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2008年4月16日 (水)

☆『デッド・サイレンス』☆

15日(火曜)。仕事の帰りになんば方面へ向かい、久々の「敷島シネポップ」で『デッド・サイレンス』を鑑賞して来た。
そもそもは『ノーカントリー』を一刻も早く観たいワタシなのであるが、それに先立ち「小品ながら良く出来たホラー」なる好評価を某ラジオ番組でチラリと耳にし、以後気になってたもんで先に割り込ませることとした次第。

初の長編作『ソウ(2004)』で一気に世界へと躍り出た若き才人=ジェームズ・ワンが放つ3年ぶりの監督作品・・ってことで、『ソウ』ファンの期待値こそは高まってるんだろうが・・ワタシは『ソウ』シリーズ(4作目まで続き、5作目も製作されてるらしい)を全く観てないもんで、逆に言えば余計な予備知識を持たぬまま鑑賞出来た、と言う幸せな観客だったかも知れない(・ω・)

・・紀元前6世紀。死せる者の霊魂は、生者の腹部を介し話しかけて来ると信じられていた。
そしてラテン語で“腹”と“話す”をそれぞれ表す言葉が混ざり、“腹話術師”という新たな語が生まれた。
これが“腹話術”の起源である・・

主人公ジェイミーは愛する妻リサに見守られつつ壊れた水道(排水口)の修理をしている。そんな中、戸口に「ジェイミー・アーシェン様」とだけ書かれた、差出人不明の大きな荷物が届けられる。2人が部屋に運び込んだ包みを開けると・・果たして箱(トランク)の中には精巧に作られた木製の腹話術人形(1体)が入っていた。
誰が? 何のために? 不審がるジェイミーとは対照的にリサは「養子がやって来たわよ」などと屈託のない感じ。
結局、水道を直せなかったため、ジェイミーは彼女を家に残し、夕食を買いにクルマで出かける。

そして、帰宅した彼が眼にしたものは、床に広がる血だまり・・そして舌を切り取られ、凄まじい形相で息絶えた妻の姿だった。

リプトン刑事(ドニー・ウォールバーグ)に疑われつつ、独自にリサの死の謎を解明しようと考えたジェイミーは自宅に戻り人形と箱を調べる。その結果、箱の内張りを剥がした部分に「メアリー・ショウとビリー」なるイラストがあること、人形のうなじに「ビリー」の名が刻まれていることを掴む。

ジェイミーはビリー(人形)をクルマに乗せ、父エドワード(ボブ・ガントン)と別れて久しい、故郷である“静かに暮らせる町”「レイヴンズ・フェア」に戻るのだった。
迎えたエドワード、その新しい(3番目の)妻(=主人公にとっては義理の母)エラ、老いた葬儀屋ヘンリー・ウォーカー(とその妻マリオン)に情報を得たジェイミーは町に伝わる恐ろしい詩の一節
「メアリー・ショウにご用心。夢で彼女に出会っても、決して叫んじゃいけないよ。叫べば舌を抜かれちゃう。
誰かが叫んじゃう限り、彼女は殺しをやめないよ。そして最後の最後には、怖い人形が襲って来る」
をはっきりと思い出す。
墓地でメアリー・ショウ(1869-1941)の墓標を眼にしたジェイミーは、そばにある「ビリーの墓」に人形を埋葬するのだが、その“儀式”を経てなお呪いは全く鎮まらず、更なる怪現象が次々と彼の周囲を襲うのだった・・みたいな流れ。

うーん・・何だか荒っぽくて粗い仕上がりのホラーだったなぁ。
と言うか「怪現象が次々と起こるけど、最後には全てがスッキリ“合理的に”解決される」と思ってたもんで「基本オカルト路線」だと知った時はかなり落ち込んでしまった・・劇中で何度も化けモンが襲って来たり、人形が動いたり(←冷静に考えると有り得ない・・)、「聞こえて来る筈のない者」の声が語りかけて来たりするんだが、それらも「ファンタジーやんか!」と見切ってしまうと実にしょ〜もない。「コレ、主人公の幻覚・幻聴・妄想ってオチなのでは?」とまで読んで行ってしまったりも(・ω・)

ただ、ラストの2段階の“オチ”には流石に驚かされた! と言うか、単純に不快でした(×_×)
何だか「登場キャラが全て“人形のように”操られ、それを見せられてる我々観客もまた“人形のように”操られてましたぁ!」みたいな感じ。

ボブ・ガントン、余り出番もないし、決して動き回る訳でもないんだが・・観終わった瞬間、直感的に(=^_^=)「ある意味、アカデミー助演男優賞モノの演技やったやんか!」と妙に絶賛してしまった。もしくはラジー賞か(=^_^=) ←どっちやねん・・
オチの1ツ目は『ロボコップ2(1990)』における大悪党=ケインの解剖後シーン(うげ!)に通じる気味悪さを連想し、
オチの2ツ目(=意外なキャラに繋がる演出)は横溝正史の推理小説「八つ墓村」における真犯人像にも繋がるサプライズがあった。

