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2008年3月23日 (日)

☆『ガチ☆ボーイ』☆

22日(土曜)の鑑賞。
「久々、劇場に行こう!」と決め『バンテージ・ポイント』とどちらにしよっかな? と迷いつつ決めたのが・・マイナー感漂う“スポ根”邦画『ガチ☆ボーイ』であった。
関西圏を代表(?)する映画評論家・平野秀朗氏(ラジオで喋ってる声しか知らない・・)がイチオシしてた作品、と言うのもあり観てみることに(まぁ『バンテージ〜』が人気あり過ぎて、直近の上映が満席(=座席状況:×ってヤツ)だったのもあるが・・)。

北海道学院大学(北大ではない?)を舞台に、学生プロレスに目ざめた主人公・五十嵐良一(佐藤隆太)の挑戦の日々を描く。

主人公とヒロイン=あさおかあさこマネージャー(サエコ)の恋愛ドラマなんかな〜と思いきや、そうでもなく実は「家族の物語」なんやな〜と気付かされた本作。
その反面、五十嵐家の家庭の事情が余り深く描かれず、それ故に(観客が自由に)想像力をかき立てる“余地”が敢えて残されている。そこが素晴らしい!

北学大プロレス同好会(HWA)はグラウンドの片隅に“くたびれたプレハブ小屋”を部室(?)とし構える小所帯の会。スター的な人気を博した佐田(リング名:ドロップキック佐田=24代目チャンプ)がプロレスを辞め、バンド活動に走ってしまったため、キャプテンの奥寺(リング名:レッド・タイフーン=25代目チャンプ)がかつての“盛り上がる試合”を取り返そうと「北海道学生プロレス連合」への加盟に躍起になっていたりする。

昨年(2006)の学祭でHWAの(無料)興行を観て以来、プロレスのとりことなった“優等生”良一は、当初こそ新メンバーとし温かく迎えられるが・・「試合の“筋書き”が覚えられず、ガチンコ(真剣勝負)に走ってしまう」「身体能力が低く、なかなか技を修得出来ない」「そもそも格闘センスがない」と言うことで、次第にHWAの中で不安視される存在となる。

その一方、都通商店街で開催されたエキシビションマッチ(公開模範試合)における良一(リング名:カエル男爵マリリン仮面)の白熱の試合ぶり(←それもその筈、彼にとっては“筋書き”の吹っ飛んだ“ガチ試合”だった!)をリングサイドで目にした「北学連合」の代表花形選手“シーラカンズ”がそれをいたく気に入り、HWAは見事、連合加盟を果たす。

その後の4試合、マリリン仮面は連合の放ったレスラーを次々に破り、無敗の記録が積み重なって行く。
が、その試合を眺めるHWA所属の新沼(リング名:玉子王子)の目にはそれが「解せない展開」と映るのだった・・
「今のあいつの関節技、全然決まってなかったじゃん?」

そしてマリリン仮面の5試合目を含む、今年(2007)の学祭の日が近付いて来た。
が、直前になり、体育館の使用申請のされていないことが発覚する。
良一にその役目を任せていた奥寺は怒りの余り彼に掴みかかるのだが・・実は良一には家族以外に知る者のない“ある秘密”を抱えていたのだった・・みたいな流れ。

良くも悪くも佐藤隆太のインパクトが大きい。ウィキ(ペディア)で調べてみたら『ローレライ(2005)』において“白球に生き、白球と共に散った”副操舵士を演じていたことを知った。なるほど・・

意外と“イケメンぞろい”だったのも女性客に対する呼び水とはなる・・か?(なってる・・か?)
私的には、
佐田・・反町隆史っぽい
シーラカンズのカッコいい方・・木村拓哉っぽい
玉子王子・・堤真一っぽい
とか勝手に思ってしまった。「っぽい」と言うだけの主観なんだけど。。

