☆『超高速! 参勤交代』☆
今を去る事、数週間・・(⌒~⌒ι)
6月21日(土曜)の夜。ご近所のシネコン“MOViXあまがさき”で観て来たのは、(他作の上映前に)繰り返し「予告篇」を見せられた事で、必定、期待値をも上げざるを得なくなった時代劇『超高速! 参勤交代』である。
特に気に入ったのが『・・御機嫌麗しぅ・・』『・・“山彦ノ術”・・』なるやり取り。この応酬だけで、すっかり打ちのめされてしまった(=^_^=) やっぱり、予告篇映像って大事なんですネ(=^_^=)
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8代将軍・徳川吉宗の時代。
諸国の大名にとって、1年おきの江戸への出仕(=参勤交代)は苦行以外の何物でも無かった。
江戸に構えられた武家屋敷には、藩主の妻子や家族が“人質”とし住まわされ、これにより、諸藩は反乱を抑制し、御上(=徳川幕府)に対する忠誠を誓わざるを得なかった。
1735年(享保20年)。
磐城國(現在のいわき市)に居城を据える「湯長谷(ゆながや)藩」は15000石の小藩。
永らくの出仕を終え、10日をかけ江戸から戻ったばかりの藩主=内藤政醇(まさあつ:佐々木蔵之介)は、程なく同藩江戸家老・瀬川の訪問を受ける。
瀬川の携えて来たは、幕府老中・松平信祝(のぶとき:陣内孝則)のしたためた命令書。そこには「5日の内に再び江戸に参勤交代せよ」なる“無体な命”が書かれていた。
信祝は、(湯長谷藩の)領内(白水村)に「金山が発見された」なる情報を掴み、それを手中に収めるべく同藩を追い込み、取り潰そうと画策したのだ。
4年前の大飢饉以来、蓄えも尽き、参勤にかかる費用にも事欠く藩の財政。
幕府に対し憤りを露にする家臣もいたが、政醇は「藩と民を護る事」を優先し“同藩随一の智慧者”である筆頭家老・相馬兼嗣(西村雅彦)を交え、具体的な策を練る。
・・
相馬の出した案は「少人数で山中(間道、獣道)を走破、移動時間を短縮する」「荷物は最小限に止め、腰の刀すらも竹光に置替え軽量化する」「幕府の監視がある2ヶの宿場町(関所:高萩宿、取手宿)のみ、中間(ちゅうげん)を雇い、大名行列をでっち上げる」と言うものだった。
そこに現れたのは、かつて“東国随一の忍”と呼ばれた戸隠流の抜忍・雲隠段藏(伊原剛志)。「道中の山々を熟知している」と自負する段藏は、自らを“道案内(あない)人”として雇えと売り込み、政醇はこれを快諾する。
かくして、藩主+家老+藩士(重臣)5人(荒木・秋山・鈴木・増田・今村)に段藏を加えた、総勢8人の漢(をとこ)衆は、智慧と勇気だけを武器に、この「綱渡りの様な企て」を実行に移すのだった!
一方、政醇らが江戸に向け発った事を掴んだ信祝は、一行を亡き者にすべく、配下の(公儀)隠密(服部衆)を刺客とし差し向ける・・
※
良くも悪くも「タイトルにインパクト有り過ぎ(←製作側の狙い通り)」な本作(=^_^=) (それを)耳にした者の記憶の表層にザックリ突き刺さって来る完成度ながら、一方で、作品から受ける印象をかなり「軽薄な作品」「“使い棄て”っぽい作品」に変貌させてしまってもいる。
しかしながら、観てみると・・面白かった!
以前に観た『WOOD JOB(ウッジョブ)!/神去なぁなぁ日常』が、ややもすれば敷居の高い(?)「お勉強的なエンターテインメント作」だったのに比べても、身構えず鑑賞に取り組める感が(より)強く出てて良い!
単純にサクサク進む物語かなと思いきや、出逢いや別離があったり、アクションシーン(立ち回り)が存分に盛り込まれてたり。
ラストでは「巨悪をギャフンと言わせる」的な(半沢的?)演出もあって、カタルシス(スッキリ感)もなかなかだった!
佐々木亀之介・・もとい。佐々木蔵之介と言えば、これまで観て来た中でも『間宮兄弟(2006)』『アフタースクール(2008)』『岳/ガク(2011)』ぐらいしか「そう言や、出てはったね!」ってな記憶がないんだが・・ 本作は久々に「このしとでなきゃ!」と思わせる“カッコ良いけどカッコ悪い”絶妙な主人公のキャラ造型をしっかり確立してはったように感じた。
斬合いのシーンで、ちょっと“描写のムゴいトコ”もあるんだけど、自身の中では『WOOD JOB!』と共に、今年上半期に限っては「5指が入る」・・もとい(←どこにだよ!)。「5指に入る」良作ではないかいな! と評したいワタシである。
〜 こんなトコも 〜
・佐々木蔵之介の“腹話術”は「ガチな特技」なんやろか?!
