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2008年2月20日 (水)

☆『犬神家の一族(2006)』☆

18日(月曜)の夜、地上波初登場で放送される。
数週間前までは、予想だにしていなかった「巨匠・市川崑監督追悼・緊急特別企画」と冠されたプログラムである。

「よぉ〜し、今日こそはパッパと仕事を済ませ帰宅し、じっくり正座して観よう!」と考えてたものの・・やっぱりと言おうか、残業が4時間近く長引き(←最悪や!)、帰宅した時点で第3の殺人がちょうど起こったトコだった(×_×) ・・ってこたぁ既に後半戦突入じゃん!
録画さえしとけば、こんな悔しい気持ちは味わわずに済んだ訳だが、裏ちゃんねる(衛星第2)で放送されてた、これまた市川監督作品『細雪(1983)』を録っていたので、今回はただ、嘆くしかなかったのである。
(まぁ『細雪』の方が“完成度”の高い気がしたし)

が、“日本映画史上最高のミステリー”“巨匠究極の遺作”などと(新聞のTV欄で)賛辞が踊りまくってる割には、何だか全編(と言っても半分しか観れなかったけどさ(・ω・))を覆う空気が、何とも“和気あいあい”としてるように感じられた。物語世界の端々にまで行き渡った空気が、総じて「ミステリーとして、この締まりのなさはどうよ?」とワタシに思わせたのである。

その理由は、1つに「金田一耕助(石坂浩二演じる)の“貫禄つき過ぎな還暦キャラ”の雰囲気」にあり、1つに「コントにしか見えぬ“犬神佐兵衛翁(仲代達矢)の面白すぎな肖像”」にあったようだ。

旧作『犬神家の一族(1976)』の場合、ギャグメーカーは加藤武演じる那須署(?)の署長が一手に引き受けてたような記憶があるが、今回は金田一自身が余りに“ふてぶてしい印象”に映り、そこに「ふざけてんのかい!」的な佐兵衛翁の写真が映ってしまうと・・もうコレがどうしようもなく失笑を誘うのであった。。

そうそう。監督ならではの“殺害の表現”とし、血潮に見立てた墨滴(?)が画面全体を上から下へと列を成し「ダラ〜ッと垂れる」みたいな衝撃的かつ印象的(絵画的?)な映像演出が幾度かあったが、背後から刺したり、背後から殴りつけたりする殺害状況ならまだしも、背後から頸部をぐいぐい絞め上げた時でも「ダラ〜ッと垂れる」みたいな映像が映し出されたのには「それは少し違うだろう・・?!」とツッコンでしまったものだった(・ω・)

あとは、以下のようなトコが気になったかな。

・地方豪族ならではの「ミステリアスさ、閉鎖性、排他性、凄み」みたいなものがやや表現し切れてなかったか。
・珠世さん(松嶋菜々子)と“2人のスケキヨ(佐清)”なる題材は、十分にガストン・ルルーでアンドリュー・ロイド・ウェバーな物語設定が展開出来そう! 誰か本作をベースにスピンアウト(派生)劇、それもミュージカル作品をクリエイトするしとは現れないものか?
・松子ねぇさん(富司純子)には「遺産、独占させてくんちぇ〜」とかリアカーを引きながら言って欲しかった(・ω・) ←『フラガール(2006)』ネタ
・「旧家に青二才扱いされる金田一青年」なる旧作の“持ち味”はすっかり消失してた・・って言うか、すっかりボス然とした風格が・・「だからお前らはダメなんだよ、この田舎豪族が!」「オレがさっさと解決してやるよ!」みたいな“傲岸さ”すらその表情に漂ってたような。。
・佐六(すけろく)、佐々(すけすけ)などのネーミングのキャラも出してやりたかった。
・考えたら「佐兵衛」は「すけべえ」とも読める訳で・・原作者=横溝センセイなりの遊び心があったのかも?
・佐清を演じた尾上菊之助、どことなく容貌が藤原竜也ぽくもないか・・?(ワタシだけそう見えるんか?)
・青沼くん、最後で※※に背を向けたのは「(遂に亡き母の)想いは遂げた! さぁ殺してくれや」と言う“悲しいサイン”だったのか?(もし違うのなら、殺人鬼に背を向けるなど、余りに愚かである!)
・あの蔵に池脇千鶴が入ったとしたら「この辺りを調べたら、ルミノール反応がてんこもり出る筈や」とか言い放ちそうだな・・(⌒〜⌒ι) ←『ジョゼと虎と魚たち(2003)』ネタ
・何だか「人物設定枠」に押し込められてた感じで、やや窮屈そうな印象を受けた松嶋さん。『眉山(2007)』におけるヒロイン役の方が、はるかに伸び伸び演技してたような気がするネ。
・一番「スレイヴ」なキャラとし、気の毒そうな言動を我々に見せつけてくれた※※青年なんだが・・終盤には、誰のアドバイスも受けず、自らの意志のみで“さかさモニュメント”を冷徹にこしらえてるトコロ、、ちょっと「こいつ、ホンマはめちゃくちゃ冷酷で残忍なのと違うか?」と考えさせられてしまう。

