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2007年7月 7日 (土)

☆『キサラギ』☆

7日(土曜)。予定が特になければ、K阪電鉄主催により実施されるであろう(?)「七夕イベント(「K特急おりひめ号(5両編成)」と「準急ひこぼし号(5両編成)」が並んだり、何度もドッキングしたり(?)する毎年7月7日恒例の、鐵道ファン垂涎の催し)」を眺めにでも行くかな〜とか考えてたが、早起きが叶ったこともあり「そうだ、映画に行っとこう☆」と気まぐれを起こし、ミナミへ向かった。
んで、初の『なんばパークスシネマ』で鑑賞したのは・・邦画『キサラギ』。確かに、他にも「観たい作品」「観ておくべき作品」は幾つか存在したんだが・・本作は前々から気になっていた1本だったもので(・ω・)

で、結果・・コレが「大当たり」だった(=^_^=) 基本的に「舞台劇」をそのまま映像化したような「閉鎖的(密室的)テイスト」なんだが、ロケ移動やCG特撮面に制作費を(そんなに)かけてない代わり、練り込まれた“予測不能な展開”の脚本と、選りすぐり(?)の俳優陣がグイグイと物語世界を牽引して行くのである☆
早くも「今年観た中でNo.1の邦画となるかも知れんぞコレは!」と直感的に感じてしまった次第。
頑張れど、予算的&技術的にはもはやどうやってもハリウッド大作には追いつけそうにない邦画界、こういう「小粒ながらパワフルなシナリオで魅せる作品」こそがこれから先の目指す道(=方向性)ではないか?! とまで思ったモノである。

2007年2月4日。東京都内・某ビルの最上階。そこに1室を借り切り、その5人は集まる。
彼らはちょうど1年前の同日、無惨な死を遂げたマイナー系グラビアアイドル・如月(きさらぎ)ミキ(享年21歳)を偲ぶ会・・「〜永遠の清純派グラビアアイドル〜如月ミキ1周忌追悼会」に参加するために集結した“コアなファンたち”であった。
彼らはそれぞれ
「家元」「安男」「スネーク」「オダ・ユージ」「いちご娘。」のハンドルネーム(ネット上で自称する名)を名乗り、これまで本名や風貌、身分や経歴などを一切明かすことなく、ファンサイトで「一途にミキをフォローすること」だけに人生を費やして来た・・そんな筋金入り(?)の共通項を有する“同志”であった。
そんな彼らが今日「初対面」をする。

ファンサイト管理人でもある“知識オタク”「家元(演じるは小栗旬)」がこの会を企画し、そして集まった5人。
当初こそ「ミキを巡る(イベント会場等での)思い出」「ミキに関するコレクションの披露(自慢含む)と交換」など、比較的まったりとした空気(?)が流れていたのだが・・とある成り行きから、出席者の1人が「ミキの死が自殺じゃないとしたら?」と言い放ち、次第にその死の“真相”を暴いて行く流れとなる。
果たしてこの5人の中に真犯人がいるのか? そしてミキを巡る彼らの意外な相関関係とは? みたいなことが次第に明かされてゆく・・

アイドルを巡るファン心理(とその暴走)を描いた作品では『リリイ・シュシュのすべて(2001)』があった。歪んだアイドルファンの狂気を描いたアニメ作品に『パーフェクト・ブルー(1998)』もあった。いずれもワタシの好きな作品であるが(=^_^=) 本作は更に踏み込んだ描き方とコミカルさが追求されており、そう言う意味でも素晴らしい☆
(“軸”となる人物が既にこの世にいないトコは『嫌われ松子の一生(2006)』のテイストか・・)

「ミキは殺害された!」と某キャラが決め打ち(?)する頃には、戸外で雨が激しく降り続き、雷鳴が突如轟いたりする。ビルの最上階に位置する1室(←家元曰く「天国のミキに一番近い場所」とのこと)は見事に“密室”としての閉鎖的様相を呈している。
この「降雨」「密室」「登場キャラの本名が明らかにされない」といったテイストはまさに『12人の怒れる男(1957)』である! 見事なオマージュにびっくり。

登場キャラも多すぎず、少なすぎず、絶妙な数の設定。そしてそれぞれの性格付けが面白い。
「他者と比較、常に優位に立ちたがるヤツ」「形から入らんとする、極めて真面目で冷静なヤツ」「周囲に合わせ、本能的に器用に泳ぐヤツ」「何を考えているのか分からぬ、何か危険なヤツ」「周囲に付いてけず、どんどん遅れ行くヤツ」
そしてそんな5人のパワーバランス(力関係)が刻々と変化をみせる!