・お咲(深キョン:深田恭子)の、終盤に於ける“側室っぷり”は「らしくない」感が強い(⌒〜⌒ι) それまでさんざ“姐御口調”だったのにネ。
・完全に討死してたハズの藩士・秋山(上地雄輔)は、何と・・生きてた! 『ラストサムライ(2003)』の真田広之みたいな“アンブレイカブルぶり”だ!
・天守(閣)のない湯長谷城。撮影に用いられたのは、何と「篠山城(兵庫県)」だそうだ!
・修行(稽古)シーンで、太刀傷が藩士・荒木(寺脇康文)の腕や今村(六角精児)の頬に刻まれてるのがリアルでスゴい!
・段藏役を『椿三十郎(1962)』に於ける三船敏郎のイメージに、主人公・政醇を同作での加山雄三のイメージに置き換え、黒澤明に監督して貰っても通用する“高いレベルのエンターテインメント作”だと思う。
・ドラマ『相棒』シリーズの亀山刑事&鑑識・米沢のコンビが共演してる。
・剽軽な藩主&個性的な重臣のイメージは『のぼうの城(2012)』に、悪役の造型&宿場町での激闘は『13人の刺客(2010)』に、全体の組立は小説『走れメロス』に、それぞれ似たものを感じさせる。
・ナレーターの「アホ声」は何だったんやろ(・ω・)
・「米を送ったお陰」って言う“回想シーン”には、ボロボロ泣かされた・・ こう言うのに弱いねん(×_×)
・主人公の「居合いの達人ぶり」「乗馬ぶり」がスゴい!
・中盤、某井戸に転落⇒脱出してからの相馬の“ご乱心ぶり”がスゴい!
・イマドキ風なエンディング曲に(だけ)は違和感・・(×_×)
・瀬川は老中・信祝に何を喰わされたんやろ?(鳥のエサらしいが、、)
・藩主の住む屋敷ともなれば、庭内にも天井裏にも(日常的に)曲者(くせもの)がウヨウヨ潜んでるものなのね(⌒〜⌒ι)
・劇中でロケ地になってる“かずら橋”は、徳島県内のそれではなく、福井県池田町内に架けられてるものだそうだ。
・“首コロ”など「凄惨を極める描写・演出」こそは、意図的に廃されてた。
・「忍者」「飛脚」「遊女(飯炊き女)」「町人」なども、絶妙に活写されてた。
・「お咲の妹」を巡る展開はどうなったんやろ?
・ここで唐突に一句・・ “弐人なら 暗き狭きも 恐れまじ”
・物語が終わり、国許(湯長谷)に戻るや否や・・すかさず「再度の参勤交代」を命じられたら恐いトコやね(×_×)
・「甘さ=弱さ」が土壇場で「強み」に変わってくるトコは、ホンマに励まされるなぁ〜
・矢じりで釣鐘って鳴らせるもんなんやろか?(小坊主さんが可愛い)
・意外と、江戸期の街道では、大名行列に出逢うもんなんやね。。
・「産婆」のみならず「飛脚」もまた“大名行列を横切る”事が出来る(らしい)事を初めて知る(・ω・)
・「手裏剣」や「爆薬」は出て来るも・・「種子島(火縄銃)」は一切出て来なかった(⌒〜⌒ι)
・「真剣白刃取りをするお猿」ってのは、確かにスゴい!
・「修行を嫌がる」ような素振りを見せつつ・・ムチャクチャ剣術の達者な藩主様!
・しかし「民のため」を連発しながらも・・とある場面で「遊女の生命を優先」してた藩主様でもあった・・(⌒〜⌒ι)
・本作のタイトルにヒントを得て『超高速! 心筋梗塞』ってな作品はどやろ(おい!)
・「湯長谷から江戸へは60里の距離で、通常8日はかかる」「1日に10里以上の移動はムリ」とセリフで語られてた。
・当初、片道だけで「382両はかかる」と試算されてたが「路銀140両+段藏雇い料10両」に抑える事に成功!(で、帰路は?)
・「徳川家康の伊賀越え(1582)」もまた、本作の“元ネタ”になってるんやろか?
・「10両の総てが泥にまみれた小銭」と言うのも(確かに)泣かせる。わざと汚してた?(おい!)
・相馬が「竹光じゃなきゃ“あの場面”で確実に死んでた」ってのも「運命」と言おうか面白い!
