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2007年1月 8日 (月)

☆『武士の一分』☆

本年初めての“劇場”映画鑑賞! ってことで、手堅いトコで(?)評判の邦画『武士の一分』を観て来た。監督:山田洋次×原作:藤沢周平=時代劇トリロジー(3部作)の最期を飾る(←余りに好評だし、6部作ぐらいプランが拡張されそな気がせんでもないが・・(=^_^=))一作。先に観た家人も「なかなか良かったで」「何カ所か泣いたで」みたいな高評価☆

ネット上の評価からも「(主人公を演じる)木村拓哉(以下キムタク)の存在(演技、言動)に納得できるかどうか」が最大のポイントだと予期してた次第だが、結論とし、ワタシの中では「良く頑張ってる!」と感心した。序盤、ちと寡黙な印象だったので「庄内弁はどうなんや?!」と不安を覚えてしまったものだが、ちょっと崩れた(関東風に洗練された?)現代っぽい言い回しはあるものの、ワタシなんぞを騙くらかすには充分なレベル(=^_^=) 庭で木剣を手に稽古する場面での動き(殺陣)もなかなか良かった。
映画初出演とされる壇れいさん。ワタシと多分近い年齢の筈だろうが、若く見える! 幾つかのシーンで(裸足の)足裏や足指が(意図的に?)際だつ映し方がされるが、ゾクッとするほど良いおみ足をしておられた(⌒〜⌒ι) それに、ややふっくらした輪郭に、アゴがちょいと割れてる感じなのが良い! 個人的に、アゴの割れてるしとが大好きなんですわ(=^_^=)

物語は「封建藩主のお毒味役(=鬼役)とし暮らす青年武士・三村新之丞(キムタク)の慎ましい生活」を描く前半、「とある事件により、突如とし暗雲立ちこめる三村家。戸惑う妻・加世(壇)」って感じの中盤、「“武士の一分”のため、立ち上がる三村の孤独な戦い」が展開される後半・・って構成に分けられるだろうか。

シンプルな組立ての割に“約120分”とゆったり描かれた物語世界。三村家の3人(キムタク、壇、中間(ちぅげん:従者のこと)・徳平役を演じた笹野高史)以外の登場人物は、(意識的にか)その存在(印象)を極めて薄く描かれている。
驚いたのは樋口某を演じた小林稔侍。とぼけた持ち味を最大限に発揮出来ぬまま、役柄の通り“つんのめって転んで”しまった(×_×) 『たそがれ清兵衛(2002)』の時のようなインパクトがもっと欲しかったのに・・(×_×)
珍しいやん? と勝手に感じたのは、町医者・玄斎を演じた大地康夫。この人もそんなに出番はなかったが、美味しい役回りの1人だったかと。

物語の進行やオチについて書くのは問題なので触れないが・・私的に気になったのは下記の幾つか。

□劇中で描かれた場所(ロケーション)がやや限定&屋内的だったか。例えば「村祭りの風景(←ちと定番過ぎるが・・)」とか、「竹刀で子どもに稽古をつける三村」とか「屋外での夫婦の語らい」とかあっても良かったかと。因みに私的には「(序盤に登場の)堀端の風景」がとても良かった! 城の姿を水面に映すに止めてるのが素晴らしいのだ!
□殿様(藩主)の人物像が極めて薄い。特にあの「大儀」なる“そっけない発言”と、後半で「伝え聞いた言動」とのギャップがどうにも埋まらない。
□新陰流の使い手である番頭(ばんがしら)・島田藤弥(坂東三津五郎)の「俺はこんなに強いんだぞ」的なアピール場面も欲しかったか。何だかプライドばかり前面に出てて、剣術の腕は未知数だった印象。苦労して“あんな行動”に出た(鞘を投げる寸前)のに、結果は“アレ”だし。。
□後半、とある流れで、三村宅を去ることとなる加世。新之丞の「月代(さかやき)」の変化から察するに・・かなり長期だった気がするが・・どう糊口を凌いだんだろ(・ω・) ことによっては、更なる「果し合い」を重ねなければ「武士の一分」に関わる・・って事態は起こらないんだろうか(⌒〜⌒ι) 何だか『シー・オブ・ラブ(1989)』の世界みたいな。。
□城内、あんなに「蚊」が飛んでるのは不自然では。。スクリーンに映るほどでっかい体長っぽかったし(×_×) 一方で「蛍」のCG造形は自然で良かったッス☆
□剣術の師匠役の緒形拳。後で嫌疑をかけられなかったんだろうか。同じ流派(太刀筋)な訳だし。
□藩命により「聞き込み」を徹底すれば、“訪問者”を手がかりに、下手人は探し出せたと思われるが・・。或いは藩主は全ての事情をご存知だったか?
□本作の裏タイトルは『武士の醜聞』がピッタリ来るかも。要所で物語を“転がす”ネタ(?)が全て「噂」だったし。
□徳平役を福本清三氏が演ってたら、ひと味違って面白かったかも(=^_^=) 寡黙だろうなぁ・・

〜 印象に残った台詞 〜

加世「私は、あなたのことを心配したいのです! もっと心配したいのです!」

新之丞「共に死するを以て、心と為す。勝ちは其の中に在り。・・必死、即ち生くる也!」

新之丞「貴女の下世話な告げ口は、自身の心の醜さ、卑しさを白状したようなもの」

※細かいキャラの“所作”も丁寧で魅力的だった本作。「良人(夫)の膝にこぼれた飯粒を見つけつまむ妻(その米粒は・・)」「縁側に上がる際、足袋に付着した砂を払う桃井かおり」「剣の手入れをしつつ、刃に映した妻の姿に微笑む良人」・・。職人芸的なカメラワーク(←惚れ惚れします!)と、ふとした動きにこめられた人物の心情・・それが最大の見所と言えるのかも知れません。

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