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2007年12月25日 (火)

☆『冬の映画スペシャル/手紙(2006)』☆

23日(日曜)の放送を観た。恐らく地上波初登場。
裏番組で『ナショナル・トレジャー(2004)』がこれまた(恐らく)地上波初で流されていたが、こっち(『手紙』)の方が放送時間が短かったことと、少し時間のかぶってる“実相寺昭雄氏関連の特番”が衛星第2で始まるのを立て続けで(途中からにせよ)チェックしたかったので『ナショナル〜』は録画することとした。

強盗殺人(衝動的とは言え)の罪で千葉の刑務所に服役している兄・武島剛志(玉山鉄二)と、獄中の兄へ手紙を綴る弟・直貴(山田孝之)の物語。「往復書簡的な流れがメイン」なのかと思いきや、囚われの兄貴の方が規則正しくストレスの少ない(ように見えた)生活を送る反面、“自由な生活”を送ることの出来る「ハズ」の弟が「殺人犯の家族」とし様々な逆風にさらされることとなる。
原作者・東野圭吾の価値観&人間観が背面に流れているとは言え、賛同出来るような・・でも疑問符が浮かぶような・・不思議な味わいの物語であった。

中学生時代(?)からお笑いコンビ「テラタケ」を組んでいた親友・寺尾祐輔との訣別や、広まる噂により次々と職場を追われる直貴。“高嶺の花”であった恋人・朝美(吹石一恵)との仲も引き裂かれ、いつしか弟は「兄貴がいる限りオレの人生は外れなんだ」と憎悪を抱くこととなる。
そんな中、とある“第三の人物”による「2種類の手紙」が大きく彼の運命を変えることとなり・・みたいな流れ。

兄弟のやり取りするモノ以外に、ああ言う「手紙」の存在を取り入れたか、と少し「やられた」思いがした。基本的に手紙って言うと「本人が肉筆で記したもの」との先入観があるんだが、確かに字面じゃなくて内容なんだよなぁ・・と。
って言いながら「タイプされた手紙」だとかなり軽んじてる自分がいるんだけど(⌒〜⌒ι)

惜しかったのは、ぎりぎりの「崖っぷち」の状況で主人公(=弟)に救いの手を差し伸べる人物が現れるんだけど、彼らがそれぞれに一過性なのが淡白な関わりに思えたか。まぁ、現実的にもそういう関わり方なんだろうけど。

町工場の先輩・倉田(田中要次←珍しく(?)死にません)と、そしてケ※ズデンキ・平野会長(杉浦直樹)のキャラが際立っていた。後者はワタシが言うまでもなかろう。
それ故に、あっさり工場を去る展開、ケ※ズデンキの社宅にも「噂」の広まる展開に、恐ろしいリアルさを感じつつ、納得出来ない気持ちとなるのだった。

納得出来ないと言えば・・町工場の(食堂の)女の子・由実子(沢尻エリカ)のキャラクター。あれだけ主人公を支え続けながら、途中からその神通力(?)がすっかりしぼんでしまってた。。「ああ言う立場」になったからこそ、更に彼を励まし、支え続けて欲しいし、そう言う演出を「見える形で」取り入れて欲しかったな、と。
(途中で由実子さんなりに冷めちゃったのだろうか? 「社宅で噂が立ってますけどっ?!」「別にぃ・・」的な(⌒〜⌒ι))

東野作品(原作)と言えば『レイクサイド・マーダーケース(2004)』の“後味の悪さ”を連想してしまうが、本作でも「とある引ったくり&傷害事件」「とある電気店窃盗事件」が単なるネタのみで扱われ、解決もされず未消化なのがやはり“後味の悪さ”をワタシの記憶に残した。東野氏的に言うと「これがリアルっちぅもんや(関西弁で喋らはるのかどうか知らんけど)」ってトコなんやろか。

現実の事件の場合、加害者家族が手記を出版してちゃっかり印税を稼いじゃうような「ちょっとね・・」って言う部分が得てしてあるモノだけど、こういう「加害者家族の直面する悲しさ、差別」に切り込み、かつ映画化したと言うことは評価出来ると思った。

本作が、現実に増えつつある「不条理な事件」の、まさに“加害者予備軍”たる人々の「想像力」を覚醒させ、抑制の役割を果たせば良いと願ってやまない・・(きっとそう言うヤツは、観ないと思うけど・・)

〜 こんなセリフが(記憶に)残りました 〜

倉田「本当に寂しいんだよ、あん中は」

朝美の父「いつか君が子を持つ父親となったら、今夜の私の理不尽な申し出を少しは分かって貰えるだろうと思う」

平野会長「(殺人者家族に対する)差別は当然なんだよ・・言わば(周囲の)自己防衛本能とでも言うべきかね」
    「差別のない場所を探すんじゃない、君はここで生きていくんだ。
     (中略) ここから始めるんだよ、こつこつとね」
    「この手紙の主に、心当たりがあるようだね・・決して巧い文章じゃないが、私は心を打たれた」

