤浩市)と演歌歌手・徳川(西田敏行)、それと芸能プロ社長(唐沢寿明)辺りの大物連中が結局、最後にどう新年を迎えたのかの演出・・にはやや「放置プレイ」な印象を受けた。

本作は基本「スラップスティック(どたばた)コメディ」なのだが「更に高密度な同時多発的進行」「時間軸の置換」「キャラの主観毎による同一シーン(再現時)の微妙な相違」「廊下の移動映像を使ってのキャラ交代(それも長回し!)」など・・演出を更に磨きつつ、上映時間も「せめて2時間以内」に収めれば、もっともっと面白く、素晴らしい映画に仕上がったと思う。
「コメディ作品」も「アクション作品」同様、何でもかんでも贅沢に詰め込めばそれで良い、と言う道理で片付く訳では勿論なく・・つまりは「緩急」が大事だと考える。
その辺りから評すると・・「長尺過ぎて、観ててダレて来た」と言うのが正直な感想(の1つ)である。

例えば、俳優陣のレベルを落とし、同じように本作を撮ったとすれば・・きっとメタメタに仕上がってしまったハズで、つまりは「総じると目立って来る“破たん”を俳優陣の豪華さで強引に取り繕った作品」・・そんな感すら漂いはしないか?

ひょっとしたら、三谷幸喜と言う人物は「多人数で豪華な物語を綴りたがるけれど、実際には多人数も豪華なのも苦手なタイプのしと」なんじゃなかろうか? もしそうなら、周囲に担がれムリをするのじゃなく、自身の性格(身の丈)に合った「少人数で短いけれど、ばっちり笑わせてくれ・・そして最後にホロリとさせてくれる」そんな映画を期待したいトコロだ。

〜 こんなセリフもありました(“耳コピー”なので細部は不鮮明、、) 〜

新堂「夢を諦めた青年を見ると、つい感傷的になってしまいまして」
  「演出家の仕事は“幕が開くまで”です。そこからは舞台監督の出番となります」
  「お言葉ですが、家族がいつも優しい言葉をかけてくれるとは限りません」

矢部「“謹賀信念”の誤記・・これはこれで深い意味を感じますが」

ホテル探偵「どんなに明るい太陽の下にも、悪魔はいるもんだ」

芸能プロ社長「たまには“息抜き”も必要ですよ・・この娘に恥かかせないで下さいよ」

武藤田「人前でここまで自分をさらけ出せるってのは・・尊敬に値するな」
   「俺のこれまでで一番の罪は・・政治家になったことかな、有権者を騙した」
   「マスコミの恐さをあんたは知らないんだよ」

ベルボーイ「みんながみんな、夢を叶えられる訳じゃないんだって」
     「やりたいようにやらないと、勿体ないよ」

ヨーコ「何のために大晦日があると? 明日から年が変わるのよ・・そしたら、何か良い事が起きるかも」
   「貴男を1人になんかさせないから! (これまでに)死のうとしてる人の顔を何人も見て来たあたしなのよ」

堀田「今それが公表されると・・間違いなく私の中で“何か”が終わる」

徳川「歌は、趣味で歌ってるのが一番だよね」
  「いいモノ(才能)を持っているとね・・神様は見ていて下さいますから」

元妻「うそなんか要らない、本当のあなたで何がいけないの?」

大富豪「世間なんか関係ないと言うが・・私はその世間で生きているのだ」

ハナ「言いたいヤツには言わせておけばいいのよ」
  「例えカッコ悪くても・・生き延びる道を選びなさい」

ヨーコ「私もここに居ていいの?」
矢部「どうせ何処にいても、年を越すんだから」

追記1:私的に最も印象に残ったのは、地味な「筆耕係」を静かに演じたオダギリジョーだった(=^_^=) それと、恐ろしい“2面性”を見せる西田敏行さん、流石にお上手です(・ω・) ←メタボ〜な裸体のご披露だけはちとご勘弁ですが、、
追記2:“サロペットジーンズ”てな耳慣れぬ(=^_^=)ネタもこれまでに披露して来た三谷監督。今回は“スタッグディレクター”なる特異な職種(?)を登場させた。ちと危う気な変化球っぽいですが・・
追記3:一度は確かにホテルから外へ飛び出した※※※。フツーはもう戻って来ないと思うが?
追記4:堀田を演じた角野卓造さんが「フリ〜ダ〜ム!」と絶叫する姿には苦笑させられた。メル・ギブソン(1995)へのリスペクトなんやろか?
追記5:生真面目な副支配人がポロッと「我々は決して善意でやっている訳ではないんです」と言い放ったのが少し気になった。そこは「言わぬが華」では・・?
追記6:“ホテルまるごと”のドラマを描くんなら『タイタニック(1997)』を見習い「厨房」「ボイラー室」「バンドマン楽屋」などでも(スタッフの)ドラマを徹底し展開させて欲しかった。

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コメント

こんにちは。
私は三谷さんは好きですが、番宣をかねての出演番組とかインタヴュー席でのコメントとか、そう言う時の方が笑えるんですよね。
私は「古き良き頃の笑い」的なイメージだという意味合いのことを確か本作の鑑賞後の日記に記していたと思うのですが、今日このレヴューを読ませて頂いて、自分があの時に感覚的にしか捉えられなかった処を実に深く分析して下さっている気がして・・・あっ、いえ、私は全く表面的にしか捉えられていませんでしたが・・・とにかく、もやっとしていた部分を解明誘導して下さる記事でした。流石ですね。

投稿: ぺろんぱ | 2008年6月 8日 (日) 14時53分

ぺろんぱさん、ばんはです。

この週末は「お寺巡りドライヴ」と「カメラの(内部)清掃」で終わっちゃいました(×_×) 梅田までは出たんだけど・・

>私は三谷さんは好きですが、
>番宣をかねての出演番組とかインタヴュー席でのコメントとか、
>そう言う時の方が笑えるんですよね。

そうですね。彼の手がけた舞台劇のDVDを観たことがありますが、
本編より“オーディオコメンタリー”の方が観応え(聴き応え?)あった記憶があります(=^_^=)

>私は全く表面的にしか捉えられていませんでしたが・・・
>とにかく、もやっとしていた部分を解明誘導して下さる記事でした。流石ですね。

彼にすれば「批評するな、黙って楽しめ!」ってトコかも知れませんが(⌒〜⌒ι) まぁ、これも1つの捉え方に過ぎませんけどね・・

しかし、まだまだ「三谷群像劇映画」は続くのでしょうね。。

投稿: TiM3(管理人) | 2008年6月 9日 (月) 00時02分

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