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2008年4月30日 (水)

☆『トスカーナの休日(2003)』☆

28日(月曜)の夜、衛星第2で放送されたものを鑑賞。
正直、あんまり期待してなくて、ただダイアン・レインが主演するから観ておこうかな〜程度に考えてたんだが、これがなかなかに心にしみて来る“ほろ苦い大人の恋愛モノ”に仕上がっていた。
どっちかってぇと女性向けの、“喪失”と“再生”の物語なようにも思うが・・(・ω・)

夫トムの不倫を原因とする結婚生活の終焉。いきなり失意の底に叩き落とされた主人公の作家(書評の仕事もしている)フランシス・メイズ(ダイアン)は、妊娠が発覚した友人パティー(サンドラ・オー)から「10日間のイタリア・トスカーナ地方の旅」を私の代わりに行ってもらえない? と持ちかけられる。同じような立場の男女が暮らす“離婚者マンション”での息の詰まるように暮らしに慣れぬフランシスは、考えた結果、気分転換も兼ねてその申し出を受けることに。

降り注ぐ陽光、咲き誇る幾多のひまわり・・バスの中はゲイだらけ・・(・ω・) そんな中、フランシスは「ブラマソーレ(BRAMASOLE:太陽に焦がれる、の意)」と書かれた(表札の掲げられた)古びた屋敷を車窓の向こうに見つけ、何かの“啓示”を受けたのか・・何と! バスを飛び降り、その屋敷へ向かう。
で、あろうことか、自身に残された資産の殆どをはたいてそれを購入してしまうのだった。
かくしてトスカーナでの新しい生活が始まったのだが、色々とフランシスを巡る“男難(女難の反対・・)”が巻き起こり・・みたいな流れ。

『フィールド・オヴ・ドリームス(1989)』の主人公(ケヴィン・コスナー演じる)じゃあるまいし・・って感じでやや強引な感もあるんだが、ヒロインがいきなし異国の地で新生活を始めちゃうって“転”の部分が「軸」としては面白い。男性のワタシには分からぬ“お告げ”みたいなものを体感する(子宮で感じる?)能力が、女性の中には備わっているのかも知れない、本能的に。

基本的に悪党の登場しない本作だが、舞台がイタリアってことで、あの国ならではの“プレイボーイ”がわらわらとフランシスにまとわりつく(⌒〜⌒ι)
まぁ「口説くのが彼らの礼儀よ、例え妻子持ちだとしてもね」 ってセリフが劇中でサラッと語られてましたけどね。。

そんな訳で、彼女は瞬く間に(?)不動産屋のマルティーニ、庭師の青年パベル(←彼はポーランド人)、街で知り合ったマルチェロ・・ってな男たちと親密になってゆく。
で、再び、燃えるような情熱と官能の時間を取り戻したフランシスは「まだ男をとりこにできる、すごい!」とはしゃぐのであるが、そんな恋も長くは続かず・・

このトスカーナの地で「新婚パーティーを開きたい」「家族を持ちたい」と願う彼女の気持ちは果たして天に通じるのか?

いや〜・・ダイアン様。すっかり惚れてしまいました(⌒〜⌒ι)
表情によっては額に皺が目立ってしまったり、ベッドで「まだ男をとりこにできる!」とジタバタしながらはしゃぐ演技などに「うっ・・」「ぐっ・・」とこちらの眉も思わずひそまってしまうんだが・・シャロン・ストーンより優しそうで、メグ・ライアンより賢そう・・そんな一面が発見されたような気もします(いや、前述のお2人とも、十分に魅力的ではありますが、、ファンの方、済みません)

“ブラマソーレ”のバルコニーから見下ろした、とある塀の装飾(祠か?)に、欠かさず花を供える老人が何度も描かれるが、彼がフランシスに心を開く日は来るのか?(現状=彼女が手を振れど無視される)とか“ブラマソーレ”のとある部屋の壁に据え付けられた、装飾の施された“蛇口”から、真っ当に水が流れ出る日は来るのか?(現状=壊れてるのか、何も出ない)とか、幾つかの「フリ」が提示されているのも、ちょっとハートフルな遊び心があって良かった。

原作者=フランシス・メイズ(!)の趣味なのか、映画化に当たっての製作陣の“創作”なのかは分かんないが、全編に渡りフェデリコ・フェリーニ監督へのオマージュが捧げられてる感じなのは、独特の“知性”が作品世界の底を流れてるようで、なかなかに魅力的だった。

紆余曲折はあったけど、最後にはめでたしめでたし・・やはり恋愛モノは、こう言う作りが一番安心出来るのだ。

〜 こんなセリフもありました 〜

フランシス「批評って多様だから・・悪い批評は忘れて」
     「不動産の購入に後悔は付き物よ」
     「こちらがゆっくり手をかけると・・家も応えてくれる」
     「人を知るには時間がかかる」
     「離婚では死なないってこと、離婚して初めて知ったわ」
     「信仰を持つ人々が羨ましい」
     「恋や悲しみは人を愚かにする」
     「人生は・・驚きの連続」