「深川湯」を男手1つで切り盛りしてる良一の父(泉谷しげる)はセリフも感情の表出も少ないんだが、それ故に終盤の行動が光る。まさに『遠い空の向こうに(1999)』『リトル・ダンサー(2000)』なんかにおける親父キャラの“渋み”をほうふつとさせてくれる。
妹・あかねを演じた仲里依紗(なか・りいさ)さんの「ぶっきらぼうで不機嫌だけど、兄のために健気に頑張るキャラ」にも好感が持てた。
終盤では自転車をひたすら漕ぎ、どこかの海岸まで突っ走っていたが・・一体どんだけの距離を走ったんやろ。。
(中盤までしか観てないが、伊丹十三監督『静かな生活(1995)』における兄妹にも通じる雰囲気を感じたり)

本作の“軸”となる部分は、まさに「記憶」なのだが、五体健全であるため、より一層“焦り”や“辛さ”が募ってしまう障害(症例)ではないかと思う。
脚本の素晴らしい見せ方により、彼が“記憶障害”を負ってしまったシチュエーションは中盤辺りになってようやく明らかとなるのだが、その直後に良一の1日 〜 朝、目覚めてから家を出、HWAの部室のシャッターをガラガラと押し上げる瞬間 〜 までが描かれる、その「視点」と「配置」が素晴らしいな! と感じた。
ワタシなんかだとシロウトだから、冒頭にそれを持って来てしまうと思う(・ω・)

「言っとくが、学生プロレスは“ガチンコ”じゃないからな」
「求められるのは“体力”“筋力”より・・“演技力”だ」

と言う「ホンネ」が序盤で早々に、率直に明かされる(?)インパクトも小気味良い☆ 

終盤の大ネタ(=大技)として“ドロップキック”が用いられる本作だが『ベスト・キッド(1984)』『シンデレラ・ボーイ(1985)』なんかのラストを連想させられた。
技そのものはシーラカンズが放った“ロープから相手に飛びつきつつ、両足首でその首を挟み、そのまま回転して倒す”みたいな華麗なテクニックの方(何て言う技だろ?)がよっぽど凄まじいと思うんだけど、きっとプロレスファンの中で“ドロップキック”だけは特に格別な扱いなのだろう(・ω・)

※ウィキで調べると“フランケンシュタイナー”なる技に当たりそうだ。ただし本作では“横回転”だったけど。。 

また、劇中で2回泣かされてしまったり(⌒〜⌒ι)

1つは強面(こわもて)キャラの大久保(リング名:デビルドクロ)が、ガチ試合で(良一から)顔面に頭突きを受けた直後の態度。一切怒りを彼に向けず、ひと言すら文句を言わなかったのだ。
ここを観て「顔つきと“外向き”の言動だけで人を推し量ってはあかんのやな〜」と改めて気付かされた。

1つは最後の試合。それまで「ギブアップしろ!」と繰り返してた(マリリン仮面の)タッグ相手が、(彼がいよいよ危機を迎えた)2カウント目を耳にするや(リング内に)助けに飛び出した瞬間。
「非力な(筈の)人間が、より大きな人間を動かし得る」
「そこに計算はなく、ただその人間が(彼に)与えて来た“記憶”が瞬時に、直感的に(彼の中で)結実する」
そんな風に感じた。

・医学的なオチを強引に付け足さなかったこと
・その後の展開を1枚の写真で描くにとどめたこと

も好感を受けた。
真っ先に「プロレス映画」と言う要素が飛び出してしまうため、ファン以外にはかなりとっつきにくい部分があるんだが・・色眼鏡をかけずに観て頂きたい作品である。

「健康であり、今日の自分が昨日の自分のまま続いている」現在の“実は幸福な日々”を、大事に生きようと言う意欲が、ちょこっとばかし高まると思うので。

〜 こんなセリフもありました 〜

良一「カラダは昨日の僕を覚えている。僕は生きてるんだ!」
  「生きてる証は“プロレス”しかない」

あかね「家族がギクシャクしちゃってるのが・・それが辛いです」

奥寺「自分の記憶に残らなくても・・みんなの記憶に、刻んでやるよ」

追記1:元々は舞台劇だったらしい。
追記2:ヒーロー然として描かれる佐田、、の彼女。めちゃめちゃ不細工でしたが(×_×)
追記3:エンドクレジットに入ってた「アヴリル・ビン・ラディン」なる人名にちょっと苦笑させられた。レスラーさん?
追記4:本作のエッセンスを抽出し、イギリス映画(炭坑モノ)としてリメイクしたら・・大ブレイクするんかも(⌒〜⌒ι)