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コメント

こんばんは。
こんなふうに深く語って貰えて市川監督も幸せですね。
このリメイク版は前作と比べる意味で観てみたかったので、観なかったのは残念な気もします。

拝察するに、良くも悪くも金田一探偵のあり様に左右されるところが多かったように感じましたが・・・。
その石坂さんのキャラの変化を中心に据えたかったわけではないのでしょうしね・・・。

>やや窮屈そうな印象を受けた松嶋さん。
>『眉山(2007)』におけるヒロイン役の方が、・・・

このご観察にTiM3さんの鋭さを感じました。
それを納得する為にだけでも、今作をいずれ観てみたいと思います。

いつも勉強になるレヴューをありがとうございます。

投稿: ぺろんぱ | 2008年2月21日 (木) 20時49分

ぺろんぱさん、ばんはです。

所詮「中盤以降からしか観ていない、たわけ者」ですけど・・(・ω・)

>このリメイク版は前作と比べる意味で観てみたかったので、
>観なかったのは残念な気もします。

本編は・・まぁどちらでも・・でしょうか。

それより終了直後、市川監督自身のメッセージ(恐らく自筆)が表示されるのが良かったです!

「映画は所詮、光と影だと思います。KON」とありました。

>拝察するに、良くも悪くも金田一探偵のあり様に左右される
>ところが多かったように感じましたが・・・。

どうしても新旧で同一俳優が起用されたため、話題性も集中しましたね。

>その石坂さんのキャラの変化を中心に据えたかったわけ
>ではないのでしょうしね・・・。

そこなんですよ!
あくまで、主人公は「珠世さん」なのですからね。
(そう考えると、彼女の存在はやはり薄めでした)

>このご観察にTiM3さんの鋭さを感じました。
>それを納得する為にだけでも、今作をいずれ観てみたいと思います。

まぁ、『眉山』もまた、宮本信子さんの“復活”をある意味、
強烈にアピールしてた作品、とも思えましたけどね。

投稿: TiM3(管理人) | 2008年2月22日 (金) 01時11分

こんにちは。
私はつ先日の放送で鑑賞しました。とは申しましても、
私も「観よう」って思っていたのに(TiM3さんに合わせた訳ではなく)1/3以上過ぎたところからの鑑賞となってしまいました。

・・・で、ほぼ同じ展開で、主要人物も(一部)同じ俳優を起用して撮り直すということの、自らハードルをグンと上げる「究極の自己への挑戦」みたいなものを感じました。
どうしても、前作のインパクトに比すと「それを超えて尚深く印象に残る作品」に仕上げるのは非常に難しいのではないかと思いました。
「“犬神佐兵衛翁(仲代達矢)の面白すぎな肖像”」も仰る通りながら、やっぱり珠世さんの魅力の薄さというのが大きかったと私も感じました。

あとは・・・なんと言いますか、「血の演出」的なものが、あまり恐怖・凄味を感じさせるものでなかったことでしょうか。

しかし監督の姿勢にはやはり脱帽の思いです。
改めまして御冥福をお祈りしたいです。

投稿: ぺろんぱ | 2008年12月30日 (火) 11時04分

ぺろんぱさん、ばんはです。

少し前に貴ブログ(記事)にコメントさせて頂きました。
ワタシも、、『特命係長〜』がどうやら年内最後の劇場鑑賞ですかのう(×_×)

>私も「観よう」って思っていたのに
>1/3以上過ぎたところからの鑑賞となってしまいました。

ワタシは裏番組(?)の『椿三十郎』を観てましたか、、(・ω・)

>自らハードルをグンと上げる「究極の自己への挑戦」
>みたいなものを感じました。

改めて「最後の石坂=金田一作品となるんやろなぁ」と感じました(・ω・)

>どうしても、前作のインパクトに比すと「それを超えて尚深く
>印象に残る作品」に仕上げるのは非常に難しいのではないか
>と思いました。

スケキヨ君のマスクが鮮やかな「白色」だったのは気に入ってますかね。
旧版では、何か劣化したウレタン(?)みたいな「黄色」でしたから、、

>「“犬神佐兵衛翁(仲代達矢)の面白すぎな肖像”」も仰る通りながら、
>やっぱり珠世さんの魅力の薄さというのが大きかったと私も感じました。

ヒロイン? う〜ん・・って印象がありました。

>あとは・・・なんと言いますか、「血の演出」的なものが、
>あまり恐怖・凄味を感じさせるものでなかったことでしょうか。

旧版ではどうだったのでしょうね? ちょっと思い出せません(×_×)

>しかし監督の姿勢にはやはり脱帽の思いです。
>改めまして御冥福をお祈りしたいです。

「撮りたいものを寛いで、和気あいあいと撮らはった」とも思います。
一歩退いて、企画そのものから考えると「まさに円熟の成せる作品」と評せるのかも知れませんね。

投稿: TiM3(管理人) | 2008年12月31日 (水) 00時46分

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