由実子「ごめん、勝手なことをしたと思ってる、でも間違ったことをしたとは思ってへん」
   「直(ナオ)の手紙には、こんなに大きな力があるんやで」
   「手紙って命みたいに大事な時もあるんやで」

※※「直貴君と言ったね・・もうこれでいいと思う、何もかもこれで終わりにしよう、お互い長かったな・・」

直貴「もういいって、あきらめるのにも慣れたし」
  「差別のない国に行きたい」
  「兄貴なんて、オレが生まれた時から“当たり前”のような顔でいましたからね」

追記1:「犯罪者家族について語るスレ★」「クローバー銀行」「元気が出る・素敵な慰問コンサート」など、ちょっと“力抜いてんのかな?”みたいな表記演出が目立ってたかも(・ω・) 適度にリアルさから力を抜いたんかな?
追記2:冒頭の「犯罪再現シーン」で、兄弟の区別の付かなかったワタシ。。ついつい「事件の真相って・・」と想像し過ぎてしまいました(⌒〜⌒ι)
追記3:あの事件で「無期懲役」の判決なのだろうか? いや、別に犯人をひいき目で見てる訳ではないが・・(将来、裁判員になった時に、同情しちゃうかも・・)。。

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コメント

 私も観ておりました。

私的に深く印象に残ったのは、やはり被害者家族・緒方(吹越徹)の言った言葉と平野会長(杉浦直樹)の言った言葉でした。
加害者家族も被害者家族も、事件と向き合い続けなければならないということなのでしょうね。終わりにしたいと言った緒方さんですが、多分終わりはないのでしょうね。そして被害者にとってはそれが「償う」ということなのかと、ふと、さだまさしの「つぐない」という曲を思い出してしまいました。

>“加害者予備軍”たる人々の・・・抑制の役割を果たせば良いと

本当にそう思います。

>きっとそう言うヤツは、観ないと・・・

これも・・・そう思います。(T_T)


沢尻エリカさんは、先の一件、惜しい事ですね。
まぁ若いのだから、それこそ再び「ここから始めて」欲しいですね、こつこつと・・・。


投稿: ぺろんぱ | 2007年12月25日 (火) 21時05分

ぺろんぱさん、ばんはです。

HDレコーダの容量が半分を切る状況になって来たので、慌ててDVD-Rのパックを購入して来ました(⌒〜⌒ι)
考えたら、録画モード(画質)さえ切り替えとけば、もっともっと増やせるんだけど・・。。

>私も観ておりました。

そうでしたか・・

>私的に深く印象に残ったのは、やはり被害者家族・緒方(吹越徹)の
>言った言葉と平野会長(杉浦直樹)の言った言葉でした。

そうですね。田中、沢尻、杉浦・・とそれぞれにハッとさせるセリフを放ってくれました。
「お約束」な演出ながら、緒方氏が家の前で「洗車してる」状況がリアルでしたね(⌒〜⌒ι)

※因みに正しくは吹越満氏、のようです。

>加害者家族も被害者家族も、事件と向き合い続けなければならない
>ということなのでしょうね。終わりにしたいと言った緒方さん
>ですが、多分終わりはないのでしょうね。

失った者は戻らないのです。
「蝶々が羽ばたいただけで、世界にその影響が広がる」のですから、
「人間1人が突然いなくなること」の影響を十分過ぎる以上に考えなければならない訳ですよね。

>ふと、さだまさしの「つぐない」という曲を思い出してしまいました。

さだまさしと言えば、思い出すのは「雨宿り」・・ああっ、すみません。。

>沢尻エリカさんは、先の一件、惜しい事ですね。
>まぁ若いのだから、それこそ再び「ここから始めて」欲しいですね、こつこつと・・・。

彼女自身より、そこを制御出来なかった事務所やマネージャーの責もあるのかも知れません。真相は分かってないんですが。

あれもある種の「暴走」ですよね・・

投稿: 管理人(TiM3) | 2007年12月25日 (火) 23時48分

 すみません、吹越満さん、そうです、そうなんです!

なんで吹越徹って書いてしまったのでしょうね×××恥。
振り返るに「吹越満→吹石一恵(今作にも出てらした)→力石徹→吹越徹」のチャートが一瞬のうちにミックスされてしまったもかと・・・・いえ、単なる“思い出しボケ”かも、、、ですね。(^_^;)

投稿: ぺろんぱ | 2007年12月26日 (水) 21時11分

ぺろんぱさん、お早うございます。

早速のフォロー、有難うございます(⌒〜⌒ι)

「吹石徹」の方が、確かにインパクトあるかも・・ですね。
(いや、吹越だっつぅの)

テンプルへの一撃を喰らったようなチャートでした。。

投稿: 管理人(TiM3) | 2007年12月27日 (木) 07時54分

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