パティー「あなたは生きてない、落ち込み続けないで」

弁護士「ここを乗り越えろ、幸せはまた来る」

※「(隣の)泣き声が迷惑なら、壁を叩けば収まる」

マルティーニ「(幾つもの国で)同じ表現があるのは、それが真実だから」
      「お願いだ、もう悲しまないで、でないと過ちをおかしそうだ」

プラチド「夕食においで、独りは良くない」
    「愛が冷めたとき、残るのは悲しみだけだぞ」

婆さま「年はとっても・・心は傷つくのよ」

マルチェロ「イタリアの信号はこうだ・・青は“進め”黄は“お飾り”赤は“注意しろ”」
     「美しい瞳だ・・その瞳の中で泳ぎたい」
     「君の体を食べ尽くすよ」
     「男女の仲にはタイミングがあるんだ」

フェリーニ「世界はキミのもの、何にでも挑戦しなさい」
     「失ってはいけない、子どもの無邪気さを」
     「後悔は時間の浪費、過去は現在を殺す」

※上記はフェリーニが存命中、恋人のキャサリンに語った言葉、とのこと。

エド「てっきりあなたの結婚かと・・違っててほっとしました」

パベル「結婚出来ないと死んでしまう!」
フランシス「いえ、死なないわ」

追記:フランシスが母国(?)から発送した書籍などの荷物(数箱)。これがトスカーナの新居に届くのが、劇中のかなり後半なのも演出として面白かった。これにより「瞬く間に過ぎて行く新天地での生活」と「既に色褪せつつある過去」が巧く表現されている。

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コメント

こんばんは。
これ、私はDVDで観ました。
(拙ブログにも稚拙な感想を挙げてます、またお時間があれば・・・。)

ダイアン様、“いい女っぷり”ですよね。
あの「皺」も私にはとても魅力的に映りましたよ~。(*^_^*)

作品としては感傷的になり過ぎず、「人間」としてひと皮向けてしなやかになって行くフランシスが描かれていて小粋な感じでした。

「フェディーニへのオマージュ」・・・、というのは私には感知出来なかったので新鮮な驚きでした。例えばどんなところでそうお感じになったのか、よろしければご教授下さいね。

投稿: ぺろんぱ | 2008年5月 1日 (木) 22時41分

ぺろんぱさん、ばんはです。

K阪電車内で、ダイアン・レイン似の女性を探すんですが、なかなかいませんね(いるかい!)

>これ、私はDVDで観ました。
>(拙ブログにも稚拙な感想を挙げてます、またお時間があれば・・・。)

実を言いますと、参考とさせて頂きました。やはり品の良い文章に感服致しますた(⌒〜⌒ι)

>ダイアン様、“いい女っぷり”ですよね。
>あの「皺」も私にはとても魅力的に映りましたよ~。(*^_^*)

直後にリチャード・ギアに殺害されるとしても、ダイアンさんとお付き合いしてみたいです(またそのネタかよ・・)

>作品としては感傷的になり過ぎず、「人間」としてひと皮向けて
>しなやかになって行くフランシスが描かれていて小粋な感じでした。

途中で不誠実な男が現れるのですが、彼なりに家族を紹介したり、「元気を出して」と気遣いを見せたりして、ワタシとしては(同性だからか)完全に憎みきれないトコがありました。
少なくとも、あいつは悪党ではないと思います。

>「フェディーニへのオマージュ」・・・、というのは私には感知
>出来なかったので新鮮な驚きでした。例えばどんなところで
>そうお感じになったのか、よろしければご教授下さいね。

いや、それがモロなんですよ。
・少女時代にフェリーニと知り合い、薫陶を受けた女性=キャサリンが登場する
・キャサリンが劇中で「フェリーニの言葉」を主人公に語って聞かせる
・『甘い生活(1959)』『カビリアの夜(1957)』がネタとしてセリフの中で語られる
・『甘い生活』における“噴水のシーン”が、まんま(劇中で)再現される

※因みにワタシはいずれも未見なので『道(1954)』しか語れません・・(×_×)

投稿: TiM3(管理人) | 2008年5月 2日 (金) 00時23分

再びこんばんは。
フェリーニの件、そうだったのですね。
すっかり細部を忘れていました・・・とうよりも、多分観た時もきちんと認識できていなかったのでしょうね。
お恥ずかしいかぎりです。私の鑑賞眼は浅薄ですね。(恥+冷や汗)

フェリーニは何作か観たのですが、初めての出会いはかなり昔に仕事帰りに観たリバイバル上映でした。寒い冬で、一緒に行った女性と居酒屋で熱燗と軽食を済ませ、その後で臨んだ上映会で“しっかり”寝てしまっていました。(恥)

投稿: ぺろんぱ | 2008年5月 2日 (金) 19時35分

ぺろんぱさん、ばんはです。

ワタシも、ここ2日間は酎ハイやビールを飲みまくってます(・ω・)

>お恥ずかしいかぎりです。私の鑑賞眼は浅薄ですね。(恥+冷や汗)

まぁ、色んな鑑賞観がありますから・・(・ω・)

>寒い冬で、一緒に行った女性と居酒屋で熱燗と軽食を済ませ、
>その後で臨んだ上映会で“しっかり”寝てしまっていました。(恥)

飲んでから観るのには、フェリーニ作品は適していないと思います。

ほろ酔い気分で観たいのは『マルホランドドライヴ』とか『ソラリス』でしょうかね。あの手の作品は“浮遊感”に包まれながら観るのが正しいような気もします(=^_^=)

投稿: TiM3(管理人) | 2008年5月 2日 (金) 23時31分

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