☆『ニシノユキヒコの恋と冒険』☆
先月、2月11日(火曜)の夜。
ご近所のシネコン「MOViXあまがさき」にて“レイトショー”で鑑賞して来たのは『蛇を踏む(1996)』で芥川賞を受賞した女流作家=川上弘美の同名小説(2003)を映像化した『ニシノユキヒコの恋と冒険』である。
監督を手がけた井口奈己の作品としても、前作『人のセックスを笑うな(2007)』以来だった事もあり、何処か“新鮮な心持ち”での鑑賞が叶った。
川上作品の中では『蛇を踏む』『溺レる(1999 )』『センセイの鞄(2001)』『真鶴(2006)』を読んだ事のあるワタシだったので、原作小説が刊行された時から気にはなってたものの、当時は「店頭でパラパラとめくった程度」で終わったように記憶している。
で、その時はニシノユキヒコの(人物)イメージがハッキリと掴めぬままだったが(何となく「ぶとった中年男性」と言う(晩年の)ヴィジュアルが浮かんだように思う)・・今回は、あの竹野内豊氏が主演に抜擢された(?)と言う事で、興味もわいて来た次第(・ω・)
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イケメンで仕事も出来、実家は裕福。女性には限りなく優しく、セ※クスにも強い・・ と「総てに於いて優等生」な青年=西野幸彦(竹野内)であったが・・そんな彼は様々な女性たちと“大人の関係”を持ちながらも、いつも「最後は相手の方から棄てられてしまう運命」にあった。
「女たちの欲望を敏感に察知する、研ぎ澄まされたアンテナ」と言う素晴らしい武器(?)を生まれ持つニシノではあるが、最後にはこれまた“とある(過去の)女性に翻弄されるカタチ”で、あっけなくこの世を去ってしまう事に。
後に遺されてしまった「ニシノを棄てた女たち」が、その葬儀に集まる中・・10年前、生前のニシノと逢った記憶のある15歳のみなみ(中村ゆりか)は、彼に導かれるように実家=ニシノ邸の広大な庭園の片隅で、彼を知る主婦=ササキサユリ(阿川佐和子)の口から「ニシノユキヒコの恋と冒険の物語」を聞かされる事となる・・
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1人の男を多数の女優陣が囲む(?)って「図式」に、つい連想してしまったのは『十人の黒い女(1961)←この“オリジナル版”は未見』や『クヒオ大佐(2009)』だったが、思ったより「女たちとの関係」が「断片的」かつ「多層的(?)」に描かれてる印象があった。
良い意味で「極めて観易く、分かり易いストーリー」ではあるものの、監督の持ち味でもある「長回しの連続による“間延び感”」に違和感やイライラを覚える観客も少なくない気がする(=^_^=)>
ニシノを中心に、夏美(演:麻生久美子・・過去の不倫相手)、マナミ(演:尾野真千子・・職場の上司)、カノコ(演:本田翼・・“腐れ縁”のある元カノ)、タマ(演:木村文乃・・隣室の住人)、昴(演:鳴海璃子・・隣室の住人)、ササキサユリ(料理教室で知り合った主婦)、みなみ(夏美の娘) 、、と言った女性たちが作品に彩りを添える(?)ワケだが、男性客としてのワタシは、表面的な部分で「なんでマナミと巧く行かなかったんやろ?」「なんでみなみの所に“やって来た”んやろ?」「なんで“松葉杖の女性”との関係が一切描かれなかったんやろ?」・・と“言ってもしゃあない事”を延々と考えてしまうのだった。
何だかでも、監督ご自身が「竹野内君スキスキオーラ」をバンバン噴出させつつ、撮影を心から楽しんでた・・ような“微笑ましさ”を作品全体から感じ取ってしまったモノだが・・ その辺り「ソフト化の際に“映像特典”や“オーディオコメンタリー”などのカタチで、真相が“陽の眼を見る”んやろかね」と、限りない妄想を勝手に繰り広げとるワタシ(=^_^=)
前半で、竹野内君が『ジョー・ブラックをよろしく(1988)』に於けるブラピ(=ブラッド・ピット)を想起させるような“災難(←ある意味、女難?)”に遭うワケだが(きっと『101回目のプロポーズ(1991)』の怪演(?)も懐かしい武田鉄矢氏だったら、ちゃっかり助かってたように思う(=^_^=))・・ そこに至る流れが「余りに唐突」でビックリ。
それ(=事件)自体の「いつ」「どこで」「なぜ」が全く描かれなかったのも潔い! と言うか不親切だった(⌒〜⌒ι)
主演に竹野内君を持って来た時点で「既に“問答無用”で勝ってる」印象こそ受けるものの・・もう少し“エンタテインメント作”としての「インパクト」「驚き」「クレバーさ」の欲しかった気もする。
例えば「前もって描かれてた“あのシーン”が、実は“このシーン”にリンクしてましたか!?」みたいなのがね。
〜 こんなトコも 〜
・「白スーツ+白ハット」スタイルで爽やかにイケメンをアピールしてくれた竹野内君。こんなに「サマになる」のは、このしとかマイケル・ジャクソン(故人)ぐらいかも知んない(⌒〜⌒ι)
・実は竹野内君と“タメ(=同い年)”だった事を知る。実に「神は不平等」であると言えよう(爆笑)
・基本“又聞きなストーリー”なので「ハナシ半分に楽しんどく」程度が良いだろう。
・「巨大な具なしおにぎり」にかぶりつくみなみ。若さの羨ましくなる瞬間だ(=^_^=)
・「犬の文鎮」「白いコーヒーポット(薬鑵)」「BMW2.2i(オープンカー)」「白くま(アイス)」など、あちこちで劇中アイテムが光っとる!
