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2007年7月20日 (金)

☆『ダイ・ハード4.0』☆

「大作」と公開当時から世間で騒がれるような作品を観るにあたり、いつも想いを馳せてしまうのが・・映画評論家・淀川長治氏(故人、1909-98)のことである。特にそのフォロワーと言う訳でもないが、およそ9年前に“映画界の行く末をそれ以上観ること叶わず”してこの世を去られた同氏に対し「どうです淀川さん! あなたが亡くなられた後に、こんなに面白い映画が作られて、ワタシは生きてるウチに、しっかりとそれを劇場で観ることが叶ったんですよ!」と自慢出来るレベルのモノであるか否か。

同氏に「生きてるウチに観といて欲しかったな〜」と思う1本が『マトリックス(1999)』(←続編は不要!)であるが、それ以降はそんなに“エポックメイキングな作品”の思い浮かばないワタシなのだ。
ファンからすれば『スター・ウォーズ・エピソード1/ファントム・メナス(1999)』(とその続編)を挙げる向きもあるかも知れないが・・私的には「アレは・・まぁエエやろ」程度で済ませてしまったり(←ファンの方、済んません)。

そんな訳で、近年(?)では『スパイダーマン(2002)』(とその続編)や『ハリー・ポッターと賢者の石(2001)』(とその続編)などの作品の劇場鑑賞に際しても、無意識的に「この作品こそが、その1本かも・・!?」と妙に全身に緊張を走らせてしまったワタシだった(・・が、双方とも結果的にはそうではなかった)。

さて、前置きが長くなった。今年で言うと、来(きた)る『トランスフォーマー』と共に気になったのがこの『ダイ・ハード4.0』だったことは言うまでもない。ブルース・ウィリス主演による人気(?)シリーズの最新作。さて、その出来たるや・・


18日(水曜)。思いのほか仕事が早めに片付いたのもあり「せば、映画に行こう!」と数秒考えた結果、決めた。で、
(1)笑える邦画
(2)女性讃歌(?)なスペイン映画
(3)ハリウッド系アクション映画
の3コースからチョイスしたのは・・(3)であった(=^_^=)
「アクションシーン満載! 最新のCG特撮満載! ダレ場ほぼ皆無!」と3拍子で好評価されてる(?)本作、確かに「カネ、かかってんな〜!」と驚き呆れさせてくれる完成度ではあったんだが・・どうにも「既視感のカタマリ」みたいなトコもまたあったか(・ω・)

かいつまんで粗筋をまとめると・・
「アナログ主義の“権化”とも言うべき、我らがNY市警のジョン・マクレーン刑事(ウィリス)。ハッカー青年(『チェーン・リアクション(1996)』時代のキアヌ・リーヴスっぽい)の保護(『マーキュリー・ライジング(1998)』のノリ)を依頼されるも、彼はとある過去の行為から、サイバーテロ集団に執拗に生命を付け狙われる存在だった。一味は、名うてのハッカーを次々と殺害(『ターミネーター3(2003)』の序盤に似たノリか)する一方、合衆国の東部全域を狙い“投げ売り(ファイヤー・セール)”なる3段階に分けての「国家機構のシステムクラッシュ」を実行に移す(ステージ1:交通網の破壊⇒ステージ2:金融システムの破壊⇒ステージ3:通信網&エネルギー供給の破壊)。
ハッカー青年=マシュー・ファレルを庇護しつつ、時にテキ組織に対し肉弾的に牙を剥くマクレーンであったが、業を煮やした若きテキボス“ガブリエル(『ソードフィッシュ(2001)』のボスと同名)”はFー35(VTOL:垂直離着陸型)戦闘機(『トゥルーライズ(1994)』に同仕様機が登場)を操り、高速道路上を逃走する(『マトリックス/リローデッド(2003)』のノリ)マクレーンのトレーラーを襲撃させたり、彼の娘=ルーシー・ジェネロを人質にしたり(『暴走特急(1995)』のノリ)する。
ファレルのハッカー仲間“ワーロック”による外野からの支援(『ギャラクシー・クエスト(1999)』のノリ)を受けたりもし、辛うじて戦闘機を撃退する(『m:i:3(2006)』っぽいノリか)マクレーンであったが、遂に眼の前で愛娘に銃を突き付けられる事態に至り、いよいよ“万事休す”の状況を迎える・・」