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コメント

こんばんは。
久々の記念すべき劇場鑑賞作品として、とてもナイスセンス!と拝読させて頂きました。
私は未鑑賞ですが、佐藤隆太クンは中々感じがいいですし、記憶障害を背負って尚精一杯前向きに生きる青年の物語として、そこに「プロレス」という一見全く交差することのないような世界が加わっていて、何だか面白そうだなぁと思っていました。

>劇中で2回泣かされてしまったり
男性を泣かせる映画ね、きっと。

>・医学的なオチを強引に付け足さなかった
>・その後の展開を1枚の写真で描くにとどめた
説明的になってしまうと白けてしまうことも往々にしてありますものね。

>大事に生きようと言う意欲が、ちょこっとばかし高まると
人は(少なくとも私は)そういう思いを味わえる映画を実は最も欲しているのではないかと思っています。

力の入った、且つ楽しい鑑賞記をありがとうございました。

投稿: ぺろんぱ | 2008年3月24日 (月) 20時05分

再び、こんばんは。
先のコメントの修正です。

>>劇中で2回泣かされてしまったり
>男性を泣かせる映画ね、きっと。

↑これは、「男性を泣かせる映画は(やくざ映画であるにせよ何にせよ)いい映画ですね、きっと。」と記入したはず、なのでした(T_T)。何らかの私の操作ミスで途中を削除してしまったようです。それほど酔ってはいなかったはずなのに・・・・すみません、でもTiM3さんがご覧になる前に気付いてよかったです。修正します。

投稿: ぺろんぱ | 2008年3月25日 (火) 20時19分

ばんはです。
返事が遅くなりすみません(⌒〜⌒ι)

昨晩はめちゃくちゃ飲んでしまい倒れ込むように倒れ込んでました。。
気分は『リーヴィング・ラスベガス』でした(おいおい)

>久々の記念すべき劇場鑑賞作品として、
>とてもナイスセンス!と拝読させて頂きました。

最近、ちょっと邦画のちっちゃいの(小品)が気になりますね。
最近のファンタジー系は正直、そんなにアンテナに響きません(・ω・)

>一見全く交差することのないような世界が加わっていて、
>何だか面白そうだなぁと思っていました。

「肉体の記憶」「他者の記憶」などが深い部分のテーマとなってました、かね。
シーラカンズと言う2人組が“最終的なワルキャラ”なんですが、
彼らの試合後の態度が、これまた「伝わって来る」んですよ!

>劇中で2回泣かされてしまったり

うらはらな心情、みたいなものが描かれると、それだけでウルウルして来ます(⌒〜⌒ι)

>説明的になってしまうと白けてしまうことも往々にしてありますものね。

ラストショットはちょっと『ピンポン』みたいでしたね。

>人は(少なくとも私は)そういう思いを味わえる映画を実は
>最も欲しているのではないかと思っています。

また、なんかこの・・イギリス炭坑哀歌モノが観たくなりますね(=^_^=)

>力の入った、且つ楽しい鑑賞記をありがとうございました。

ネタバレはないと思います。
よろしかったら、どうぞ☆

投稿: TiM3(管理人) | 2008年3月26日 (水) 00時11分

>↑これは、「男性を泣かせる映画は
>(やくざ映画であるにせよ何にせよ)いい映画ですね、きっと。」
>と記入したはず、なのでした(T_T)。

そうですね。
ただ「やくざ映画」って部分で既に「異界(?)に舞台をずらしちゃってるやん」って感じの「作り手側の“逃げ”」を感じてしまい、
ちょっと食指が動かなかったりしますね。

そんな理由で「北野監督作品」は、殆ど観てないんです(⌒〜⌒ι)

観たらはまるかも知れないけど、、

>でもTiM3さんがご覧になる前に気付いてよかったです。修正します。

ご丁寧にありがとやんした!

一般人気とマイ評価の「ずれ」を久々に感じた本作でした(=^_^=)

ソレデヨイデハナイカ!

投稿: TiM3(管理人) | 2008年3月26日 (水) 00時18分

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