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2007年5月22日 (火)

☆『二人日和(2005)』☆

22日(火曜)。今日は朝から何となくソワソワしていた。実は、地元の市民会館で邦画『二人日和』が上映される日だからだ。本日限りのプログラムで3回ほど上映されるが、むろん昼間の時間帯などは観れるハズもなく、問題は18:30〜の最終上映に間に合って席に着けるかどうかだった。

正直、先週の和歌山行ドライヴ(メインは釣り活動だったが)を含め、ここ数週間の疲れが殆ど抜けず、働けば働くほどにしんどさが募ってるんだが・・終業間際に自分の胸に手を当て「2秒間」ほど(=^_^=)考えた結果・・「よし、行こう!」と結論を導き出した。

古都・京都を舞台にしたヒューマニズムな佳作。神職相手に装束をこしらえる職人の男・黒由(くろよし)(栗塚旭)とその妻・千恵(藤村志保)を主人公に、彼らを取り巻く日常が“病魔”により崩れて行く過程を、回想や妻から夫へ、また夫から妻への“静かながら激しい”想いと共に綴る物語。
彼らを脇から支える「若い世代」を代表する存在とし、賀集利樹や池坊美佳(矢沢江梨子役)が好演している。

原題は「Turn over/天使は自転車に乗って」と銘打たれてるそうだが(タイトル時テロップより)、何だか妙に「軽い感じ」で違和感が。。そんなん付けなくても良かったように思うけど(・ω・)
本作では「口数少なく、女心を解さぬ頑固一徹おやじ」とし栗塚氏が「水を得た魚のように」その存在感を発揮しまくる。妻を思いやる行為の具現化(?)みたいな感じで、劇中に何度も近所の神社でペットボトル2本に水を汲んで帰る・・ってなシーンが描かれるが、ラストでは「その衣装」と「手にしたペットボトルの本数」が異なっててなかなか“考えさせるオチ”に仕上がっていた。
(因みにエンディングではロケ地とし「梨木神社」「車折神社」がクレジットされていた・・またロケ地ツアーせねば(=^_^=))

意外な本作のキーワードは「タンゴ」や「マジック」だったりする。
また特撮などと言う“小手先然とした映像テクニック”なんぞ、つけいるスキも与えぬわ! と言う骨太な作り手の職人気質を感じたりもしたが・・そんな中、唯一とあるシーンで「トランプの札が炎の中を舞い上がる」ってなイメージ映像が妙に“スタイリッシュな仕上がり”に見え、思わず苦笑してしまった(⌒〜⌒ι)

自転車に乗った好青年=伊藤俊介を演じたのが賀集(←兵庫県尼崎市の出身だそうだ)。これまでは「J※共済のCMに出てる兄ちゃん」と言う印象程度しかなかったんだが、本作では「性の臭い(←おいっ)を感じさせぬフレッシュな青年」を演じており、かなり好感度が上がった。
“マジックをこよなく愛する理学研究生”ってな役柄から、幾つかの手品を披露してくれるんだが、これがなかなか手慣れた感じで良い。『ミッション:インポッシブル(1996)』時代のトム・クルーズ(←極秘情報入りのディスクを出したり消したりしてた)に決して負けてないんじゃなかろうか(=^_^=) 

劇中では詳しい病名が挙げられぬままだったが、※※が蝕まれる病気は「ALS:筋萎縮性側索硬化症」であるそうだ。手先から筋力が次第に損なわれ、最後には呼吸筋までもが麻痺を引き起こすと言う・・
「またここでも“難病”路線かよ・・」と言う先入観が少なからずあったんだが、序盤から終盤に至るまでの流れに不自然なトコロがなかったため、観ていてさして抵抗はなかったように思う(私見)。

ほか、個人的にはもっと寺社仏閣のショットを多用して欲しかった気もしたが(=^_^=) その代わり(?)「木屋町」「新京極」「葵祭」と言った“京都ワード”のざくざく出て来たのがサービスっぽくて良かったか。
なお、黒由夫婦が若い頃に新京極(?)で観た映画とし『麗しのサブリナ(1954)』の名が挙げられていた。うわー、すげー、ふるー。
ってか栗塚さんご本人が(実人生で)『燃えよ剣(1966)』で華々しく主演するよりも前のハナシなんやねー。

若い観客には「地味過ぎちゃって困るわん」ってな印象しか与えないかも知れないが・・年老いてから観直したいな〜と思わせるに足る1作だった。
考えると、こういう地味で内省的な作品にこそ、邦画が世界(ボリウッドとか?)に誇るべきパワーが隠されているし、今こそそこをがんがんアピール(発信)して行くべきなのかも知れない。

同じ“京都”を舞台とした作品でも『舞妓haaaan!!!』とは全く通じるトコロがないと思う(=^_^=) どちらが「邦画史に残る」んかまでは、今のトコロ何とも言えないが・・(=^_^=)

〜 こんなセリフもありましたんぇ 〜

千恵「ウチが邪魔になったら、先生に言ぅて、注射打ってもろうてぇな」
  「やっぱり、ここがええわ」
  「あんたはいっつもそうや、大事な時に黙ってしもて」
  「いっそ責められた方がどんだけ楽か・・やっぱりあんたには分かれへんのや」
  「ここから先は、1人で行きますから」

黒由「この仕事、好きやおもたことはいっぺんもおへん」
  「色んなものが(人生を)通り過ぎて行ったけど、いったい何が残るんでっしゃろなぁ」

俊介「大事なものから、消えて行くのかな」

追伸:この『二人日和』の野村惠一(監督)+栗塚旭+藤村志保の“再度の顔合わせ”による新作『小津の秋』が今秋にも公開される予定らしい! ちょっち興味わいて来たかも☆ 栗塚haaaan!!!(←混乱すな!)