って感じだろうか。
他にも“ガブリエル”の側近であるハッカー“トレイ”のキャラが『007/ゴールデンアイ(1995)』に出て来そうなノリだったり、マクレーン自身の風貌&テログループの「俺たちがやった」的なアピールが『12モンキーズ(1995)』を連想させてくれたりもした。後半、回転する機械に転落して破砕(?)されちゃうテロリストは『007/消されたライセンス(1989)』的な演出だったし(・ω・)

ところで、ワタシの考える“ダイ・ハード的世界”を満たすべき「条件」ってのが(一部抜粋)、
♦主人公の徹底的な運の悪さ(かつ“ここ一番”の悪運の強さ)
♦主人公の異常なタフさ
♦とことん「巻き込まれ型」とし描かれる主人公(決して“英雄”を意識しない)
♦密かに作品の底を流れる夫婦愛
♦主人公が不条理な殺戮(犯人らによる)を眼にし、自らの無力さに嘆き怒るシーンの挿入
♦絶妙な相棒との連携プレー
♦適度な閉鎖的ロケーション
♦テキ黒幕との頭脳戦(相容れない“価値観”の激突も含む)
♦適度なチープさ
辺りだと思う訳で、本作を観てると・・「運、良過ぎやん」「自ら危機に向かって行ってるやん」「夫婦愛、皆無やん」「案外“英雄”を意識してるやん」「閉鎖的とちゃうやん(大きな意味では閉鎖的空間だが・・)」「テキ黒幕、世代がもはや違うやん(『香港国際警察/NEW POLICE STORY(2004)』を観た時のような違和感や・・)」「全然チープ感がないやん」・・ととにかく突っ込めるのである。

ってことで「ブルース・ウィリスの最新主演作」「ハリウッド的大作」とは大いに認めつつも、「ダイ・ハードシリーズの満を持した新作」とはとても認められない(認めたくない)ワタシなのだった(・ω・)

とは言え、流石に『1(1988)(←20年も昔の作品やねんな〜!)』の総合的完成度には到底及ばぬながらも、『3(1995)』よりは数倍(以上)面白いし、スタッフ&共演俳優陣の面(豪華さ)を除けば『2(1990)』を凌ぐデキでもあった。
ってことで『3』を観て「終わった・・」と判断を下してる人は、ちょっとシリーズを再認識する意味で、本作を鑑賞しても良いのではなかろうか。

ほか、次のような「ネタ」「疑問点」など(・ω・)

■1流ハッカーが敵ボスなら、真っ先に捜査側には“黒幕の目星”が付いたんでは?
■1流ハッカーが敵ボスなら、2流や3流のハッカー陣では全く太刀打ち出来なかったんでは?
■密かに“C4爆弾”を仕掛ける「A案」より、突入しハッカーをダイレクトに殺害する「B案」の方がよほど簡単だったんでは?
■“カンフー忍者”と呼ばれた(マギーQ演じる)「マイ」さんって、やっぱし“女忍者”の血を引く日本人女性だったの?
■シリーズ恒例(?)の「エレベータシャフト内」でのアクション・・何だかカメラワークが分かりにくかった気がした。地味だったし。
■『コラテラル・ダメージ(2002)』で強烈な印象を残してくれた、クリフ・カーティスの起用の仕方がちと勿体なかった(×_×)
■おたくハッカーは皆「ボバ・フェット」ファンでなければならないのかっ?!(⌒〜⌒ι)
■目の前の信号が「青」とか、トンネルの電光表示が「通行可」とかでも、多少は周囲を気にしつつ走るもんではないのか?
■白熱するトレーダーの皆さん。“ガブリエル”に言わせれば「お人好しのアホども」らしい。。
■Fー35の攻撃力は確かに凄まじい! ミサイル直撃で高架はたちまち倒壊、機銃掃射でトレーラーの鉄板は紙のように飛散!
■大統領コメント(映像)をコラージュ(←何故かニクソンの映像は含まれなかったらしい(・ω・))して作られた「犯行声明ビデオ」はなかなか面白いアイデア! でも、実際に真似て製作⇒ネットで流したら・・“黒服の男たち”が早々に自宅にやって来るんだろうか(×_×)?
■市警では「痴漢事件」のことを「587」なるコード名で呼ぶらしい。。
■マクレーンには「ジャック」「ルーシー」の2人の子供がいるとの設定。
■“ガブリエル”に「デジタル時代のハト時計」と称されたマクレーン。『第三の男(1949)』におけるオーソン・ウェルズの名セリフを意識したつもりか?
■B※Wのエンジンをかける際の“ドロレス”説得シーンは・・何なんだ? あれって「救援センター(遠隔地)」の女性担当者なのか? クルマに搭載の「人工知能」だったのか?
■何とも久々な感じの戸田(奈津子)節。それにしては、あんまし“意訳”のない、面白味にかける字幕やったな・・
■終盤における“ガブリエル”の凄み系セリフ「あのクソヤローを殺せ!」は『M:iー2(2000)』の終盤でテキボスが部下に言い放ったひと言と寸分違わず同じだったような気がした。

