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2007年7月 5日 (木)

☆『明日の記憶(2005)』☆

1日(日曜)。「日曜洋画劇場40周年特別企画」として地上波初放送された邦画『明日の記憶』を観た。
現代的な解釈でクロサワ映画『生きる(1952)』を描き直したような作品かな? それとも『解夏(2003)』の変則ヴァージョンかな? と半ば「軽視した感じ」で観始めたんだが・・突如発症した「若年性アルツハイマー病」に苦しめられ、次第に“自分(=自我)”を崩壊させてゆく主人公の姿に・・と言うより、そんな彼を献身的に支え続ける妻の姿に、2シーンほどボロボロ泣かされてしまった(×_×)
『阿弥陀堂だより(2002)』も良かったが、本作においても樋口可南子さんはかなり素晴らしい! はからずも惚れてしまいました(=^_^=) こうなりゃ(←どうなりゃ?)くだんの“ヌード写真集”でも買っちゃおっかな〜(←すぐそっちに走るし!)
そして渡辺謙! 近年では『ラストサムライ(2003)』『硫黄島からの手紙(2006)』などで静かながらも強烈な存在感を放っているが、私的には本作こそ「彼の代表作」として映画史に残るべきものではないか?! と妙に高く評価してしまうものだ。(少なくとも『バットマン/ビギンズ(2005)』よりは数倍、価値ある起用だと思う(=^_^=))

2004年・春。大手広告代理店に勤める佐伯雅行(渡辺)は49歳の働き盛り。部長と言う要職に就き“ギガフォース”なる一大プロジェクト(?)の陣頭指揮に忙殺されている。その一方で、娘・梨恵(吹石一恵)が婚約者・直也(坂口憲二)と“おめでた婚”を迎えようとしている。
そんな中、佐伯は「スタッフの名が出て来ない」「会議をすっぽかす」「熟知してるハズの道に迷う」などの“おかしな症状”に突如襲われる。妻・枝実子(樋口)の勧めで病院の神経内科を受診した彼に、担当医・吉田(及川光博)はやがて「アルツハイマー病の初期症状」と言う診断を下す。
その病のことを職場に隠し続ける佐伯だが、ミスを頻発し、ついには部下の密告(?)により、閑職に異動させられることとなる。同期入社(?)の局長(=上司)には退職を勧められるも「娘夫婦の披露宴を済ませるまでは“働く父親”でありたい」と考え、10月いっぱいまでは仕事を続ける道を選ぶ。

秋。披露宴を無事済ませ退社した佐伯は、やがて孫娘・芽吹(めぶき)の誕生に立ち会い、その眼を細めるのだった。そして、娘を嫁がせ、孫の誕生を見届けたことに安心したか、病魔はそのスピードを上げ、佐伯の脳を非情にも浸食してゆくのであった・・
そして、2010年・秋・・ ってな展開。

冒頭&ラストで「2010年」ちぅ“近未来”の描かれるのが、ちょっと不思議な味わいだった(←なんせSFですからっ)。「ぼちぼちアルツハイマーの進行を食い止める薬剤が開発されるんじゃないんか?」とも思うが、どうも研究はそう巧くは進んでないらしい(某省の薬剤認可のスピードは近未来になろうが一向に改善されてないようで?(×_×))。
前半の、都会を舞台にした“オン”のドラマと、中盤以降の大自然(←奥多摩界隈らしい)にロケーションを移しての“オフ”のドラマの緩急もまた独特の雰囲気が出てて面白い。
主人公が時折“幻覚&幻聴モード”に突入しちゃう演出は、何故だかテリー・ギリアム監督の『未来世紀ブラジル(1985)』や『フィッシャー・キング(1991)』を連想してしまった。中年のおっつぁんの妄想の中に「うら若い女性」が登場すると、どうしてもそんな作品を連想しちゃうンだよなぁ(・ω・)

脇役キャラにもそれぞれに個性と味わいのあったのがナイス。

♦吉田医師役のミッチー及川。物語にかなり絡んで来る役柄なんや! と期待してたら、いきなり姿を消してしまった(×_×) 中途半端やな〜。
♦娘・梨恵役の吹石。女高生時代にグレてはったんですね(⌒〜⌒ι) でも、本作ではいきなし全身の骨がボキボキに折れたり、首が転がったりしなくて安心しました。。←それは別作品(2004)だっつぅの!
♦部下・園田役の田辺誠一。最後に“離れた位置”から佐伯に一礼する姿が印象深かった。
♦河村課長役の香川照之。最後こそいいヤツだったが、途中までの憎たらしいキャラ造形は流石(=^_^=)
♦陶芸教室・講師役の木梨憲武。彼の“あの行為”は確信犯だったんだろうか? (解かれることなき)本作の1つの謎ではある。
♦浜野社長役の渡辺えり子。後半で、とある成り行きから枝実子を雇うこととなるんだが・・何と「高級陶芸ギャラリーを数店舗展開するオーナー」だそうだ。てっきり市井の食堂のおばちゃんぐらいかと思ってた(←見た目で判断してす〜ません)
♦陶芸工房・師匠役の大滝秀治。本作最大の“謎のキャラ”。いっそ彼を主人公にした「スピンアウト作品」を是非観てみたい(=^_^=) 劇中で2度登場するんだが、私的には2度目の登場シーンの全てを「佐伯の幻覚」と解釈してみたりもする(・ω・)

