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2008年6月24日 (火)

☆『悪魔の呼ぶ海へ(2000)』☆

22日(日曜)の鑑賞。
2月ごろ、民放で深夜に放送されたのを「タイトルに惹かれ、何となく」録画してたモノ(・ω・)
録り溜めてた番組を片付けて行く中で「これまた、何となく」観ようと思った次第。

骨太嗜好(きっと!)の女流監督キャスリン・ビグローが『ストレンジ・デイズ(1995)』と『K−19(2002)』の間に撮った“文学的”サスペンス作品。
米・仏・カナダ合作の“伝奇ミステリー”みたいなノリであり、サスペンス劇そのものと言うよりは、劇中で描かれた“潮風の漂って来るような臨場感”なんかを楽しめなければ、きっと余り面白くないってことで、恐らくは「劇場公開」が見送られたんじゃないかな・・と勝手な決め打ちをしたり(本作はつまり「劇場未公開」作品である)

嵐に見舞われた1873年3月5日の夜。ニューハンプシャー州ポーツマスの沖に位置するショールズ諸島(のスマッティ・ノーズ島)において、ノルウェー移民である女性2人が惨殺される、と言うセンセーショナルな事件が起こった。
惨劇の行われた場所は、島の漁師ジョンが年若き妻マレン(サラ・ポーリー)と暮らす小高い丘陵に建つ一軒家。
当時、その家にはジョンとマレン、ジョンの連れて来たリウマチを患うドイツ出身の漁師仲間ルイス・ワグナー、そしてノルウェーからやって来たマレンの兄エヴァン・クリスチャンソンとその妻アネット、2人(エヴァンとマレン)の姉であるカレン・・の6人が住んでいたが、当夜は男たちが漁に出ていたため、残されたのは(寝たきりの)ルイス、アネット、マレン、カレンの4人だけだった。

辛うじて凶行を逃れたマレンの目撃証言により、アネット&カレン殺しの容疑者としてルイスが逮捕された。
裁判を経て、結局ルイスは絞首刑に処されたが、事件の真相は今も謎に包まれたままとされる・・

そして現代。100年前の「ショールズ諸島の惨劇」を取材するため、雑誌カメラマンのジーン(キャサリン・マコーマック)、その夫である詩人トーマス(ショーン・ペン)、トーマスの弟リッチー、彼の恋人アデリーン(エリザベス・ハーレイ)の4人がリッチーの所有するヨットでこの島へ上陸するのだった。

当時の地方紙などの資料を基に、事件を探るジーンだったが・・女性ならではのひらめき(?)と、プロだからこその嗅覚で(?)「この事件には真犯人が別にいるのでは?」と疑いを抱く。

その一方、ポーツマスの町で、裁判記録を調べる中、ジーンは自身の胸中に「夫トーマスを受け入れられない」もやもやした感情が渦巻くのを感じ始める。

やがて終盤、4人を乗せたヨットは猛烈な嵐に遭遇する。忽ちの内にキャビン(船室)は浸水、甲板からアデリーンが荒れ狂う海中へ転落する!
しかし直後、彼女を救うため飛び込んだのはリッチーではなくトーマスだった・・!

そして過去。事件当夜の真相が、遂に1人の人物の独白によって克明に語られ始める・・


19世紀末と20世紀末。100年と言う時間を隔て、2つの時代と2人の女性の想いが描かれる! と言うことでなかなかにドラマチックな作品世界ではあった。
(現代の)4人のシーンには、あんまし観るべきトコのなかった気もしたが、、島に建つ一軒家の情景が『シッピング・ニュース(2001)』などを連想させてくれ、何とも絵画的&幻想的で良かった。

サックスの即興的(?)な演奏が物憂げに響き、そこに主人公(ジーン)のモノローグ(独白)が続く・・ってな冒頭のテイストは、どうにも“安っぽい官能ドラマ系”の雰囲気だ、、が、そこにショーン・ペンの“演技だけとは思えぬ(=^_^=)クスブリっぷり”とエリザベス・ハーレイの“作品世界の品位をかき乱すほどに過剰な(=^_^=)豊満ボデー”が絶妙なスパイス(?)として観客に供され、妙な気分にさせられたりもする。。

“倦怠や官能”の世界に美的で深みを感じさせる“詩”を振りかけ、辛うじてその質を保ってた印象のあった「現代のシーン」とは対照的に、より丁寧な描き込みで「風景」「心情」「人物像」の仕上がっていたのが「過去のシーン」であった。

ってことで、本作の見所はやはり「過去のシーン」と言えるだろう。
もう少しその演出や構成が洗練されていたら『ピアノ・レッスン(1993)』をも凌いでいたかも知れない、と思うと残念ではある1作だ(・ω・)

〜 こんなセリフもありました(流石に詩的な言い回しだけは素晴らしい!) 〜

アデリーン「言葉を巧みに操れても、詩人はみな大きなテーマに取り組もうとしない」

トーマス「偉大な詩人と言うのは、読む者の心に残る言葉を選ぶものだ」
    「一番残酷なのは・・愛を失うことに気付いた時だ」
    「女が殺人を犯す動機ってのは、男よりも複雑だからな」
    「例え理性を失っても正気に戻り・・例え海深く沈んでも、再び浮かび上がるだろう・・
     例え恋人たちが死んでも、愛は残る・・かくて死に支配されることはない」
    「俺たちは作品の中で、時を止めようとしてる」

ジーン「私が変わり始めたのはいつだろう? 心の内を語っていれば、迎える運命は違っただろうか?」
   「何かが起こり始めるような予感のすることがあるが・・その時にはもう既に始まっているのだ。
    死もまた同じである、そして自分の歩んだ人生も・・」

リッチー「自分に正直に書けば、結果なんてどうでもいい」

トーマス「斧は相手に近付かなきゃ殺せない。それに、殺すことだけが目的なら、銃を使ったろう」
ジーン「殺すことで、愛する相手を独占したと?」

マレン「仕事と信仰が心の支え。沈黙を守り、絆を保って、賢く生きるのだ。
    頬の内側を噛んで涙を堪える・・一度それを流せば永遠に止まらないだろうから」

※※「ひたすら沈黙を守った、心の中の燃えるような熱い思いを解き放たないように・・」
  「私は思った・・時には神のご意思を理解出来ないこともあるのだと。
   神は何故、私たちに喜びや死や怒りや愛情を同時にもたらし、
   その区別さえつかぬ程の混乱をお与えになるのか・・?」
  「同じ経験をした者でなければ決して断言することは出来ないだろう・・
   怒りに心と体を支配された時、自分がどうなるのか」
  「私たちが暗闇の中にいる時こそ、神は救いの手を差し伸べて下さるはず」

トーマス「彼女とは本気か?」
リッチー「俺が本気にならないのは知ってるだろ?」

トーマス「才能があれば全て許される・・そうは思わないか?」
リッチー「違うね、それは天才だけだ」
トーマス「そうか・・この夕陽さえありゃ、誰にでも書けるって訳か・・」

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