〜 こんなセリフもありますた 〜

ファレル「ニュースは大手メディアに操作される、そして・・大衆は恐怖心をあおられるのさ」

ファレル「殺しに慣れてるのか、あんた?」
ジョン「まあな・・昔は」

ファレル「ハリケーンの処理にすらもたついた政府が、どんな対策を?」
    「銃を突き付けられてちゃ、こう言う仕事は難しいんだ」

   ↑『ソードフィッシュ』でヒュー・ジャックマンが言ってそうなセリフ(・ω・)

ガブリエル「いいか、2度と躊躇うな」

ジョン「今欲しいのは・・医師じゃなく、警官だ」
   「世界は(無機的な)システムじゃない、国家であり、血の通った国民だ」
   「英雄とは・・最後にゃ背中を撃たれる存在なのさ、そして・・その名もやがて忘れ去られる」
   「そっちはそろそろ“持ち駒”も品薄なんだろ?」

ファレル「作戦は?」
ジョン「娘を助け・・ヤツらを全員片付ける」
ファレル「それが作戦?」

ボウマン副局長「我々は“石器時代”に逆戻りした」

ジョン「お前は娘の命の恩人だ・・立派な“英雄”だよ」
ファレル「成り行きさ」

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コメント

こうしてみると過去の名作のシーンや台詞を随所に入れ込んでいた映画だったんですね。

このシリーズに順位づけするなら
優秀賞【1】
佳作【4】
入選【2】
落選【3】
こんな感じですかね~

あと気になったことといえば、
シリーズを通して好きだったのが、
エンディング曲のシナトラ風味の小粋なジャズだったのですが、今回は、そんな大人っぽい雰囲気が最後まで見られず路線変更したのかなとも思いましたよ…。(´・ω・`)

投稿: ituka | 2007年7月20日 (金) 12時11分

こんばんは。
『ダイハ』へのすごい思い入れが感じられる力のこもった記事でした。
いわゆる娯楽(超)大作という括りの作品だと思っていた私としては、ここまでの深いご考察をされていることに驚きと尊敬の念を禁じえません。TiM3さんのような人達に支えられて今の映画界が存続しているのだとも・・・。
ところで、ダイハ的世界の条件として最後に上げておられる「適度なチープさ」というのは前三作のどの辺りを評しておられるのかしらと楽しい想像をしております。
マクレーンの謂わば“身一つで闘う”みたいなところですか?それとももっと撮影方法や制作の姿勢に言及されてのことなのでしょうか?? 
でもやはりシリーズ化したもので一作目を超えるというのは至難の業なのですね。
過去に『エイリアン』2作目が1作目を超えたと言われていましたが、私はやはりいろんな意味で「1作目に軍配」だったと思った記憶が・・・。2作目の迫力は確かに凄かったですけれど。

話が反れましたが、ダイハ「3作目」、非情にウケが悪いようですが、私としては作品の出来不出来より(割と好きな)ジェレミー・アイアンズが政治的意図を持つ「確信犯」ではなく只の「金の亡者・悪党」的な役で出ていたのが何となく悲しかったような記憶があります。