ほか、演出的に
・リプトン刑事の性格付けと運命⇒『スターリングラード(2001)』におけるロン・パールマンの演じたキャラ(退場の仕方とかも)
・オカルト現象に屈する「現実派キャラ」である筈のリプトン刑事⇒『呪怨(2003)』における2人の刑事さん(・ω・)
・ロストレイク(失われた湖)のほとりに建つ劇場で行われた腹話術人形公演⇒『リング(1998)』における「公開実験とそれにまつわるバッシング」のテイスト

など・・「似てるかも?」と感じた。

前述の通り「全ての“フリ”が合理的に説明されない」辺りは“バカホラー映画”とバッサリ評しても良いんだろうが(ヒッチコック監督作に対して感じるような“クレバーさ”は微塵もない!)、極めて不条理な感情「殺されて尚、尊厳を奪われ、遺体を弄ばれる・・そんな恐怖・絶望・無情ってこの上ないよなぁ・・」を強烈に覚えたのは特筆すべきことかも知れない。

〜 こんなセリフもありました(×_×) 〜

※「答えを求めれば、見つけてしまうかも」

※「完璧な人形をこしらえるのは、大変な作業・・生身の人間の一部すらが必要となる」

追記1:序盤のとある展開だけだが、デヴィッド・フィンチャー監督の『ゲーム(1997)』にそっくりだった(⌒〜⌒ι)
追記2:ドニーさん、こんな役柄ばっかし・・(×_×) 弟のマーク・ウォールバーグと違い、まだまだ映画俳優としての脚光は当たりにくい感じ。。

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コメント

こんばんは。
コメントで「気持ち悪いの」と書かれていたのはこれだったのですね。
私は『ノーカントリー』か『ブラックサイト』か、(まさかの)『幽霊VSナントカ』かな・・・と。
でも『ノーカントリー』じゃなくて良かった?です。近々に観に行こうと思っているので、もし書いておられたらつい読んでしまいそうで。TiM3さんのレヴューはいつもネタバレ無しで書いて下さっていますが、ノーカントリーに関しては既にかなりの情報が入ってしまっているので、観に行くと決めた時点でもう読まないようにしていました^^;。

『ソウ』シリーズですか・・・。
私は一作目で衝撃を受け、且つまたその怖さに観た事を非情に後悔し、二作目以降は観ていません。(>_<)
だから本作も、冷静な分析をされているものの、多分、いや絶対、もの凄く怖いのだろうなぁと想像しながら読ませて頂きました。

投稿: ぺろんぱ | 2008年4月17日 (木) 22時11分

ばんはです。

何か今日は雨が続いてましたねぇ、大阪。
雨が降り続くとフィンチャー監督の『セヴン(1995)』を思い出してしまいます(×_×)

>コメントで「気持ち悪いの」と書かれていたのはこれだったのですね。

ホンマに気持ち悪かった・・最後。
ちょっとあの映画を観た直後では、スープを飲む気がしないでしょう(×_×)

>でも『ノーカントリー』じゃなくて良かった?です。近々に観に行こうと思っているので、
>もし書いておられたらつい読んでしまいそうで。

おお・・日付と時間帯と劇場名のヒントが頂けると、こそっと嬉しいです(やめなさい、と)

>ノーカントリーに関しては既にかなりの情報が入ってしまっている
>ので、観に行くと決めた時点でもう読まないようにしていました^^;。

うーん・・でも元々からコーエン兄弟作って、粗筋を知ってるかどうかなんかは、あんまし関係なかったりもしますよね?(違うかな?)
ワタシの最大の興味は、何と言ってもキーとなる人物を演じるハビエル・バルデムと言う俳優さんを観ることですね。
『海を飛ぶ夢(2004)』で主演しておられた人なんだけど、あの作品がかなり良かったのですワ!

>私は一作目で衝撃を受け、且つまたその怖さに観た事を
>非情に後悔し、二作目以降は観ていません。(>_<)

げー、そうなんですか。最近、興味が高まってるんですけどね。

>だから本作も、冷静な分析をされているものの、多分、いや絶対、
>もの凄く怖いのだろうなぁと想像しながら読ませて頂きました。

所詮はオカルト系なんですけどね・・
『呪怨(2003)』の中盤ぐらいまでの方がよほど怖かったですねぇ。
(まぁ宗教観とか文化の違いもあるんでしょうね)

ボブ・ガントンと言えば『ショーシャンクの空に(1994)』で追い詰められた刑務所長、『ブロークン・アロー(1996)』でトラさん(トラボルタ)に懐中電灯のごっついヤツで胸部をぶっ叩かれて即死したおっつぁん・・と言う「印象派」の男優でしたが・・
これからは「スープおじさん」と呼んでしまいそうです(×_×)

投稿: TiM3(管理人) | 2008年4月17日 (木) 23時43分

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