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2007年6月22日 (金)

☆『大日本人』☆

21日(木曜)。危うく“引っ張られてしまう”と、残業に落ち込みそうな雰囲気であったが「明日出来ることは明日回しじゃあ!」と自分の中で仕事に区切りを付け、梅田へと繰り出した。
ぼちぼち劇場で映画でも観とかなきゃな〜と考えてた訳だが、上映開始時間がちょうどイイ感じだったもんで『大日本人』を観た。いわゆる「松本人志 第1回監督作品」ってヤツである☆

ここ数年(以上)ぐらい、殆ど松本(或いはダウンタウン)の出てる番組なんかは観ておらず、彼のユーモアのセンスがどう変貌(深化?)を遂げてるのか・・興味津々なのはあった。
今となってははるか昔のハナシかも知れないが、ダウンタウンを軸に展開するコント番組(?)『ごっつええ感じ(1991〜97)』がメチャメチャ好きだったのである!
後年、松本自身がかの番組について「皆さん、お亡くなりになられましたね。少なくとも、僕の中では亡くなられてます」みたいなシニカルな私見を何処かで吐いていたそうだが、ワタシとしてもその後の彼の言動を離れた位置(?)から眺めるに「どっかで燃え尽きはったんかな〜」みたいな勝手な決め打ちをしてたトコロである。
今回も「監督とし映画業界に進出する」ってことで「とうとう“そっち方面”に足を踏み入れたか・・」と複雑な心境となった訳でもあった。

「松本が邦画界に君臨するか? 邦画界が松本を退けるか?」とまで思う心中で、観始めた次第である(・ω・)

これまでの歴史上、局地的に出没し、国内の平穏を脅かして来た“獣(じゅう)”と呼ばれる、巨大生物の存在があった。本来は国防を担った然るべき国家組織(自衛隊?)がその対処にあたるトコロかも知れないが、“その世界”においては「大日本人(だいにほんじん)」と呼ばれる神職(?)の一族が代々これを“退治する役目”を宿命的に背負っていた。
そして、当代で6代目となる、その“稼業”の第一人者が大佐藤(松本)である。
「防獣連絡所」の看板を一軒家(←東京都練馬区内らしい)の玄関に掲げ、日夜“日本の危機”に眼を光らせる彼であったが・・そんな流れ。

冒頭から大佐藤の日常に密着取材する形でカメラが回り、インタビュアーが(実に答えにくい(=^_^=))質問を浴びせかける。このテイストがまず面白い。移動する市バス内で唐突に始まるやり取り、

質問「あつい方がお好きですか?」
大佐藤「まぁ・・仕事柄、どうしてもそうなるね」

からして何だか良く分からず・・その不思議さ故、たちまち物語世界へ引き込まれてしまった(=^_^=) 防衛庁(?)の依頼を受け、平和のため戦うヒーロー・・と言うエッセンスのみを抜き出せば「この上なく美味しい役回り」であるハズなのに、実際には全然そうでなかったりする。ピーター・パーカー(=スパイダーマンに変身する青年)以上に「中途半端に大きな力を持たされ、中途半端に大きな責任を背負わされている」そんな印象だ(・ω・)

たわい無いセリフの中に「野良猫の“野良”の定義って?」とか「正義とは?」「命とは?」などの意外に“深い”問いが飛び交ったりもし、ふと背筋を伸ばしたくもなるんだが、確信犯的なモノなのか、登場人物の誰もが(それらに)大した持論(結論)を持っていない辺りも“脱力感”に溢れててイイ感じ。まるでインタビュアーの質問に対し、真剣に答えようとしていると言うより「単にカッコ付けて話し始めたのはイイが、すぐにボロが出て来てしまう」みたいな見苦しさがあったり。
監督(松本)本人は(『座頭市(2003)』における主演俳優・北野武のように)「笑いを狙って行かない」方向の性格付けに自身を固めて(抑えて)いる様子。彼本人より、インタビュアーの語り口や、関係者の「天然な答え」の方にこそ笑わされた。

特筆すべきは、まぁ・・CG特撮だろうか。妙にどのシーンも市民の気配がないんだが(=^_^=) 造形(怪獣の産毛の質感とか・・スゴい!)や映像(ビル群や看板など)は充分“合格レベル”と私的には納得☆
終盤で、とうとうCG制作費が尽きたか?(=^_^=) いきなり、映像的にも作品的にも大きなパワーダウンをするんだが(と言うか監督自身が撮影に飽き始めたような感もあった(=^_^=)) ラスト寸前で

