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2008年5月23日 (金)

☆『椿三十郎(1962)』☆

19日(月曜)の夜、(以前に)録画しておいたモノを観た。
HD(ハードディスク)レコーダの残量が尽きて来てるもんで、録り溜めた番組(殆どが映画)をぼちぼちDVDに焼き「外部保存」して行ってる次第だが、今回は『虎の尾を踏む男達(1945)』と『椿三十郎』の“2作セット”で1枚に焼いてみた☆
う〜ん、なかなかに“ツウ好み”な取り合わせでござんす(・ω・)

『用心棒(1961)』からわずか1年! 凄腕の浪人=三十郎がスクリーンに帰って来た!
クロサワ時代劇を代表する、快男児の活躍を描いた本作。かなり以前、知人の1人が「『椿三十郎』は面白い!」などと言ってたのを耳にして以来(その知人が余り物事を好評価しないことからも、より強く記憶に残った次第(=^_^=))、なかなか鑑賞の機に恵まれなかったが・・いよいよ観てみると流石に面白い!
ある意味「キャラクター陣(特に女性キャラ)の魅力」「全編ただ殺気立ってるだけじゃない演出」「ピンポイントで挿入された強烈な殺陣(たて)」なども含め、より“ダレ場”が少ない点などから『用心棒』やかの『七人の侍(1954)』すら凌駕してる部分も少なからずあった! ・・と私的に感じた。

冒頭。オープニングで“山本周五郎作「日々平安」より”とクレジットされた本作。
山中のお堂に集まった「9人の若侍たち」に助言を与え、ご当地の藩の汚職疑惑に絡んだ陰謀を暴いて行くのが主人公=椿三十郎(三船敏郎)。
情熱的なリーダー格=井坂伊織(加山雄三)を正しく導き、冷徹な参謀格=寺田(平田昭彦)に動くべき刻(とき)を教え、血気盛んな武闘派=保川(田中邦衛)には、冷静になれと・・行動と言葉(大抵は罵詈雑言(=^_^=))でもって指導して行く。
一方に控えるのは強敵(ライバル)となる大目付・菊井某の懐刀=室戸半兵衛(仲代達矢)。

全ての騒動を片付けた後、峠道でいよいよ対峙する三十郎と室戸。
そこに駆け付け、固唾を飲んで見守る若侍たちの前で繰り広げられた一瞬の剣戟の行方とは・・

三十郎が刀(鞘でなく白刃)を抜き、生命のやり取りをするシーンが劇中で“わずか3、4シーン”しかないんだが、それ故にそれら限られたシーンにおける抜き打ちの素早さ、容赦のなさが際立つ。
(近年の)仲代さん曰く“タコではないか、これは”ってな(=^_^=)独特な容貌の室戸に至っては、最後の最後まで真剣で斬り掛かったりはせず、不気味な「居合いの達人」の未知数ぶりをキープし続ける。

9人の若侍には含まれないが、とある展開から彼らに合流する“俗称:押入れ侍”を好演した小林桂樹のとぼけたキャラがこれまた素晴らしかった(=^_^=)
惜しむらくは、本作ばかりにおいては、余り魅力を放ってくれなかった次席家老・黒藤役の志村喬さんだったろうか・・ファンとしては、もうちょっと「ええ役」をして欲しかったかなぁ、と。

いきなりお堂で詮議してる若侍たちの描写から、三十郎の唐突な登場(この脚色も実に自然な印象で良い)・・そして、お堂の周辺では既に事件が他発的に回り始めていたのだった・・! と言う流れ。
全くもって「脚本のお手本」みたいな素晴らしさだ(⌒〜⌒ι)

前作(?)『用心棒』に比べ、市井の人々が殆ど登場せず、個性的なキャラには恵まれない(何せ『用心棒』では、ピストルを愛用してる奴までいたもんで・・)反面、ずんずん物語の進んで行く“オン・ザ・レール感覚”は更にパワーアップしていた。
殊に公開当時、劇場であのラストシーン(あの長回しの緊張感たるや!)を眺めることが出来た観客が、正直羨ましく思えてならない。

〜 こんなセリフもありました 〜

三十郎「“一番悪い奴”はとんでもねぇ所にいる・・危ねぇ危ねぇ」
   「バカ野郎、逃げるつもりならはじめっから出て来やしねぇや」
   「“盗み聞き”って奴ぁ、話してる奴より話の本筋が良く分かる」
   「手前(てめぇ)が馬鹿だと思われてるのを、気にしねぇだけでも“大物”だ」
   「間抜けな味方の刀は、敵の刀より危ねぇ」
   「さっきの見張りは3匹だが猫だ・・今のあいつは1匹だが虎だぜ」
   「其れじゃ話が美味(うま)過ぎやしねぇか? うっかり美味過ぎる話に乗ると・・酷ぇ目に遭うぜ」
   「俺はやりたくねぇ、抜けばどっちか死ぬだけだ・・つまらねぇぜ」
   「俺が斬られても“こいつら”は斬るなよ」

室戸「この男を片付けるには、だいぶ手間がかかるぞ」
  「菊井は悪知恵はあるが、人物は小さい」
  「これ迄ですな」

家老の妻「助けられてこんなこと言うのはなんですけど・・すぐ人を斬るのは悪い癖ですよ。
     あなたは何だかギラギラし過ぎてますね・・そう、抜き身みたいに。
     あなたは“鞘のない刀”みたいな人、良く斬れます。
     ・・でも、ホントにいい刀は鞘に入ってるもんですよ」

押入れ侍「奥方は私が逃げるなんて少しもお考えなさらない・・これじゃ逃げられません」

若侍ら「こうなったら、死ぬも生きるも我々9人・・」
三十郎「10人だ! 手前らのやることは危なくて見ちゃいられねぇや」

若侍A「人の気に障るようなことばかり言うのは、あの人の癖です」
若侍B「そういやぁ・・そうだな」 ←このやり取りは笑える

若侍ら「貴様の出る幕か!」
押入れ侍「今すぐ引っ込みます」

三十郎「とにかく椿が合図だ」
寺田「しかし、時々自然に散った奴が流れて来ますが・・」
三十郎「ごっそり流しゃ文句あるめぇ?!」

城代家老「お前らが謝ることないよ、わしに人望がなかったのがいかんのだ」

追記1:会話の中でのみその名の出て来る“大目付・菊井”そして“城代家老・睦田”。なかなか姿を見せない辺りがやきもきさせてくれて良かった(=^_^=) 特に後者(城代家老)ってば・・そこまでの会話から“タヌキ系”を想像してたら・・全く違う動物系だった・・! これも1つのサプライズ(=^_^=)
追記2:意外と限定的で不思議な味わいだったロケーション。冒頭と終盤の風景が同じ藩内とは・・にわかに信じ難い(=^_^=)
追記3:ラストは何故だか『アダムス・ファミリー(1991)』の学芸会のシーンを連想してしまった(=^_^=)
追記4:本作における“女性キャラの絡ませ方”は、クロサワ作品随一の素晴らしさではなかろうか。緩急のバランス面での見事な奏功に大きく貢献していた。

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