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コメント

はじめまして。栗塚旭さんの大ファンです。『二人日和』、岩波ホールで拝見しましたが、涙が止まらずに困りました。見終わってからも、しばらく席を立つことができませんでした。岩波は連日大盛況で、大勢の方が涙をぬぐっておられました。人生の終わりにこんな風に、愛が育まれたらいいなあと思いました。生きる意味や「死」についても、考えさせられました。よい映画でした。ドイツの映画祭でグランプリをとったのが、日本人として嬉しいです。
ところで、この年末年始にCS時代劇専門チャンネルで、テレビ時代劇『新選組血風録』と『燃えよ剣』が放映され、大反響を呼びました。そこで、7月から「栗塚旭特集」として、この2作品に加え、『俺は用心棒』など一挙7作品が放映されます。もし、ご事情が許すようでしたら、ご覧下さい。お読み頂き、有難うございました。

投稿: makoto | 2007年5月23日 (水) 21時19分

makotoさん、初めまして。
返信が遅くなり済みませんです。

>栗塚旭さんの大ファンです。

ワタシは、家人が(若かりし頃の)ファンなので、そこから知りました。
京都市内某所の喫茶店にも行ってみたことがありましたが・・既に休業中でしたね(⌒〜⌒ι) あと、数年前ですが、ご本人と握手しましたよ。
すわ頑固もんかと思っていたら・・非常に腰の低い、丁寧な方でしたね。

>岩波ホールで拝見しましたが、涙が止まらずに困りました。

大事なセリフを言う時、栗塚さんが大抵、背中を向けていたり、表情が映らなかったりする・・と言う演出が素晴らしかったですね。

ワタシは何となく後半、フェリーニ監督の『道』におけるアンソニー・クイン(ザンパノ役)を連想してしまいました。
(ときにラスト・・やはりあの格好は「※装束」なのでしょうか?)

>もし、ご事情が許すようでしたら、ご覧下さい。

CSだと事情が許さないのです・・ぎゃふん(×_×)

でも、情報を有難うございました。BSでの放送を期待します(・ω・)

ではでは。

投稿: TiM3 | 2007年5月25日 (金) 00時02分

二人日和の鑑賞記・・私も見たくなりました。京都の地域映画というジャンルですね。出演者の栗塚旭さんは私が紹介した「てんびんの詩」にも出ています。
千恵という名前で思い出しましたが、岩下志麻の古都が頭にあるのかと思いました。川端康成の古都も主人公、千恵子、帯屋の職人も出てきます。京都、職人、千恵・・古都は「処女の哀歓」というモチーフでしうたが、これは老夫婦、つまりあれから40年というモチーフというつながりの発想でしょうかね。
しかもでんな、岩下志麻はんは、小津の秋日和でデビューしたんだす。タイトルの発想まで連続しますな。
やはり、映画も京都弁やさかえ、コメントも京都、大阪の言葉で書かんとあかんな。標準語で書くと味がおまへん。
では、さいなら。

投稿: こっちも書い太郎 | 2007年5月25日 (金) 10時30分

書い太郎さん、ばんはです。
蒸し暑いですねー

>出演者の栗塚旭さんは私が紹介した「てんびんの詩」にも
>出ています。

そうですか! それはイイですね。

>千恵という名前で思い出しましたが、岩下志麻の古都が頭に
>あるのかと思いました。川端康成の古都も主人公、千恵子、
>帯屋の職人も出てきます。
>京都、職人、千恵・・古都は「処女の哀歓」というモチーフ
>でしうたが、これは老夫婦、つまりあれから40年というモチーフと
>いうつながりの発想でしょうかね。

『古都』イイですね! 川端さんの原作(小説)にはすっかりハマってしまいましたよ。全体的に、何処か破綻したような出来なんですが、1つ1つの文章の出来が素晴らしいので、文句の付けようなどはありません。
(『古都』執筆時、川端さんは安定剤を過剰に常用し、ヘロヘロになっておられたそうです(×_×))

あ、そうそ。ワタシも間違えたことがありますが、『古都』の主人公は“千恵子”ではなく“千重子”なのです(・ω・)

>しかもでんな、岩下志麻はんは、小津の秋日和でデビューしたんだす。
>タイトルの発想まで連続しますな。

ありゃ、標準語が崩れてしまいましたね。。

小津+岩下・・と言えば『秋刀魚の味』を思い出しましたね。カラー作品だったんですよね、確か。

ではでは。

投稿: TiM3 | 2007年5月26日 (土) 00時13分

本作と言えば、パンフレット(珍しくも購入した(=^_^=))冒頭に、
前文化庁長官である、河合隼雄氏のよせたコメントが掲載されていた。

※2005年2月20日(日曜)付「京都新聞」掲載記事からの転載、と注釈あり。

そう言えば同氏、昨夏に脳梗塞で倒れられてから、ここしばらくの続報がなく、容体が気になる・・
ネットで調べてみても分からないし、安定されているのだろうか。そう願いたい。

考えたら、本作ってば2005年の作品な訳で、今回購入したパンフもいわゆる“デッドストックもん”なのであろう。何となく得した気もする(・ω・)

投稿: TiM3 | 2007年5月26日 (土) 23時50分

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