【ここから先は実写でご覧下さい】

みたいな警告テロップがでっかく表示されるんだが・・そこからしばらくの展開は、正直ちょっと盛り下がってしまったなぁ、ワタシは。

ってことで、終盤で酷く失速しちゃったような気もしたが「作品の組立て&描き方」としてはかなり面白いと思うんで、そこいらのハリウッド作品に何となく浪費しちゃうよりは、自身の“ユーモアのセンス”を試してみる意味でもおススメしときたい、“是非!”(=^_^=)

ほか、こんなことに気づいたり
・冒頭の“とある演出”にメチャメチャびっくり。「怪獣が出るぞ出るぞ・・」と言う胸騒ぎの相乗効果か(=^_^=)
・登場する女性キャラ陣はみんなしたたか。コレって監督なりの「女性観」の現れだろうか?
・「乳首」と「お爺ちゃん」の取り上げられ方も独特。監督のコンプレックスだろうか?
・終盤はどう考えても円谷映画『ウルトラ6兄弟vs怪獣軍団(1975)』のテイストを意識してると見た! そういや「不細工で、とあるレベルを超える強さの怪獣に対し、1人では殆ど立ち向かえない」トコも(同作に登場するヒーロー)“ハヌマーン”に似てる気がする。
・「飛べない」「光線系を発射出来ない」主人公は“ヒーロー”のお約束(?)を著しく逸脱してるのかも(・ω・)
・全体的にどこか「気を遣って作りました」的な印象を受ける。資金面なんかでかなりバック(吉※興業)に不自由(路線修正とか)を強いられてるんだろうか。
・序盤で出て来た「もしかしたら焼くことになるかも」だの「焼きます!」だののセリフは何だったんやろ?(カットされたシーンがあるんやろか?)
・子役の顔にモザイクをかける邦画はこれまで観た中で初めてかも!(=^_^=)
・助演の板尾(創路)さん。流石に「水を得た魚」のように個性を放ってました(=^_^=) 素晴らしい!
・「将軍様のお国」のメディアがチラッと登場。もっと叩いたってヨシ。
・「80万円」を理想の月収に挙げる主人公。妙に「リアル」なんですよね。。

〜 こんなセリフも良かったです 〜

大「昔は・・4代目の頃は、使用人も沢山いたようでねぇ」
問「今は?」
大「4代目?」
問「いや、使用人」

大「“第弐”で化けます」
 「・・入りました」
 「獣(じゅう)は怪獣じゃない。怪しくはないから・・と言うか、何を怪しがるのか、と」

問「あれ、何て怪獣?」
大「知らないよ」

妻「愛情注いで育てた娘に、何で電流ながせますかって」

問「いやでも、スゴいことになって来ましたね。何がって? ※※を殺したでしょ?」

大「全然(僕の力は)関係ないじゃないですか」

※劇中では「ダイニホンジン」と発音されてたが、劇場内アナウンスでは「ダイニッポンジン」と・・どっちなんじゃい?!

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コメント

こちらでは初めまして!


この映画の台詞のいいところを抜粋したくなりますよね(笑)

なんだろう・・・文字にしただけでも思い出し笑いしてしまうのは・・・(爆)

DVDが出たら、もう1回チェックしたいd(゚Д゚*)ネッ!!

投稿: ituka | 2007年6月24日 (日) 12時11分

itukaさん、いらっしゃいです。
こちらでは「初めまして」ですね(=^_^=)

>なんだろう・・・文字にしただけでも思い出し笑いしてしまうのは・・・(爆)

悔しいかな、あの絶妙の「間」だけは、どう文字に起こしても“再現”出来ないんですね、うーむ・・

>DVDが出たら、もう1回チェックしたいd(゚Д゚*)ネッ!!

「NGシーン集」とか、更に爆笑もんでしょうね。松っちゃんって結構「ゲラ」らしいんで、(監督の爆笑で)撮影が中断しまくりだったんかも・・とか邪推してます(=^_^=)

そう言えば3点気づいたんですが、

・「人間に戻るシーン」が一度も描かれなかったことが気になる
・倒された怪獣の“魂”は天に“昇華”されるんだけど・・“肉体”の処理は誰がどうやるんだろ?(これも描写されず)
・強烈なビジュアルインパクトを持つテキが次々と出現、と言うシチュエーションは『新世紀エヴァンゲリオン』に似てたかも。

ではっ。

投稿: TiM3(管理人) | 2007年6月24日 (日) 19時53分

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