・思わず、白いコーヒーポットをネットで捜し求め、購入してしまったワタシ(=^_^=) (形状の)似てたのが「野田琺瑯」と言うメーカーの「キリンコーヒーポット(1.0L)」だったんだが・・果たして「コレで正解だったのか」は、分かんない。。
・ニシノの実家は「屋根にミミズクの白い彫像が、4ツ並んで載っかってる洋館」だったが・・コレって、東京都文京区にある「鳩山会館」ではないんやろか?
・横浜市の「シネマ・ジャック&ベティ」「海洋会・横浜支部(のビル)」、東京都・吉祥寺の「BAR・PAGE」、同・千代田区の淡路坂、群馬県の伊香保温泉などがロケされてた。
・『カサブランカ(1942)』の主演男優の候補の中には、後のアメリカ合衆国大統領=ロナルド・レーガンの名も挙がってたそうだ。
・ニシノとマナミの働くオフィスビル。その非常階段に敷かれたカーペット中央部の「擦り剥げてる」感じが極めてリアルだった。
・「(唐突に)前髪の乱れを直され、しばらく立ち尽くす女」「注文と違う品が来ても、文句を言わない女」「(唐突に)差し出されたアイスを食べる女」などの「眼の前の男性の“唐突な行為”に対する戸惑い」の描き方が微笑ましい。
・コルク栓式のライフル銃を用いる「射的屋」だが「カウンターから思いっきり腕を伸ばして(=身を乗り出して)対象を撃っても良い」らしい! そんなルール、知らんかった!(=^_^=)
・竹野内&尾野真千子のカップルを「最近、観かけたぞ?」と思ってたが・・『謝罪の王様(2013)』でも共演しとったんやね。 ←そちらでは、弁護士と依頼人の関係。
・ニシノの住む「マンション・リベルテ」は、内装こそ豪華だが、外観はちょっと「年季の入っとる」フツーな印象だった(・ω・)
・ニシノの印象/人柄に対する「パッと見“危険じゃない”って人」「身体は“律儀”じゃないけど、心の中はいつも“律儀”」なる表現に苦笑させられた。
・『ゴースト/ニューヨークの幻(1990)』『シティ・オヴ・エンジェル(1998)』『椿山課長の7日間(2006)』『COLORFUL(2010)』などを彷彿とさせるハナシでもあったか。
・“細マッチョ”な竹野内君の魅力が炸裂してた! 痩せないと! 俺!
・とにかく1シーン1シーンが長回し! キャメラは基本「置き(=固定)」な感じだった。コレで「モノクロ映像」「足元のカメラ位置」だったら、小津安二郎監督の新作めいた仕上がりとなったんじゃなかろうか。。
・「松葉杖の女」には、劇中のキャラ名すらなかった。
・夏美との関係なども、想像するしかない。
・とにかく「隙間」「余白」のいっぱいな作品である。
・『ハート・オヴ・ウーマン(2000)』を捻ったような感じでもある? フリ〜ダ〜ム!(←いやそこ、叫ばんでエエし)
・「荼毘に付される(=火葬される)と同時に、その人の霊魂は完全に消滅する」的な設定である。
・成海璃子さんの「白いおみ足」が、眩しくも素敵だった。
・隣の女の子がたとえ可愛くて純真だとしても・・「ベランダ伝いに侵入し、自室で勝手に寝てる」のを赦すのはどうかと思うぞ。
・伊香保温泉は良い雰囲気である。
・敷地内にダンプカー(?)の走り回ってるフリーマーケット(?)って・・どうなんやろ?
・ニシノの「恋」は、確かにたくさん描かれてたが・・「冒険」の方はどうなの?