・「重臣が隠密衆と向かい合う展開」が2度描かれるが、1度目がドジ過ぎる故、2度目がやたらとカッコ良く映る! 何だか、啖呵を斬る『サボテン・ブラザーズ(1986)』の面々みたいだ(=^_^=)
・鉄(くろがね)は「慌て者の金」とも言われるそうで。
・『WOOD JOB!』同様「“褌姿の殿方”好きな女子」も満足されるんじゃないやろか(=^_^=)
〜 こんなセリフも 〜
政醇「今年も、美味い漬物を喰わせて呉れ」
「国許(くにもと)が壱番じゃのう」
「江戸はもう沢山じゃ」
「息をするだけで和むのぅ」
「狭いなぁ・・」
「・・“武士の恥”じゃ」
「鯛は“裏返して食べる2日目”が美味いのぅ」
「先ずは“近くに居る者が助ければ佳い”のじゃ」
「直ぐに支度せよ」
「銭(かね)が無くとも、御主には智慧が有ろう」
「妻子を路頭に迷わせたいか」
「此度の参勤は過酷なものと為ろう」
「精一杯、走るぞ!」
「何とかせよ」
「(御主の様に)冷静な者も必要じゃ」
「こんなもの(家宝の刀)より民の事じゃ」
「威勢が良いな」
「まぁ“弾み”じゃ」
「あ、其(そ)りか。今日はいい」
「二言は無い」
「是には色々と子細が有ってな」
「其の所為(せい)で狭い処が苦手でな。
御陰で駕篭にも乗れぬ」
「晴れれば、其れは佳い日。
“小さな事の積み重ね”じゃ」
「血ぃ出てっぞ。痛くねぇか?」
「動くで無い。そっちも出せ」
「身分等、下らぬ。
儂は、そちの事を好いて居る」
「御主こそ、眞の漢(をとこ)よ」
「民が苦しみます故」
「移り行く世を、愉しく生きるのみじゃ」
「御主となら平気じゃ」
「貧乏は誠に辛いなぁ」
「我が藩は貧乏でな」
信祝「仕置きが壱番じゃ」
「本当に喰いよったわ」
「良ぅ喰うた! 下がれ!」
「褒美を取らせる」
「鯛は美味い処が少ないのぅ」
「田舎侍には、骨となって貰おうぞ」
「参勤するだと? 必ず停めよ!」
「此の田舎侍めが!」
「鯔(とど)の詰まりは、生まれが総てよ」
相馬「大丈夫だ。観て居(お)れ」
「呉々(くれぐれ)も此の酒、呑むで無ぇぞ」
「此の相馬の眼は誤摩化せませぬぞ」
「めんこいのぅ。(御前から)毛皮を取れば
500文には為るかのぅ」 ←狼、、
「神隠しか?」
「終わりだ・・最早、是迄」
「・・切腹すら出来ぬとは」
「最早、此の上は“皺腹斬って詫びる”しか
御座居ませぬ」
段藏「あちらが“曲者”で御座る」
「・・山彦ノ術」
「こっちで御座る。
間違えた、こっちで御座る」
「儂らの狙うものは同じじゃ」
「奴等の“甘さ”には反吐が出る」
「・・馬鹿な奴!」
「殿、刻(とき)が有りませぬぞ」
「儂に毒は効かぬ。
効くのは酒だけよ」
「拙者が血路を拓き申す!」
重臣「御前ぇ、寝てんじゃねぇ!」
「如何(どう)だ。是なら大行列に見えるべ」
「“呑むな”と言われて呑む酒程
美味ぇもんは御座居ませんな」
「自惚れも其処迄行くと御見事です」
「神隠しか?」
「尊い犠牲だな」
「拙者とて“湯長谷の侍”だ」
「気合が有れば大丈夫だ」
「迷ぅて出られたか!」
「生き返ったぞ!」
「血ぃが出てっぞ」
「中間(ちゅうげん)が何か、
ごねて居る様ですが」
「御主は其れでも武士か?」
「江戸で待つのみ」
「我等が智慧では休むに似たり」
「我等は気が荒い」
「御上の上に胡坐をかき、
舐め切っていた諸藩の力、篤(とく)と見よ!」
「隠れても無駄です」
「拙者に構わず、先に行って呉んちぇ!」
「佳い音色です」
内藤「行列なら“眼の前に有る”では無いか」
「此の行列は好きに使え」
「“磐城の気骨”を見せて遣れ」
「御主等は、臭ぇ」
「武士は“相身互い”じゃ」
老中「其れは済まなかったな」
「(道中)襲われたで有ろう?」
「(献上された)大根の漬物は
“良く耕された土の味”がした。
彼の様な大根を持って来る者に
悪い奴は居(お)らぬ」
「政(まつりごと)を疎かにして、
磐城の土を殺すな。
此の先、永(とこし)えにな」
「一同、此度は大儀で有った」
お咲「知ったこっちゃ無いさ。決めるのは客だよ」
「決まってんだろ。格好つけんな」
「あたしはもうとっくに死んでるのさ」
琴姫「又、江戸に来られたか」
宿場役人「百人は居ますな」
小太郎「直ぐに死にます故、知る必要は有りません」
店主「大分、御呑みに為りました。
此処で壱度、御代の方を」
※「些(いささ)か骨が折れましたが」
「立ちませぃ!」
「間引かれ無(ね)ぇで良かったな」
「其れは其方(そちら)の都合で有ろう」
夜叉丸「佳い覚悟じゃ」
「戦いに卑怯も汚いも無いわ。
我等忍は勝つのが総て」
政醇「苦労したのじゃな」
お咲「あんた、狭いの恐かったんじゃ無いのかい?」
政醇「あ!」
お咲「誰なの、此の人?」
政醇「馬鹿者!」
重臣A「巧く行ったな」
重臣B「可也危なかったな」
琴姫「相馬、智慧を出せ!」
相馬「・・又ですか」
琴姫「智慧が出ぬなら、俸禄を下げる」
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