ミキに対する愛情表現も流石はオタクだけに過激で「極秘情報&レアアイテムを網羅する」「毎日ファンサイトを訪問しカキコ(書込み)する」「ファンレターを数百通も送り続ける」「ネット内では完全なる別人格を貫徹する」・・更には「部屋に忍び込み、彼女の持ち物を盗む」手合いまで(⌒〜⌒ι)

この空間ではお互いが「味方」である一方、お互いが「宿敵」でもある訳で。良くもこんなに空気がよどみ、ねじれちゃうもんである(×_×)
もはや・・何をどう書いてもネタバレになりそうで悔しい(=^_^=)トコだが、中盤以降で次々に5人が正体(?)を明かす展開がスゴい! とは言っても、みんな本名は最後まで明かされなかったり。。
ネット的な関係(=文字のやり取りのみでコミュニケーションする関係)って「本名なぞ、特に何の意味も持たない」ってことなんやね〜・・しみじみ(・ω・)
何故だか、中盤からの物語は渡辺淳一センセイの小説『阿寒に果つ』を連想してしまったか。
・・あんまし書くと、ホンマに面白味がなくなってしまうンだが。

某キャラがたびたび劇中で“中座(ちゅうざ)”するんだが、その辺の「(彼を欠いた場の)リアルな時間の進行」を感じさせる演出も素晴らしかった。「ますます展開に付いていけんぞ、これでは」とか「あいつ、もう帰って来ないかもな」とか想像して勝手にやきもきしてしまう。
それぞれの正体が明らかになる(?)シーンも同様で、それらが判明する“寸前”に「ああっ!!」と気付かされるのである。この“ネタの前フリ(配置)”と“観客に一歩早く発見させる親切設計”の手腕は実に素晴らしい。脚本家はかなり「観客心理を分かってる」と感じた。

小栗、ユースケ・サンタマリア、小出恵介、塚地武雅、香川照之が5人を演じるが(敢えて(小栗以外の)誰が誰を演じるかは書かない(・ω・))、私的には香川の“弾けっぷり”が一番ツボにはまり気に入った。
初登場シーンで彼の醸し出す雰囲気が『ユージュアル・サスペクツ(1995)』『アメリカン・ビューティー(1999)』などにおけるケヴィン・スペイシーそのままなのだ(=^_^=) 巧いな〜香川センセイ。あなたは素晴らしい!

如月ミキ(本名:山田美紀、演じるのは酒井香奈子と言う女の子)の存在も故人であるが故、なかなか表情がはっきりと映されず、妙なホラーテイストを感じたりも(・ω・)
ラストでようやくハッキリと彼女の表情をとらえることが叶う(過去の映像にて)が、それまでのフラストレーションがあるためか(?)かなり可愛く感じてしまった(=^_^=)
あの(映像内の)持ち歌はどうにも“口パク”みたいだったが・・

終盤、物語は一応の“解決”を見るのだが・・更にラスト、意外な6人目の人物が「2周忌追悼会」に登場し「くだらん! 彼女の死が自殺だと? いいか? こいつを良く見ろ!」的に何だか良く分かんないアイテム(※※)を取り出して見せる!
「何なんだよ、それ!」とツッコミながらも物語は幕となるのだった(⌒〜⌒ι)

予備知識をなるだけ持たずに鑑賞し、是非この世界に浸って頂きたい。
かなり「観客を選ぶ」作品ではあるも・・その面白さは保証しますんで(=^_^=)

〜 こんなセリフを誰かが言ってた 〜

※「ミキは脱いだらダメなんだよ、絶対に」

※「アイドルなんて所詮“虚像”なんだよ」

※「漢字が少なく、誤字脱字が多い・・これは間違いなく(本人の)自筆の手紙だ」 ←おい(・ω・)