~ こんなセリフも ~
ニシノ「みなみちゃんにはパフェ」
「バナナパフェ、2つ」
「あ、パフェ、ここ」
「普通に結婚したいね」
「パフェ、美味しい?」
「・・大きくなったねぇ」
「・・夏美さん、いる?」
「怪しい者じゃないよ。
・・※※だから、怪しいっちゃ怪しいか」
「だから※※なんですよ」
「これ、未だ持っててくれたんだね」
「※※なだけで、中身は△△てた時と同じさ。
・・今のトコロ」
「水、貰っていいかな?」
「奇麗になったな・・でも、お母さんの方が美人だな」
「見える人には見えるし、見えない人には
見えないんだよ、※※は」
「もう僕の事、恐くないでしょ?」
「今日、※※なんだよ」
「ここ、実家」
「ミュージカルは、そんなに観ないですよ」
「サユリさん、注文した品と違いません?」
「相変わらずだなぁ、カノコは」
「・・もう1杯」
「どうぞ。(車のドア)閉めるよ」
「浴衣・・似合うねぇ」
「カノコは今、幸せか?」
「カノコって、もしかしたら“セ※クス魔人”?」
「家まで送りますよ。送りたいなぁ」
「楽しい・・珈琲、淹れるのって」
「マナミのお尻は、冷たくて気持ちいい」
「自分の触ったって、気持ち良くも何ともない」
「そっちの部屋に行ってもいい?」
「じゃあ、僕はこれで」
「そんなとこで“聞き耳”立ててないで出てらっしゃい」
「『白くま』買って来たんだけど、一緒に食べない?」
「タマちゃん、昴とデキてるの?」
「昴の事、大好きなんだねぇ」
「タマちゃんの髪、ふわふわしてるね」
みなみ「・・具が入ってないよ」
「“神出鬼没”なんですね」
「※※でも寝るのかよ」
サユリ「ニシノ君はね、あらゆるタイプの
女の子をトリコにしちゃうの」
「でも何故か、ニシノ君がフラれちゃうの」
「ワタシとニシノ君の出逢いはね・・
聞きたい?」
「“哀れ、我も人の子”って思い知ったわ」
「“ニシノ君の総て”を赦していたの」
「ニシノ君は“声に出ない声”が聞こえる
“もの凄く感度の良いアンテナ”を持っているの」
「・・言ってなさい」
カノコ「番頭はん、有難おす」
「“新婚さん”だといいんですけどねぇ」
「時間が流れて寂しい。
戻れなくて、つまんないよ」
「ユキヒコ、待ってるんです」
マナミ「・・来ちゃった」
「可哀想なニシノユキヒコが幸福でありますように」
昴「ネコ、お邪魔してませんか?」
「ねぇ、一緒にお風呂に入らない?」
タマ「“いつでも手の届くとこに
冷蔵庫があると嬉しい”って昴が」
「“率直”は伸び広がる。“うるさ型”は丸くなる」
夏美「恋は、何時かは終わるから」
「恋は、愛と同じじゃないのよ」
夏美「今日でもう逢えないのね」
ニシノ「・・どうして僕は、いつも上手くいかないんだろう?」
夏美「総ての女の子の欲望に応えちゃうから」
カノコ「(彼女から)電話は?」
ニシノ「来ないよ。まだ付き合ってないし」
ニシノ「駄目だよ。もう終わったんだから」
カノコ「もう終わったの?」
ニシノ「もう終わったんだよ」
ニシノ「今でも好きか?」
カノコ「だと思うよ」
マナミ「なれるなら・・あの“蛙の人形”になりたい」
ニシノ「何で“カラクリ人形”になりたいんですか?」
マナミ「この珈琲・・苦い」
ニシノ「途中、色々あったもので」
ニシノ「照れてんだ」
マナミ「恥ずかしいの」
ニシノ「・・・今日も来る?」
マナミ「今日は・・行かない」
ニシノ「お尻、触りたかったなぁ」
マナミ「・・駄目」
ニシノ「部屋に来ない?」
マナミ「・・今日は帰る」
マナミ「今日はニシノさんの家に行きます」
ニシノ「・・はい」
ニシノ「泊まってって」
マナミ「・・明日、早いから」
ニシノ「僕はずっとマナミの事が好きでいたい。
一生、マナミに一緒にいて欲しいなぁ」
マナミ「寂しさは・・共有出来ないからね」
昴「彼女さんは?」
ニシノ「・・見てたの?」
昴「見えたの」
ニシノ「違うんだよ」
昴「何が違うの?」
ニシノ「丸くなってる」
タマ「・・不安だもん」
タマ「何で知ってるの?」
ニシノ「分かるんだよ。タマちゃん、
“僕の事、大好き”だろ?」
みなみ「パフェなんか、好きじゃなかったよ」
ニシノ「・・知ってた」
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