« ☆『オーロラの彼方へ(2000)』☆ | トップページ | ☆『マトリックス/レボリューションズ(2003) 』☆ »

2007年1月28日 (日)

☆『赤い月(2003)』☆

26日(金曜)。残業でくたくたになりつつ・・帰宅後「金曜ロードショー」で“地上波初登場”とし放送された邦画『赤い月』を期待半分・不安半分(⌒〜⌒ι)で観た。直木賞作家・なかにし礼の“満州だヨ、おっ母さん”的自伝小説を原作に、降旗康男監督がメガホンを執った作品。主演に常盤貴子。共演に香川照之、伊勢谷友介、布袋寅泰・・あと、山本太郎、大杉蓮など。

昭和20年夏。第2次大戦末期の満州を舞台に、愛を求めしたたかに生きぬいた母と子の、激動の半生が描かれる・・
ってな、なかなかに壮大な大河モノなんだが、TV放送ヴァージョンでカットされまくりなのか、何とも大味な脚本であった。。
北海道・小樽を発ち、新天地・満州へやって来た森田夫妻(勇太郎役:香川、波子役:常盤)とそれに連れ添う大杉中佐(布袋)の“フリ”がちょびっと描かれるが、何とも「台本をただなぞりました」的で頂けない。で、10年後・・夫妻は関東軍の庇護のもと『森田酒造』を満州・牡丹江で成功させるんだが、酒作りとか子供らに関する苦労話は一切なし! いきなり成功し、家族や使用人に囲まれた夫妻が出て来ても感情移入出来んし・・これって制作費の問題?

香川は抑え過ぎな感の演技で、余り嬉々とし演じてるように見えない。反面、常盤はお相手を「布袋⇒伊勢谷」としたたかにシフトして行く流れなので、結構(撮影を)楽しんだんじゃなかろうか(←単なる邪推)
にしても・・メインを張る役者陣が揃いも揃って“ラディッシュな台詞回し”なのには閉口させられた。「演技力がまずありき」ではなかったんやろか。香川は途中で唐突にプチ錯乱して『ブラック・レイン(1989)』における故・松田優作みたいな蛮行(?)をやってのけるし、布袋に至っては、これまた唐突に・・。正直、彼の起用された意図が殆ど分からないのである。
伊勢谷は『金髪の草原(2000)』におけるナチュラル演技には結構好感を覚えたが・・本作でも同じような演法なので「うう・・」とこれまた失望。鍛えまくってる感じの筋肉美が、ロシア人家庭教師(役名:エレナ・イバノーヴァ)との全裸セクースシーンなどで引き立ってるのは確かに認めますがネ(⌒〜⌒ι)

私的に一番良かったのはハルビン在住の怪しげな“片言ぎみ日本語遣い”の中国人役を演じた大杉蓮。彼ひとりのみ、大きく物語の中で存在感を示してたように思う。
役名で遊んでるなぁ〜と思ったのは、伊勢谷演じる諜報部員(スパイ)の氷室啓介(階級は少尉)。布袋のライバル的存在である氷室京介に酷似してるのはどうだろう、と。エレナ役を演じた女優さん(←なかなか可愛いです、散り際は“血しぶき上げ過ぎ”ぽいですが(×_×))がエレナ・ザハローヴァさんと言うそうで、これもそこまで近づけるなら、そのまま同名にしといたらええやんか、と突っ込んじゃった次第。その辺り、原作での設定がどうなってんのか興味がチラリ☆

最大の特撮的見所は中盤、爆撃により全壊する「森田邸」のシーンであろうか。ただ、カメラが“妙に行儀良い位置”で固定されてるので、予定調和な感覚があり、あんまり意外性と言うか、心にどよめくものはなかった。
後半でいよいよ(?)氷室と1つに結ばれる波子。その場面をモロに目撃した子供ら(美咲と公平の姉弟)が衝撃を受けるのが何と言うか・・(×_×)←施錠しとけよ! とも思うし。カギないんか?
美咲は「わたし恥ずかしい・・あんな不潔な人が母親だなんて」と嘆いてたが・・考えるに、小樽時代(或いはそれ以前)から波子が“奔放でなかった”確証は何処にもない訳で・・美咲や公平が「勇太郎のホントの子」と言う訳でもなかったんかも・・と妙に勘ぐり過ぎて余計に頭痛がして来るのだった。。

その他、気になった点など列挙。

○降旗監督はやはり“鉄ちゃん”か? 蒸気機関車の出番が妙に目立つ。
○屋敷の爆発するセットに制作費がかかってるぐらい?
○語り手を屋敷内に(使用人とし)配しても良かったか? 誰の視点で、どう物語を辿れば良いのか曖昧。
○『OUT(2002)』の頃の鮮烈さがどんどんしぼむ香川照之・・。

〜 こんな台詞もありました 〜

波子「私の中であなたを取り戻して」
  「生きる為には愛し合う人が必要なのよ!」
  「大切なのは自分自身の命を生き続けるための愛なのよ、いつかきっとあなたにも分かるわ」
  「あなたの戻るのを待つのが、今から私の生きる理由」

エレナ「罪なら私も同じです・生きることは罪なのです」

大杉中佐「死に場所を失った軍人は哀れだ」

追記:降旗監督作品と言えば、何と言っても『駅/STATION(1981)』が好きである。健さん(高倉健)と倍賞千恵子さんの“結ばれる”シーンがとても良かったのです。海鳴りなんかが枕元で聞こえてそうな感じで(←それって“ピストン運動”のメタファーか? ←おいっ!)、ワタシの理想とする大晦日の過ごし方かも知れません(談)。

|

« ☆『オーロラの彼方へ(2000)』☆ | トップページ | ☆『マトリックス/レボリューションズ(2003) 』☆ »