※「最大の魅力が“二重まぶた”と言ったね・・あれは“プチ整形”だよ」
 「歌も演技も出来ない・・ヌードでも出さなきゃ話題にならない」

※「これが自殺する子の笑顔でしょうか?」

※「“現実”に何の意味があると?」

ミキの遺言「やっぱりダメみたい・・もう疲れたわ。色々有難う。じゃあね」

オダ・ユージ「事件は現場で起こっているんだよ!」
      「(彼に)憧れてて、悪いかよ!」

※「僕のいない間に・・状況が激変してる・・」
 「展開に、完全に付いて行けてない・・」

※「警官・・あんたさっき“しがない公務員”と言っただろ!」
※「しがない身分ですよ・・父は警視総監ですけど」
※「全然しがなかねぇよ!」

※「私が犯人? いったい何を根拠に!」
※「お前の“第一印象”が根拠だよ!」

※「ストーカーと“見守り”は違う!」

※「この中で、僕が一番“遠い”・・」

↓ 段々と哲学味を帯びて来たり・・(⌒〜⌒ι) ↓

※「偶然は、全て必然」

※「真実とは、ある面において主観的なもの」

※「人の心は、未知なもの」

追記:キーワードは「徳沢駅行バス(福島県)」「きたきつねのラッキーチャッピー」「ファミリーピュア(洗剤)」「枕元にアロマキャンドル」「青山で喪服を即買い」「右斜め後ろ45度から見てジョニー・デップ似」「1年で55キロ減量!」「大磯ロングビーチ(神奈川県)」など(・ω・)
・・もそっと近かったら「ロケツアー」敢行するンだけど(=^_^=)

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コメント

邦画が唯一洋画に勝っているのはアニメかコメディ路線かと・・・

「キサラギ」に於けるTiM3さんが抜粋した台詞の可笑しさはヲタクの最先端を行ってますね(爆)

ユースケの映画ってコケないですよね~
変わりにヤバイのが織田裕二の「椿三十郎」。
これは絶対コケると予想してる(´゚c_,゚` ) ふぅ~?

投稿: ituka | 2007年7月 8日 (日) 01時52分

ばんはです。

もうぼちぼち寝ないと(⌒〜⌒ι)
週末のオレって“夜型”・・

>邦画が唯一洋画に勝っているのはアニメかコメディ路線かと・・

「ホラー系」「死別恋愛系」はもう死に体で、アニメもぼちぼちあかんかな〜と思いますね。
※私的に『ハ鵜ル』がさっぱり面白くなかったんで(・ω・)

ワタシとしては「人情系ドラマ」「昭和期再現路線」でも少し頑張れるかも? と予想してます。

『キサラギ』イイですよ〜。
久々に「分かる人」には思い切り勧めたい1本です。

関連作品とし、観たいのは『間宮兄弟』『ゆれる』でしょうかねぇ。近くにレンタル店でもあれば、ちったぁやる気にもなろうもんですが。。

>ユースケの映画ってコケないですよね~
>変わりにヤバイのが織田裕二の「椿三十郎」。

『交渉人うんたら・・』はちょっと「弱い!」と思いましたけどね。
『UDON』はどうなんやろ? 周囲の評価は決して悪くないんですけど(・ω・)

『椿三十郎』は、リメイクするカネがあるなら、最新技術で「彩色処理」「サラウンド化」して欲しかったですね。そう言うルゥカスおぢさんみたいな「気骨あるとんちき野郎(←最大の賛辞)」は日本にはいないのでせぅか・・

投稿: TiM3 | 2007年7月 8日 (日) 02時39分

私もこれ、気になっていました。でも結局見送りしそうかなぁ・・・と思っていた矢先のTiM3さんの記事。また「観たい熱」が出てきました。
私はカチューシャの○○さんが是非観たいのですが・・・。

投稿: ぺろんぱ | 2007年7月 8日 (日) 20時06分

ばんはです。

「カウリス巻き」監督の最新作・・いよいよ公開が始まりましたね☆

>私もこれ、気になっていました。でも結局見送りしそうかなぁ・・・と思っていた矢先の

これはイイですね〜。
最近劇場で観た中では、一番“意外性”があり、楽しく観ることの出来た作品です。総合的な完成度も高いし。
心からおススメ!

>私はカチューシャの○○さんが是非観たいのですが・・・。

あんなんアタマに着けて、眼が据わっちゃってるもんだから・・
まさにケヴィン・スペイシーなんです。
(彼が『アメリカン・ビューティー』でチアリーダーを眺めてた時とおんなじ眼です(=^_^=))
心から「如月ミキ」を愛してましたし(⌒〜⌒ι)

投稿: TiM3 | 2007年7月 9日 (月) 00時32分

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