シーンにより連想したのは、こんな映画たち。

♦病院の駐車券を何処にしまったのか忘れ、慌てる佐伯。妻・枝実子が運転席(天井)のバイザーから券を取り出す。⇒『ターミネーター2(1991)』
♦夫の言動につられ、号泣しそうになる妻。「泣かない泣かない」と自らに言い聞かせる。⇒『アメリカン・ビューティー(1999)』のアネット・ベニング(彼女の場合「泣くな!泣くな!」だったが(×_×))
♦知らず、妻の頭を陶皿でどついてしまう主人公。⇒これが『運命の女(2002)』のギア様だったら、樋口さん今ごろ死んでます(×_×) カーペットで巻かれてます。

時折、時計の針の音が異常に大きく聞こえる「音響的演出」や、ラストでの“吊り橋を渡って戻ってゆく2人の姿”が何かのメタファー(もしくは予兆)を思わせる「遠景カメラワーク」なども良かった。
欲を言えば、折角の豪華俳優陣なんだし「もうちょっと深く」本筋にそれぞれを絡ませて欲しかったんだが、それを差し引いても良い作品だった。

んで・・
「ヘラヘラと日々を生きてる人間」の心にはきっと響かない1作だな・・と思った訳だ、うん。

〜 こんなセリフも印象的でした 〜

佐伯「ビシッと行こうよ、ビシッと」←口癖
  「病気のこと分かってても、それ言われるヤツの気持ちを考えたことあんのかよ!」
  「何事もいつかは終わるのだ」←独白
  「こんな男でごめんな」

吉田「自分に出来ることをして欲しい、そして諦めないで欲しい。・・先程と同じ診察室で待っています」

枝実子「どんなことがあっても我慢したわ、だって家族だもの。私がずーっとそばにいます」

師匠「器を作ると(そこに)人間が出る」
  「酒と食いもんと女がいりゃ、それで十分! 生きてりゃ良いんだよ、生きてりゃ!」

浜野「ビールっ腹! これって妊娠してるみたい・・って妊娠したことないか」←光速のセルフ突っ込み・・

河村「打ち合わせに5分遅れるってことは、他人の人生を5分奪うってことなんだよ!」
  「安藤君(=袴田吉彦)とキャバクラ行っても面白くないんだよ、あいつばっかりもてちゃってさぁ」

【追記】

○佐伯選手(=^_^=)「オーランド・ブルームをマイナー俳優呼ばわり」するわ「レオナルド・ディカプリオの名前」が出て来んわ、、業界人としてお戯れが過ぎますゾ。
○主人公の勤務先のライバル社名は「電博(デンパク)」と言うらしい(⌒〜⌒ι)←元ネタバレバレ、、
○「加藤あい」「村上隆」「エネオス」といった“実名系”がセリフに盛り込まれていた。

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コメント

私も地上波で観ました。
怖いなぁ・・・と思いつつ、観終わってタイトルの意味を深く考えてしまいました。

>私的には本作こそ「彼の代表作」として映画史に残るべきものではないか?!
納得、の御記述です。

>何故だかテリー・ギリアム監督の『未来世紀ブラジル(1985)』や『フィッシャー・キング(1991)』を連想
そうね、あのシーンそんな感じですね!の嬉しい発見!の御記述です。

いつも読み応え有るブログをありがとうございます。

投稿: ぺろんぱ | 2007年7月 5日 (木) 13時02分

ぺろんぱさん、ばんはです。

類似した題材を扱っている韓流映画で『私の頭の中の消しゴム(2004)』と言うのがありましたが、若者のラブストーリーだったそちらに比べ、妙に身近でリアルなトコロが怖かったですね。。

でも、本作のテーマは『夫婦愛』と捉えて良いと思います。

劇中で、前半の「情報化社会」から後半の「陶芸」へと、主人公の手がける対象が推移するんだけど、どちらも「確かな感触はあるも、実はちっぽけで脆弱なモノ」とも言うべき共通点を感じましたね。

失敗したら『バニラ・スカイ(2001)』の出来損ないみたいになっちゃうだろうけど、ハリウッドでリメイクされても面白いかな、と思いました。

投稿: TiM3 | 2007年7月 5日 (木) 20時09分

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