楽しく読ませて頂きました。ありがとうございました。

投稿: ぺろんぱ | 2007年7月20日 (金) 20時42分

itukaさん、ばんはです。

私的には、意外とあの“青年ハッカー”
憎み切れない感じで良かったです。彼自身の「成長物語」と言う受け取り方もアリかも、ですね(=^_^=)

>こうしてみると過去の名作のシーンや台詞を
>随所に入れ込んでいた映画だったんですね。

改めて「もはやハリウッド作品に映像面以外の斬新さを求めるのは酷なのかもな〜」と思いましたね。

>このシリーズに順位づけするなら

『エイリアン』シリーズにもやや似たランキングですね(=^_^=)

>エンディング曲のシナトラ風味の小粋なジャズだったのですが、
>今回は、そんな大人っぽい雰囲気が最後まで見られず
>路線変更したのかなとも思いましたよ…。(´・ω・`)

元々「クリスマス商戦的」な作品でしたもんね。
雪の降らない世界には・・ミスマッチなのでせう(・ω・)

投稿: TiM3(管理人) | 2007年7月20日 (金) 23時03分

ぺろんぱさん、ばんはです。

今日は残業が長引いてヘロヘロですた。
気分転換に・・帰宅してから『コマンドー』を観てました(=^_^=)

>『ダイハ』へのすごい思い入れが感じられる力のこもった記事でした。

んー・・でも彼の作品で一番好きなのは『ラスト・ボーイスカウト』だったりします(=^_^=) 中盤、プールサイドで敵の手下を圧倒するシーンがあるんですが、そこのやり取りがメチャメチャカッコいいんですよ。

因みにこの映画、ビリー・ブランクス隊長がカメオ出演(?)してるそうです。しぶいなー(=^_^=)

>ここまでの深いご考察をされていることに驚きと尊敬の念を
>禁じえません。

そうですかねー(⌒〜⌒ι) 反面『ドタキャン・パパ』とか『Mr.マグー』とかのバカ映画も好んで観てますよ(=^_^=)

>TiM3さんのような人達に支えられて今の映画界が存続しているのだとも・・・。

いや・・レディース層やシニア層ではないですかね。。皆さん、吝嗇的で話題性に貪欲ですから(・ω・)

>ダイハ的世界の条件として最後に上げておられる「適度な
>チープさ」というのは前三作のどの辺りを評しておられる
>のかしらと楽しい想像をしております。

『1』では「無意味なFBI捜査官の登場」ですかね。
『2』ではラストのあのやっつけ方、あと全体的な映像の地味さ(雪原とか地下とかばかし映されてた気が)。
『3』では「トンネル水流」と「なぞなぞサイモン」の演出かな。
どっか、もっさりしたトコがそれぞれにありました。
(ま、そこが味でしたが・・)

>マクレーンの謂わば“身一つで闘う”みたいなところですか?

『4』では、マクレーンと言うか、もはやマクガイバー状態でしたね。手近にあるアイテムで次々とテロリストを始末するんです。
ありゃ、既に「戦闘のプロ」ですた(・ω・)

>でもやはりシリーズ化したもので一作目を超える
>というのは至難の業なのですね。

スタッフやキャストに流れる緊張感、が次第に薄れて来ますもんね。。

>過去に『エイリアン』2作目が1作目を超えたと言われていました
>が、私はやはりいろんな意味で「1作目に軍配」だったと思った
>記憶が・・・。2作目の迫力は確かに凄かったですけれど。

誰が生き残るか分からない緊迫感が全編に漂ってましたもんね。
『2』は悪く言えば「アクション映画」でした。

>ジェレミー・アイアンズが政治的意図を持つ「確信犯」ではなく
>只の「金の亡者・悪党」的な役で出ていたのが何となく
>悲しかったような記憶があります。

あのしとって『M・バタフライ』『タイムマシン』とか、可哀想な役が多いですね(×_×)

※と言うか『ダイハ』の共通点って「敵ボスに、実は美学や理念などはない」ちぅのもあると思います。いつも「結局はカネ」なんですよね。

>楽しく読ませて頂きました。ありがとうございました。

ちょっと喋り過ぎました・・(=^_^=)

投稿: TiM3(管理人) | 2007年7月20日 (金) 23時26分

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