☆『実録・阿部定(1975)』☆
31日(月曜)の鑑賞。いよいよ本日をもって、千日前の誇る(?)老舗映画館「千日前国際劇場(千日前国際シネマ、千日前国際地下劇場を含む)」がイッキに閉館となるのだった・・
昨日の時点で「コレは行っとかねば!」「残業がなければ行ってみよう」と漠然と考えていたんだが、何となく仕事に区切りがついたので、出かけた。
3劇場のうち、最下層にある「国際地下劇場(←グローバルかつアンダーグラウンドなその響きがたまんない(=^_^=))」で上映されてた『実録・阿部定』を観たんだが、どうやら劇場側は『団地妻・昼下がりの情事』との2本立てで見せたかった(?)ようで、売り場のおばちゃんには念押しされるように「今からやと1本しか観られへんけど、エエね?」と訊ねられた。
まあ、両方観れるのが理想的なんだが、こちとらそうもいかへんもんで。。
ってことで(ワタシとしてはそっちの方が観たかった(=^_^=)⇒)『団地妻〜』は(残念ながら)切り捨て、上映開始時間に間に合った『実録〜』のみ観た次第。料金500円也(・ω・)
いやぁ・・濃厚で、ツウ好みで、衝撃的な密室劇だった(×_×)
そもそも「阿部定事件」ってのがどう言う顛末なのか、一番インパクトのある部分しか知らないもんで、そこに至る男女の愛憎の流れ、みたいなモノ(全体像)をようやく掴めた気がする・・
って言うか、30歳代半ばぐらいにならないと(閨房においてのみ見受けられる“男女の解放された変態性”なんかがそこそこ理解出来てないと)、物語自体を受け付けられないんじゃなかろうか。。
東京某所(下町)の待合い旅館を舞台に(殆ど戸外ロケーションをしてない!)駆け落ちした中年男女2人=石田吉蔵&阿部定の愛憎の行方を描く。「実録」と銘打ってるもんで“真面目くさったドキュメンタリー仕立て”みたいにも思えるんだが、始まって間もなく「あ、まんま成人映画じゃねぇか・・」と気付かされる。特に男女の絡みが多くて多くて、、気恥ずかしいやら何やらで・・(・ω・)
“有終の美”を飾る作品がこーゆーので良かったのか?! 劇場主さんよ?!(⌒〜⌒ι)
お互いを舐めたり噛んだり、痛め付けて慰めて、もはや「獣チックな領域」に突入しちゃってる「痴男痴女(ちなんちじょ)」なお2人なんだが、妻帯者である吉蔵は場末の安宿にこもってひたすら「酒」と「性」を貪る日々に恐れや引け目も感じ始めているのだった・・
「おかみさんになんか、指1本触らしゃしないよ!(←いや、彼女が正妻なんですけど・・)」と初めての“相惚れ(相思相愛)”に飽くことのない定は、時として静かに激高し、持ち出した包丁で吉蔵を突き殺す真似をしたりする。
そんなある日、性交時の快感をより高める(!)ため、相手の頸部を腰紐で絞める・・なるプレイにハマってしまった定は興奮のあまり、吉蔵の首に痕跡が残るほどのダメージを与えてしまうのだった。
カルモチン(鎮痛剤)や「モナミ(銀座の有名店)」の高級スープを与え、手厚い看護をする定を尻目に、吉蔵は「ここらで一度、家に戻ろう」みたいな言葉を漏らす。
「この人を誰の手にも渡さないようにするには・・」
定の頭に、とある悲壮な決意が浮上するのだった・・みたいな流れ。
主人公を演じた宮下順子さん、とりたてて(めちゃ)美人と言う訳でもなく、そんなに裸体も美しい感じではなかったが、とにかくその表情(中でも“目”)にインパクトがありスゴい!
包丁を持ち出してふざける・・と言うシーンでもホントにぐっさり突き刺して来そうな、そんな“予測不能”な雰囲気を自然体で(?)スクリーンにさらしてくれる。
回想シーンの中で5歳、10代、20代、とピンポイント的に彼女(=定)の半生が映像的に綴られるが、10代の映像を眺めて「10代じゃねぇだろ?!」と思わづツッコんでしまったのは申し訳なくも仕方のないトコロ。。
終盤の“アレ切り”では、ちょっと血のりがニセモノっぽくて、残念だった(と思いつつもホッとしたのも事実だが(・ω・))。因みに、委縮してしまってたのか(?)“アレ”は大した“寸法”でもなかったようである、、
ラストでは、実録映画っぽく画面に「押収証拠品」が文字でババーン!と表示される。ナニナニ・・?
・女もの腰紐1本
・肉切り包丁1挺
・局部 ・・っておい。。(個数は書かなくてエエのか?)
上映時間約75分、と言う短さの割に、何だか濃密な作品世界にすっかりのぼせちゃったみたいで、異常に疲れてしまった鑑賞だった。「とにかく、早く戸外の新鮮な空気を吸いたい」・・と切実に感じてしまったものである(=^_^=)
追記:宮下さん、近年も『美しい夏キリシマ(2003)』『四日間の奇蹟(2005)』『海猫(2004)』などに出演されてる現役女優さんらしい(・ω・) 近作に於ける円熟の演技(?)をぜひ拝見したいものだ。
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コメント
駆け込みですね。
やっぱり最後の上映って、行って上げたいという気がしますよね。
記憶に薄いですが、この後、藤達也さんのフランス版でも”アベサダ”ありましたね。あれ?あちらの「愛のコリーダ」の方が先だったか?
投稿: west32 | 2008年4月 1日 (火) 23時10分
westさん、ばんはです。
隣の劇場では“裕ちゃん作品”をやってたのに、、こっちを選んでしまいました。
もはやワタシは「石原軍団」失格ですね・・
(って今まで団員きどりやったんかい!)
>記憶に薄いですが、この後、藤達也さんのフランス版でも
>”アベサダ”ありましたね。あれ?あちらの「愛のコリーダ」の方が先だったか?
ええと、製作年順で並べると
「実録 阿部定」(1975)
「愛のコリーダ」(1976)
「SADA」(1998)
「愛のコリーダ(修正版)」(2000)
と言う感じで繰り返し(?)映像化されてるようです。
(ウィキペディアさん、有難う!)
良くも悪くも(良い訳がないけど・・)「1つの愛の完成形」として、古今の映像作家たちを刺激し続けてるのかも知れません。
取り敢えず「(吉蔵を)生かしたまま“あの凶行”に及んだ」と言うワタシの誤解は今になってようやく解かれました。
(真相がどうだったか分かんないけど)
投稿: TiM3(管理人) | 2008年4月 2日 (水) 00時12分